第十五日目
再び北京に戻ってきた我々だったが、こっちへ来て最初に過ごしたのがここだったし、滞在も一番長いので俺にとってはなんかホームタウンに帰ってきたような感じであった。宿はもちろん京華飯店。この頃になると、残りわずかという事実が寂しくてみんなのテンションも下がり気味だったが俺らが帰ったあと一人で残る奈帆ちゃんはもっと寂しそうであった。今回北京では、おみやげを見て歩く予定で、最初の滞在では行かなかった市場などに行く予定。とりあえず今日はまず奈帆ちゃんの用事で日本大使館へ行き、そのあとに中国のおみやげデパートとでも言うべき友誼商店へ行くことにしていた。建国門駅から大使館に向かう途中、道に立っているおっさんが道行く人に「CD、CD」と言っているのにあった。どうやら海賊版を売っている闇CD屋らしい。そこで俺らも車の陰で売り物を見せてもらった。この海賊版CDは1枚10元くらい、ケースには入っていないで、ビニール袋にジャケットとCDを入れただけの物であるが、こちらではCDが1枚70元位するのでかなりお得である。ただし当たり外れがあって、ちゃんと聞けるかどうかは保証しない。しかも、最近の物は俺の趣味からはずれる物ばかりなため(Back
street boysとか)俺はBEE
GEESのベスト版を買っておいたこれは半分は音飛びがして、半分はまともに聞けた。
日本大使館は前門から地下鉄で3駅の建国門駅の近くにあり、その辺には大使館が密集しているためわりときれいな町並みである。余談ではあるが、地下鉄の駅名に全部〜門と門がついているのは、地下鉄が故宮の城壁があったところを通っているから。東京で言えば半蔵門とか桜田門みたいな感じだろうね。大使館の周りには、公安がたくさんいて、直立不動で警備している。ちょうど歩いていたら移動するところを見かけ、移動するときも列をくんで足並みをそろえて行進していた。
大使館から友誼商店までは、近いので歩いて移動。そうすると例によって物売りのおっさんが近寄ってきた。最初は「またか・・・」と思ったがよく見ると今まで見たこともない楽器を背負っている。しかし!ここで興味のある顔をしてはいけない。しょうがないから見てやる位の表情で足を止めて、値段を聞くと80元だという。ここで、俺らは日本語でミーティング。「いくらなら買うの?」「50元」 そこで、最初おっさんには30元といい、50元まで下がったところで買った。この楽器は蛇の皮らしき皮の張ってある直径10センチくらいの筒に柄がついていて、馬のしっぽだという弦が2本張ってあり、弓でこすって音を出す。音階は弦を指で押さえて調節するという単純な楽器で、歩きながら遊んでいたらすぐに弾けるようになった。さて、そのおっさんから別れて少し行くと、同じ物を何人かが売っていて、近寄ってきていくらで買ったのか聞いてきた。そこでまた買値を正直に言ってはいけない!俺らは40元といったら「じゃあ30元でさらに笛もつけるから買え」と言ってきて、そこで金子が購入。50元で買っちゃった俺は何だったんだ?ちくしょう!
