まず、RCの曲から季節が感じとられる曲(季語、もしくはそれにあたる詩が入っている曲)を挙げて、
グルーピングしてみたので、それをご覧下さい。
<春>
春が来たから、い・け・な・いルージュマジック*、春うらら*、Oh!Baby(5月には君におくるだろう)*、
<夏>
どろだらけの海(あの娘の水着)*、サマーツアー*、あの夏のGOGO
ねむれないTonight、横浜ベイ、海辺のワインディングロード、サマーロマンス
空が泣きだしたから(夕立のような情景なので)
ありふれた出来事パート2、サマータイムブルース*、June Bride (6月)
<秋>
九月になったのに、甲州街道はもう秋なのさ
<冬>
去年の今頃、ぼくの自転車のうしろにのりなよ(マフラーあたたかい)、ダーリンミシン、
窓の外は雪*、Drive my Car、山のふもとで犬と暮らしてる、アイデア(かじかんだ耳に)、
冬の寒い夜
naughty(以下n):ちょっと違うと思った部分を書くと”Oh!Baby”は一緒に住んだ後も含んでいるので、
春だけにするのはちょっと無理かもしれませんね。 ”九月になったのに”は、まだ夏だと思いますよ。
pie(以下p):”九月になったのに”はやはり、夏ですよね。清志郎の詩ではないのであがって
ませんが、”忙しすぎたから”に似た感じで、夏が終わりきらない最後の蒸し暑さですね。
m:そうですか。”九月になったのに”はそういえば暑い感じの歌ですものね。じゃあ、秋とはっきり
いえるのは”甲州街道”だけですねえ。私なんかはRCのヒット曲というと夏で、自分の好きな曲と
いうと秋というイメージがあるんですが。だから秋の曲がこんなに少ないなんてちょっと驚きでした。
もっとあるとおもってましたから。ところで、春・夏・秋・冬、それぞれ印象に残る曲を1〜2曲ずつ
あげてみてくださいます?私の場合は、春:い・け・な・いルージュマジック、夏:サマーツアー、
秋:甲州街道はもう秋なのさ、冬:ダーリンミシン、Drive My Car といったところでしょうか。
p:私の場合は素直に考えると、春:春ウララ、夏:サマーツアー、秋:甲州街道はもう秋なのさ、
冬:窓の外は雪 ですね。mと重なる曲もありますね。
n:じゃあ、私はストレートじゃなくひねたのも含めて、とりあえず3曲ずつ選んでみました。
春:わかってもらえるさ、トランジスタラジオ、いい事ばかりはありゃしない、夏:よそ者、
ヒッピーに捧ぐ、ガガガガガ、秋:甲州街道はもう秋なのさ、夜の散歩をしないかね、クールな気分
冬:ぼくの自転車のうしろに乗りなよ、忠実な犬、あの歌が思い出せない
m:んーひねっていますねえ。感じ方によってそう感じる曲もあるわけですね。季節が明確に
判る曲は皆さんが感じる部分は同じと思いますので、そうでない曲、n がひねってだしてくれた
それぞれの曲についてちょっと語っていきましょうか。
n:そうですね、お互いの感覚の違いが分かっておもしろそうですね。
m:”トランジスタラジオ”は春っぽいですね。特に高校3年生あたりの一学期っぽい感じがします。
n:そうなんですよね。屋上で寝ころぶなら春か秋なんですけど、きっと5月病っぽい部分もあるとして
春と思いました。
p:私も煙が青いという表現が春に思えます。
m:ただ、私は”いいことばかり”はは秋っぽいイメージなんですけど、 どうでしょう?情けなくれ
やるせない感じが秋っぽいかなと。
n:なるほど、自分は酔った情景なんかが夏に近い春と感じたんですよね。
p:えーっ、そうですか?冬だと思ってました。「背中丸めて」のところが、コートを着てるイメージ
だったので。
n:なるほど、「背中丸めて」のところは、自分はただくたびれた感じにだけ捉えていたのでコートまで
は想像しませんでした。だって、白バイに捕まるのも何となく春の夜という感じだったので。
m:同じ曲なのに、聴き手によって感じる季節が全く違うなんておもしろいですね。
次に夏を感じる曲として n が挙げた曲に話題を移しましょうか。”よそ者”、”ガガガガガが”ですが、
これらが夏というのも、なんかわかります。 でも、”ヒッピーに捧ぐ”が夏というのは雷
(空を引き裂いて君がやってきて)のあたりでそう感じられたんですか?
