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 2001年 ベスト・アルバム10撰 (02/01/21)
 2001年は、色々とライヴに出掛けた年だった。
 TOM'S CABINという呼び屋さんが、2月にジェフ・マルダー、7月にマリア・マルダーの来日公演を実現してくれたし、フジロック・フェスではパティ・スミスとニール・ヤングをこの目に焼き付けた。
 5月のブルース・カーニバル、12月のパークタワー・ブルース・フェスにも行ったし、何より6月にはシカゴ・ブルース・フェスの観戦ツアーにも参加した。シカゴの夜のブルーズ・バーで観たジョン・プライマー、久し振りに無我夢中でステージにかぶりついた。
 他に観たライヴも、挙げていけば限がない。ライヴ観賞に関して振り返ると、充実した1年だったと思う。
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 では、アルバムはというと、「2001年はこれを聴きまくった!!」という印象の新譜は少ない。良く聴いたのは、前から持っていたものや、古いものばかりだ。
 2000年後半から2001年前半にかけては、ジェフ・マルダー関係を聴きまくった。と、そんなタイミングで来日が決定したから、狂喜したものです。つられて、マリア・マルダーを聴き倒し、ザ・バンドに惚れ直し、ポール・バターフィールドにも、久し振りにはまった。ポールに関しては、雑誌『ROCK JET』6号に特集記事も書いたほどだ。
 同時期に、ブライアン・セッツァーもたくさん聴いた。ストレイ・キャッツも聴き直した。僕はあのギターが好きだ。ライヴも良かったし、そのライヴがCDになったのも嬉しかった。
 つまり、僕の2001年前半はアメリカ色に染まっていたことになる。
 2001年の後半は、ソウルを良く聴いた。僕のフェイバリット・シンガーであるサム・クック、雑誌『ROCK JET』7号で特集したオーティス・レディング。年の瀬には、ストーンズの二人がアルバムを出したから、こちらも盛り上がった。2枚とも、良い。
 12月頃からは、何故かファンキーなブルーズを良く聴いた。一番のお気に入りは、スモーキー・ウィルソンの《ブローイン・スモーク》。それと、後期T−ボーン・ウォーカーの、例えば《ファンキー・タウン》。このブームは、2002年も継続しそうだ。
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☆邦楽新譜
アズミ《7》
ブルース・ライオン《X-01》
平山浩司《GO GATEWAY!!》
 アズミのCDはなかなか手に入らないけれど、ライヴに行けば必ず買える。この人のライヴは、何度行っても圧巻されるばかりで、言葉が出ない。音楽ジャンルの壁を打破し、どこまでギターと一体になれるかの挑戦が日々繰り返される。《7》はややトーンが暗めなのが気になるけれど、やはり素晴らしい内容である。
 “菊”こと柴山俊之が下山淳と組んだバンドが、ブルース・ライオン。何と言っても菊なのだ。力強いロックに、あのヴォーカル。独特の歌詞の世界と、頭の片隅にこびりつく歌声で、これからも日本のロックを死守して頂きたい。ロック初心者には聞かせられない、禁断の一品です。ロック常習者のみ、聞いて下さい。
 平山浩司の《GO GATEWAY!!》は、ご存知僕の友人が自主制作したCDだ。僕がライナーを書いたから、ここに挙げてしまおうと思う。そのライナーは当HPにアップされてるから、詳細はそちらをどうぞ。

☆邦楽発掘
憂歌団《Blues is A-Live》
 これは、76年の憂歌団のステージを収録した一品。Sleepy John Estes & Hammie Nixsonとのツアーである。偉人を迎えて前座を行う緊張感が程良いし、何より76年の憂歌団なのだから、良くない訳がない。前半がカバーで、後半はオリジナル中心の構成も、良い。憂歌団を代表する一枚として、《生聞59分》と並ぶ名作である。

☆洋楽新譜
ミック・ジャガー《ゴッデス・イン・ザ・ドア・アウェイ》
ロニー・ウッド《ノット・フォー・ビギナーズ》
ブライアン・セッツァー・オーケストラ《ジャンピン・イースト・オブ・ジャヴァ》
マリア・マルダー《リッチランド・ウーマン・ブルーズ》
 ミック&ロニーのソロ作は、「ストーンズの…」という枕詞から離れて聴きたい2枚だ。2枚とも、本人の資質が良く現れていると思う。これに関しては、多くは語りません。
 BSOのライヴ盤は、自分も観に行っていたステージの実況盤で、そのライヴが非常に楽しかったので、CDも買った。そしたら、それも凄い楽しかったので、DVDも買った。スタイルはSWINGやJUMPなのだけれど、中身はパンク・ロック。痛快なのである。グレッチ・ギター・プレゼントにも応募したのだけれど、どうやら当選しなかったようだ。
 2月にジェフを観れてホクホクしていたら、なんと元妻のマリアまで来日してしまった。新作《リッチランド・ウーマン・ブルーズ》のリリースに合わせたツアーとのことで、このCDを買った。あの頃に比べると、声は随分と太くなり、繊細さよりも逞しさが前面に出ているのだけれど、若い頃と違った味わいがある。本当に、逞しく生きてきたに違いない。

☆洋楽再発
ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット《ジェフ&エイモス》
 ジェフの来日公演を機に、いくつかのアルバムがCD化された。その中でも一番気に入っているのがこの《ジェフ&エイモス》である。時間がゆっくりと流れて行くこの感じあって、あのジェフの柔らかな歌声があれば、酒がぐいぐいと進んでしまう。他にもジェフ&エイモスの《ライヴ・イン・ジャパン》やソロの《ブルース・ボーイ》もCD化されたのだけれど、肝心のアルバムが2〜3枚ほど、まだ未CD化のままだ。どうにかして欲しい。

☆洋楽発掘
キンクス《BBCセッションズ》
 何と言っても、僕はレイの声に惚れている。スーパー・ファーリー・アニマルズという英国のロックバンドがいるのだけれど、僕がこの若手バンドを気に入っている理由は、その声がレイ・デイヴィスに似ているからなのだと、最近気がついた。僕は80年代のキンクスにも目がないのだけれど、ロックオペラに熱中していた70年代前半も、勿論好きだ。一番好きな曲は〈デイズ〉です。
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 と、新旧10枚、2001年にリリースされたCDを並べてみた。見事に、ブルーズの新譜がない。でも、聴いている量は、ロックやソウルよりも多いくらいだ。つまり、僕は現役ブルーズマンには然程の興味がないということなのだろう。ここ数年、随分と亡くなってしまったしね。
 最近気がついたのだけれど、僕は70年代のブルーズが好きだ。50年代モノと同じくらい、気に入っている。BBキングもこの時代のものが好きだし、僕がフェイバリットに掲げるジョニー・ギター・ワトソンの名作《エイント・ザット・ア・ビッチ》も70年代。ジョン・リトル・ジョンの《シカゴ・ブルーズ・オールスターズ》は68年だけど、オーティス・ラッシュの《ライト・プレイス・ロング・タイム》は71年だ。ロックやファンクがじわじわと忍び寄り、妖しさ倍増の70年代、そのいかがわしさが素敵じゃないか。
 2002年は、この辺をもう少し掘り下げてみたい。

