このコーナーでは、毎月、ある言葉・モノにフォーカスをあてて、そのテーマに関連する曲を数ある
清志郎ソングの中からピックアップ(screening)し、筆者の徒然なるまま、思うままにまとめたレビュウを
お届けします。ニューアルバム{Rainbow cafe}に久しぶりに車の歌が入っています。そこで、第1回は
”車”にフォーカスをあててみましょう。
清志郎の曲には車がよく登場する、とはよく云われたり書かれたりしているけれど、そういった曲の
中で一番早くリリースされたのは「甲州街道はもう秋なのさ」{シングルマン}。それ以前の{楽しい夕
べ}で登場するのは自転車どまりだった(「日隅くんの自転車のうしろに乗りなよ」「ぼくの自転車の
うしろに乗りなよ」)。清志郎が車を持った時期はこのあたりだと、こんなところからも伺えるかも。
車の歌で有名なのは、やはり「雨上がりの夜空に」か。”エンジンいかれちまった””オイラのポンコツ
とうとうつぶれちまった”とトラブりまくるマイカーに彼女をたとえて、ちょっとHな言葉遊びをしている。
ちなみに、他の曲でもそうだが、車のドライバーは”僕やオイラやオレ”であるのに対し、「DDはCC
ライダー」では”マシンがオイラ”で、Baby(彼女)に”のっかっておくれよ”と唄っている。車とバイクで逆
になっているところがおもしろい。
「雨上がり」同様に夜中にトラブっている車の、ちょっとHな歌が新曲「エンジン・トラブル・ブギ」。実は
コレ、「DRIVE」ととてもよく似ている。彼女に逢いに行くために夜道を走るというシチュエーション、そし
てトラブル。前者では”オレのエンジンはトラブル”、後者では”オイラの腰はガッタガタ・・・背中は傷だ
らけ”。そんな状況でも”オレのピストンはスムーズ”、”あーなめらかピストンはスムーズ”。ね、似てる
と思うでしょ? 「Drive My Car」も彼女に逢うために”夜道をとばして行くよ”だが、前述の3曲と違って
Hな言葉遊びは見られない。そして”オイラ、オレ”が一方的に会いたいだけでなく、彼女への愛・思い
やりが見られる。”どうぞあたためて”というだけではなく”どうぞ泣かないで”のように。
夜道のドライブというと「MIDNIGHT BLUE」もそうだ。ここでは単に彼女に逢いたいだけではなく、危な
いなにかから逃げて”おまえにたどりつくために・・・ぶっとばす”のだ。そして、もっと危険度が上昇した
”降りしきるHIGH WAY”にさしかかた「SHELTER OF LOVE ツル・ツル」では”君のシェルターの中に
いれておくれよ”と避難願望がアップしている。
ここまで挙げた曲の中の”車”は、彼女に逢いに行く手段であるけれど、過去の恋人の面影漂う
”車”もある。まずは、云わずと知れた「スローバラード」。これはいうまでもないでしょう。メロディがさわ
やかで明るいからそう感じさせないが、「あの娘のレター」でもあの娘はいまはいない。”オイラ読める
ぜ、おまえの匂いさ”とあの娘との空港までのドライブや、彼女自身を思い出しながら車をとばしてい
る、と思う。そういえば「Sweet Soul Music」ででてくるのも”シートにしみこんでる、おまえの匂い”だ。
さて、現在・過去の恋人と直接関係のないドライブに関する曲もある。気分転換、少し現実逃避の
”ドライブは続くよ”の「BOO BOO BOO」。嫌なことや面倒な事はあるけれど、走っちゃう。
そして、冒頭ででてきた「甲州街道はもう秋なのさ」。これは、逃避したいけど、忘れられない現実、
多分。この曲は名曲だと思う。見た目では判らないぐらいにちょっとブルーに”車を走らせる”現在の僕
と、傷心に至るまでの激しい怒り・諦めの感情(ちょっと過去)を、見事なボーカルで歌い上げている。
情景については全く触れていないし、歌詞自体も非常に簡潔なのに、そんな心象風景や秋の甲州街道が目に浮かぶ。このあたりが、表現者としての清志郎の素晴らしさなのだろう。子供の頃はそうでもな
かったが、大人になるにつれこの曲のよさが判るようになった。 もう秋。たとえ私が走るのが青梅街道
や五日市街道や国道12号線であっても、”甲州街道はもう秋・・・”
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「甲州街道はもう秋なのさ」 {シングルマン} 「雨上がりの夜空に」 {ラプソディ} 「DDはCCライダー」 {PLEASE} 「エンジン・トラブル・ブギ」 {Rainbow cafe} 「DRIVE」 {ハートのエース} 「Drive My Car」 {O.K } 「MIDNIGHT BLUE」 {MARVY} 「SHELTER OF LOVE ツル・ツル」 {MARVY} 「スローバラード」 {シングルマン} 「あの娘のレター」 {BLUE} 「Sweet Soul Music」 {PLEASE} 「BOO BOO BOO」 {レザーシャープ} (引用順 :{}は主な収録アルバム名) |
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