「恐怖のリマスター盤」(10/21)

 この広い世界にはさまざまな恐ろしいことがあります。

 病気、犯罪、不況、貧困、いじめ、災害、争い、死、etc...。

 これらは誰もがなくしたいと願っていることであり、それが実現すれば、世界はどんなに幸せなことでしょう。

 ある人は言いました。「想像してごらん…」

 が、しかし。

 人間はそんなに賢い生物ではありません。
 それを実現させるのは非常に困難です。 世界にはさまざまな悪意・陰謀が渦まいているのです。 資本主義、社会主義、先進国、後進国にかかわらず、苦しむのはいつも弱者なのです。

 さて。
 我々が生息する音楽界ではどうでしょう。

 CDが売れなくなったといわれる時代においては、熱心に純粋にCDを買っている人ほどレコード会社の標的になります。

 宣伝もしないのに自らほしいCDを探し出し、食費まで削ってCDを買う人など、奴らから見ればネギをしょったカモでございます。

 そんな、放っておいても金を使うカモに対して、奴らはついにリーサル・ウェポンの使用に踏み切りやがりました。
 その恐るべき兵器こそ、

 リマスター盤。

 奴らは、ただでさえ素晴らしき名盤にさまざまな付加価値をつけ我々に買わせようと、あわよくば買い替えさせようとしているのです。
 ああ、いやらしい。

 が、我々カモ軍(←開き直った)もバカではありません。

 音源をリマスタリングし、廉価にしたくらいではビクともしません。
 それくらいで買ってたまるかってんだ。
 おとといきやがれっ。

 が、我々は甘かった。
 奴らの陰謀は我々の想像を絶する規模で行われていたのです。

 本気になった奴らは、どっから見つけてきたのか、アルバム未収録曲やライブ音源を次々発掘し、諸権利のハードルを飛び越えてボーナス・トラックとして収録し始めたのです。

 それが、最初は1、2曲だったのが次第にエスカレートしていき、ライブアルバムなどは「完全版」と銘打ちリニューアルして出す始末。

 FREEの「FREE」に至っては、ボーナス・トラックが10曲!って、本編より多いじゃねーか!!

 買いましたよ。

 ええ、買いましたとも。

 この甘い密を吸ったが最後、抗う気力などウソのようになくなります。
 当初の反抗心はどこへやら、

 「よくぞ発掘してくれた」

 などと無責任なことを言い出し、簡単に寝返ってしまいます。
 力こそすべて、強い者がしたことが正義なのです。
 ああ、無情。

 こうなれば、カモはカモらしく己の道を全うしてやるって気にもなってきます。
 でも、くやしいのでせめて鳴いてやります。

 グァッ、グァッ。


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