 2002年ベスト・アルバム10撰 (03/01/14)
 2002年は、よくレコードを買った。ことの発端は、勿論、レコード・プレイヤーを買ったから、である。どうしても欲しい音源がちっともCD化されないことに業を煮やして、衝動買いをしてしまった。
 実家からも、置きっ放しになっていた多くのレコードを持って帰ってきた。ストーンズのブートレッグや、エコー&ザ・バニーメンも久しぶりに聞いた。あと、長渕剛もね。
 また、ずうずうしくも中村隆宏さんの家に遊びに行って、お土産にレコードを貰ったりもした。ピストルズの珍しいレコードやストーンズ、ウィルコ・ジョンスンなど、たくさん頂いてしまった。この場を借りて、お礼を申し上げます。
 それ以外に買ったレコードは、つまり僕がCD化を望んでいるものである。ジョニー・ギター・ワトスン、チャック・ベリー、ハイタイド・ハリス、ジューク+アップタイト、…。
 その他、まだレコードでも見つからないものもたくさんある。特にジェフ・マルダーとチャック・ベリー、サム・クックは、全アルバムのCD化を節に願います。誰か、お願いします。
 さて、レコードの話は置いておいて、ここでは2002年に発売になったCDについて、10枚選定してみよう。ストーンズの60年代もののデジタル・リマスターをいれると、10撰が全て埋まってしまうので、これは避けた。以下、順不同です。
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☆邦楽新譜
アズミ《Don't Cry〜slow songs》
 東京のレコード屋で探したのになかなか見つからなくて、私用で行った北九州で本人から買った、アズミさんの8枚目。と思ったら、この前吉祥寺のタワーレコードで売ってたけど。
 サブタイトルの「slow songs」とは、テンポの遅い曲、と言う意味のほかにも、「slow foods」ともかけているのだろう、素材の味を大事にした演奏だ。オリジナル曲にもカバー曲にも、僕が理想とする「唱」である。リトル・ミルトンの〈会員制〉のカバーに、涙。

吾妻光良&ザ・スウィングン・バッパーズ《Squeezin' & Blowin'》
 2002年の前半は、このCDをよく聴いた。このご機嫌な音楽の存在を知らない人は、少しかわいそうだと思う。〈俺のカツ丼〉は名曲だ。一番好きなのは、〈ワイノニーを聴きながら〉。
 これに釣られて、30's〜40'sのジャンプ・ブルーズもよく聴いた。ワイノニー・ハリスなんて、4枚組みのBOXセットまで購入してしまった。それだけの魅力のあるアルバムである。

仲井戸“チャボ”麗市《Time》
 今までのアルバムに比べると、リラックスした雰囲気が心地よい傑作だ。良い意味で、シングルB面集+αのような印象を受けた。肩の力が抜けているけど、やりたいことをやった感じが、非常に良いバランスで噛み合っている。演奏家としての僕の、目標である。

金田“デルタ”正人《Quiet Eagle》
 戦前デルタ・ブルーズを弾き語りスタイルで21世紀に伝える青年の初アルバム。酒場で聴くコンセプトで録音されたとおり、是非とも呑みながら聴いて頂きたい。音質が悪いのが玉に瑕だけれど、これは機材とエンジニア(僕です)のせいです。でも、楽しかった!

☆洋楽新譜
ローリング・ストーンズ《Forty Licks》
 有無を言わせぬ選曲よりも、60年代ものの音質に愕然とした。特に、チェス・スタジオで録った《12×5》収録作品は、初めて本当のチェス・サウンドを身に纏っての登場だ。他のアルバムの曲も、今まで奥にいたアコースティック・ギターや打楽器の音が、バランスを崩さずに前面に出てきた。僕は懲りずに、ストーンズ・マジックに魅了されてしまった。ただただ、素晴らしい。

スヌークス・イーグリン《The Way It Is》
 現役のブルーズマンで、最も刺激的な活躍を続ける偉人の最新作が、ついに到着した。特に前作からの路線変更はないが、それでも十分に奇抜で、そして味わい深い。抜群の演奏力と絶品の表現力が、これほどまでに共存している音楽が、他にあるだろうか。来日公演の感動を、もう一度味わいたいと、切に願います。

W.C.クラーク《From Austin With Soul》
 「From Austin」って台詞に、僕は弱い。それだけで、惚れてしまう。勿論、中身も抜群だった。冒頭の4曲の流れ、これが現在のブルーズだ! 今後のブルーズ界を背負って欲しい人材である。

アイヴァン・ネヴィル《Saturday Morning Music》
 ニュー・オーリンズのネヴィル一家の一員、と言うよりは、僕にとってはキース・リチャーズ&ザ・エクスペンシィブ・ワイノーズのキーボード担当である。僕は、ストーンズ馬鹿だかんね。勿論、キースやワディ・ワクテル、スティーブ・ジョーダンの参加が本作の購入の後押しをしたのだけれど、収穫はそれ以上だった。クールなファンクの魂、ここにあり。

☆洋楽再発
サム・クック《Keep Movin' On》
 これが発売されたのは2001年みたいだけれど、僕が買ったのは2002年だったので、あえてここに挙げたい。大好きな〈Good Times〉から、「I was born by the river,…」の歌い出しから鳥肌必須の〈A Change Is Gonna Come〉まで、63〜64年の晩年の傑作が、やっとCD化された。本当に本当に、サムの歌は素晴らしい。心が洗われるってのは、こういう歌だ。

ジム・クウェスキン&ザ・ジャグ・バンド《See Reverse Side For Title》
 主役のジム・クウェスキンも大好きだけれど、僕のお目当ては、ジェフ・マルダーとマリア・マルダー。マリアの歌う名曲〈Richland Woman〉が収録されている、バンド後期のオリジナル・アルバムの復刻だ。ごきげんだね、こりゃ。
 今年は、ジャンプ・ブルーズと共に、ジャグ/フォークにもはまった一年だった。ジムのソロ1作目《Jump For Joy》もCD化されて、こちらも傑作。僕は時代に逆行してるんだろうか、と思ったけど、どうやら世間ではアコースティック・スウィングが流行していて、その一環でジム・クウェスキン&ザ・ジャグ・バンドもブームらしい。うん、良いことだね、これは。
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 こうして並べてみると、CD購入に関しては、2002年は充実した1年だったようだ。本文にもあるように、ジャンプ・ブルーズとジャグ/フォークには、随分とのめり込んだ。でも、何と言ってもストーンズの《Forty Licks》に尽きる。ストーンズの素晴らしさを再認識した一年だった。
 自分の趣味の全開具合が、毎年毎年増大していく。ちょっと、マニアックな感じがしないでもない。このままで良いんだろうか。多分、良いんだろうと思う。

 2004年ベスト・アルバム10撰 (05/02/14)
 2004年に発売されたレコードで、10枚、良かったものを列挙します。豊作ではなかったけれど、上質な作品に恵まれました。おまけで、ベスト・ライヴ5本も。

★洋楽新譜
BOBBY CHARLES《Last Train to Memphis》
米国ソングライター兼歌手で、ジェフ・マルダー、ダン・ペン、そしてボビー・チャールズは僕のアイドルです。本作は近年の未発表曲集ですが、新作みたいなものです。ニュー・オーリンズ・スワンプR&Bとでも言うのでしょうか、高校生の頃には見向きもしなかった音楽が、この数年、僕のど真ん中なのです。

CALROS JOHNSON《IN AND OUT》
初夏に日比谷野音で観たオーティス・ラッシュのライヴで、体調不良のオーティスを盛り立てた男の中の男、カルロス。僕は心底、惚れました。凄い凄いとは聞いていたけれど、これほどまでのブルースマンが存在していたなんて、うれしい驚きです。そして、初ソロ・アルバムが届きました。初夏のステージでのカルロスは、オーティスの舞台だったこともあってクラシカルなブルースを演奏していましたが、本作はぐっとモダンで音作りです。〈Key To The Highway〉も、現代的に様変わりで、これが堪らなくブルースなのです。これからもコンスタントにアルバムを制作してくれることを期待します。

ROLLING STONES《LIVE LICKS》
ミックスに賛否両論あったようですが、僕は圧倒的に支持します。キースの「ジャカジャーン」の美しさに、ドキドキしました。ここ10年のライヴ・アルバムで、群を抜いています。もしかしたら、「ライヴ・アルバム」としてとらえることが、まず違うのかも知れません。様々な側面を持つストーンズですが、今回は「ライヴテイクを利用し、ハードなギターを前面に打ち出した企画アルバム」を楽しませてくれました。

Eric Bibb/Rory Block/Maria Mulder《Sister Brothers》
マリア・マルダーの参加があったら買ったのですが、初めて聴いたエリック・ビブも、素晴らしいシンガーでした。アコースティック・サウンドと、安定した3人の歌が、心地よし。王道マリアなソロ作《Love Wants To Dance》も、ジャジーでブルージーでセクシー、僕は大ファンです。

