<2月>

夏見正隆「僕はイーグルB」(徳間書店)

 巻を追うごとにページが増え、Bではついに600ページを突破。持ち歩くのに一苦労しました。

 ようやく、ようやくスッキリさせてくれました。
 といっても、それも最後の最後で。Bでもずーっとやきもきさせられます。
 それだけに、最後の最後の展開では我を忘れるほど興奮しました。怒涛の展開にページを繰る手が震えたほど。

 また、個人的には風谷のネガティブな心理が印象的でした。
 幼い理想にしがみつき、そうなれない自分に絶望しイジケている。ストレスを抱え込むタイプですね。
 これ、俺のことでもあります。読んでて笑えなかった。

 ま、とにかく。
 Bでとりあえず一段落つきました。今後の展開が楽しみです。
 早くC出して!

 

中島らも「らも咄」(角川文庫)
 え〜、最近管理人、落語に興味がわいてきまして、で、どこから手をつけていいものかわからなかったもので、とりあえず逮捕記念ということで(←不謹慎!)これを選びました。

 さすが多才の人。
 人情味溢れるユーモアをテンポよく語り、鮮やかにオトす技術はお見事。

 どの噺も面白いですが、ツボにはまったのは「迷い子の達人」と「宇宙鯖」。

 関西の味を堪能させていただきました。

 

麻生俊平「深く静かに掘りかえせ!」(角川スニーカー文庫)
 高校の"お宝発掘部"を舞台にした学園コメディ。

 全体的に、弱いです。
 キャラクターも設定もギャグも読み手を引き込ませるほどの魅力がなく感じました。

 う〜ん、何だかなぁ、というのが読後の感想。

 

麻生俊平「無理は承知で私立探偵」(角川スニーカー文庫)

 ハードボイルドに憧れる高校生が、校内でムリヤリ私立探偵になりきる、という学園コメディ。

 ↑の設定に興味を覚え読んだものの、展開が意外と人情的で熱血だったりするので、少しガッカリ。ま、この辺は好みですが。

 あと、やはりギャグが弱い。ありがちの感が拭えませんでした。
 展開に無理を感じることもしばしばでした。

 う〜ん、何だかなぁ。

 

江戸川乱歩「化人幻戯」(角川ホラー文庫)

 明智小五郎が登場する表題作に、短編5作を加えた一冊。

 一番面白かったのは、表題作。
 上質の推理小説であるこの作品は、人物描写が素晴らしい。
 犯人に怯え疑心暗鬼になっていく関係者の焦燥、元伯爵夫人に溺れていく武彦の破滅的な願望、犯人を捕らえながらも犯人に敗北感を覚える明智小五郎の心理が鮮やかに描かれています。
 そして犯人の狂気、そして魅力は凄まじい。読後、強烈な余韻を残します。

 奇抜なアイデアや緻密なトリックはもとより、この描写力が江戸川乱歩の魅力なのだと再確認した次第であります。

 

横山秀夫「動機」(文春文庫)

 硬派でどっしりとした短編4作を収めた一冊。

 警察官、元殺人犯、事件記者、裁判官を主人公として選んでおり、それぞれが現代的問題を抱えている。
 それがとても身近な問題だけに強力なリアリティを感じることができ、また、嫌な汗もかかされます。

 一番印象的だったのは、元殺人犯が主人公の「逆転の夏」。
 一つの殺人事件をテーマに、加害者、被害者、加害者と被害者の家族、それを取り巻く社会の心理を上手く描写しています。
 それぞれにそれぞれの主張があり、それが立場によって微妙に食い違っていることから悪循環に陥ってしまう、ということを思い知らされます。

 小説と言うより社会派ドキュメンタリーをじっくり見たような気分になりました。

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