【舞姫】森鴎外・著
鴎外自身の青春と重ね合わせて描かれた作品で、某省からベルリン(ドイツ)へ派遣された太田
  豊太郎は現地の踊り子のエリスと出会い話は進む。しかし、豊太郎は免職になり日本へ帰国す
  ることにより2人の関係は破局するのである。

  *この作品とは他に現実にドイツ留学から帰国してしまった鴎外を追うようにエリスという女性が
   東京にやってくるが2人は結局結ばれなかった。

  わたしの感想
    鴎外自身が「自覚」するのが普通に比べて遅いことが印象的だった。「自覚」とは、字の通り
   自分自身を覚ることである。20歳を過ぎてからの自覚というのは現代知識人としての自覚か
   ・・・わたしがこの作品を最初に目にしたのは17歳の時だが、その当時すでに私は自身を自覚
   していると思っていた。


【高瀬舟】森鴎外・著

両親を幼い頃に時疫で亡くした喜助とその弟の話で、弟は病気になり、苦しい家計も自分が死
  ねば楽になるだろうと自殺を図る。しかし、死にきれなかった弟は仕事から帰ってきた喜助に手
  を貸して欲しいと頼み、喜助は弟を殺す。罪人として島流しになった喜助の態度を同心庄兵衛は
  不可解であった。鴎外は人の死や財産について持っている常識に対して、主人公の告白という
  方法を採って疑問を投げかけた作品である。

  わたしの感想
    わたしがこの作品を読む契機になったのは飼っていたネコが「キスケ」というなまえだったこと
   から。しかし、読んでみると、死や、安楽死に対しての考え方が少し変わった気がする。自分に
   とって大切な人を失いたくないという気持ちだけで最新医学を駆使して命をつなぎとめるという
   ことが果たしていいことなのか・・・喜助にとっては弟の病気に対する苦しみに比べたら自分は
   島流しになって重労働や苦しい生活を課せられることは大したことはないのだ。鴎外自身も自
   分の娘が重病にかかった際に実際に生じた問題でもあるが、本を読むということは「へぇ〜」で
   終わってはいけない。