COUNTRY SOUL REVIEW《TESTIFYING》
僕のアイドル、ダン・ペンがプロデュースをして、アメリカ南部の白人R&Bシンガーが終結した、企画アルバムです。とても21世紀とは思えない、泥臭い世界。ダン・ペンが歌ったのは1曲だけですが、新録がきけるだけでも幸せです。勿論、《Do Right Man》路線の、大人のソウルです。


★洋楽発掘
Hound Dog Taylor《Release The Hound》
これには吃驚しました。死後30年が経って、こんなレコードが出るなんて、誰が想像したでしょう。素晴らしい音質で、生々しい演奏。強力に猥雑です。Hound Dog Taylorの決定版と言っても大袈裟ではない。これこそがブルースだ!、と声を大にして言いたい。

LEON REDBONE《LIVE KICKIN'》
新譜かと思って買ったら、80年前後の音源でした。戦前のブルースやフォークにこだわり続ける変人ですが、音楽に対する姿勢は愛情だけでなく、ちゃんと味もあります。夜中に焼酎をちびちびやる時なんかには、最適です。

★邦楽新譜
麗蘭《SOSが鳴っている》
仲井戸”チャボ”麗市と、土屋”蘭丸”公平によるユニットの、13年振りの新作。二人ともベテランで、定期的にライヴをしているから、安定感があります。チャボさんの語りと公平さんの歌による〈WORDS〉は、名曲です。公平さんの歌は、こういう風に聴かせると、魅力倍増ですね。本作を聴いて確信しましたが、僕は死ぬまで仲井戸”チャボ”麗市さんのファンを続けると思います。

有山じゅんじ《Thinkin' of You》
弾き語りを含む、アコースティック・ギターで作った新作です。ギターも驚異的ですが、僕は有山さんの歌が大好きなのです。酒呑んで、あんなふうに歌えれば、本望ですね。

UN《KNEW BUT DID NOT KNOW》
僕が最も敬愛するドラマー、坂田"鬼平"紳一さんが、元ルースターズの大江慎也さんと結成した福岡発のロックバンドです。2004年は、鬼平さんと知り合えたこと、語り合えたことは、最も素晴らしい出来事でした。新宿LOFTでの企画ライヴで、サンハウスの一時的な再結成も観ることが出来たのも、格別の出来事でした。本作は、15年ぶりの大江慎也復活作ですが、僕は彼の歌が好きです。ルースターズの頃も好きですが、UNの大江慎也もロックしてます。「衰えた」なんていうルースターズ・ファンもいるようですが、それは単に発声と表現スタイルが変わっただけであって、2004年に最もロックな歌を発信した一人だと思います。

★ベスト・ライヴ
THE WHO:ロックオデッセィ:7月
あの夏、あの日、ザ・フーのステージを目撃できたことを神様に感謝します。僕が短い人生の中で見てきたライヴの中で、指折りの素晴らしさでした。

OTIS RUSH CALROS JOHNSON:ブルースカーニバル:5月
カルロスの男気、これに尽きます。片足を軽く上げてカキーンとチョーキング、なぜ一音だけで涙がこぼれるのでしょう?

Geoff Muldaur's Jug Band Trio:4月
ジャグ・バンド・スタイルでの来日でした。全くミーハーではない僕が、会場限定のベスト盤にサインをもらいました。AZUMIさん以来のサインかな。

HARRY:12月
エレキ&アコースティックの弾き語りで、ソロとスライダースの曲をたっぷり演奏してくれました。かつて観たハリーの中でも、一番ぐっときたライヴでした。

UN:TATOO:2月
大江慎也は力一杯ロックしていました。鬼平さんのドラムスにも心底痺れました。あのドラムス、僕の最も好きなスタイルなのです。

 2005年ベスト・アルバム10撰 (06/01/11)
 2005年は、よくCDを買った。聴かず嫌いの有名盤を聴き直してみたくなって、プログレッシヴ・ロックからサザン・ロックまで、苦手だったロックを中心に、古典作品を漁った。本も一緒で、夏目漱石や佐藤春夫、谷崎潤一郎等、日本近代文学の古典的名作を読んだ。そんな年頃なんでしょうか。
 逆に、新譜はあまり聴かなかった気がする。デジタル・オーディオ・プレイヤーを買ったおかげで、同じアルバムを繰り返し聴いたのが、その要因だと思う。だから、気に入ったアルバムばかり聴いて、買っても「いまいちかな」と思ってしまったアルバムは、あまり出番がなかった。申し訳ない。以下、順不同です。
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☆邦楽新譜
忌野清志郎《GOD》
 清志郎が、乗っている。前作《KING》に続き、素晴らしいアルバムで、僕は嬉しい。ちょっとコミカルな〈KISS〉が、耳から離れない。

Becky Festival《くじらの詩》
 これは僕が参加しているR&Rバンドの初CDなので、製作の過程でよく聴いた。我ながら、よく出来たアルバムです。

龍之介《龍之介の詩 〜アンバランス・サーカス〜》
 これはすごいアルバムだ。全身全霊の唄。マイナーコードのロックンロール。2005年は仕事で何度も札幌に行ったのだけれど、なぜか新千歳空港〜すすきのまでの高速バスの車中で、このアルバムを聴きまくった。飛行機で北海道に到着すると、無性にこのアルバムが聴きたくなる。

ZiLiE:YA《NATURAL BORN BOOGIE》
 2004年に続き、2005年も福岡発ロックは僕の中心にあった。ギターが変わって、雰囲気も少し変わった。でも、主役はあくまで柴山"菊"俊之だ。ロックが絵になる男。

YAMAZEN《STAND UP》
 2004年発売のCDだけれど、2005年の前半に一番聴いたのは、このアルバムだった。山部善次郎には、ブギー&ソウルがよく似合う。

☆邦楽発掘
RCサクセション《ラプソディ・ネイキッド》
 まさかの完全版が出た。小川銀次のギターが消されていない。金子マリのゲスト・ヴォーカルも聴こえる。若き日の清志郎やチャボの演奏よりも、バンドの活きの良さに耳を奪われる。2005年の後半に一番聴いたのは、このアルバムだった。

☆洋楽新譜
Rolling Stones《A BIGGER BANG》
 何たって、ストーンズである。僕は〈Biggest Mistake〉が一番好きだ。ただ、16曲は少し多すぎる。あれとそれを削ればもっと良くなるのに…、何てことを、プロデューサー気分であれこれと考えたりして楽しんだ。
 アナログだと、どこからがB面で、どこからがC面で、どこでD面になるのか、すごく気になった。そういう聴き方を、どうしてもしてしまう。で、高松のバー「グランド・ファーザーズ」にLPが置いてあったので見せてもらったら、何のことはない、4曲ずつ片面に収まっていた。その並びで良いのだろうか、何てことをプロデューサー気分で考えている。

Greg Trooper《Take It Through This World》
 この人は、初めて聴いた。もう6枚目らしい。Dan Pennがプロデュースをしていて、そこから辿り着いた。最初は佳作くらいに思っていたのが、だんだんハマってしまって、秋頃は毎日聴いていた気がする。21世紀のカントリー・ソウルの妙味。

Al Kooper《Black Coffee》
 何と、30年振りだそうだ。これも、Dan Pennとの共作が収録されていて、そこから辿り着いた。この渋さは、今の僕にはストライクだ。

The Reverend Al Green《Everything's OK》
 Blue Noteからの復活2作目。CCCDしか売っていなくて、通常盤を探すのに手間取ったから、ハイ・サウンドに包まれた甘い声が一際染み入った。ソウルは死なず。

☆洋楽再発
Don Covay《Super Dude》
 73年発売の、汗まみれのソウル・アルバム。やっと、再発。

Wendy Waldman《Love Has Got Me》
 73年のソロ・デビュー作。フォークとジャズとブルースのブレンド具合が、実に自然で良い。同世代のマリア・マルダーが心酔したのも、分かる気がする。こういう天然の人が、羨ましい。

