声をかけると笑顔で返事が返ってくる。
いつのまにか僕らは自然に話せるようになっていた。
キミの背中を遠くから見ていたあの日には想像できなかった今がある。

キミの周りにはたくさんの人がいて、たくさんの笑顔で溢れていた。
輝いていたキミに僕は声すらかけられなかった。

繰り返す日々の中で灰色に曇っていった心。
モノクロの世界の中で僕は渦のように回り続けていた。
そんな日々を当たり前だと思っていた僕の心は引っくり返された。

考えも行動も全てが違うキミに僕は振り回されたけれど、それが心地良い。
戸惑いも迷いも不安も、キミの笑顔が吹き飛ばしてくれた。

時に現実は厳しくて、泣きたいくらいの真実が僕の心を支配する。
それでもキミの傍にいたいと思うのは、どうしてだろう。
キミのことをもっと知りたいと考えるのは、我儘かな。


僕が「ありがとう」と言ったら、キミは「どうしたの」って笑うよね。
僕が「わざとだった」と言ったら、キミは「冗談でしょ」って笑うよね。

僕がキミの輝きに心奪われた日のことを、思い出してくれないよね。




声をかけられると、いつも上手く返事が返せない。
笑顔が下手で困らせてばかりだった。
キミの笑顔に救われたのに、何一つ与えられない今がある。

キミの笑顔には、どこか悲しさがあり、寂しさで溢れている。
そんなキミを僕は横で見ていることしかできない。

繰り返す日々の中で見えてきた心。
色鮮やかな世界の中に僕の知らない誰かがいた。
そんな日々を大丈夫だと思っていた僕の心は痛んでしまった。

瞳の奥に写る誰かに僕は勝てないけれど、それで良かった。
そんな嘘も苦しみも、キミの笑顔で吹き飛ばしてほしい。

時に現実は残酷で、泣きたいくらいの真実がキミを支配する。
それでもキミの近くにいたい思うのは、どうしてだろう。
キミのこともっと笑顔にしたいと考えるのは、我儘かな。


僕が「一緒にいたい」と言ったら、キミは「どうしたの」って笑うよね。
僕が「好きだよ」と言ったら、キミは「冗談でしょ」って笑うよね。

僕がキミの背中に初めて声をかけた日のことを、思い出してほしい。





積み重ねてできた日々は、簡単に壊れてしまうことを知っている。
僕は無力で、肩を並べて歩き続けることさえ守れないことを知っている。

だけど、失いたくないと本気で願うのならば。
一度繋いだ手は、繋ぎ続けなければいけない。




僕が「笑顔が見たい」と言ったら、キミは「どうしたの」って笑うよね。
僕が「涙を拭いたい」と言ったら、キミは「冗談でしょ」って笑うよね。

僕がキミの笑顔に心奪われた日のことを、思い出してくれないよね。