みや ね。 そう言って逹瑯という男は何もしないでいる俺に 意味有り気に笑い 横に座れ、と自分の横をポンとはたく。 少し戸惑ったが 別に断る理由もなく、そこに座る。 座ったものの、横にいる達朗は俺に喋りかける事もなく、何をするでもなく… ただ頬肘をつき煙草をふかすだけだった。 明かりも、外の光も入らない薄暗い景色をみているのか? いや、ただ前を見ているだけだろう。 真っ直ぐに前を見る目は 今は俺を捉えていない。 先程の逃げたくなるような感覚は無い。 逆に見惚れてしまいそうだ。 少しの間それを見ていたが 何となく 前を、逹瑯が見ているであろうこの薄暗い景色をみる。 ずっと、ただ何を考えるでもなく。 逹瑯が言った。 『俺ね、ミヤの気持ちよく分るよ。』 どこか、すっきりした顔で言う。 ああ、あれだ。他人に相談すると必ず返ってくる言葉だ。 『でも、あの時死ななくて良かったぁーって思う時が来るよ。』 自殺願望の奴にはとりあえず励ませってか?馬鹿馬鹿しい。 『・・・絶対ないよ。もう帰るから。』 一瞬でもこいつに頼りたいと思った自分に嫌気がさしてくる。 気だるそうに腰を上げて 階段を下りようとするミヤ。 また明日 違う場所でも探そう というところだ。 手すりに手を置こうとすると 慌てて逹瑯が手を重ねてきた。 『おい!待てよ。上辺で言ってるんじゃない。本当に思ったんだ。』 ミヤの手を握り 目を見て必死に言う逹瑯。 『うるさい…もういいよ。』 『…マジだってば!』 必死に言う逹瑯の手を払い 足を進めようとするミヤの肩を 思いきり自分側に引き寄せた。 『俺…今、ミヤに会えて嬉しいから…本当にそう思ったんだ。』 本当だから…と付け加え、信じてほしいという思いが ミヤの肩を持つ手に力が入る。 『嬉しい?なんで…』 きょとんとするミヤ。それに「わかんないよ」と苦笑交じりに言う逹瑯。 その優しく笑う顔にミヤは驚き 癒された。 『このまま抱いていい?』 訳が分らずまたミヤはきょとんととていた。「ぎゅってしていい?」逹瑯がくり返す。 『・・・俺、そっ・・ちの方じゃ、ないんだけど・・・・・・』 吃驚した。逹瑯はゲイなのか?と。俺は男なんかと…ましてや意識した事もない。 返答に困る。止りかけている思考をフル活用して逹瑯を傷つかせない様に慎重に言葉を選ぶ。 『俺もだよ。でもしたい。いい?』 『ああ、、うん。』 真っ直ぐな言葉に適当な返事をしてしまった。 するとゆっくり逹瑯の胸が近づいてきてぎゅっと抱え込まれ、 大柄な逹瑯は自分の体でミヤをすっぽりと隠した。 『安心するね。』 『・・・』 またもや返答に困る。確かに安心するけど…素直になっていいのだろうか。 達朗は俺を見下ろして返答を待っている。 どうしようどうしようと考えているうちに逹瑯が眉をしかめて言った。 『俺だけ?』 『あ、、、いや、俺もだよ』 言ってしまった。 逹瑯は嬉しそうな顔をしているが俺は恥ずかしい。 『笑うなよ』 『ミヤはもっと素直になったらいいよ』 『うるさいよ(笑)』 こいつにはかなわない。自然と笑みが浮かぶ。 さっきまで死にたいと思ってた自分が笑っている。 でも、あの時死ななくて良かったぁーって思う日が来るよ 逹瑯の言葉を思い出す。 ミヤは逹瑯の腰へと手をまわし 言った。 『ありがとう』 『ん。』 短く そう答えた逹瑯は ミヤの言葉の全てを分っている様だった。 『帰ろうか』 ふと思い出したかのように逹瑯が言った。 『え…』 つい出た言葉だった。 そして見上げるミヤの目は寂しそうな目をしていた。 無意識だった。自分が気付いた時には遅くて逹瑯と目が合っていた。 これ以上心配させてはいけない。 そう思い視線を下にやった。 『一緒に帰ろうか?』 『あーいや、でも…』 心配そうにミヤを見下ろす逹瑯。気を使われるとか 同情は嫌だ。 『違うよ。最初から誘うつもりだったの。遊びにきて。ね?』 素直になってみようか。 『うん』