☆洋楽発掘
Johhny Guitar Watson《The Funk Anthology》
 70年代以降の、ファンキー時代のベスト集。未発表5曲のために、2枚組を買ってしまった。紙ジャケットも凝った造りで、写真も満載なので、不満は言うまい。

Johhny Guitar Watson《LIVE!》
 90年代前半のライヴのようだ。90年のライヴもひっそりとCD化されたけれど、こちらの方が断然素晴らしい演奏をしている。このパキパキのギター、歌うキーボード奏者との変態的なツイン・ヴォーカルなど、語り出せばきりがない。やはり、僕のフェイバリット・ミュージシャンの座は、当分は不動のようだ。
 また、同じ頃のライヴパフォーマンスもDVD化された。突然の死去からもうすぐ10年、徐々に再評価されてきているようで、僕は嬉しい。

Clarence Gatemouse Brown《1952-1954》
 ゲイトの死去は、2005年の最も残念な出来事だった。巨人がどんどん減っていく。こうした形で初期の音源がちゃんとCD化されたのは、喜ばしい。

Otis Rush《All Your Love I Miss Loving》
 鬼の形相のスクウィーズ・ギターに、びっくりした。76年のライヴ実況盤だ。こんな音源が眠っているなんて、罰当たりな。これこそが、正しきブルース・ギターだと思う。
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 何だかんだで、16枚を選んでしまった。なるほど、豊作の年だったような気もするけれど、発掘盤や再発盤が主役だった。だって、ブルースの新譜がエントリーされていないのだ。僕が買わなかっただけなんだろうけれど、ちょっぴり寂しい。2006年は、ちょっと「ブルースの新譜」を意識してみようと思う。ちなみに、エミネムも聴きましたが、やっぱり打ち込みが駄目でした。

 2006年ベスト・アルバム10撰 (07/01/18)
 2006年は、個人的には激動の一年でした。あまり新譜は買わなかったような気がしますが、買ったものはどれも素晴らしく、特にRay Daviesの復活にはうきうきしました。以下のアルバムは全て、ポータブル再生装置に常駐して、何度も繰り返し聴いたものばかりです。

○新譜
Ray Davies《Other People's Lives》
 何と言っても、2006年はこれでした。
 近年は、ポータブル再生装置を持ち歩くようになったので、外出時に音楽を聴く機会が増えたのですが、《Other People's Lives》は1年は通じて僕と共にありました。
 弟デイヴの病気でキンクスの活動が停止して久しいのですが、その間のレイの活動も満足の行くものではありませんでした。ところが、本作は素晴らしい。近年住み着いているニュー・オーリンズ流儀のR&B風味と、更には最近傾倒しているらしいソウル・ミュージック風味が、往年のレイ・デイヴィス節に磨きをかけています。ピカピカなのです。溌剌としたレイなのです。曲が良いし、歌が良い。間違いなく、僕にとっては、現時点で21世紀ロックンロールの最高傑作です。
 先行ミニアルバムの《Thanksgiving Day》も、収録曲がかぶっていなくて、絶品です。特に表題曲は、惚れ惚れする名曲です。死ぬまでに、こんな曲を作ってみたい…。
 僕は、好きなバンドNo.1はローリング・ストーンズで、歌手No.1はサム・クックなのですが、アーティストNo.1といえば、ずっと以前からレイ・デイヴィスなのです、実はね。

Maria Mulduar《Heart of Mine》
 企画ものが多い近年のマリアですが、これはばっちりです。エイモス・ギャレットを筆頭に、豪者が集まって奏でる落ち着いた演奏が、マリアの力の抜けた歌とベストマッチ。ディランの曲は、他の歌人が歌うと、その素晴らしさを再認識させられることが多いのですが、今回はまさにそれです。もちろん、歌手の技量がその前提になります。マリアは、ばっちりです。

Bob Dylan《Modern Times》
 米アップルのCM出演映像が、WEBで公開されていて、その映像を見たら飛び上がってしまって、レコード屋に走りました。シンプルな演奏、シンプルな歌。まさに、人間力。

忌野清志郎《夢助》
 喉頭癌発覚の前にナッシュビルで録音された、スティーヴ・クロッパー指揮による新作です。最初は、オーティス・レディングを意識しすぎて「骨太の歌声」過ぎるかな、と感じましたが、聴き進むにつれ、懐の深さに感服しました。キヨシローは、音楽を楽しむ天才です。21世紀のソウル・ミュージックで、僕はこれが一番好きです。

吾妻光良 & The Swingin' Boppers《Seven & Bi-decade》
 とにかく、楽しいレコードです。ラップにも挑戦、ダサ過ぎて、一周回って渋い! 今回は、吾妻さんのギターが前面に押し出されていて、その汚い音色に心躍ります。実は、ビッグバンドを組むのは、僕の夢なのです。

AZUMI《Happy Tuesday》
 前2作はフリージャズとの融合を試みた試行錯誤の作品で、その混沌とした「過程」を楽しめるものでしたが、本作はその過程を経た「成果」です。アヴァンギャルドが、持ち前のフォークソングやブルースのフィーリングとうまく溶け込み、またしても新境地を切り開きました。前人未到のジャパニーズ・ブルースです。

YAMAZEN《GIFT》
 前作も繰り返し聴きましたが、今作も、相当聴きこみそうです。最初は、作曲やアレンジの指針にした有名曲が頭をよぎりますが、すぐに山部善次郎の世界に惹き込まれていきます。ここまでムードを持った歌手は、そうざらにはいません。
 そして、本作から、ドラムスが坂田紳一さんに代わっています。元サンハウスの鬼平さんです。まったく、素晴らしい太鼓!

○再発
Lou Rawls《Black and Blue/Tobacco Road》
 ゴスペル、R&B、ジャズと遍歴を重ねたルー・ロウルズの、60年代のブルース時代の2in1。T-ボーン・ウォーカーとチャールズ・ブラウンとサム・クックを足して割ったような、分かり易いジャンプ・ブルース集です。部屋でボーっとするとき、よく聴きました。

Clarence 'Gatemouth' Brown《Bogaloosa Boogie Man》
 こんなアルバムあったんですね、という快挙の初CD化。これで、ゲイトの全貌が明らかになりました。ケイジャンやカントリーなのに、めっさファンキー。かなりの異色作ですね。ボーナストラックの弾き語りブルースにも痺れました。

Lightnin' Hopkins 《Lightnin' and the Blues》
 デジタルリマスター版が、紙ジャケで再登場しました。改めて、ライトニンの天然炸裂に脱帽。エレキのダーティ・ライトニン、ジャンプ・ブルースにも通じる破天荒なフレーズが満載です。この人には、勝てません。

○発掘
Johnny "Guitar" Watson 《1952-1955》
 ついに最初期の音源がCD化されました。僕はただただ、正座をして聴くまでです。師匠ですから。

Dr.Feelgood《Down By The Jetty(Deluxe Edition)》
 ボーナストラックも、2枚目の擬似ステレオ版も良いですが、正規版のデジタル・リマスターが素晴らしい出来栄えでした。

 2007年ベスト・アルバム10撰 (12/02/24)
◎洋楽新譜
Ray Davies《Working Man's Cafe》
昨年に続きひっそりと発表された、2枚目のソロ・アルバムです。山本的2007年レコード大賞受賞作は、これです。最初は掴み所がないのですが、聴き込むに連れて、じわじわきます。そして、猿のように聴き続けてしまう。特に、ミディアム・テンポの楽曲では、レイ・デイヴィス節としか言いようがないメロディが随所で顔を出します。
60年代のパイ時代のような一風変わったキンキーもの、70年代後半から80年代前半に得意とした〈Don't Foget To Dance〉や〈Come Dancing〉のようなポップス、90年代の《フォビア》以降の無骨なロックと、レイの40年以上にも及ぶキャリアを凝縮したかのような印象も受けますが、もちろんそれだけでなく、近年のニュー・オーリーンズ半分移住に端を発したR&B路線の新機軸と相まって、これぞ21世紀型のレイ・デイヴィスなのです。
バンド・メンバーは録音用に集めたようですが、レイの弾くアコースティック・ギターにより、バンド・マジックも生まれています。特に、ベースは気が利いています。歌も良い。80〜90年代に散見された強引さのない自然体で、歌詞も非常に味わい深い。懲りすぎていないアレンジもよし。なぜそこを強調?、というところでレイの気の抜けた多重コーラスが入っていたりして、にやりとさせられます。
キンクスの初代ドラマー、ミック・エイヴォリーが1曲参加しているのも、キンクス・ファンにとっては胸躍る出来事。僕は、表題曲の〈Working Man's Cafe〉と〈In A Moment〉が好きです。

