陽光   夏の日、僕は若く、彼女もそう、輝きに満ちた瞳を持っていた。 「おはよう」 「おはよう。今日も暑いね」  他愛も無い会話。夏の太陽は翳ることなく、世界を照らし出していると信じていた。熱 い光と、揺らめく陽炎のせいで、そんな世界が永遠に続くと信じていた。 「相変わらず、彼女とは仲良くやってるの? 」  そんなことを言うなんてことは、彼女は彼女で、彼氏と上手くやっているに決まってい る。微かな風が草木を撫でる音が、心地よく響く。まあね、とだけ僕は答えた。 「それじゃ、また」  そんなひねりのない挨拶を交わして、僕らは別れた。湿気のせいで、じめじめとする暑 気に包まれて、何にも知らない僕らはそのままお互いを待つ人のところへと向かった。  夏の日、僕らは若く、未来が今と同じようにあると勝手に信じ込んでいた。