私は1年目、ARBは26年目ーARB(LIVE "LOCUS" 2004)

     
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(注:このコンテンツでは敬称は略させていただいています)
長かった「ARBへの道」
 ARBの存在を知ったのは1980年代半ばだったと思う。クリスマスに桑田佳祐が中心になって企画されたテレビ特番「メリー・クリスマス・ショー」(詳しくはこちら)に石橋凌が登場、「ARBのボーカリスト」と紹介されているのを見た時だったと思う。いや、ひょっとすると同時期に公開されたアイドルとして全盛期だった小泉今日子主演の映画「ボクの女に手を出すな」で、石橋凌が小泉今日子に相手役に抜擢された時だったかもしれない。 いずれにしても80年代半ば、高校生の時であることは間違いない。とはいえ、邦楽ヒット・チャート人間だった当時の私は、そうやって「ARBというバンドがいるらしい」ということは知ったものの、曲自体は全く聴いたこともなかったし、また、聴ける機会も全くなかった。その後、1987年になるとビートルズに目覚め、以降は洋楽のロックしか受け付けない時代が長く続く。この間、松田優作が亡くなったことをきっかけに石橋が「優作の意志を引き継ぐ」と称して 俳優活動に専念することを宣言、ARBが解散したということも知ってはいたが、私にとっては特に興味をひかれる話題でもなかった。

  だけど90年代半ばになると「洋楽のロックだけでなく、幅広く、いろんな音楽を聴きたい」欲求が強くなり、この時期RCサクセションやシーナ&ザ・ロケッツ、モッズなどのCDも購入、日本のロックも聴きはじめた。その流れの中でARBの初期、初代ギタリスト・田中一郎在籍時代のベスト盤を購入した。そこそこ気に入ってはいた。だけど、独特の男臭すぎる歌詞の世界や、意外と突き抜けたポップな感覚を持ち合わせていない彼らのサウンドなど、正直いえばRCやシナロケ、モッズほどには夢中になれずに、 あまり聴き返すこともなかった。決して嫌いではないタイプのバンドだったにもかかわらず、なぜかあまり聴かなかった、ということで「CD大量売却」を実施した際に売却してしまった。しかし「決して嫌いではなかった」のは事実で、だからこそ「もっと聴いとけばよかったな」と後悔もした。その後、1998年になって、ARBは石橋とドラムのキースという、結成から解散まで在籍し続けた2人のオリジナル・メンバーに、元ミュート・ビートの内藤幸也、元ユニコーンのEBIという2人の若いメンバーを加えて再結成。 その時はネット上でも話題になっていたし、石橋の俳優活動のおかげか、往年より一般レベルでの知名度も上がっていたのだろう、「ミュージック・ステーション」などのミーハーなテレビ番組にも登場するなど、ちょっとした盛り上がり。その頃から「もう1回、ちゃんと聴き直したい」という想いが強くなりはじめた。

  そして2004年、ルースターズにはまって以降の「福岡ロック気分」の中で、俄然彼らのことも気になりはじめる。そんな2004年9月、偶然立ち寄ったBOOK OFFの中古CDコーナーの片隅で、結成から最初の解散までの2枚組ベストCOMPLETE BEST 1978-1990を発見、購入した。家に帰って早速聴いてみる。サウンドはいかにも「福岡ロック」らしい音。とはいえ、ギタリストの交代(田中一郎→斉藤光浩→白浜久)のたびに微妙にサウンドは変化しているし、時代によって石橋の声質も変化している。 にもかかわらず、変わらない「ARB=石橋ならではの美学」のようなものが貫かれているのがこのバンドの特徴。かつて90年代半ばに聴いた時には、その世界を理解できなかったものだけど、逆に年をとったことで、よりその世界が身近に感じられるようになったようだ。反抗の歌、裏通りに生きる人の歌、昭和30年代の日本映画を思わせるような世界が歌い込まれた歌、それらもいいんだけど、それ以上に心に染みたのは「ワーク・ソング」と例えられる彼ら独特の歌。いわば「労働者の歌」という意味だけど、 決して「資本家への反抗」とかを歌うのではなく、フツーの労働者の日常、悲哀、ささやかな楽しみ・・・、そんな庶民的な「心」が歌い込まれているのが彼らの「ワーク・ソング」の特徴。それらの歌詞が「寝る暇もない」ほど忙しかった2004年9月の時点の私の心にリアルに響いてきた。サウンド的にももちろん、もろ「気分」なわけで、思いっきりはまった。そんなわけで私は2004年9月〜10月、この2枚組ベストがへビー・ローテーション盤となった。


