<6月>

横溝正史「幽霊男」(角川文庫)

 ヌードモデル仲介業社を舞台にした、「幽霊男」となのる男が起こした事件に金田一耕助が挑む、といったお話。

 幽霊男が金田一耕助を翻弄し、舞台がコロコロ変わる。それが少しあわただしく感じました。
 全体として、話に引き込まれるだけのパワーがなかったようにも感じました。

 しかし、金田一耕助シリーズとしては珍しく、犯人が矮小で卑屈だったのは新鮮で良かったです。

 

司馬遼太郎「坂の上の雲(七)」(文春文庫)

 七巻。
 日本陸軍の総力を挙げて戦った奉天会戦で、日本は辛くも勝利します。この会戦で日本陸軍は持ちうる戦力のすべてを投げ出し、余剰の戦力はありません。
 そこで日本は辛くも収めた勝利の勢いに乗って講和に持ち込もうとします。

 が、このタイミングが難しい。

 タイミングを間違えればロシアに、日本の戦力が底をついていることがバレてしまいます。また、日本国内では軍内のひっ迫した状況などしらず、このまま攻めろなどと新聞までが世論を煽っています。
 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
 ということを実感しました。

 

横溝正史「悪魔が来りて笛を吹く」(角川文庫)

 戦後廃れてしまった旧華族に起こった事件に金田一耕助が挑む、といったお話。

 次々に殺人が行われ、「犯人は誰だ?」ということを主題に進む、いわゆる推理小説。
 基本的にこういう展開(てか、これが当たり前の展開なのですが)が苦手な管理人ですが、これは面白かった。
 金田一耕助の裏をかき、次々と起こる殺人の舞台展開がスリリングでグイグイ話に引きこまれます。舞台チェンジにムリも感じませんでしたし。

 構成がハマりすぎて、ともすれば小ぢんまり、もしくは御都合主義になる可能性があるなかを、スケール大きく、そして怨念を込めまくった内容に大満足です。

 

北村薫「スキップ」(新潮文庫)

 17歳の主人公・一ノ瀬真理子は高校生。彼女が昼寝から目覚めてみると、そこは25年後の世界で、真理子は国語教師の桜木(既婚)真理子になっていた、というお話。

 あまりの事実に愕然とし、しかし、それでも前向きに生きていこうとする一ノ瀬真理子の姿が感動的。
 見た目は42歳でも中身は17歳。未来の娘(彼女も17歳)や初対面の夫に接するときや教師を務めるときも、17歳のひたむきな姿勢で感じ、行動する様に胸キュン(死語) 心理描写が上手すぎる。

 なぜ男にこんな文が書けるのか、まったくわからない。

 

賀東招二「戦うボーイ・ミーツ・ガール」
      「疾るワン・ナイト・スタンド」
      「揺れるイントゥ・ザ・ブルー」
      「終わるデイ・バイ・デイ」(富士見ファンタジア文庫)

 「フルメタル・パニック」長編の未読分を一気読み。

 う〜ん、面白い。イヤになるくらい面白い。
 はやく続編だしてください。

 あ、個人的なMVPはクルツってことで。

 

秋田禎信「てめぇら、とっとと金返せ!」
      「馬鹿は一人でたくさんだ!」
      「お前はいったいなんなんだ!?」(富士見ファンタジア文庫)

 「魔術士オーフェン」のコメディ版。

 こういう、「いかにもファンタジー」といったものはどーも手を出しづらかったのですが、実際読んでみると悪くない、というか、面白い。ギャグも冴えてるし。

 ボルカンの一直線バカっぷりと、キースのインチキ臭さがナイスです。

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