n:空を引き裂いてで雷は連想しなかったです。空を引き裂いてに関しては天国にいるヒッピーが
下界との壁(天国だから空)を破ってくるという イメージです。で、何で夏だと思ったかというと、
電車の中の情景や 検死官の情景が、自分の頭の中の映像(笑)では、じりじりと照りつける
太陽の一日が浮かんだからなんです。
p:これは、86野音のイメージがあって夏に思える部分がありません?
n:それはないです。じりじりと太陽が照りつける一日に機械的な対応の検死官と市役所の人間。
電車の中も日常の生活を送る人達といった感じで映像的には"白"がメインになってたりするんです。
なんか飛躍しすぎてますね(笑)
m:ああそうなんですか。そういえば、以前雑誌のインタビューで「火葬場から煙がでているとき
突然虫歯が痛くなった。その体験が(空を引き裂いて君がやってきて)だと答えていましたしね。
n:そうなんですか。それは知りませんでした。
m:では、次に n が秋を感じるという曲について話しましょうか。”夜の散歩をしないかね”は夏の夜の
イメージもあるんですがどうでしょう?
n:これも頭の映像なんですが、秋の夜長の涼しいイメージと月がきれいなところで、感覚的にそう
思っちゃったんですね。
m:そうなんですか。私の場合は恋人と夜中に散歩するという情景が夏のイメージなんですよね。
ところで、”クールな気分”が秋っぽい由縁は?
n:これはただ単純に彼女の事を思うと落ち着く気分を歌っている曲なので、そういうのを思い出し
たりすると言ったら秋かなと(笑)。
m:これは曲調も秋っぽいかもしれませんね。
p:このあたりと似たような感じで”CALL ME”は秋っぽくないですか?秋の夜長に電話して時間
つぶす感じの。
n:一人の夜という感じが正にそうですね。
m:続いて、冬と感じる曲についてですが、”忠実な犬”はたしかに冬っぽいですね。
n:冬のあたたかい一日という感じですね。
m:それに、”あの歌が思い出せない”の雨も、梅雨の雨というより氷雨っぽいですものね。
n:そうですね。曇った街並みが冬を感じますね。
m:雨といえば、”雨あがりの夜空に”なんかはどの季節を思い浮かべますか?
n:”雨あがり”は夏っぽく感じますね。
p:車が壊れるくらいの激しい雨、雨あがってからの情景を考えるとやはり夏ではないですか?
m:そこがフォーク時代とそれ以降の違いなのかもしれませんね。そういえば、夏の曲は多いですよね。
予想してたんですが。”雨あがり”も夏っぽいとなると、夏の曲でシングルカットしている曲って多い
かもしれませんね。
p:夏の方がサウンドに勢いが出てシングル向きなのかな?
