あの不思議な子と出会って約1時間。
 ぼ〜としている間に6時間目の授業が終わるチャイム。
 学校が終わった。うっし、家に帰ってゲームでもするかっ。
 と思って帰ろうとした時、教卓からけたたましい声が聞こえた。
「おぃっ、窪塚っ!おまえ今日遅刻指導、ちゃんと行けよ!」
 あっ・・・・・。すっかり忘れていた。と言うより
 忘れていたかった。担任に言われたらしょうがない。
 俺は小さく頷き教室を後にする。そしてその足は
 生活指導室へ。あ〜〜、生活指導の先生は好きじゃない。
 なんたって口が臭い。はっきり言って悪臭だ。
 その先生に延々と1時間位説教されるのだ。はっきり言って
 地獄・・・。なら遅刻するなと言いたい人もいるだろうが
 俺は朝が弱いのだっ。多少我が儘かもしれないが・・・。
 ・・・・・・・・・・・・。1時間経過。上の空で聞いていた。
 実はあの女の子の事を考えていた。安倍なつみさんだったっけ。
 不思議な感覚がまだ残っている。何だろうな。などと考えて
 いると生活指導の先生の話しが終わったらしい。
 俺は反省した時の顔を作って
「すいませんでした。こんどから気を付けます」
 何度言っただろうか・・・。先生も呆れている。俺は鞄を手にして
 生活指導の部屋を出た。そして一直線に下足ホールへ。靴を履き替え
 自転車置き場。ん?まだ誰か残っている。自転車置き場でうろうろ
 している。しかも面倒な事のその子の近くに俺の自転車がある・・・。
 俺は気付かないふりをしながら自分の自転車にしのびよる。
「あっ!!」
 はぁ・・・。やっぱり。と思いながら俺は振り向く。
 するとそこにはあの安倍なつみさんが立っていた。
「えっと・・・、安倍さんやっけ?どないしたん?」
 一応聞いてみる。すると彼女は照れくさそうに答えた。
「自転車の鍵を無くしちゃって・・・。どうしようかと・・・。」
 俺はぷっと吹き出した。すると彼女は少しふくれた顔で
「笑う事ないじゃない。安倍だって無くしたくて無くしたわけじゃ・・」
 俺は笑いをこらえながら彼女の自転車に近づきかぎをあけてあげた。
 俺の得意技の一つ、鍵開け。家の鍵くらいなら1分もかからず空ける事が
 できる。自転車の鍵など朝飯前だ。彼女はきょとんとしている。
 俺はさらに笑いをこらえながら
「ほら、あいたで。これで解決。鍵は無くしたらあかんで。」
 彼女はやはり不思議な顔をしている。俺はその場を立ち去ろうとした。
 早く帰りたかったのだ。すると
「あっ!」
 またかよ・・・。と俺は振り向くと彼女の目には涙がたまっていた。
「ん?何?俺なんかした?」
 っと少しうろたえながら聞いてみた。すると彼女は首を横に振り
「パンクしてるの。歩いて帰らなきゃ・・・。」
 おぃおぃ、少し気の毒になってきた。転校早々こんなトラブルだらけで。
 さすがに泣いている女の子を黙って見過ごす事も出来ない。
 そこまで落ちぶれちゃいない。
「近くの自転車やさんまで一緒にいったるから、もう泣きな。」
 すると彼女はうつむいたままうなずいた。

続く・・・

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