Nick Lowe《At My Age》
一言で言えば、カントリー・ソウルです。ニックの渋々路線は、遂にここまで来ました。
貴方がダン・ペンを好きなら、本作も好きになるでしょう。僕はダン・ペンが大好きなので、本作も大好きです。力みのない暖かな歌、小粋なソウル・アレンジ。僕が今、自分で歌いたい歌は、こんな歌です。
心地よいミディアム・テンポが並んでいるのに、各曲がやけに短いのも、潔くて素敵です。レイ・デイヴィスのセカンド・ソロが出なければ、これが2007年レコード大賞だったかな。

Jeff Beck《Official Bootleg USA '06》
このライヴがジェフの最高潮の瞬間を捉えているかと言えば、そうではないと思います。前作のライヴのほうが、演奏も優れているかもしれません。でも、本作特有の人間臭さがどうにも好きになってしまい、2007年の前半は繰り返しこのアルバムを聴きました。
ジェフの演奏には、彼にしか再現できない世界があります。僕はその世界がとても好きなのです。

Carlos Johnson《Live at the B.L.U.E.S. on Halsted》
待望のライヴ盤です。スタジオ作では実験的なことにもチャレンジしていましたが、やはりライヴではオーソドックスな演奏になり、ブルーズマンとしての器量が試されます。本作の演奏そこが、彼のベーシックな部分なのでしょう。この爆発力、瞬発力、会場の空気の読み方と変え方、只者ではありません。
こういう、濃いディープ・ブルーズをライヴで演奏できるブルーズマンは、今では希少です。カルロスは、その最右翼です。来日公演も素晴らしかった。

◎洋楽発掘
Johnny "Guitar" Watson《Untouchable! The Classic 1959-1966 Recordings》
これは、僕にとっては事件でした。マイナー・レーベルに残された数曲が、初CD化です。キング録音は今まで様々な形でCD化されてきましたが、デジタル・リマスターで印象が変わった曲もありました。
60年代前半といえば、ファンク突入前夜の、ジョニーの全盛期のR&B/ブルーズが満載です。歌もギターも曲も、最高です。ブルーズ・バラード〈Cuttin' In〉の、あの節回し。ジャズを歌っても、ジョニー節。おしゃれな伴奏も一瞬にしてジョニー・ワールドに塗り替える破天荒なギター。もう、これ以上のものは、ありません!

Muddy Waters/Johnny Winter/James Cotton《Breakin’It Up, Breakin’It Down》
ジョニー・ウィンターの後押しで復活を果たした、77年のツアーの発掘音源です。昔は苦手だったジョニー・ウィンターの押しの強さ、あくの強さも、最近は妙に心地よく、このブルーズ汁が滴る濃厚ライヴも、実にフィットします。
マジック・サム、ハウンド・ドッグ・テイラー、オーティス・ラッシュ、ジュニア・ウェルズと、毎年1枚は掘り出し物ライヴが発掘される近年ですが、今年も収穫ありでした。

Led Zeppelin《永遠の詩(狂熱のライヴ)〜最強盤〜》
6曲の未発表音源を加えて、遂に完全版が発表されました。73年のライヴなので、悪いはずがない。既発表曲も、音質が格段に良くなって、更に別ミックスです(ミックスする素材から旧盤とは違うものあり)。
〈The Rain Song〉や〈The Ocean〉等、当時の最新作《聖なる館》収録曲の充実振りには驚愕です。ツェッペリンを鼻歌でふふんとやると、どうしてもギター・リフを口ずさんでしまうのは世の常ですが、《聖なる館》の曲は、意外とヴォーカル・ラインを口ずさみます。個人的な新発見です。ギター先行による曲作りではなく、バンド・メンバーの相乗効果で作られたのかな。だとしたら、これは素敵なことですね。

Mick Jagger《Very Best Of Mick Jagger》
ミックのソロ・キャリアの総決算です。
海賊盤を含めて、全て知っている曲ですが、〈Too Many Cooks〉が正規にリリースされたのは、事件でした。ジョン・レノンのプロデュースで、ギターがダニー・コーチマーとジェシ・エド・デイヴィス、オルガンにアル・クーパー、ベースはジャック・ブルース、ドラムスはジム・ケルトナー。普通、これだけの面子が揃うと失敗作になる気がしますが、ところがこれが、最高の出来栄えなのです。「白人の歌うソウル・ミュージックの最高峰」、これが僕の考えた〈Too Many Cooks〉のキャッチコピーです。
初回限定の付録DVDにはPVが収録されていて、80年代以降の時代を反映した映像が、なぜかちょっと恥ずかしかったです。屈託のない笑顔のジャケ写真、僕は好きです。

Lowell Fulson《In A Heavy Bag》
1970年発表の怪作が、ボーナストラックを加えて、オリジナル・ジャケットでCD化されました。
マッスル・ショールズ録音で、尚且つエディ・ヒントンがギターを弾いている(!)ので、カントリー・ソウル路線かと思ったら、意外にもブルース・ロックです。付け焼刃なサイケデリックで、エイト・ビートだったり、ワウワウやオルガンが縦横無尽に演奏をぶち壊していたりと、中途半端は拭えませんが、フルスンはハッスルしています。僕はこういう壊れたブルーズ、結構好きなのです。
もともと、ごつごつしたブルーズがフルスンの魅力なので、多少無茶をしても素材としてのフルスンの旨味は損なわないのでしょう。もちろん、ストレートなブルーズは流石の出来栄えだし、何より全編通して歌が良い。何より、ジャケが素敵!

◎邦楽新譜
麗蘭《1+1》
仲井戸チャボ麗市と土屋公平、二人の歌とギターでオリジナル日本語ブルーズを奏でています。二人の演奏以外には、打ち込みの打楽器等が味付け程度に入っただけの、シンプルな音楽です。
日本語でブルーズを演奏するのは、センスが必要です。歌詞、メロディ、コード進行でチャボさんのセンスが光ります。

龍之介《或る夜の龍之介 〜アンバランスサーカス楽団〜》
実に素晴らしかったスタジオ作《龍之介の詩 〜アンバランスサーカス〜》に続き、待望のライヴ盤です。スタジオ作は「ひりひりする緊張感」でしたが、ライヴは「ほとばしる情熱」です。非常にクリアに録音されていて、でも臨場感もあり、「ほとばしる情熱」がそのままパッケージされています。
ライヴでは聴き慣れたアルバム未発表曲も多数収録されているのも嬉しいですね。


『ベスト・ライヴ』
Carlos Johnson(渋谷「O-nest」:3月)
燃えた!ギターを弾きながら会場を練り歩くカルロス、私の目の前で立ち止まって熱演してくれました。久しぶりに、我を忘れて熱狂しました。

Amos Garrett(中目黒「楽屋」:6月)
痺れた!手元を覗き込んでかぶりつきで観ましたが、どうやって弾いているのか、さっぱり…。ドリーミーな超絶ギターもですが、低音ヴォイスの歌にも痺れました。

ジャパン・ブルース&ソウル・カーニバル(日比谷野外音楽堂:7月)
[Koko Taylor/Lurrie Bell/吾妻光良 & The Swinging Boppers/長見順]
ココは凄かった! あんなふうに年齢を重ねられたら、素敵です。

永井“ホトケ”隆(吉祥寺「Bessie Cafe」:8月)
本格的にギターをはじめた永井さんのステージを観るのは初めてでした。そのギターは、…僕にそっくりでした!Y.S.B.B.でもウェストロードは何曲かコピーしてきましたが、改めてファンになりました。