そこからさらに友誼商店へ行くまでの間に、ちょっと遠回りをして秀水自由市場という市を通ってみると、かなり賑わっていて面白い。どうやらここは洋服の市らしく、いろいろブランド物の服とかがあるがそういった物にあまり興味のない俺らは少数民族チックなポーチや財布を購入。10〜20元くらいだったと思う。ここでの値切りでも帰るふりは絶大な効果を発揮した。
友誼商店は、いわゆるお土産と言った物から仏像のような物まで多彩な品物が結構なお値段で売っている。ちゃんとした物がほしいならこういうところに来た方がいいのかもしれないが、俺としては市場や露天のような怪しげなところで買い物をした方が交渉も楽しいし、好きである。平井はここで中国チックな宝剣のレプリカを買っていた。この剣があとで大変な事件を引き起こすのである・・・。
友誼商店を出て、俺らはある計画のために伊勢丹に行くことにした。その計画とは、旅行中さんざん世話になった奈帆ちゃんにお礼をするためにこっそりと納豆を買って、その夜にプレゼントするという壮大な(?)計画であった。何で納豆かというと、あらかじめ食べたい物を聞いたときに「納豆と塩鯖」と言っていたからなんですね。そこで、中国の伊勢丹がどんなもんか見たいとか言う理由で伊勢丹に行き、地下街で吉野屋の牛丼を食べて食品売場でいろいろ買い物をする間に4人のうちの金子がこっそりと一人で納豆を買っておいた。納豆以外にも中国の食べ物をいろいろ買って、思ってたよりも食品売場は楽しいひとときだった。
この日に俺が買った物は、楽器とCD以外にもタイタニックのサントラのテープと、槍炮興攻瑰(ガンズアンドローゼス)のAPPETITE
FOR DISTRUCTIONのテープ、NIRVANAのLive! tonight sold outのVCD。テープは10〜12元、VCDは40元で買った。いずれも正規品である。
その夜、納豆をあげたら泣き虫の奈帆ちゃんはびっくりしてうれし泣きしてた。納豆くらいでこんなに喜んでもらえるとは、こっちも嬉しい限りだね。
夕食は帰りに見つけた宿の近くの食堂で。すごく狭い店だがとてもうまかった。
海賊版CD:10元
第十六日目
今日は奈帆ちゃんが北京にいるうちにストレートパーマをかけたいというので、王府井でみかけた美容院に行くことにした。奈帆ちゃんは北京市の南にある河北省の省都である石家省に住んでいるため、そこでパーマなんてかけたらいったいどういうことになるか分からない!っていうことらしい。中国ではそれほど都会と地方の差が激しいのである。北の方は特にね。
そこで、パーマをかけている間俺らは王府井で買い物をすることにして、二手に分かれて行動した。俺はグーパーの結果幼稚園からの腐れ縁である平井と組み、先ずは交差点にあった茶の店に入り、鉄観音茶を購入。特級で、50グラム40元であった。こうやってみると、茶の方がホテルより高いんだからすごいよね。茶が高いのか、ホテルが安いのか・・・
それから交差点を北に向かうが、どうやら王府井の中心部は南だったらしく、活気がなくなってきた。そこでUターンして南に向かい、デパートなどに入ってみるがやっぱりデパートには俺の求める物がない。活気はあって楽しいんだけどね・・・
それからちょっと脇道にそれて胡麻団子とコーラを買って歩きながら喰う。こういう買い食いとかの時間がすごく楽しい。知らない食べ物ばかりだし、おいしいし。こうやって無駄な時間が過ごせるのも貧乏旅行の特権だろうか・・・そんなことしている間に待ち合わせ時間になったので美容院の前にもどるが、やはり二人はまだ戻ってきていなかった・・・だから現在パーマ中の奈帆ちゃんをガラス張りの店の外から激写したりして待つと、二人が帰ってきた。二人はかなりたくさん買い物をしていて、茶やロイヤルゼリー、水虫の薬などを袋いっぱい買っていた。俺ももっと買えばよかったかな?そうこうしてるうちにパーマも終わり、昼飯を食っていったん前門へ。ホテルへいったん戻って荷物をおいてから夕食を食いに行くことにした。そして前門まで行くと、このへんはレコード屋がいっぱいあって、それを一つ一つ見ながら歩いていたら結局京華飯店まで歩いていってしまった・・・その距離は約7キロ!荷物を持ってよく歩いたもんだ。途中で入ったレコード屋で、涅槃(NIRVANA)のブリーチ(テープ)を見つけた。このアルバムの中国語タイトルはなんと「漂白剤」!!!面白かったので即買った。曲にも全て中国語タイトルが付いていて、面白いのでここにいくつかあげておく。
| BLEW | 吹 |
| ABOUT A GIRL | 一個姑娘 |
| SCHOOL | 流派 |
| LOVE BUZZ | 愛之細語 |
| DOWNER | 鎮定剤 |
宿へ帰って少し休んでから夕食に出かけるのだが、今日の夕食はいつもとはちょっと違う。例によって奈帆ちゃんに内緒で「塩鯖」のほうをごちそうすべくちょっと高級な居酒屋風日本料理屋へとなんだかんだ理由を付けて向かう。素直(単純?)な奈帆ちゃんはまたまたなにも気づかずに俺らの後に付いてきてくれた。2回もだまされてくれてありがとね!