ライブは「熱いうち」に体験しよう
 2003年にルースターズに巡り会って以降、すっかり「福岡ロック気分」になった私、巡回するサイトも「福岡ロック系」のサイトが増えた。とはいえ、洋楽ロックと違い、付き合いも短く、知識もないので後ろめたさがあって、それらのサイトを訪れても、特にボードに書き込みをしたり、 管理人の方に連絡をとったりしたことはほとんどない。2004年10月末、そんな「ただ覗いているだけ」の行きつけのサイトのボードに、「ARBの全国ツアーがスタート、初日は11月4日地元・福岡のイムズ・ホール」という情報を得た。へえ、ARBのライブが近日中に福岡であるなんて全然知らなかったぞ。まだリスナー歴2ヶ月程度、 そんな俺にとっては「ライブに参加する」なんてのは、もっと先のことだな。そんな風に思っていた。ところが、その書き込みを見た後に、例の2枚組ベストを聴いていたら気持ちは一転、「ああ、生でライブを体験してみたい」という想いに襲われた。行きたい、でもベスト盤しか持ってないリスナー歴2ヶ月の男がそんなところへ・・・。 気持ちは揺れまくる。リスナー歴半年程度だった昨年のロックン・ロール・ジプシーズの時ですら、「俺のような初心者が」って後ろめたさを感じた私だから、リスナー歴2ヶ月のARBを前にすれば、その後ろめたさは計り知れない。でも、それでも、やっぱり行きたい。その気持ちには勝てず、ネット上でチケットを予約した。

  そして当日。家を出る前に2枚組ベストを聴いて過ごす。気持ちは盛り上がる。だけど今回の「後ろめたさ」は、ロックン・ロール・ジプシーズや大江慎也(UN)の時と比較にならないほど強い。一応福岡市内、会場のある天神には着いたものの、会場の方に足が向かない。 イムズホールは、天神の市街にある商業施設や展示会場がいっぱい入ったIMS(イムズ)というビルの中にある小さなホール。学生時代、ここで開催された就職説明会に出たこともある。開場の19時、とりあえずIMSの建物の中に入ったはいいけど、会場のホールに足が向かない。同じビルの中にある中古CD店で暇つぶし。開演10分前の19時20分、 やっと会場のホールのある9階に向かう。途中でARBのTシャツを着た20代後半くらいの女性(スタッフらしい)とすれ違う。意を決して会場に入る。

  既に開演5分前、観客はほぼ全員会場入りしてしまっていた。イムズホール、やはりあの就職説明会があったのと同じ場所。高い天井、敷き詰められたじゅうたん、隅の花瓶に生けられた花、正直ロックのライブには不似合いな場所だ。同じオールスタンディングで数百人収容の会場なら、ライブ・ハウスの方がよかったような気もするんだけど。 観客の層はロックン・ロール・ジプシーズやUNの時に近く、20代後半〜30代後半、おそらくリアル・タイム=80年代にずっと彼らを追ってきたであろう世代が中心。「後ろめたさ」で押しつぶされそうになる。開演予定時間を5分ほど過ぎた頃、遂にメンバー登場、ステージの中央にはテレビでは俳優としてお馴染み、見覚えのある顔の、あの石橋凌が立っていた。 しかし今日は「ARBのボーカリスト、石橋凌」である。見た目こそお茶の間でお馴染みのあの顔と同じだが、明らかに雰囲気が違う。リスナー歴2ヶ月の私、生ARB初体験である。


                                                        
2004年11月4日イムズホール(福岡市)公演演奏曲目

1.まぶしきコノ世12.はじまりの詩
2.これから・・・13.Lovesome Ryder
3.スケアクロウ14.威風堂々
4.Wave Of Love15.Tokyo Outsider
5.魂のハグ16.喝!
6.独立記念日17.Kaza-Bana
7.迷子のジョー18.魂こがして(以下、アンコール I)
8.Respect The Night19.ダディーズシューズ
9.プレゼント20.反逆のブルースを歌え(以下、アンコール II)
10.Hey War21.Hard-Boiled City
11.プロテスト・ソング22.Loveless Town
     
メンバー石橋凌(vo)
Keith(d)
内藤幸也(g)
EBI(b)

