SO SWEET
「ねぇ。職業かいてないよ。なんでサトウエリ20歳女子大生の名刺があるの?」
名刺を読み上げたアイコは顔を上げて准一を見た。
准一はそれがまるでどこかのスーパーのレシートであるかのように、涼しい顔でアイロンを片づけていた。
「一昨日、健クンの友達の合コンに顔出したんや。」
「合コン?」
「仕事終わって、付き合って欲しいとこがあるって言われて、行ったら合コンやった。」
「で、何で名刺があんの?」
「しょうがないじゃん。健クンの友達だし、つきあいだと思って。」
「なにそれ・・・・?ずっと逢えないの我慢してたのに、こういうの見るとムカツク。」
「なんやねん。たかが名刺やろ。」
「・・・サイアク。」
そういってアイコはシャツと名刺をテーブルの上に置くと自分の鞄を持って出ていこうとした。逢えなか
った2週間が、なんだかすごく惨めで淋しかったのにそれをわかってくれていないんだと思えた。そしてな
により久しぶりに逢えたのにこんなことで腹を立てている自分が一番嫌だった。
「待てや。」
アイコの足がサンダルの上で止まった。
「外、まだ雨降ってるで。」
准一に背中を向けたまま、アイコはまだ止まっている。
「俺だって、ずっと逢いたかった。淋しいのは俺も同じやねん。・・・・だけどしょうがないやろ?こうい
う仕事なんやから。名刺だって、それ以上何もないよ。俺も軽率だったけど、友達のつきあいやった、それ
だけやねん。」
「そんなの分かってるよ。」
「久しぶりに逢えたのに、こんな事でケンカするなんてつまらへんよ。・・・・・今日泊まるって、お母さ
んに言ってきたんやろ?」
アイコは不服そうにサンダルから足を離した。部屋に引き返して、ソファに腰掛けた。
「俺、ちょっと熱はかるわ。何か急に、寒気してん」
テレビの音だけがむなしく響く部屋に、准一がそうつぶやいて立ち上がった。
アイコは彼のその言葉を聞いて心配にはなったが、彼女のつまらない意地がソファから立ち上がること
を許さなかった。准一は、新しく買ったばかりの耳で計る体温計を取り出してきて、アイコの隣に腰掛けた。
准一はアイコの肩に頭を乗せて目を閉じて、耳に体温計を当てた。
「ごめん。」
アイコの首に当たる准一の火照った頭が、彼女の耳元でそう呟いた。アイコの中のつまらない意地は、
一瞬で崩れ落ちた。
「もういいよ。」
アイコの言葉と同時くらいに、体温計が音を立てた。
准一の手の中にある体温計は、39.7を表示していた。
「うそ。すごい熱。何でもっと早く気付かないの?」
「え?だって別に・・」
「早く寝なきゃ。」
アイコは准一の答えを待たずに、彼にベッドへ行くよう命じた。准一は言われるままに寝室に行き、ベッ
ドに潜り込んだ。アイコは奥にしまい込まれた毛布を手際よく取り出し、准一が潜った布団の上にかけた。
「まだ寒い?」
「・・ちょっと。」
「やだ・・。電気毛布とかどこやったっけ?」
「そこ。クローゼットの上。」
低くはない身長のアイコでも、クローゼットの上のモノを取るのは容易ではない。沢山の段ボールや本を
重ねてやっと電気毛布を取ったアイコは、一度リビングでそれに掃除機をかけ、准一の布団の中にそれをい
れた。
「熱くなったら言ってね。今度は冷やさなきゃいけないから。それと、何か食べる?」
「・・・・いまはええわ。」
目を覚ました准一がベッドの脇の時計を見ると、すでに15時をまわっていた。外は昨日とはうってかわっ
た晴天だった。部屋を見渡してもアイコの姿はない。昨日の洗濯物は全てアイロンがけが終わってきれいに
たたまれ、ベランダには昨日准一とアイコが着ていた服が風になびいているのがみえた。准一が体を起こし
てそこに落ちたタオルを手に取った。昨日の記憶が夢みたいに甦る。
玄関が開いて、アイコが入ってきた。白いビニール袋が見えた。彼女は買ってきた何かを冷蔵庫にしまっ
て、寝室にやってきた。
「起きたんだ。」
「うん。」
「熱、計ってみなよ。」
そういってアイコは准一に体温計を渡した。
「アイス食べる?」
「うん。」
体温計はすぐに音を立てた。
