
| 『ぴぴぴぴぴ』けたたましい音が部屋中に響き渡る。 「ん〜〜〜〜〜、あ〜、五月蠅いっ!!」 目覚まし時計の音に不快感を覚えながら布団の中から 手を差し出し、時計を叩く。 「はぁ、ったく目覚まし時計てほんま五月蠅いな。」 と当たり前の事を愚痴りながら布団からのそのそと出てくる。 俺は大阪府内に住む高校1年生。毎日同じ繰り返しの平凡な生活 をしている男である。まぁ毎日に満足しているわけじゃないが、 不満は特に無い。趣味は『ぼー』っとする事。 高校1年、受験を終え、学校が始まってからもう約半年ほどたつ。 はじめの一週間はとても緊張していたが高校は大した事ないな、 と悟ってからは別に普通に中学と同じノリだ。勉強の難易度は 少し上がったが、ついていけないわけでは無かった。 こんな高校生の物語である。 一通り愚痴り終わったあと、身支度をする。シャワーを浴び、 歯を磨き、髪を整え、ご飯を食べる。そして登校。 ただいま10時15分。完全なる遅刻。 少し寒い。マフラーをしっかり首に巻き、自転車にまたがって 道を行く。毎日同じ道を通り、同じ風景を見ながら学校へ行く。 学校に着くとまず職員室へ。そして入室許可証を貰う。 すっかり常連になっている。 これが俺の毎日、日常なのだ。 許可証をもらって職員室を出ようとしたとき、先生が、 「おぃ、今日遅刻指導やからちゃんと放課後生活指導に行くように」 この学校は一月に10回以上遅刻すると遅刻指導がある。 漢字の書き取りや、反省文、まぁ放課後1時間ほど残されるのだ。俺は 「はいはい。」 と慣れた口調で返事をし、教室へむかった。 『き〜んこ〜んか〜んこ〜ん・・・・・』 授業を終えるチャイムが学校中に鳴り響く。教室へ先生とすれ違い入室。 そして自分の席へ向かう。窓際の一番後ろの席。一般にみんなが憧れる席。 俺は見事くじ引きでこの席を手に入れた。着席。そしてうつぶせになる。 はっきり言って学校には寝に来ているようなもの。先生の授業は下手。 自分で勉強した方がかなり効率が良い。だからとりあえず寝る。 休み時間、かなり騒がしい。これもいつもの事なんだが何か違和感を感じた。 俺はふっと、頭を上げてみた。するとそこには見覚えのない背中があった。 (ん?)俺は疑問を感じた。俺の前の席は空いているはず・・・。 前の席主は暴力沙汰で学校を退学になった。だから前の席には誰もいないはず なんだが・・・。俺は不思議に思い顔をのぞき込んでみた。すると・・・そこには 今まで見たことの無いような整った顔立ちの女性が座っていた。 俺はとっさに机に顔を伏せた。 (ん?誰?こんな美人この学校にいたっけ??) 少し混乱気味にしばらく考えこんでいた。 そして時間が過ぎ、気付けば昼休みになっていた。俺はもういちど顔を上げて みる。やっぱりそこには不思議な背中。っと、その背中が動いた。 そして視界に入ってきたのは整った顔をしたショートヘアの女性の顔。 こっちを向いてにこにこ微笑んでいる。そして話しかけてきた。 「おはよ、よく寝るね〜。2時間ずっと寝てたね。」 俺は少し困惑気味で返事ができなかった。すると続けて 「あ、自己紹介していい?」 っと問いかけてきた。俺は小さくうなずいた。 「私の名前は安倍なつみ。えっと、北海道の方から父親の転勤で引っ越してきたの。 今日からあなたのクラスメイトになりました。よろしくねっ」 ん・・・、俺はこのときやっと疑問が解消した。そう、彼女は編入生だったのだ。 俺はすかさず自己紹介を返した。 「ん、俺は窪塚哲也。生まれも育ちも大阪。今日からあなたのクラスメイトになっちゃ いました。」 彼女は嬉しそうにまた口を開けた。 「嬉しいな、何かクラスの人に聞くとあなたってあんまり話さないって言ってたから 少し怖かったんだけど、話しかけてよかった!!よろしくね!!」 ん、そう。俺はあまり人とは関わらないようにしている。って言うかついていけない。 同級生はみな考え方が俺より子供じみている。はっきり言ってみな子供。 だからと言って嫌われているわけではない。みなからの信頼度は一番高いだろう。 ようはクラスの裏リーダーみたいな感じだ。 俺は無表情で返事をした。 「別に話さないわけやないで。話しが合わないだけ。話しかけられたら返事もするし。」 彼女は少し困った顔をして焦って返事を返して来た。 「あっ、ごめんなさい。気分悪くした?」 彼女の必死な顔を見ながら俺は微笑みながら答える。 「いやいや、全然怒ってへんよ。あんまり気つかわんでええし。」 すると彼女はほっとした表情で 「あっ、ありがとぉ、優しいんだね。とりあえずよろしくっ」 そして彼女は席をたった。 綺麗な声、どこか安心する声。初めて聞いたはずなのにどこか懐かしい声。 俺は不思議な感覚に捕らわれながらしばらくの間ぼ〜っとしていた・・・。 続く・・・。 |