戸惑いの初心者
 会場には「リョーウ」という声援が飛び交う。そんな中、演奏ははじまる。いきなりはじめて聴く曲が3曲も続く。私の買った2枚組ベストはデビュー(78年)から最初の解散(91年)までの代表曲はもちろん、ライブの定番曲も大半が網羅されている。にもかかわらず、3曲とも聴いたことがない。ということは、この3曲はいずれも98年の再結成以降の曲なんだということはすぐに理解できた。 ツアーの初日、しかも地元でのライブということもあってか、石橋は最初からハイテンション。客席に拳を突き上げ、指を突きたててアピール、さらに観客に向かって時に笑顔、時に挑発するような表情も見せる、そしてキースのドラム・キットのハイハットを蹴飛ばしたり、観客の投げ入れたタオルで汗を拭って観客に投げ返したりの、お馴染みのパフォーマンスも登場した。やはり俳優もやっている人だけあって「自分を見せる」ことが上手い人だな。

  さらに3曲歌い終わったところでMC。およそロック・バンドのボーカリストとは思えないような丁寧かつ流暢なしゃべり。「おかげさまでARBも結成25周年を迎えまして・・・」云々。更に続けて「前のツアー(2004年初頭だったらしい)は25周年ということで、ARBの歴史を振り返るものでしたが(ようするに「往年の曲が中心だった」ということだろう)、今回は26年目に突入して最初のツアーということで、最新作KAZA-BANA(2003年発売)からのナンバーを中心にお送り致します」。 会場からは大変な拍手。だけど私は内心、焦りまくり。しまった「予習」してないぞ。そう、私の聴きまくっていた2枚組ベストは、「最初の解散までのベスト」である。98年の再結成以降の曲は全く収録されていない。つまり、再結成以降の曲は1曲も聴いたことがないのである。これはまずい。俺は場違いなところへ来てしまったのではないか!!不安に襲われる。そして次々に演奏される最新作KAZA-BANAからの楽曲、そして再結成以降のナンバー。 私は緊張し切った顔でライブを見守っていた。


知らなくとも、伝わる想い
 数曲歌い終わった後、またも石橋の流暢なMC。「歌には個人的な歌と、メッセージ・ソングがありまして・・・」などと、プロテスト・ソングについて丁寧に説明しはじめる。その後、Hey War、「プロテスト・ソング」という2曲の反戦のメッセージ・ソングを歌った。確かに80年代から、ARBは「反戦の歌」っていっぱい歌ってたけど、こうやって聴くと再結成以降は、より反戦歌が多くなってるのかな、という気がした。 いや、ひょっとすると、意図的にこういう曲を取り上げたのかもしれない。前日の11月3日、アメリカ大統領選で「ブッシュ再選」が決まったばかりだったし、なんとなく無関係には思われない。この2曲もそうだけど、以降の曲も石橋は拳を振り上げ、マイク・ステンドを高く掲げて、観客に大合唱を促した。実際、会場から大合唱が起こる。観客も石橋と一緒に拳を突き上げて歌う。これがARBのライブの特徴のよう。でも、全曲再結成以降の曲ばかりなので歌えない、そんな自分が腹立たしく、なおかつ後ろめたく感じられた。 実際、石橋は歌いながら観客ひとりひとりと目を合わせようとする。それなだけに、自分と目が合いそうになった瞬間に襲われる後ろめたい気持ちといったらない。目が合いそうになるたびに、気まずくなって何度となく目をそらしてしまった。とはいえ「観客ひとりひとりに訴えたい」という気持ちは確かに伝わる。使い古された言い方かもしれないけど、この「一体感」みたいなものもまた、彼らのライブの特徴なのかもしれない。

  なんと、この後も再結成後のナンバーばかり。本当に知っている曲は1曲もない。しかし逆に、演奏されている曲が再結成後のナンバーばかりだからこそ、再結成後に加入した内藤幸也&EBIの2人と、オリジナル・メンバーの石橋&キースの間にも一体感があり、バンドとしてとてもよくまとまっているという印象を持った。「往年のバンドの再結成」の際、「オリジナル・メンバー数人に新たなメンバーを加えて」ということになると、得てして新メンバーは単なるサポート・ミュージシャンと化してしまうのが普通だけど、 ARBの場合はそんなことはない。2人はまるで従来からのメンバーだったかのように完璧に溶け込んでいる。実際、「ギターは田中一郎の方がよかったのに」なんて気持ちには全くならなかった。他の観客も同様のようで、「往年からずっと追って来たファン」と思われる人たちも、内藤とEBIに声援を送っていたし、普通に受け入れているように見えた。

