3月です。
一雨ごとに暖かくなる季節。
肌に触れる空気が変わっていくように手に取る本もまた変わっていくのでしょうか。
決まり文句(コピー)
このページは僕が最近読んだ本(小説中心、たまに漫画、聞いたCDも)
を紹介するコーナーです。僕の評価を客観的に把握しやすいように書名の
下に星印を書いていますが、★が1点、☆が0.5点で5点満点としています。
『サムライ・レンズマン』 古橋秀之 徳間デュアル文庫
★★★★★
SFです。
でもサムライです。
スペースオペラの古典的名作の一つにE・E・スミスのレンズマンシリーズ
というものが存在するのですが、それはもう世界に熱狂的なファンを抱え
(ているらしい)、そのパロディを出版するのにも許可が必要という
まるでドイルのシャーロックホームズのような作品です。そういうわけで
世界に向けて発信されるのかどうかは知りませんが、日本人の書いた
レンズマン、その名もサムライレンズマンがこれというわけです。
実はレンズマン本作を読んだことはないため、レンズマンって何?って
ところが出発点だったわけなのですが、簡単に言うと銀河パトロール隊
です。
ドラえもんにでも出てきそうですね。
さらに付け加えるとレンズを装着し(まあ宝石みたいなものでしょう)、銀河中を
駆け巡る。
あ、ドラえもんはタイムパトロールですか。
そういうわけなのですが、これは面白い。
原作がしっかりしているからなのか、作者がしっかりしているからなのか
とにかく読める作品です。サムライレンズマンは文字通り刀一本で、敵陣へと
突入する人物でクールで盲目です。たまに切腹しようとします。でも本人は
いたって真面目です。
こう書くとアホそうですね。
しかしある種、レンズマンとしては異質なものだろうから、それは当然かもしれません。
(3月29日)
『魔道士の掟』全5巻 テリー・グッドカインド ハヤカワ文庫
★★
そういうわけでファンタジーです。
新刊として本屋に並んでいる時に目をつけてはいましたが、
「どうせ古本で」という甘い考えに毒されて今ごろ読みました。
だってまとめて読めるから・・。
原作は1冊なのですが、日本語版は5冊に分冊されています。
多分、それだと武器になってしまうからだと思います。講談社
だったら、学術文庫と京極夏彦で培った技術によって分冊せずに
出せたかもしれませんね。立派な武器になったことでしょう。
さて肝心の内容ですが、舞台となっているのは<境>によって
3分割された場所になります。主人公のリチャードがいるのは
ウエストランド。魔法がいっさい存在しない世界です。ここで彼の
父親が殺され、その手掛かりを探すべく、彷徨っているところに
魔法のある国ミッドランドからやってきたカーランと出会います。
一応、リチャードとカーランとの結ばれぬ恋などもあったりしつつ、
それを横軸に縦軸としては世界を自らの手中におさめようとする
ダークン・カール(なんて分かりやすい悪役なんだ!)との対決が
見られたり、見られなかったり。
とにかく場面展開の早い作品で、次から次へと主人公達には
試練が襲い掛かってきます。作者の趣味なのかリチャードは
拷問にかけられるし、カーランは寸止めだけど襲われるしで、
休む暇もないです。
(3月27日)
『夏のロケット』 川端裕人 文春文庫
★★★★
「博士が飛ぶ言うたら飛ぶんや!」
とテレビのCMで叫んでいたのは浜ちゃんでしたが、この本は
そういうお話です。
って説明ではダメですか?それなら。
あさりよしとおの『なつのロケット』の登場人物を全て大人にしてしまえ
ば、この本になります。
そういうわけで多方面に影響を与える本書のようやくの文庫化です。
主人公たちは高校の時、天文部ロケット班として宇宙へ行くロケットを
秘密裏に作成していた人たち(個人でロケットを飛ばす場合、火薬等で法律に
引っかかるらしい)です。一人一人説明をしてみましょう。
本書の語り手であるのが、ロケット班でも広報を担当していた高野。
大学卒業後、新聞記者となり科学部で宇宙関係の記事を書く。
その高野をロケット班に連れ込んだのが北見。大学卒業後、一流企業に
入り、宇宙事業担当となる。押しが強い。
ロケット班の頭脳であったのが通称「教授」の日高。
修士を出て、宇宙開発事業団の研究員となる。いろんな意味で独断で行動する。
ロケット班では職人仕事担当だったのが清水。
修士卒業後、大手メーカーの研究者になる。30前だというのに世界的な論文を
書くやり手。ただしその論文が会社とは何の関係もない内容というのが彼らしい。
最後に高校卒業後にロックシンガーとなり、ミリオンセラーを連発した氷川。
彼の心の代表曲は「フライ・ミー・トゥー・ザ・マーズ」。今回の計画の資金提供者。
というわけでこの人々が自分らだけでロケットを作り、飛ばしてしまおうというのが
この作品の柱になります。もちろんリアリティのない話ならば、ロケットが作られている
作品などたくさんあるのでしょうが、この作品での一番のポイントは今現在ロケットを
個人で飛ばそうとするとどういう困難にぶち当たり、それを乗り越えるためにはどうすれば
良いのか、また結局のところ限界はどこまでか、というのが地道な調査等によって
書かれているためまるでノンフィクションのように読めてしまうことでしょうか。
寝る間を惜しんで結末までドキドキしながら読める作品です。
(3月4日)
今まで。
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