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| 1.Two Of Us | 8.I've Got A Feeling |
| 2.Dig A Pony | 9.One After 909 |
| 3.Across The Universe | 10.The Long And Winding Road |
| 4.I Me Mine | 11.For You Blue |
| 5.Dig It | 12.Get Back |
| 6.Let It Be | |
| 7.Maggie Mae |
| 1970.5.8.(英) | |
| フィル・スペクター | |
| 68.2.4.〜8.(3) 69.1.24〜67.1.31(1,2,5〜12) 70.1.3.(4) 70.4.1.(3,6,10) | |
| ジョージ・マーティン(マラカス:5) ビリー・プレストン(org,ep:2,4〜6,8〜10,12)
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| CP32-5333(東芝EMI)*stereo | |
| 購入時期 | 1987年8月(カセット) 1988年8月頃 |
| 1970年5月8日、既にポールによる「ビートルズ脱退宣言」が出され、事実上の解散後に発売されたラスト・アルバム。しかし、レコーディングは1年以上前の69年の1月に行われており、69年9月に発売されたアルバムABBEY ROADよりも先にレコーディングされているので、
順番を変え、こちらから先にご紹介する。68年のアルバムTHE BEATLESのレコーディングの際、メンバー間の感情的、音楽的対立が表面化。ビートルズは解散の危機を迎えた。そのことに気がついたポールはもう一度ビートルズを立て直すため、オーバー・ダビングなどを
一切行わないライブ感覚のアルバムを作成、そのセッションの模様を同時にカメラに収めた映画を作り、そのラスト・シーンのためのライブも行おうと提案した。こうして69年1月2日から「原点に戻る」という意味も込めてGet Backと名づけられたセッションがはじまった。 だが、トッテナム・スタジオではじまったリハーサルは環境、雰囲気とも最悪で、メンバー間の関係はさらに悪化した。途中、ポールと口論したジョージが「脱退」をほのめかしてセッションを退席するという事件も起こった。このトッテナムでのリハーサル・セッションは1月16日まで 続いたが、散漫な未完成テイクが残っただけで、アルバムの完成とは程遠い結果しか残せなかった。結局1月22日、セッションはアップル本社ビルの地下に新設されたアップル・スタジオに場所を移して再開された。この日からジョージが連れてきた旧知のキーボード・プレイヤー、ビリー・プレストンが参加。 彼のセッション参加でメンバー間の溝が幾分埋まり、音に厚味が増したこともあってセッションは軌道に乗りはじめ、「観客の前でライブを行う」という当初の予定とは違ってしまったが、1月29日の有名なアップルの屋上での「ライブ」も挟んで、セッションは無事1月31日に終了した。 しかし、録音された曲は100曲以上、フィルムの方も膨大な量が残されたこともあり、ともに編集に大変な労力を要することとなった。なお、このセッションで事実上のプロデュースを行ったのは、ジョージ・マーティンではなく、当時はエンジニア、70年代以降プロデューサーとして大成するグリン・ジョンズであった。 マーティンもセッションに居合わせたようだが、彼は特に仕事はしなかったようである。ビートルズの4人はこの作業に一切関わらず、ジョンズに編集を一任。ジョンズは一旦、これをアルバムGET BACKとしてまとめあげており、あとは発売を待つだけというところまでこぎつけた。だが途中、先にABBEY ROADが発売になったこと、 映画の公開に併せてアルバムを発売しようとしたが、フィルムの編集の方はなかなか終わらなかったこと、途中アップルの新経営者に就任したアラン・クラインによって何度も発売が延期されたことなどもあって発売されないままズルズルと時間だけが過ぎ、アルバムGET BACKは「幻のアルバム」となった。その後、70年3月になって ジョンとアラン・クラインは、このセッションのテープをアメリカ人大物プロデューサー、フィル・スペクターに渡して編集を一任。