<10月分>

土屋賢二「汝みずからを笑え」(文春文庫)

 エッセイです。
 本屋でまえがきを立ち読みしてたら頬が緩むのをこらえきれずに購入。

 本編に入ってもその面白さは変わりなく、最後までニヤケっぱなし。

 今まで読んだ中ではベスト!

 

原田宗典「はらだしき村」(集英社文庫)

 おなじみのエッセイですが、いつもとは中身が違います。

 いつもの笑わせてくれる内容ではなく、しんみりとする話やゆったりした話、さらには泣ける話までが収められてて少し驚きました。

 なかでも印象的なのは、最後に収められている「おやじがたおれてみて」
 管理人の父親と原田さんのお父上はずっと歳が離れていますが、妙にリアルに感じられて少し悲しくなりました。

 

土屋賢二「人間は笑う葦である」(文春文庫)

 エッセイです。
 解説を書いてるのが森博嗣というのがなんとも可笑しくて購入。

 今作も相変わらずのおもしろさですが、なかでも「内容勝負のスピーチ」はケッサク。
 誇張な言い回しではなく、論理の切り返しでユーモアを演出するスタイルがたまりません。その鮮やかさと鋭さはお見事。
 何度読んでも笑ってしまいます。

 電車で読まなくてよかった。

 

宮部みゆき「地下街の雨」(集英社文庫)

 短編集です。

 人の暗部を鋭く、でもエグくなくサラっと描写してあるところがとてもイイです。
 自分ばかりが不幸でないのと同様に、あらゆる意味で幸せな人もいないということが、共感するというよりはむしろ悲しい。そして、それがナルシズムに傾いてないところはナイスです。
 とくに表題作と「勝ち逃げ」が冴えてます。

 「不文律」、「さよなら、キリハラさん」も面白かったです。

 

山本文緒「みんないってしまう」(角川文庫)

 いろいろな人の人生のある期間をそのまま切り取ったような、淡々とした短編集。

 劇的なドラマ、強烈なインパクトはありませんが、それだけにリアルに感じられます。
 「淡々としている」と言っても内容が薄いなんてことは全くなく、印象に残る話ばかり。

 価値観の違いを受けとめて生きていかなければならない登場人物たちの悲しさが伝わってきて面白かったです。

 

群ようこ「挑む女」(文春文庫)

 今の生活に不満をもつ女性4人が、なんとか現状を変えようと奮闘するコメディタッチのお話。

 仕事一筋の41才の編集者、箱入り娘のまま41才になってしまった女性、姑との関係に悩む32才、男をゲットするために生きる27才の、それぞれの事情をみると暗くなってきますが、みんなどこかヌケていて話全体の印象は明るい。

 ドタバタ奮闘した結果がちょっと良くなっただけで、大したオチもなし。
 以前と大して変わらない現状を前に、「まぁ、とりあえず、いいんじゃないの」と終わっていく明るさが好きです。

 

夏目正隆「僕はイーグル 哀しみの亡命機」(徳間書店)

 前作からの続編にあたります。一冊で話が完結しているため、やきもきさせられずに済みます。

 前作までと比べ、ボリュームが少ないので話が若干コンパクトですが、十分面白かったです。
 エピローグをもっと書いてほしかったですが。

 この巻でケッサクだったのが、木谷外務大臣。
 北朝鮮からの「過去の償いはしないつもりか」との詰問には、「そんな大昔のことは、知らん」
 「謝罪するつもりはないのか」との詰問には、「ない」
 「お前こそ間違った悪い自衛隊を率いる軍事国家の親玉だ」に対しては、「余計なお世話だ」と一蹴。
 腹を抱えて大笑いさせていただきました。

 

サリンジャー「フラニーとゾーイー」(新潮文庫)

 優秀な兄弟の末二人のお話。
 二編から成っており、前編は妹フラニーが、後編はゾーイーが主人公。

 前編は上っ面の知識をひけらかして得意になってる人をフラニーが痛烈に皮肉っていてとても面白かったです。

 後編はどんどん宗教の話になっていき、正直ついていけませんでした。
 勉強してから出直してきます。

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