  知らない曲が15曲も続いた後、ようやく16曲目でオリジナル・メンバー期、ごく初期の名曲「喝!」が登場する。でもこの曲、個人的にはそれほど好きではないので、意外とクールに聴いていた。むしろその前に演奏された、はじめて聴く曲であるTokyo Outsiderの方が気に入った。「喝!」に続いて最新アルバムのタイトル曲KAZA-BANAの演奏が終わると、一旦メンバーはステージを去る。


魂こがして&オヤジの靴
  メンバーがステージを去った後、アンコールの拍手とARBコールが巻き起こる。そんな中、メンバー再登場。サポート・キーボード・プレイヤーのたつのすけ(この人のキャラは濃い!)の弾くバラード調のピアノに導かれて石橋が歌い出す。「スポット・ライトは孤独を映し・・・」。 彼らの往年の代表曲「魂こがして」。しかもオリジナル・バージョンと違う、バラード調のイントロ付き。バラード調のまま1コーラス歌い終わった後、転調してオリジナルと同じパンキッシュな演奏に変わる。再結成以降は頻繁にこのアレンジで演奏されているらしいけど、私ははじめて聴いたので新鮮で、純粋に感動した。 ようやく私の気持ちも高揚しはじめる。次第に体が動き出す。石橋はまた、観客ひとりひとりの目を見ながら歌っていたけど、一瞬目が合う。私は拳を突き上げた。さらにここでMC「もう1曲、オヤジの靴の歌」、これに観客が応える「ダディーズ・シューズ」。更に続ける、石橋:「オヤジの靴の歌」。観客:「ダディーズ・シューズ」。 石橋:「そう、ダディーズ・シューズ」。というわけで「ARB楽曲人気投票」を実施すると必ず上位に入るという名曲「ダディーズ・シューズ」の登場。当然、私も知っている曲。軽快なスカ・ビート、味わい深い歌詞を持った名曲。観客全員踊り出す。当然私も。石橋もコサック・ダンスのようなステップ。おそらくこの日、私だけでなく、この場所に居合わせたすべての人が一番盛り上がった瞬間だった。この曲が終わるとまたメンバーがステージを去る。

  再びアンコールの拍手とARBコール。そしてまたメンバー登場。この2回目のアンコールで登場して演奏をはじめる前、石橋が26周年に向けての決意を語り、さらに挨拶「これからもARBをよろしくお願いします」、本当にロック・バンドには珍しい、流暢で丁寧なMCだ。その後、またも再結成後のナンバーが3曲。当然はじめて聴く曲ばかりだったけど、最早「知らない曲云々」という気持ちは吹っ飛んでいたし、 特にHard-Boiled Cityという曲は個人的に気に入った。ラストのLoveless Townの時、石橋はステージの隅から隅まで歩きつつ、観客ひとりひとりの目を見ながら歌っていた。観客との別れを惜しみ、声援への感謝の意を表わすかのように。近くまできた時、私は再び拳を突き上げてこれに応えた。やがて演奏が終わると、比較的あっさりステージを去った。そしてすぐに客電がつく。 足が痛く感じられたのは、単に「立ちっぱなしだったから」のせいではなく、「初心者が」という後ろめたさのせいでもあったのかもしれない。


異例の「再結成バンド」
  結局、今回は石橋の最初のMCの通り「最新作KAZA-BANAからのナンバーを中心」に、再結成以降のレパートリーばかりのライブとなった。よって、ライブ終了後の私は「知らない曲ばかりで、今一つ盛り上がれずに残念」な気分で、なんとなく消化不良気味だった。ただですら「リスナー歴2ヶ月の俺が」ってんで、 遠慮気味に参加していた上、こういう結果になると余計に「俺にはまだ早すぎたなあ」という想いも強くなるというもの。終演後は足早に会場を後にした。

