SHELTERは古いロック仲間、本間亮が立ち上げたロック集団だが、主な企画で
ある「アマチュアナイト」のゲストとして本年(2004年)の竹田和夫日本ツアーの公演
先にナンバーワンギタリスト竹田和夫を新潟に招聘した。

 33年前の新潟市護国神社で行われた「NIIGATA/Oct..JAZZ ROCK CARNIVAL」
(通称神無月)で、その後の人生の軌道が決まった者は多い。何故なら出演者に竹田
和夫が居たのだ。
 他の出演者にしても山下洋輔トリオ、頭脳警察、DEW、友部正人など最前線で活躍
していたアーチストがこぞって出てきた。当時の催し物の特色として音楽のジャンル関係なく前に出ている
人なら価値は一緒という捉え方があった。

 竹田和夫はブルース・クリエイションを率いて僕たちの目の前に出現した。ボーカル
が大沢博美さん、ドラムが樋口さん、ベースは佐伯さんだったと思う。彼等が繰り広
げたハードロック、ロックギターの格好良さなど、全てを語りつくすことはできないだろう。
そこに居たリスナーは幸いだったのだ。そしてリスナーの中に僕そして本間亮が居た。

本間は文字通りロックをひた走ることになる。(ロックの)黎明期日本でロックをや
るということはどういうことになるのか知ってる人は今では少ないのであって、イン
ディーズなんていうワードがない時代のレコードを出す作業、出しても利益なんか出
る筈もなく、食うための仕事として運転手、肉体労働、庭師までやったという。とま
れ本間にとってのロックは文字通り、身体張ったものとなっていった。

21世紀に入って本間はまた新潟を熱くしたいのか、次の世代にロックのスピリット
を伝えていきたいのか、理屈はどうあれ、SHELTERを作った。
そして今回、昔感銘を受けた竹田和夫を再び新潟に呼ぶという。このことがどれほど
の興奮をよぶ出来事か判るというものだ。

僕としてもリクリエイシヨンというトリビュートバンドを結成している。これでお呼
びが掛からない訳がない。アマチュアナイトの出演者としてリッチー・ヒッピーズ、
本間のサイレンス/ボアーズ、リクリエイション、この三つが竹田さんの共演者となった。
 70年代ロックバンドをやっていてそのまんまの音を再現してくれたリッチー・ヒッ
ピーズも良かったがここでは特にボアーズの信吾さん信二さんの二人についてもスペース
を割くべきだろう。当時の新潟で最高の音を出したボアーズ、信吾さんの歌の上手さ
にはみんな舌を巻いた。今回そのカリスマ性がちっとも失っていなくて僕は胸
が張り裂けそうになった。サイレンスのドラム三国からバトンタッチを受けた信二さ
んにしてもスティックでスネアをバシンとやるその動作のひとつひとつに沸騰するよ
うな血が通っているんだ。

 リクリエイションについてはドラムが確定していなくて、今回、亮の娘さんである本
間あおいに頼んだ。本間に言われた。「お前たちもとんでもないことを考えるなしか
し」 確かに、こんなストーリー誰も考え付かないかもな、信奉する竹田さんのライ
ヴに昔感銘を受けた者と、一緒に居た仲間の娘さんが一緒にバンドをやって、竹田さ
んのライヴに参加するなんて本や映画にはあっても実際には有り得ないだろうな、
でもそれが起きたのだからな、それがロックなんだろうな。あおいちゃんは元々ロック
ンロールバンドに参加しているドラマーだから叩く事自体は珍しいことでもないかも
しれないが、彼女にとってはクリエイションという、いわゆるテクニック以前に
「気」の部分で表現しないと、音になってこない仕事だったと思う。しかし彼女は
やってくれたのである。見事樋口さんのニュアンスを出してくれて、ぼくがリクリで
出したい音を再現してくれた。

 竹田さんのカルテットの演奏が始まるとみな息を呑んで吸い込まれていく。ロックの
ライヴにジャズというのは今のこの時代、珍しいものだと思うのだが、それこそジャ
ンルではなくて、グッドミュージックに魅了されているのが判るのだ。相棒のサニー
さんのハープとゴスペル仕込みのボーカルも最高だ。ドラムにハリー・吉田さん、
ベースには栃原さんが来てくれた。竹田さんの現在はスタンダードジャズをギターと
ハープで展開、こういうレベルになると音にオーラが出る。ツアーも終盤にかかる時
期でもあったのだが、会場の雰囲気、PAの充実も会って竹田さんサニーさんのリ
ラックス感が伝わってきた。アンコールにはお待ちかね「スピニング・トゥ・ホール
ド゛」も出た。

 さて当日は何十年振りの再会があっちにもこっちにも見受けられた。
音楽という目に見えないものを信じる者だけが獲得することの出来る場面があっちに
もこっちにも発生していたんだ。
 会場となったジョイアミーアの従業員の人たちがライヴの合間に拍手しているのを見
たときも胸が熱くなった。

最後にこれも27年振りに会うことが出来た同級生、吉田豊の言葉を紹介する。
「感動、感動、感動の嵐だよ」


           Re:Creation ギター&ボーカル 笹だんご(武田松男)