俺らが向かった日本料理屋は、前門から地下鉄で東に一駅の崇文門にある新僑飯店のなかの安具楽。どれくらい高級かというと、焼きおにぎり一皿でいつもの俺らの夕飯の一人分くらいの値段。でも思ったよりこっちでの生活が安く済んでいるので残りの日数を考えれば俺らはリッチマンである。買い物フリークの平井をのぞいて・・・。
海外で日本料理屋に入るのはこれが始めてであるが、日本がどういう風に受けとめられているかよ〜くわかる。店の小姐は何かする旅に「済みません」を連発、「済みません、やきおにぎりです」と言った感じで、たどたどしい日本語もあわせて相当笑えた。店の作りもちょっと和風な中華って感じ。でも以外に料理はおいしくて、鳥の唐揚げや塩鯖、刺身などを食った。そしてビールはキリン。奈帆ちゃんはまたまた感動で泣きながら驚くほどの量をぺろりと平らげ、ビールで腹一杯の俺らは内心注文しすぎたかと思っていたが、いらぬ心配であった。
中国の夜は交通手段がなくなるのが早いので、9時頃にはお開きにして宿に戻る。そこで一つやばいことに気が付いた。「リコンファームしてない・・・!」航空券は搭乗日の三日前までに現地の事務所に予約の再確認をとらなければならないのだ!ちなみに今は36時間前くらい。最悪予約取り消しもあり得る・・・速攻で電話したが当然業務は終了しており、明日の朝を待つことに。日本で航空券を手配したのは俺なので、責任は重大である。最悪の事態を考えると(予約取り消しで日本に戻れない)不安であったが、ちょっとだけ「これでもうちょっとこっちにいられるか?」などと思っている自分もいて、疲れてはいたがなかなか眠れなかった。
第十七日目
朝が来た・・・早速電話すると、あっさりと「当社ではリコンファームの必要はございません」だって。よかった。ユナイテッド航空はリコンファーム必要ないらしい。
今日は実質中国での最終日である。そのため午前中は思い思いに単独行動をして、昼に和平門駅で待ち合わせることにした。とりあえずはみんな前門まではいくのでバスで移動。このバスにも何度も乗ったなぁ・・・いつも前門あたりでケンタッキーそっくりな看板の永和大王という店の看板が見えて、一回入ってみたかったけど結局一回も行かなかった。前門につくと、金子、平井、奈帆はもう一度友誼商店へ行くといって別れ、小川はこの辺で麻雀牌を探すという。俺は今来た道を少し戻って途中にあるレコード屋に行き、それから楽器屋でギターでも買おうと思っていたので途中まで小川と一緒に歩いた。小川とも別れて一人でぶらぶら店を回ったがあまり惹かれる物がない。だから道を一本ずれてみたらそこは市場のようになっていて、にぎやかでよかった。その中に土産物屋のような店があり、入ってみると奥の方に骨董屋のような店がある。そこにあった関羽像は、関林廟で見たときは2000元とかいう値段がついていたのに、ここでは385元で売っている!しかしここで思わず「安い!」と思ってしまったのが俺の失敗であった。交渉の結果220元で購入したのだが、この失敗に気づくのはこの日の午後のことであった。
結局ギターはいいのがなくて代わりに関羽像を買って、待ち合わせ場所に行くがやっぱり誰もいない。結局全員そろうまで30分くらいかかった。それから近くの食堂で昼飯を食うのだが、友誼商店の近くで昼飯を食ったときに食べた小さめの萬頭(マントウ)を半分に切って揚げ、練乳をつけて食べる料理(紹介するの忘れてたけど最高にうまい!)がまた食べたくて頼んだが、店によっては萬頭の大きさが違うので当たり外れがある。直径3センチくらいの奴を半分にしたのがおいしかった。この食堂の便所で大をしている時、ふと前を見ると「大便禁止」と張り紙がしてある。気づいたときには半分くらいでていたので今更引っ込められないし、すっきりしてから水洗のノズルをひねったが水がでない。やばいと思ってそこにあった便所のつまりを直すやつで穴の方に押しやったらよけい広がって、仕方がないので何気なく、しかも素早くみんなをうながして店を離脱した。店の人ごめんなさい。
