<12月分>

乙一「GOTH」(角川書店)

 周りの価値観とまったくちがい、残酷なことに特別惹かれる高校生を主人公にしたホラー。6話収録されてます。

 人間の死を、ただ見つめる主人公。
 怖がることも興奮することもなく、そっと死に触れる姿からは常軌を逸したものを感じますが、同時に、「怖いもの見たさ」で読み手をグイグイ惹きつけてくれます。
 話が進むにつれて盛りあがりを見せ、ピークに達したところで終わる構成も○。よくできてます。
 ミステリーとしての完成度も高く、森野の過去については本気でビックリした。思わず、「まじでー!」って声に出してたし。

 暗く静かな世界観は「いかにも乙一」という感じ。面白かったです。

 

中村うさぎ「オヤジどもよ!」(フィールドワイ)
 エッセイです。今回のテーマは、オヤジ。 

 「中村うさぎがオヤジを斬る!」と聞いたときは「おお! それは面白いに違いない!」と期待して読んだのですが、やや肩透かし。いつものキレが鈍ってる気がしました。

 期待が大きすぎたかも。ハードカバーで買ったのに〜。

 

宮沢章夫「茫然とする技術」(筑摩書房)
 エッセイです。

 今回も「わかる人にだけわかる」っていうスタンスで幅広いことに触れてるんですが、管理人のツボに入ったのは少しだけ。ちょっとピンポイントすぎた気がします。
 「牛への道」に比べパワー不足な気も。

 ハードカバーで買ったのに〜〜。

 

三島由紀夫「仮面の告白」(新潮文庫)

 自分が同性愛者であることに気付きながらも女性を愛そうとし、それができないことを悟り絶望した主人公が自分の半生を振り返る、というお話。

 ハッキリいって、言い回しが小ムズカシイ。
 「なんじゃそら」と言いたくなる形容詞や、「もう少し平たく言えんのか」と逆ギレしたくなる表現のオンパレードで慣れるのに時間がかかりました。
 が、慣れたら不思議とその言い回しが心地よく感じるもので、思わず文学青年を気取ろうかと考えてしまった管理人であります。

 主人公が深い絶望を味わったのは性に対してのジレンマでしたが、その葛藤の過程は、対象を変えれば誰にも当てはまるものであるだけに身につまる思いがします。グサリときました、管理人にも。
 これが魅惑の言い回しによって破壊力倍増。スゲェ!

 

奥田英朗「ウランバーナの森」(講談社文庫)

 世紀のポップスター、ジョン(どー考えてもジョン・レノン)の主夫時代の隠匿生活を描いたフィクション。

 突然重度の便秘に襲われたジョンは、医者に通いながら自分の過去と対面します。
 ポップスターの暗部、虚構を剥ぎとった人間性をうまく描写し、劇的なドラマに昇華しているのはさすがの一言。強烈なカタルシスを味わいました。
 登場人物も活き活きしており、とくにキース(明らかにキース・ムーン)がいい味だしてます。

 ジョン・レノンを意識しなくても十分楽しめますし、ファンのひんしゅくを買うこともないとないと思います。そのくらいよくできたお話です。
 面白かった!

 

中村うさぎ「崖っぷちだよ、人生は!」(文春文庫)

 ショッピングの女王、パート3。

 飛ばしてます。いつも以上にテンション高いです。
 今回は買い物よりも金策に翻弄する話が目立ちました。

 あー、面白かった。

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