吾妻光良 & The Swinging Boppers(鶯谷「東京キネマ倶楽部」:9月)
我らが松竹谷清さんが、スペシャルゲスト。会場の音響の素晴らしさも手伝い、ダイナミックなビック・バンドの魅力全開でした。

三文オペラ(三軒茶屋「世田谷パブリックシアター」:11月)
[吉田栄作/ROLLY/篠原ともえ/他]
ミュージカルです。爽やかな悪党を見事に演じた吉田栄作、そして唯一無比のROLLY、舞台って楽しいんですね!これからは、舞台にも出かけてみようと思います。

2007年は、後半収穫が多かったです。2008年は、忌野さんに期待です!
 2008年ベスト・アルバム10撰 (12/02/24)
何となく恒例で、2008年の成果物を列記してみます。
外国人のブルーズの新譜は、大ヒットなし。日本人が頑張ってます。選択基準は、僕が2008年にたくさん聴いたかどうかです。あしからず。

◎新譜[ブルーズ/R&B]
コージー大内《角打ブルース》
Irma Thomas《Simply Grand》
Eli"Paperboy"Reed & The True Loves《Roll with You》
AZUMI《ALBUM》
ブルーズ・ザ・ブッチャー《スプーンフル》
Clarence Dobbins《The Uprising》
V.A.《Dialtone All-Stars LIVE!》

◎新譜[ロック/スワンプ/S.S.W.]
Donnie Fritts《One Foot In The Groove》
Dan Penn《Junkyard Junky》
Rolling Stones《Shine a Light》
Bobby Charles《Homemade Songs》
Al Cooper《White Chocolate》
宮島信二《Faith》
仲井戸麗市《ポエトリー》

◎発掘
サンハウス《ハウス・ストンプ》
V.A.《London R&B Sessions》


コージーは、自分がライナーを書いたこともあり思い入れがありますが、でもこれは、日本のブルーズ界にとって、事件でした。IrmaさんとDonnieさんは、繰り返し聴きました。前者はピアノ伴奏をフィーチュアして歌をじっくり聴かせた傑作。後者はダン・ペンのプロデュースで鉄壁の布陣による11年振りの新作。落ち着いていて、味わいがあって、きりっとしている音楽が、最近は好きです。Danさんも、チープなつくりの曲がたまに出てきますが、本領発揮の黄金のメロディを満喫しました。そろそろ、お金をかけて大作をお願いします。

Eli(イーライ)君は、まるで60年代中盤にタイプトリップしたかのような、汗の飛び散る熱血ソウル。爽やかなくらいに潔くて、二重丸です。

AZUMIさんは、「歌」を重視して、ギターは超絶なのに、凄くシンプル。僕にとっては、理想的なソロ歌ウタイです。ブルーズ・ザ・ブッチャーは、ホトケさんの歌とギターにとっても歌心がある。本人に言うと照れますが、ギター弾きとしてのホトケさんも、素敵です。

Stonesは、CDで聴くと大傑作の一歩手前でしたが、映画は最高でした。最高の最高でした。Alさんは、前作は大人のスワンプで大作でしたが、今作は適度にチープで、聴き込むほどに味が出ます。

発掘ものは、ずるいので、辛目に採点しました。《London R&B Sessions》は、70年代末から80年代初頭のパブ・ロック・ライヴ集で、凄い熱気。これこそをR&Bと呼びたい! サンハウスは、坂田"鬼平"紳一さん加入直後の、メジャー・デビュー前(74年)のライヴ。こちらも、凄い熱気。心地よく揺れるビートに飲み込まれます。
 2009年ベスト・アルバム10撰 (12/02/24)
何となく恒例で、2009年の成果物を列記してみます。
星がついているものは、僕が2009年に特にたくさん聴いたものです。あくまでも内容の良し悪しではなく、僕のバイオリズムとの一致の度合いの問題です。全て文句なしの傑作ですので、あしからず。

◎新譜[ブルーズ/R&B]
★Robert Cray Band 《This Time》
Memphis Gold 《Gator Gon'bitechn!》
Rod Stewart 《Soulbook》
★ブルーズ・ザ・ブッチャー 《モージョ・ブギ》
町田謙介 《フューチャー・ブルース》

◎新譜[ロック/スワンプ/S.S.W.]
★The Derek Trucks Band 《Already Free》
Ramblin' Jack Elliott 《A Stranger Here》
Bob Dylan 《Together Through Life》
Ray Davies 《The Kinks Choral Collection》
Jeff Lang 《Chimeradour》
Jeff Lang 《Engines Moan》
ローリー・クック 《It's a Beautiful Day》

◎発掘
★Roy Lee Johnson 《When A Guitar Plays The Blues》
The Rolling Stones 《Get Yer Ya-Ya's Out!<40周年記念デラックス・エディション>》
Otis Rush 《Chicago Blues Fes 2001》
Eddie Taylor《Live in Japan 1977 特別拡大版》
Eddie Hinton 《Very Extremely Dangerous》
Barry Goldberg 《Barry Goldberg》

◎映像
★The Rolling Stones 『Shain a Light』
★Jeff Beck『Live at Ronnie Scott's Club』
Buddy Guy 『At Glastonbury』
吾妻光良&Swingin' Boppers 『Stage & Backdoor』


2009年の後半は、ロバート・クレイばかりを聴いていました。力を秘めながら燻っていたクレイが、遂に出した大傑作、計り知れない底力を感じました。飾り気のないジャケも、だんだん気に入ってきました。
ブルーズ・ザ・ブッチャーの最強のバンド・アンサンブルにも痺れました。今、日本で一番熱いブルーズマンは、ホトケさんだ! ムッシュかまやつとの競演アルバムも素敵でした。
マチケンこと、いや、ねずみ男こと(古い!)、町田謙介さんの久しぶりの新譜も、非常に聴き応えがある傑作でした。こちらは、ロックジェット誌でもアルバム評を書かせて頂きました。

2009年の前半は、デレク・トラックスばかり聴いていた気がします。ブルース&ソウル・レコーズ誌でのアルバム評でも、絶賛させて頂きました。新感覚の饒舌なスライド・ギターに、ずっぽりはまりました。
フォークの神様、ランブリン・ジャックが、20〜30年代のBluesを雰囲気たっぷりに歌った新譜にも驚きましたが、ディランがシカゴ流儀のバンド・ブルーズとカントリー・バラードの二刀流で攻めてきたのには、もっとびっくり。
我らがレイ・デイヴィスは、コーラス隊でキンクス・ナンバーを料理。素材がよいので、ちょっとした無理も何のその。あの声とあの楽曲があれば、僕は何も文句ありません!

発掘ものは、何と言ってもロイ・リーです。ロイ・リーさんは、このCDで初めて聴きました。こういうブツがまだまだ眠っているから、油断できない。
オーティスは、実際にシカゴで観たライヴなので、思い入れが有ります。非常に熱いステージがパッケージされています。大好きなエディ・テイラーの77年来日ライヴ盤の完全版も、嬉しいプレゼントでした。
マッスル・ショールズ・スタジオ・リズム隊を率いたドニー・フリッツの来日公演を観た後に、新宿のディスク・ユニオンで見つけた、エディ・ヒントンとバリー・ゴールドバーグの両雄は、僕のマッスル・ショールズ熱を更に煽りました。白人による70年代最高峰のサザン・ソウルの2枚です。

映像関係は、何と言っても、ストーンズの映画です。
ジェフ・ベックも、2月の来日公演で異常に盛り上がってしまい、春先は酒が入っていて時間がある時はいつもDVDプレイヤーにセットしていました。

 2010年ベスト・アルバム10撰 (12/02/24)
2010年は、ブルースを聴きまくった一年でした。こう言っては何ですが、2年前に単行本『ブルーズを蹴飛ばせ!』を出版した際に、ブルースを聴く必要に追われて、その後軽い拒否反応があったんですが、それも昔の話。
昨年は年始から年末まで、個人的に色々有り、そんな僕にはブルースがフィットしたようです。
ということで、今年も個人的ベスト作品を列記してみます。