しかし、私はシングルで季節となると”春ウララ”のイメージも結構あります。
n:それについてはストレートですからね。
m:パーティについての歌も多いですが、パーティって夏か冬(クリスマス)ですよね。
ダンスパーティはどちらでしょうね。
n:私はシャンペンっていうのが何となく冬を感じます。
p:これは、ホーンもクリスマスソングを吹いてますので冬だと思います。
m:冬といえば、先月のnの連載にもありましたが、清志郎ってクリスマスソング多いんですよね。
”二人だけのクリスマス”、”白いXmas Baby ”、”楽しいクリスマス”など、いずれも未発表曲なん
ですが。nも同意見でしたが、これらを集めてクリスマスアルバムをだすのもおもしろそうですよね
n:「abcd」出せたんだから、出せると思うんですけどね。
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2)アルバムから感じる季節
m:ここまで、曲について話してきましたが、視点をアルバムに移してみましょうか。
n:個々の曲はともかく、漠然とした全体の雰囲気からイメージされる季節はありますね。
例えば、フォーク時代のRCはサウンドも含めて、冬の印象ですね。
m: 「初期の」の”寝床の中で”も冬っぽい感じしますものね。あのフォークギターの醸し出す雰囲気も
夏というより冬っぽいですよね。「楽しい夕に」なんて特にそう思います。
p:フォーク時代ってあきらかに清志郎のテーマに「孤独な人間のもつ疎外感」ってのがあると
思うんですよ。本人が意識したがどうかはわかりませんが、この時期の曲って正直じゃないですか?
やはり、理解してもらえずに浮いちゃってるのが、もろに出てるんですよね。また、この時期は
歌詞にあった演奏ができていると思うんですよね。ですから、詩のイメージ=演奏のスタイルも
ぴったしだし。そう考えると、孤独=冬って結びつきは考えられませんか?
m:孤独感は冬ですよね。心の冬。それに、この頃は認めてもらえなかったり、若さ故に思うように
いかないという自分の状況そのものも、冬って感じですし。それがそのままフォーク時代には反映
されているのでしょうね。
n:ま、あくまでも漠然とした全体の雰囲気ってことですけどね。ところで、「シングルマン」は晩秋って
感じしませんか?
m:だから、n は”夜の散歩をしないかね”を秋と捉えてるんですね。 私はこのアルバムは四季を
全部織り込んでいると思っているんです。 名前だけだけど(笑)”大きな春子ちゃん”、
”ファンからの贈り物”あたりは 春っぽく、”夜の散歩をしないかね”、”ヒッピー”は夏、”うわの空”、
”冷たくした訳は”は秋。”甲州街道”は晩秋。”スローバラード”は初冬 (毛布にくるまってるし、
夜露が窓を包む)かと。そのあたりが、このアルバムが名盤たる由縁かと思ってるんですよ。
p:1年もレコーディングやってたから、ちょうどその時にあう曲を録音したというのは・・・、
考えすぎですね。
m:いや、それはあるかもしれませんよ。
n:なるほど、”ファン”や”春子ちゃん”からは季節は連想しませんでした。 私は、全体の雰囲気で
晩秋と感じただけなんですね。ですから個別ではヒッピーは夏を感じたりします。
確かに名盤といわれるものに明るい物はありませんよね。 ですから「シングルマン」も全体的に
暗いトーンなのが、良いのだと思います。
m :それはいえていると思います。
n:次に「Please」は春って感じしません?
m:”ダーリンミシン”、”DDはCCライダー”もはいってますが、”トランジスタラジオ”もはいってますしね。
冬〜春って感じかとも思いますが、どうでしょう?
p:やはり音の軽さも手伝って春っぽいですね。
n:なるほど。「Blue」〜「OK」は夏じゃないでしょうかね?
