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2002年7月某日。6月まで同じ職場だった人たちと打ち上げをする
ということで、浅草へ行った。飲み屋か焼肉屋だと思っていたが、
向かった先はなんとも珍しい「やきかつ」をメインにした店だった。
このやきかつは素材はとんかつとほぼ同じだが、揚げるのではなく、
鉄板で焼くのである。部長の紹介で来たが、ここでしか食べること
のできない、浅草でも知る人ぞ知る店らしい。
店に入ると、いかにも下町の食堂と言った雰囲気。
全員で10人だったので、2階の座敷へと案内された。
すると、そこは「探偵!ナイトスクープ」のパラダイスシリーズを
彷彿させる世界が広がっていた。
まず、階段を上ると、どんどん暗くなって行くのである。
そう、照明がついてなかったのである。足下はなにも見えないので、
手すりにつかまりながら、なんとか1段ずつ階段を上るしかない。
そして、ほぼ上りきった頃にやっと照明がついた。遅いわ!
階段に照明がついていなかったのだから、もちろん座敷も真っ暗。
クーラーもついていなかったので、暑い暑い。汗が流れ出る。
壁にはヒョウの皮が飾られている。
すごいところに来てしまったと全員思ったことだろう。
少し落ち着いて、注文をすることにした。飲み物と特上やきかつを
10人前、サラダや焼豚など、おつまみをいくつか頼んだ。
しかし、注文を取るおばちゃんが不思議そうな顔をするのである。
やきかつは定食じゃなくて良いのか、サラダはどっちのサラダか、
焼き豚は多いのと少ないのがあるがどっちか、ビールとサワーの数
が聞き取れないなど、おばちゃんの顔は終始不安げだった。
なんとか注文を取り、そのおばちゃんがオーダーを通す時である。
厨房に通すと思いきや、奥で控えていたもっと理解力のなさそうな
おばあちゃんにオーダーを伝えたのである。
そこでまた、注文についてあれやこれや、どっちの焼豚か、などと
やりとりをしている。これこそまさに、ただの二度手間である。
数分後、料理がやってきた。しかし、おばちゃんはまだ不安げだ。
どうやら、料理をどこに置いたらいいかわからないらしい。
そんなもん、やきかつはまだ置かれてないとこで、サラダと焼豚は
だいたい等間隔の空いたスペース、飲み物は適当に置いてくれたら
こっちで勝手に回すのに。なんでそれがわからんのか。
何十年とこの店で働いているはずなのに。
客が来ないから対応を忘れているのか?
そして、極めつけはおばあちゃん。ビールを両手で3杯持ちながら、
「はい、サワーのお客様は?」
と聞いてきたのである。それ、ビールやんけ。
追加注文をするときも一苦労だった。ポタージュを2人前注文し、
「ポタージュのお客様は?」と聞かれたので、2人の席にスプーン
を置いてもらったのに、そのポタージュを持ってくるときに、また
「ポタージュのお客様は?」と聞かれたのである。
じゃあさっきのスプーン置いて行ったんは何やってん!
肝心のやきかつの味は、さすがに特上とだけあって美味しかった。
しかし、ポタージュはジャガイモを潰してお湯で割ったような味で、
ある意味、手作りだとすぐわかる料理だった。
課長曰く、
「電話で予約を入れようとしたときに『客はそんなに入らないから
大丈夫ですよ』と言われ、イヤな予感はした。」
課長代理曰く、
「今日は忘れられない1日になりそうだ。」
私は、おごってもらえたので、オールOKで。
ここで一句。
浅草の 隠れた迷店 ここにあり
(おばちゃんなんとかして)