星がついているものは、僕が2010年に特にたくさん聴いたものです。あくまでも内容の良し悪しではなく、僕のバイオリズムとの一致の度合いの問題です。全て文句なしの傑作ですので、あしからず。

◎新譜[ブルーズ/R&B]
 Buddy Guy『Living Proof』
★Solomon Burke『Nothing's Impossible』
★Robert Cray『Coockin in Mobile』
 Mannish Boys『Shake For Me』
 John Legend & The Roots『Wake Up!』
 Axel Zwingenberger, Ben Waters, Charlie Watts『The Magic of Boogie Woogie』
 Coco Montoya『I Want It All Back』
★近藤房之助『1968』
 ドリンキン・ホッピーズ『Domestic Jump Blues!!』

◎新譜[ロック/スワンプ/S.S.W.]
 Ray Davies『See My Friends』
 Jenni Mulduar『Dearest Darlin'』
★龍之介『御伽奏子』
★トータス松本『マイウェイ ハイウェイ』

◎発掘
★Spencer Wiggins『Feed The Flame』
 Junior Wells『Live in Boston 1966』
 Robert Cray『Authorized Bootleg: Austin Texas 5/25/87』
★Rolling Stones『メインストリートのならず者』
★Bruce Springsteen『闇夜に吠える街〜デラックスBoxSet〜』(Box Set)
 Ron Davies『I Don't Believe It』
★忌野清志郎『Baby#1』
★サンハウス『THE CLASSICS/SONHOUSE〜35th anniversary〜』(Box Set)

◎映像
★Rolling Stones『Ladies and Gentlemen』
 Johnny Winter『熱狂の80年代』

絵に描いたように、王道が並んでいます。 1年を通じて聴き続けたのは、龍之介とRolling Stonesでした。キヨシローの発掘作品は、聴く前は没後すぐにお蔵出しすることの是非を考えさせられましたが、内容がとっても素晴らしかったので、すぐに出してくれてありがとうと言いたい。ブルースはRobert Crayさんに、ソウルはSolomon Burkeさんにはまりっぱなし。Bruceさんのボックス・セットは、ストイックすぎるBossの姿に肝を冷やしたドキュメンタリーと、秀逸すぎる未発表曲集に目からウロコでした。
それにしても、「2010年にストーンズ、ソロモン、清志郎、サンハウスに熱狂する」だなんて、時代の概念が崩壊しそうです。


観に行ったライヴの抜粋は、以下の通り。ダンさんとジェフさん! 最高でした。そして、還暦を迎えた鬼平さんも意欲的に活動され、そのドラミングに魅了され続けた一年でした。

1月:Blues & Soul Showdown(ジョニー・ロウルズ、フラミンゴス)@品川よしもとプリンスシアター
4月:きたやまおさむ(w/鬼平)@芝公園メルパルクホール
4月:龍之介(w/アンバランス楽団)@下北沢ガーデン
5月:サンハウス@恵比寿リキッドルーム
5月:JAPAN BLUES & SOUL CARNIVAL(Solomon Burke)@日比谷野音
8月:Dan Penn & Bobby Emmons@ビルボード東京
9月:龍之介@下北沢LOFT
10月:Geoff Muldaur & Amos Garrett @渋谷クラブクアトロ
10月:仲井戸"チャボ"麗市@渋谷AX
11月:大江戸鬼平祭(w/日本中の骨太ロッカー達)@新宿LOFT
11月:龍之介(w/畠中文子)@下北沢LOFT

 連載【ブルーズを蹴飛ばせ!】の記録 (12/02/24)
音楽雑誌『ロックジェット』(シンコーミュージック)に連載していた【ブルーズを蹴飛ばせ!】は、2007年12月に発売された第30回で、無事終了しました。

どんな順番で誰を取り上げるか、気を使ったりもしました。あまり地味な人が続くといけないから、例えば第19回でアルバート・キング、第25回でハウリン・ウルフ、第30回でB.B.キングを取り上げたり。

読んでいただいている方には、「次は××の記事にしてよ!」とか、「もう××は書いたんだっけ?」とかリクエストを貰ったりもしました。ありがとうございました。
「××は何号で書いたの?」と聞かれることもあったので、ここに記したいと思います。


第1回「ブルーズの顔役、マディ・ウォーターズ」
第2回「テキサス・ブルーズの奇人、ジョニー・ギター・ワトスン」
第3回「英国ロッカーを魅了したハーピスト、サニー・ボーイ・ウィリアムスンII」
第4回「ブギーの王様、ジョン・リー・フッカー」
第5回「ローリング・ストーンズが愛したブルーズ/R&Bの偉人達20撰」
第6回「白肌のハーモニカ魔術師、ポール・バターフィールド」
第7回「ソウルの貴公子、オーティス・レディング」
第8回「ディープ・ブルーズの継承者、オーティス・ラッシュ」
第9回「不屈のブルーズ・ギター・マスター、T−ボーン・ウォーカー」
第10回「シカゴ随一のハーモニカ達人、リトル・ウォルター」
第11回「ニュー・オーリンズの人間ジュークボックス、スヌークス・イーグリン」
第12回「元祖ブルーズ兄弟、ジミー・リード&エディ・テイラー」
第13回「王道のど真ん中、デルタ・ブルーズ」(チャーリー・パットン、ウィリー・ブラウン、サン・ハウス、ロバート・ジョンスン、ブッカ・ホワイト、トミー・ジョンスン)
第14回「時空を超えた粋人、ジェフ・マルダー」
第15回「欧州ブルーズ種蒔きツアー、アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバル」
第16回「スライド・ギターの猛犬、ハウンド・ドッグ・テイラー」
第17回「前進し続けるブルーズ・ギター・マスター、ロバート・ロックウッド・ジュニア」
第18回「黒人大衆音楽の伝道コンビ、ブルース・ブラザーズ」
第19回「ミスター・ブルーズ・パワー、アルバート・キング」
第20回「シカゴ・ブルーズの総本山、ジミー・ロジャーズ」
第21回「希代の白人ソウルマン、ダン・ペン」
第22回「ニュー・オーリンズの風雲児、ギター・スリム」
第23回「芸人の宝庫、戦前メンフィス・ブルーズ」(フランク・ストークス、ジム・ジャクスン、ファリー・ルイス、ロバート・ウィルキンス、メンフィス・ミニー、スリーピー・ジョン・エスティス、メンフィス・ジャグ・バンド、ガス・キャノンズ・ジャグ・ストンパーズ)
第24回「ブルーズとロックの蜜月、ジェシ・エド・デイヴィス」
第25回「孤高のブルーズ狼、ハウリン・ウルフ」
第26回「歩くブルーズ、ライトニン・ホプキンス」
第27回「ダンス・ビートでぶっ飛ばせ、ミシシッピ・フレッド・マクダウェル」
第28回「シカゴ・ブルーズの若大将、マジック・サム」
第29回「アメリカン・ミュージック、テキサス・スタイル、クラレンス・ゲイトマウス・ブラウン」
第30回「ブルーズの王様、B.B.キング」


参考まで、「あの人も書いて欲しかった!」なんてブルーズマン、いますか?
僕は、ローウェル・フルスン、ジュニア・ウェルズ、アルバート・コリンズ、シティ・ブルーズ(リロイ・カーとロニー・ジョンスン)、リトル・ミルトンとボビー・ブランド、スクリーミング・ジェイ・ホーキンス、フレディ・キング、バディ・ガイなんかが、ちょっぴり心残りかな。

 高見順『胸より胸に』 (12/02/24)
高見順の『胸より胸に』を、やっと入手しました。
文庫本の中古で、1280円でした。ちょっと高かったけど、ずっと探していた本だったので、すぐに抱きかかえてレジに持って行きました。

高見順の文章は、胸の奥底に沈んだ想いを吐露するスタイルです。小説としての完成度が低くなろうとも、苦々しい想いを文章にぶつけます。吐き出します。そういうスタイルに、僕は惹かれました。
「描写のうしろに寝てゐられない」は、高見文学を象徴する名文句です。高見の作品は、生き様そのものです。だから、僕が苦しい時に手を伸ばせば、きっと寄り添ってくれます。

