<4月分>

カポーティ「ティファニーで朝食を」(新潮文庫)

 オードリー・ヘップバーンの映画で有名な表題作を含む短編集。

 表題作は、自由に生きようとするおてんば(死語)な女性の話。 華やかな話かと思っていたらそんなこともなく、むしろ寂しい感じがしました。
 全体的に印象が薄かったです、というか、よくわからなかったと言った方が正しいかも。管理人は、海外の小説は設定が頭に入っていかなくてどーも苦手です。今作もそんな感じです。

 一方、短編「クリスマスの思い出」はわかりやすくて○。
 クリスマスを待ち遠しく思う、少年とそのおばさんの素朴な姿に胸がつまりました。
 質素な幸せというものはかけがえがないなぁ。こういうのに弱いです、俺。泣きそう。

 

賀東招二「踊るベリー・メリー・クリスマス」(富士見ファンタジア文庫)

 フルメタ最新刊。

 「ダイ・ハード+ラブコメ」って感じです。
 最初のコメディの部分があまりにもドタバタしてて「この先大丈夫か?」とも思いましたが、何とか持ちこたえてハッピー・エンド。
 ラブの方も一つの決着がつきます。ただ、決着がつくとシリーズの終わりが近い感じがして少し寂しかったりもします。

 ま、面白かったからいいか。

 

北村薫「冬のオペラ」(角川文庫)
 自らを「名探偵」と呼ぶ巫弓彦があつかう事件を、その記録係・姫宮あゆみの視点で書いたミステリ。

 私と円紫師匠シリーズのような感じを期待して読んだのですが、ミステリに比重が置いてあって少々肩透かし。
 ま、これはヘンな期待をした管理人が悪いのですが。

 北村節が堪能できるミステリと考えれば、なかなか面白かったです。

 

筒井康隆「48億の妄想」(文春文庫)

 地球上に存在するすべての人間がマスコミに踊らされ、自らが信じたい幻想を、自ら演じている、というお話。

 文体はコミカルだしユーモアのセンスもいいのですが、思い当たる節があり笑うに笑えない。
 作為的な感じがするマスコミ報道は嫌いですが、「自らが信じたい幻想を、自ら演じている」ということにおいては程度の差こそあれ俺も変わりません。
 ブラックユーモアにしては黒すぎるし、皮肉にしても痛烈すぎる。

 面白かったっス。一気読み!

 

乙一「失踪HOLIDAY」(角川スニーカー文庫)

 表題作に短編一作を加えた一冊。

 短編「しあわせは子猫のかたち」は切ないお話。
 世の中がつまらない青年が明るい女性と出会い、癒される。こういう話上手いなぁ、乙一。
 羽住都さんのイラストで切なさ倍増。ずるいっ!

 表題作はコミカルなお話。女の子っぽい文体が楽しかったです。

 

乙一「きみにしか聞こえない」(角川スニーカー文庫)

 短編集。
 友達がいなくケータイを持ってない女子高生が、頭のなかにケータイを作り出す「Calling You」、他人の傷を自分の体を通して移動させることができる少年を描いた「傷」、歌を歌う花を描いた「華歌」の三篇が収められてます。

 三篇とも展開に違和感を感じてあまり好みではありませんでした。
 管理人は設定が現実的だろうと非現実的だろうと気にしませんが、展開に「?」と思うとどーもヘンな気持になります。「なんでそうなるの?」って感じです。好みの問題でしょうか?

 

北方謙三「彼が狼だった日」(集英社文庫)

 友達が殺された。キレた主人公はその相手を殺してしまいます。主人公、海外に逃げます。そして外国で傭兵となった(←ここが凄い)主人公は任務で日本に戻ってきます。その任務をめぐって事件が…、というお話。

 「ザ・ハードボイルド」
 簡潔な文体。暴力描写。そして若干のキザさ。よんでて顔がニヤけてくる。
 さんざん殺しまくったあと、突然芽生える少年との友情。しかし、男は少年を置いて旅立つ。哀愁を残し…。
 リアリティなんて関係ない。「世界」があればそれでいい。こういうのも面白いなぁ。ハマりそう。

 てか、主人公無敵?

 

司馬遼太郎「坂の上の雲(一)」(文春文庫)

 明治維新から日露戦争までの日本を、秋山好古、秋山真之、正岡子規を中心に描いた時代小説。

 明治維新があって、日露戦争で勝ったということはもちろん知ってましたが、それがどういうものかは全く知りませんでした。
 まず、当時の世界情勢、そのなかでの日本の位置を考えた上で、明治維新を経て日本が近代国家になりえたこと自体が凄い。この過程の描写がとてもわかりやすいし、それだけにいかに凄いことか実感がわきます。

 今作は第一巻なので日露戦争はまだまだ先ですが、ロシアに勝てるまで国力を上げた明治の日本人がいかにエライかは十分わかります。

 明治は浪漫の時代なり。

 

司馬遼太郎「坂の上の雲(二)」(文春文庫)

 第二巻。
 二巻は日清戦争から日露戦争への気運の高まりが書かれています。

 着実に国力を付けていく日本ですが、まだまだ列強との差があります。世界は帝国主義の時代、「喰うか喰われるか」のなかで死に物狂いで列強に追いつこうと努力する日本人の姿に感動します。
 歴史の授業では起こったことだけを習いますが、その一つ一つにどんな意味があるかを考えると、歴史を勉強することの大切さ、そして面白さを痛感します。

 もっとちゃんと歴史の授業受けとくんだった!

 

土屋賢二「われ笑う、ゆえにわれあり」(文春文庫)

 哲学科の大学教授が書いたお笑いエッセイ。

 様々なことを哲学的視点から見直している、と言えば聞こえいいが、要はヘリクツでムリヤリ自分に都合のいいように解釈しているだけ。理屈っぽいくせに論理はムチャクチャ。高田純次なみの無責任っぷりだ。
 それをさらりと書いてあるから面白い。ヒットです。

 情報提供ありがとう、ムーアフリークくん。

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