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 2002年10月某日。きょうは出向先の契約が最後の日ということで、
 荷物整理を終えてから社用ということにし、定時前に抜けだした。
 
 会社から約15分のビックカメラへ向かうべく、銀座を歩く。
 すると、銀座駅前で献血車が止まっていて、係員が拡声器で必死に
 「A型とO型の血液が不足しています。病院から連絡が入りまして、
  夕方4時までに100人分の血液が必要です。」と叫んでいた。
 
 そう言われると、心やさしい私は強力したくなる。ましてや、私の
 O型が不足しているではないか。献血すべきかどうか迷った。
 
 私は生まれてこの方、献血をしたことがない。採血した記憶もない。
 だから本当は、血液型がO型なのかどうかもわからない。
 ただ、両親が共にO型なので、O型のはずであるというだけの話だ。
 そのため、前々から念のために血液型を確認しておきたかったので、
 ここらでいっちょやっとくかという気が沸いた。
 
 それに、献血車に見向きもせず、まるで他人事のように通り過ぎて
 いく大人たちを見ていると、妙に苛立ちを覚えたからだ。
 しかし、次の情報を見た瞬間、迷いは吹き飛んだ。
 
 それは、採血量である。
 一度の献血で、なんと400mlもの血が抜き取られるらしい。
 400mlといえば、500mlのペットボトルの8割である。
 バカか。バカかと言いたい。
 
 私はもともと血に弱い。血を見ると、意識が遠のいてしまう。
 自動車教習所で、応急処置の講習を受けたときは、意識を失う寸前
 まで行った。それほど、血を見るのが苦手なのである。そんな私が
 400mlも血を抜かれるなんて、考えただけでも無理だとわかった。
 非売品の献血車トミカがもらえるなら話は別だが。
 
 私は善人になり損ねた。社会に貢献できなかった。無念。
 献血車を横切り、歩くこと約5分。有楽町ビックカメラに到着した。
 すると鬱陶しいことに、前日に日本一を決めた読売ジャイアンツの
 優勝セールが行われていた。
 
 入口で球団歌“闘魂込めて”がジャンジャン流れていて、
 店員みんなが巨人のハッピを着ている。アホらし。
 私がもしビックカメラの店員なら、絶対にハッピは着ない。
 クビだと言われても、断っているだろう。それほど巨人が大嫌いだ。
 あんなチーム、消えてなくなってしまえばいいのに。
 最低限、ナベツネが死ねばいいのに。
 
 お目当てのトミカを買い、帰宅するために再び銀座駅へと向かうと、
 まだ献血車が止まっていた。
 「悪いが、やはり素通りさせてもらうぜ。」
 
 
 
 ここで一句。
 
  仕方ない 無理と言ったら 無理なのじゃ
 
                         (何と言われようと)