m:確かに、「BLUE」は夏って感じがしますね。”ロックンロールショー”、 ”Jonny blue”、
”チャンスは今夜” はバンドマンの夏って感じがします。 ”多摩蘭坂”、”まぼろし”が静かな夏の夜、
”よそ者”、”あの娘のレター”なんて さわやかな夏ってイメージですよね。
p:”あの娘のレター”はどうでしょう。空港に送って行くのがメインだとしたら少なくとも「さわやか」
では無いように思えますが。
m:詞をみるとそうなんですが、曲調はさわやかですよね、この曲。そういえば、この頃になると、
詞のイメージと曲調や演奏が一致していない曲がでてきますよね。それがフォーク時代との違いと
いえそうですね。
n:自分は”よそ者”、”Johnny Blue”なんかは、さわやかというより港町っぽい雰囲気を感じるん
ですよね。 同じ夏でも「BEAT POPS」以降はこの雰囲気が全くなくなるのが驚きますけど
m:「BEAT POPS」も夏っぽい、これはとても暑い夏っぽいですよね。
n:そうですね。ただ「BLUE」の夏とはかなり違うと思います。
p:暑苦しいですよね。
m:でも、「O.K」って夏っぽいですか?ハワイで作った割には、四季で構成されているような感じが
するんですが。例えば、”Drive my car”が冬、”Oh!Baby”が春、 ” 眠れないTonight”、”うんざり”が
夏、”指輪をはめたい”は季節不明で、 ”ドカドカうるさいR&Rバンド”も夏というより秋のツアーって
感じするんですがどうでしょう?
p:”指輪”は冬ではないですか?「寒くない」ってのは比喩かもしれませんが、冬の夜に表に出され
てるから怖いのかなぁと思うんですが。
n:多分mは歌詞の面からだけで考えていると思いますが、私は音も含めてなので、かなり印象が
違いますね。 おもしろいのはサウンドでいうと「OK」は非常に夏っぽいサウンドに聞こえるんですが、
「KING OF LIVE」に収録の「OK」の曲は、夏っぽく 感じないんですよね。
p:nが言ってるのはアルバムの「KING OF LIVE」の話ですよね。夏っぽく感じないと言うのは
具体的にどの曲あたりですか?
n:具体的というより、アルバム全体のトーンがミックスもあるかもしれませんが、どの曲も暗く冷たく
感じるんですよね。ところで「Feel So Bad」は秋じゃないでしょうか?
m: ”夢を見た”とか秋っぽいですよね。
n:ま、”NEW YORK SNOW”みたいなのもありますけどね。だんだん感覚的になってきてますね(苦笑)
「ハートのエース」〜「MARVY」は夏では?
m:”スカイパイロット”、”DRIVE”、”横浜ベイ”、”海辺のワインディングロード”なんかは夏ですよね、
”山のふもと”がはいってはいますけど(笑) 「 NAUGHTY BOY」 なんかも夏っぽいですしね。
「MARVY」も夏の曲多いですよ。 ”ありふれた出来事PART2”、”空が泣き出したら”、
”SHRLTER OF LOVE”なんかそうですよね。 そう考えると、”夢中にさせて”も夏の曲っぽくあり
ません?
n:夢中に季節は感じませんでしたね。ま、アルバム全体的に夏!って感じですね。
それとは打って変わって「Baby A Go Go」は冬ですね。
m:全体を流れる寂しげな空気が、季節としてよりもRCの冬って感じさせますよね。”冬の寒い夜”、
”忠実な犬”もありますしね。 ところで、”空がまた暗くなる”も冬の曲だと思います?
n:決定的な箇所はありませんが、冬を感じます。アルバム全体のトーンから来てるのだと思いますが。
m;こうして話してみるとこんなことがいえそうですね。まず、フォーク時代は冬。「Blue」〜 「O.K」の
いわゆる絶頂期は夏。独立のひともんちゃくがあった後の「FEEL SO BAD」は秋。
その後、「ハートのエース」〜「MARVY」は夏。そして考えてみると「COVERS」、「コブラの悩み」からは
それほど夏を感じ難くなりRCもスムーズに行かなくなる。最後に「Baby A Go Go」はまさに冬の
アルバムで、RCも休業。売れない時代が冬っぽくって、売れてる時のアルバムが夏、ラストアルバム
がまたもや冬なんておもしろいですね。解釈しすぎなのかもしれませんけどね。
n: RCは冬のイメージのアルバムありましたけど、それ以降はないですよね。例えば、「Razor Sharp」,
「Memphis」は夏かなと思いますし。ま、RC以外についてはまたの機会に話すとしましょうか。