スペクターは得意のオーケストラなどを分厚くオーバー・ダビングさせたアレンジを施し、当初の「原点に戻る」というコンセプトは失われる結果となった。 このような紆余曲折の末、ようやく70年の5月になって発売されたわけだが、発売された時にはビートルズは事実上解散していた。同時期にフィルムは映画Let It Beとして公開されたこともあり、事実上「サントラ」のような形となった。アルバムは「ビートルズ最後のアルバム」になりそうとの噂が広がったことから予約が殺到、全英で8週連続、全米で4週連続1位を記録した。 なお、このセッションでは膨大な数の曲がレコーディングされており、その中にはR&Rのスタンダードのカバーや、各自がソロになってから発表した曲を含む未発表オリジナル作品なども含まれているので、「海賊盤コレクター」にいつの時代も注目され続けており、「ゲット・バック・コレクター」も多く存在するほどである。 |
| ファンの方ならご存知の通り、収録曲を見ると人気の高い曲が多い反面、全体の出来に関しては何かとバッシングされているアルバムである。要因はいくつかあるだろうが、その最大の原因はフィル・スペクターのオーバー・プロデュースにあることは間違いないであろう。
確かに私も「スペクターがビートルズの音源を使って、スペクター自身の作品を作ってしまったアルバム」という印象を持っている。元々スペクターという人は60年代初頭、ロネッツ、クリスタルズなどのお抱えのアーティストを使ってスペクター自身の作品を作って発表していたプロデューサーであった。
つまり、作品の名義はロネッツやクリスタルズになっていても、彼の顔しか見えてこないのである。もちろん、そうやって彼が生み出した作品は文句なく素晴らしいし、一つの歴史を作ってきたのは事実。だけど、それをビートルズでやってしまったということには疑問を感じる。ビートルズの場合、デビュー以来ジョージ・マーティンの
プロデュースで作品を発表してきたわけだが、マーティンという人はスペクターとは全く正反対に、アーティストの個性を尊重して、自らは手助けをするだけというタイプである。そんなマーティンのような「個性を生かす」プロデューサーにプロデュースされてこそビートルズのサウンドは生きてくるのであり、スペクターのようなタイプは
ビートルズには合わなかったのではないか、そう思ってしまう。具体的に言うと、2.:Dig A Ponyのイントロにあったはずのポールとジョージのコーラスをカットしたり、4.:I Me Mineを切り貼りすることで無理矢理長くしたり、10分以上にも及ぶエキサイティングなジャム・ナンバー5:Dig Itを50秒の味気ない曲にしてしまったり、
11.:For You Blueのジョージのアコースティック・ギターをイントロ以外カットしたりという、かなり無理な編集が目立つ。だが、スペクターの仕事で最もバッシングの対象になっているのはAcross The Universe、I Me Mine、Let It Be、The Long And Winding Roadにみられる分厚いオーケストラやコーラス隊のオーバー・ダビングであろう。確かにこれらを聴くと全然「ビートルズ・サウンド」
という感じがしないし、まるでイージー・リスニングのレコードを聴いているような気分にさせられる。特にジョンの名曲3.:Across The Universeとポールの荘厳な10.:The Long And Winding Roadは最悪で、せっかくのよい曲を台無しにしていると思う。どちらも人気、評価とも高い曲だけど、そうしたアレンジがなかったら今現在以上に人気のある曲、絶賛される曲になっていたのではないだろうか。本当に腹立たしい。 だけど意外かもしれないが、実は私、スペクターの仕事すべてを否定する気にはなれないのである。みなさんは海賊盤などで多く出回っているグリン・ジョンズが編集したという幻のアルバムGET BACKをお聴きになったことがあるだろうか? 私はそれを聴いて背筋が凍りそうな気持ちになった。「もしこのまま発売されていたら、ビートルズの評価は大きく変わっていたんじゃないか? それも悪い方に・・・」。 これが第一印象だった。オーケストラなどの音がしないのは嬉しい反面、リハーサルのような散漫なテイクや未完成なテイクが多く収録されており、まるで劣悪な海賊盤か何かを聴いているようだった。