「何度?」
小さなカップアイスを一つ持ってきたアイコがたずねた。
「37.7」
「まだあるね・・。はい、アイス。」
「ありがと。」
准一は体温計とアイスを交換した。体温計を持ったアイコは、キッチンに戻って何かをしていた。アイス
を食べながら准一はもう一度冷静に考えた。
「雑炊作ったよ。」
そういってアイコは小さな鍋と茶碗を持ってきた。ベッドの横のテーブルにそれを置くと、中からレンゲ
をとりだして茶碗に雑炊をよそった。それを見ていた准一が呟いた。
「ごめん。うみ・・。」
「ホントだよ。」
そういってアイコは准一に茶碗とレンゲを渡した。食べかけのアイスを受け取って、ベッドに寄りかかっ
てそれを食べながらアイコは続けた。
「アタシ日頃の行いがイイから晴れたのに、誰かさん生活がちゃんとしてないから風邪ひいて、
海が消えちゃった。」
「・・・ごめんな」
雑炊を食べながら准一が言った。
「仕事中にそんなことしたら、又自己管理がなってないって怒られるよ。もっと早く気付いてよ。」
「・・ハイ。」
一通り食事を終えた准一は、アイコに茶碗を渡すとき、彼女の瞳の下のくぼみに気が付いた。
「アイコ、昨日ちゃんと寝た?」
「ねたよ。」
准一の視線を避けるように、アイコは笑顔を作ってキッチンに戻っていった。洗い物をするアイコの後ろ
姿を見ていた准一は、彼女がそれを終えるタイミングを見計らって言った。
「俺、寝るわ。」
それを聞いたアイコは寝室にやってきた。
「うん。そのほうがいいよ。タオル、替えてくる。」
そういってアイコが伸ばした手を准一が掴んで言った。
「いいよ。・・・・・一緒に寝よ。」
「何いってんの。風邪うつるよ。」
「風邪はうつしたほうが早くよくなるんだって。」
そういって准一は自分の布団をめくった。アイコは微笑んだ准一の腕に引き寄せられるままに布団の中に
入っていった。アイコを抱きしめる准一の躰は相変わらず熱で火照っていたが、アイコにはそれが不思議と
心地よかった。准一はまだ軋む関節の痛みを感じながら抱きしめたアイコのにおいが心地よいと思えた。一
晩中眠らずに心配していてくれた彼女とずっと一緒に生きていきたいと心の底から思った。
そしてそのまま二人は浅い夢の中に墜ちていった。
*ひとこと*
どうだろ。これ。いいの?っていう感じ。何が言いたかったと言えば、楽しみにしてた行事の前に限って
熱を出すやつ。ぜってーいるんだよ。こういうの。困んだよね。あなた。で、それが仲いい友達だったり
すると最悪。はしゃげないじゃん。自分が。(←さすが自己中)
*いいわけ*
唐突で無理な展開だなと思います。でもしょうがないじゃん。書きたいことを簡潔に、と思ったら簡潔
すぎてこんな強引な展開なっちゃったんだな。他に思いつかなかったんだから仕方なし。残念。諦める
べし。タイトルはコレを書いてる時点では決まってないのでコメント出来ないっす。あしからず。
*裏キャスト*
裏も表もねーんだけど、とりあえず裏。ようは名前をどっから持ってきたかってことね。
- :岡田准一:
- コレは偽りようがない。ご本人様から無断借用。ごめんなさい。
- :アイコ:
- FLIP FLAPって二人組をご存じでしょうか?双子ユニットなんですけど。(なごみ茶のCM
とかにでてるの)それの姉のほう?なぜフルネームじゃないかといえばこのFLIP FLAPが名字を公開して
ないからつけようがないんだわね。でもホントは名字つけたからそのうち公開。(予定。)
- :アユミ:
- これは意味なし。アイコに似てる名前がほしかったから昔の友達の名前を借りて。それには
理由があるんだけどまぁ追々。これも名字がないけどちゃんと付いてるのでそのうち公開。
(予定。またかよ。)
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他のものも読んでくれると嬉しいんだけど、どうでしょう?
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