和平門のそばには骨董品の市である瑠璃廠があり、今日の最後の目的地はここであった。このへんはいかにも映画で見たことがあるような”中国”といった感じの町並みで、夜にはキョンシーが出てきそうである。この道の両側にはそれぞれ露店があって、いろいろ骨董品を売っている。ここで俺はさっき買った関羽像がそこら中に置いてあるのを見た・・・一番奥にある露店のおばちゃんと平井が早速交渉開始、金がないことを必死でアピールすると(事実彼は金がなかったが)104元まで下がってしまった・・・このときはかなり悔しい思いをした。半額だもん。
ここでも焼き芋を買い、宿へ戻るべく前門へ向かう。前門から宿への道を歩くのもこれが最後、と思って羊肉串を食べておいた。みちみち、食料品店で春節の時にたべる団子(ゆでて汁と一緒に食べる)を買い、今夜の夕食の店で作ってもらうことにする。途中からバスに乗った。金子が立ちションした路地も、平井がゲロを吐いた橋も、全てが懐かしかった。
一度宿へ帰り、夕食はこの間の宿の近くの食堂へ。団子をゆでてくれるか頼んでみたら、快く引き受けてくれた。中国へ来て、この種の人情に度々ふれた。本当に嬉しかった。ありがとう。
さて、この団子がまたおいしかった!ゆで汁と一緒に食べるのだが、甘い団子とゆで汁が絶妙のハーモニーを醸し出していた。ビールも飲んだのだが、コップをくれというと茶碗が出てきた。小姐によると、「うちではそれで飲む」だって。
最後の夜は更けてゆき、別れは明日に迫っている。
第十八日目
朝が来た。格安チケットの中でももっとも安い部類に入る航空会社の便のため、出発は早い。しかし全員が呑気者のため、離陸2時間半前にチェックアウト。リムジンバスの乗り場へ向かう。ところがバス乗り場に着くと、離陸時間に間に合うバスはもうでているという。そこでしょうがなく待機していたタクシーに乗る。結局空港に着いたのは離陸30分前であった。すぐにチェックインし、ついに別れの時がやってきた。
みんな何と言っていいかわからなかった。とりあえずみんな、昨日こっそり書いて置いたお礼の手紙を渡す。泣き虫の奈帆ちゃんはもう目を開けていられない。日本での再会を約し、ゲートへ入っていった。
離陸はもう目前、出国審査にはたくさんの人が並んでいる。しかし一つ前に並んでいるカップルが同じ便だということでちょっと安心。無事出国。しかしハプニングはこれで終わりではなかった・・・
手荷物検査を通る。俺らは荷物がバックパック一つのため、全ての荷物は機内に持ち込むことになる。そこで平井が買った例の宝剣が引っかかったのである。先に通った俺が待っていると、平井の手荷物にくっきりとナイフの形をした物が映っている・・・しかも検査官が取り出してみると、タオルや靴下でぐるぐる巻きにしてあり、こっちまで恥ずかしかった。梱包をとって宝剣が出てくると、周りの旅行者も大笑い。しかしこっちは時間が押しているためそれどころではなかった。別室につれて行かれそうになったところ、平井がもうそれはいらないと言ったらスチュワーデスに預けて置くから向こうで受け取れといって預けてくれたが、成田に戻ったときには消えていた。
時間はぎりぎりであったが、たばこだけはしっかり買った。実際に乗り込んだときにはもう時間を過ぎていたんではないだろうか?乗り込むとすぐ出発したし。俺は窓際で、建物の方に奈帆ちゃんが見えないかと探したがむろん見えるわけもなく、中国の大地から離れた。
成田の税関では、例の楽器が引っかかった。なんでもニシキヘビの皮を使ってるらしい。
今回の旅行はこれまでで最高の旅行であった。仲間、食、景色、異国の文化、人情、出会い。どれをとっても最高であった。あの長城で見た空の青さは忘れることが出来ない。
必ずまた行こう。
最後に、中国各地でお世話になった人々、小川、金子、平井、そして奈帆ちゃん、最高の旅をありがとう。