2001.10.14 Sigur Ros 渋谷クラブクアトロ
チケットの番号がよかったので早めにクアトロヘ向かう。
かおるちゃんは既にクアトロで入り待ちしていたらしく、メンバーには会えなかったもののリハーサルを聴いていた。
「なんかすごいよ!」と言ってたから・・・。かおるちゃんにライブの良さはずっと聞いていたのだけれど、これがSigur Ros初ライブ。
イギリスでは教会でやったりしているらしい。クアトロで、あの雰囲気はどんな感じになるんだろう?期待で胃が痛い。
入場すると真っ暗な中、ミラーボールがゆっくりと回っていた。そして虫の声。それだけ。
なんだか、もう「始まっている」と思った。
お客もかなり入ってきても、空気に圧倒されているのか大声をあげる人もいなくて息を殺したような場内。
かなりの楽器がセットされていて、ドキドキしてくる。エレピ、キーボード、シンセ、ムーグ、ギター、ベース、ドラムetc。
4人なのになんでこんなに楽器があるんだろう、誰か一人が多才なのだろうなとぼんやり思っていた。
ドラムの置きかたが変わっていた。タム2つ、バスドラ、スネア、シンバルが2つ。なんか少ない印象。
そして4人が入場。静かに持ち場につく。vo.のジョンジーは靴下。立ち位置には小さな絨毯が敷かれていた。
はにかんだ、かわいらしい若者4人という印象。この人たちがあの曲を?と思った。
最初の曲はジョンジーとb.のゲオルグ以外は鍵盤の曲。なんと全員鍵盤が弾ける!ビックリした。
ジョンジーもギターは弾いていず、サンプラーをいじっていた。最初からもう違う世界に連れていかれる。
あのやわらかいようで冷徹な甘い声に。
2曲目、全員がそれぞれの楽器のもとへ。ジョンジーがレスポールに手をかける。右手にはバイオリンの弓。
オーリーのドラムがすごい。音がすごい。小柄な人なのに圧倒される音。タイプが違うんだけど、なんとなくナンバガのアヒトを思い出した。
ジョンジーの声が爆発する。すごく声量があるみたい。意外でした。
「Svefn−g−englar」。最初のキーボードの「ぽーん」という音で場内が湧く。この曲はみんな絶対聴きたかったことだろう。
この人たちはピック使わない。指引き。ドラムもスティックではなくブラシ。
驚いたのはジョンジーが声の大きさを変えるために弾いていたギターを顔にかぶせるようにあてて、マイクとの壁を作っていたこと。
完全に声も楽器の一部に徹している。だから、どんなに声をあげても必要以上の感情の高ぶりが感じられないのだ。
聴いている客のほうが自分自身の内面と向き合って、それぞれの思いで聞き入っている。
悲しいとか嬉しいとかではなく、自然に目から涙がこぼれていた。
MC無しでどんどん進められていく。でも、それぞれ、熱いものがあるんだろう。PAに必死で指示を出しているキャータン。
キャータンが多分一番楽器が出来るみたいだった。keyはもちろん、ギター、フルート。すごいなあ。メンバーにもかなりいろいろ言っている。
(神経質?それとも盛り上げているのか?)
オーリーは演奏中、ドラム叩いてるのに、キャータンのいるエレピに自分の椅子をもって移動して弾いている。こんな人初めてだ。
ゲオルグが一番自分の楽器(ベース)に徹している。でも、このバンドはベースがキモかも。
多分ベースないと全く成り立たない。ドラムがリズムとしてより、メロディーを持ってしまっているので。
というか、この人たちはこれが自分の持ち場っていう意識はあまり持っていなくて、オールマイティーに出せる音は出していきたいようだった。
ゆったりとした長い曲(1曲10分当たり前!)なのに、彼らは全力出しきっていろんな音に立ち向かっていた。
6曲目「Olsen Olsen」。フルートが心地よい。こんなに気持ちのいい場所に連れていかれるとは。
ピアノメインの曲なので、つい和音を探ってしまう。和音の気持ち良さってすっごくあるんだよね。
9曲目「Ny batteri」。ジョンジーのギターが唸っていた。低い重い音と共にガラスが砕け散るような音が鳴っていて。
オーリーのシンバルがさらに砕けたガラスを踏みつけるように鳴り響く。
粉々になった大量のガラスの破片が厚い薄暗い空から降り注いでいるようだった。なんてかなしい気持ちにさせるんだろう?
そして最後の曲。「圧巻」の一言。ジョンジーの「声」が人間の体温を一番感じさせた曲。
まるで津波が押し寄せてくるようなオーリーのドラム。空から一筋の光のようなジョンジーのか細い高音。
この荒れ狂う音大海に放り出されたどうする事も出来ない、弱い自分自身。波にのまれた木の葉のようだった。
そしてすぅっと立ち去るジョンジー。ギターがごとっと床に落とされる。「死」を感じた。
でも、恐ろしいのとは違う、「すべてを受け入れる」気持ち。
喝采がすごかった。でもアンコールなし!
四人が2回、はにかみながら出てきて肩を組んで一礼。もっと聴きたかったけど、あれがきっと出せる全てなんだろう。
なんと10曲中3曲以外は新曲。次に出るアルバムに収録されるらしい。そんなライブをやってしまうこともすごい。
でも、知ってる曲がすくなくても、関係無かった。良いものは初めてでもちゃんと伝わる。
4人に完全にやられました。壮絶ってこういうのかなあ・・・。
生きていくこと、自分自身を表現することを探っていくうちに、こういう音との関わりかたを会得していったのがまず素晴らしいと思った。
そして、それは決まったフォーマットのなかでやっていくのではなく、何でも出来ることからやっていけばいいこと、
縛られているのではなく自分の思いこみが「縛っている」のだということを彼らは知っていた。
すごく新鮮な気持ちになれました。暖かいものが溢れました。涙がとまりませんでした。
こんな素晴らしいライブを見れてよかった。是非再来日してください!!!