『胸より胸に』は、高見先生には珍しく、とっても美しい文章でした。高見版の『潮騒』と言ったら、分かるでしょうか。日本語の響きに、細心の注意が払われています。ストーリーも凝っていて、全編で戦後の浅草の情景と、それぞれ影を持った登場人物が躍動します。こういう高見順も、あったのか。

でもやっぱり、この作品も「描写のうしろに寝てゐ」ません。主人公の日下重吉の性格は、高見順その人と重なります。情熱的な男です。僕が若い時分から惹かれている男です。

それ故に、作品としてのコンセプトが中途半端なのかもしれません。高見の代表作に数えられることは、少ない小説です。それでも僕は、この『胸より胸に』に引き込まれました。

高見順は、実際の誕生日と役所に登録された誕生日が違います。そして、役所に登録された誕生日と、僕の誕生日は同じです。高見先生が、あえて僕と同じ誕生日に合わせてくれた。これは、僕の密かな自慢です

 《Gettin' Down With》 (12/02/24)

Gettin' Down With

[A]
1. Witchcraft
2. I Cried for You
3. I Remember April
4. Polka Dots and Moonbeams

[B]
1. Exactly Like You
2. When Did You Leave Heaven?
3. Reconsider Baby
4. Misty

Johnny "Guitar" Watsonの《Gettin' Down With》を、遂に入手しました。64年頃に録音された、ピアノ・トリオでのLPです。そして、CHESSです。
もちろん、ピアノは、ジョニー本人。ティーンの頃にチャック・ヒギンズのバック・バンドで鍛えただけのことはあって、味のある歌とピアノを披露しています。
ギターは弾かないし、リズム隊もジャズ・スタイルの伴奏なので、紛れも無く異色作ですが、この時代のジョニーの持ち味が、惜しげも無く発揮された傑作です。色々な音楽の要素が顔を覗かせ、一筋縄では行きません。BLUESもかっちょいいアレンジでやってます。「こんなのもできるけど、どう?」と言わんばかりの、余裕のよっちゃんのジョニーの表情が透けて見えます。痺れるぜ。

このLP、初めて聴いたのは、札幌の松竹谷清さんのバー、バイーヤ。仕事で北海道に行っていて、僕がジョニーが好きだという話の中で、「これ知ってる?」と聞かせてもらいました。探せばあるよ、なんて言うので、中古レコード屋さんをずっと探索していましたが、この6年、一向に見つからず。しかし、先日、遂に見つけたのです。しかも、webで。
こうなると、CD化しなくて良いです。

しかし、この芸名とこのジャケット写真(エロ)、まさかピアノ・トリオとは思わないよね。

 Watsonian Institute 《MASTER FUNK》 (12/02/24)

MASTER FUNK

[A]
1. THE INSTITUTE
2. MASTER FUNK
3. THE FUNK IF I KNOW
4. LADY VOO DOO

[B]
1. DE JOHN'S DELIGHT
2. COMING AROUND
3. VIRGINIA'S PRETTY FUNKY

Emery "Elegant E.T." Thomas - Drums, percussion, vocals
Tommy "Slide" Roberson - Trombone, percussion, bass
Bobby "Bumble Bee" Howard - Bass, vocals
Gip "Pretty Playin" Noble - Fender rhodes, clavinet, synthesizer, vocals
Johnny "Guitar" Watson - Guitar, fender rhodes, clavinet, synthesizer, organ, lead vocals


レコードではドラムスとホーン以外は一人多重録音がお家芸のJohnny Guitar Watsonですが、ライヴではもちろん、バンド・メンバーがいます。そのバンドが、「Watsonian Institute」。
ドラムスは、73年の《Listen》から始まり、76年の《Ain't That A Bitch》以降のDJM時代の全ての作品、つまりファンク全開黄金時代を支えた名ドラマー、Emery Thomasさんで、僕は彼のドラミングを聴けるだけで、「買い」です。

78年発売のこのレコードは、彼らWatsonian Instituteの初作品、というはずでしたが、でしゃばりなワトソンさんがゲスト参加していて、でもやっぱりゲストのポジションに甘んじることは出来ず、大活躍しちゃってます。

内容は、78年の最先端で、シンセばりばりのハイパー・ディスコ・ファンク。77年の《A Real Mother For Ya》と《Funk Beyond The Call Of Duty》の次で、78年の《Giant》の前ですから、ワトソンさんが最新鋭のR&Bで無敵状態の時期ですね。
とは言え、メローな〈Virginia's Pretty Funky〉なんかもあって、いつものように、一筋縄では行きません。〈LADY VOO DOO〉は、ファンクの名曲。
歌は、曲のテーマをコーラスする程度で、ほぼインスト集です。いつものブルージーなペンペン・ギターは、随所で聴けます。

一昔前のCD化ラッシュの時にリストアップされなかったので、当分はCD化の話も無いんじゃないでしょうか。こちらのLPは、全国の中古レコード屋さんで、結構出回っていますので、ワトソンさんの大ファンにはお薦めです。

 《That's What Time It Is》 (12/02/24)

That's What Time It Is

[A]
1. Do The Guitar
2. The Planet Funk
3. You Sexy Thing
4. That's What Time It Is
5. Flip It

[B]
1. Go For It
2. At The Wishing Well
3. First Timothy Six
4. I Miss Your Kiss

Johnny "Guitar" Watson……Vocals, Guitar, Percussion, Bass, Moog, Piano, Organ, Drums
Bass - Jolyon Skinner (tracks: A1 to A4, B1 to B4)
Drums - James Gadson (tracks: A1 to A4, B1 to B4)
Electric Piano - Michael Zager (tracks: A1 to A4, B1 to B4)
Guitar [Rhythm] - Gemi "Master Phonk" Taylor (tracks: A2 to A4, B1 to B4)
Percussion - Paulinho Da Costa (tracks: A2 to A4, B1, B2, B4)
Saxophone [Alto] - Phil Ayling (tracks: B4)
Saxophone [Tenor] - Pete Christlieb (tracks: B4)
Synthesizer - Larry Williams (tracks: A3, B1)
Trombone - Lew McCreary (tracks: B4)
Trumpet - Chuck Findley (tracks: B4) , Jerry Hey (tracks: B4)

(P)(C) 1981 A&M Records, Inc.


81年にDJM最後の作品《Johnny 'Guitar' Watson And The Family Clone》を発表後、大手A&Mからリリースしたのが本作。この後、84年の《Strike On Computers》までちょっと間が空きます。(そしてその後は10年空いて、94年の遺作《Bow Wow》)

73年の《Listen》からの付き合いの、ドラムスのEmery Thomasは、前作《And The Family Clone》で1曲叩いていたのを最後に、本作には顔を出していません。J.G.W.サウンドの要はWatsonさんのギターとピアノなのは言うまでもないですが、Emery Thomasさんのドラムスも、かなり重要なポジションを占めています。何しろ、最高のドラマーですから、Emeryさんは。

それゆえか、傑作を連発したDJM時代に比べると、ちょっとグルーヴが平坦に感じてしまいます。そして、メジャー・レーベルのしばりで、Watsonさんが好き放題に出来ない環境だったということもあるでしょうが、冒険心が不足気味に感じます。
ただし、決して駄作ではありません。逆に言えば、大手ゆえの安定感があります(安定感をJ.G.W.に求めるか否かは、置いておいて…)。
いつものジョニー節が随所で炸裂しています。DJM後期の作品群が気に入っている方なら、本作も気に入ることは間違いないでしょう。言うまでも無く、僕は、好きです。
〈Do The Guitar〉はギターとスキャットのユニゾンが楽しい。ディスコな〈You Sexy Thing〉では、ラップ+テキサス・ブルース・ギターで、面目躍如。レゲエ・ナンバーの〈First Timothy Six〉は、だるくファンクしていて、心地よいです。超目玉の名曲はないですが、小粒ながら良作が並んでいます。
そして、盟友Larry Williamsがシンセ(!)で2曲に参加しているのが嬉しい。

ところで、なぜに再CD化していない?? まあ、CD化しても売れないでしょうが…。