  しかし、周りの他の観客はとても満足そうにしている。今のARBは「再結成バンド」である。普通「再結成バンド」といえば、「全盛期はあくまでも往年=前回の解散よりも前」というのが常。 ARBでいえば、デビューの1978年から最初の解散の1991年までがそれに当たる。つまり私が買ったベスト盤がフォローしている時代のはずである。当然観客が求めるのはその「往年の名曲」のはず。普通の「再結成バンド」ってのはそういうものである。 逆に再結成後の最新作からの曲をやってもあまり盛り上がらない、それも普通の「再結成バンド」のライブによくある光景である。しかし、今回のARBは「喝!」「魂こがして」「ダディーズ・シューズ」の3曲を除いて、再結成後の曲しか演奏していない。 いくら「今回は最新作からの曲が中心」といっても、「Boys And Girls」「Standing On The Street」「ウィスキー&ウォッカ」「After '45」「Tokyo Cityは風だらけ」・・・その他、往年の名曲=普通の「再結成バンド」ならば「お約束」になりそうなナンバーを全く演奏しないライブというのもかなり異例。 ストーンズに例えればJumpin' Jack Flash、Sympathy For The Devil、Brown Sugar、Miss You、Start Me Upなどを一切演らず、STEEL WHEELS以降の曲ばかりで、申し訳程度にSatisfaction、Honky Tonk Women、Tumblin' Diceだけは演奏された、みたいなもの。そう例えればARBを知らない人でも、このライブの構成がいかに異例のものだったかが分かると思う。

  で、ライブ終了後にARB関連サイトの多くを見て、今回のレパートリーのわけと、それでもファンが満足そうにしていた本当の理由が分かった。前回のツアー=今年初めのツアーは、「25周年アニバーサリー・ツアー」ということで、いわゆる「往年の名曲」で埋め尽くされたセット・リストとなったらしい。 普通の「再結成バンド」のファンなら、そういうセットリストは「最も喜ばしいもの」と受け取るところだろう。ところが、ツアー後に寄せられた多くのファンの声は「昔の曲ばかりで、ナツメロ・ショーっぽくって寂しかった」「現役のバンドなんだから、もっと最近の曲を聴かせて欲しい」というものが主流だったという。つまりARBファンは、 ライブで「往年の名曲」よりも、再結成後の最近の曲の方を求めているらしい。本当に「再結成バンド」に対する反応としては異例といえよう。

  そしてARBの方も、その声に応えた。それが今回のツアーのセット・リストに繋がったのだろう。いかにも「ファンと同じ目線で接する」このバンドらしい対応といえる。と同時に、確かに彼らは「再結成バンド」ではあるが、多くの他の「再結成バンド」のように、「往年の名曲を売り物にする『懐かしのバンド』」とは一線を画する存在なんだということを知った。 実際、先に述べた通り、再結成以降に加入した内藤幸也とEBIが、オリジナル・メンバーの2人と溶け込んでいて、バンドとしても最高にまとまっている。今回はじめて聴いた再結成以降の多くのナンバーも、往年の曲と比べて遜色のないものであった。本当にそこらの「再結成バンド」と違い、まだまだ進化し続ける「現役のバンド」であり、なおかつ往年と同様に精力的な活動を続けているバンドなんだなということを思い知らされた。

  それなだけに、往年のベストだけを聴いて彼らを知ったつもりになり、しかもライブで往年の名曲ばかりを聴きたいと思っていた、そんな自分と、「あくまで現役のバンドとしてのARB」を求めていた多くのファンのみなさんや、「現役の姿を見せてやろう」という姿勢でライブに望んだメンバーとの感覚のズレを痛感させられると共に、 「再結成以降のアルバムを1枚も聴かずにライブに参加してしまった」ことを心の底から後悔させられた。ライブ自体は観客ひとりひとりと向き合ってメッセージを叩き付けてくれた、そして「いつになくハイテンションだった」と古くからのファンも述べているほど熱いパフォーマンスを見せてくれた石橋をはじめとしたメンバーのおかげもあって、 熱い上に、なんとなく暖かみも感じられる、そんな最高によい雰囲気のライブだっただけに、「ちゃんと予習もせず、再結成以降の曲を知らなかったがために、なんとなく乗り切れなかった」ことが残念でならない。次回までには再結成後のアルバムももっとちゃんと聴き込んで、彼らへの理解をより深めていたいと思う。ライブの雰囲気自体はとてもよかったので、 「また生で体験したい」という気持ちはとても強いし、次回はちゃんと石橋と目を合わせて、思いっきり盛り上がりたいと思う。

  追記:2006年3月、ARBは石橋凌の脱退と活動休止を発表、「もう一度ライブを体験したい」という私の願いは叶いませんでした。(2006年3月追記)

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