こんなアルバムが「ビートルズのラスト・アルバム」として発表されていたら、きっとロック史の中におけるビートルズの評価は次のように変わっていたであろう。「結局ビートルズはGET BACKという まとまりのないアルバムを出して解散。デビュー以来、常にロック界をリードしてきたビートルズも最後には失速したのである」・・・。もちろん、このLET IT BEの評価も芳しいものじゃなかったけど、ビートルズのキャリア全体にまで泥を塗るほどのものじゃなかった。だけど、このGET BACKがそのままの形で発売されていたら、そうなっていた可能性は大だろう。もっとも、このセッションで残されたテイク自体、 使い物にならないものが大半だったようである。その「使い物にならない」ものの中から使えそうなテイクを選んで、発表に値しそうなアルバムにまとめ上げたのは他でもない、スペクターだったのである。確かにビートルズが当初目指していた「原点に戻る」というコンセプトは無視されてしまったが、そうしたことを考えるとスペクターの仕事は評価に値するのではないだろうか。私が彼を評価しているのはその点だけではあるが、もっと見直されてもよいのではないだろうか。 次にビートルズ自身の仕事ぶりを見ると、THE BEATLESのセッションで創作意欲が戻っていたはずのジョンに再び精彩がなくなっている。3.:Across The Universeは68年初頭のシングルLady Madonnaセッションのアウト・テイク、9.:One After 909はデビュー以前の作品。このセッションでは、69年4月に発売されたシングルGet BackのB面に収録されたジョンの作品Don't Let Me Downもレコーディングされたのに、ここには未収録。 この曲がここに収録されていれば印象は違っていたかもしれない。ポールは絶好調でLet It Be、The Long And Winding Road、Get Backなどの後期の代表曲を提供。詞作に変化が見られ、ジョンにビートルズに戻るように呼びかけたものが多いのが目をひく。また、これは意外と見逃されがちだが、ポールのボーカルは大きく変化、それまでのハイトーンなスタイルは影を潜め、全体に太い低音を多用しているのが目立つ。おそらくこれは 当時のロック界に広がっていた「ルーツ・ミュージック」指向とも無縁ではないだろう。Let It Be、The Long And Winding Roadなどはゴスペル的でもある。実際セッション中の会話を収めたテープの中に、ザ・バンドやデラニー&ボニーの話をする4人の会話が残っており、ビートルズもそうした「ルーツ・ミュージック指向」と無縁ではなかったことが分かる。 ということで、スペクターのオーバー・プロデュースのせいでビートルズらしくない部分もあるが、彼の仕事全部を非難する気にはならない。また、収録されている曲自体はそんなに悪くないし、人気の高い曲も多い。個人的には「アップル屋上ライブ」でのテイクが会話を含めてそのまま収録されたDig A Pony(先に述べた通りイントロのコーラスがカットになっているが・・・)、I've Got A Feeling、One After 909の バンドとしての一体感が感じられる演奏が嬉しい。まあ、映画で見た方がより楽しめるけど・・・。という感じで、結構聴きどころも多いのも事実。「名盤」じゃないかもしれないけど、私はそんなに嫌いじゃない。何でも、現在一番売れているビートルズのCDは他でもない、このアルバムらしい。あと、余談ではあるが、以前は海賊盤を買いあさっていた私だが、実はこのGET BACKセッションものは散漫なテイクが多いから 個人的には好きじゃないし、あんまり持ってないです!(笑) |
| A.:作者、Lennon-McCartney作品の場合、大文字の方が実際の作者。カバーソングの場合はオリジナル・シンガー B.:ボーカリスト、カッコ内はコーラス、ハーモニー C.:イギリスでのシングル・ヒット記録。シングルB面曲はその旨記載 D担当楽器ーg:エレキ・ギター(赤字がリード・ギター)、ag:アコースティック・ギター、b:ベース、d:ドラム、 p:ピアノ、org:オルガン、ep:エレキ・ピアノ 曲名の後の得点は私自身の好感度。(100点満点) *なお、名前の記述はJ:ジョン、P:ポール、G:ジョージ、R:リンゴ、GM:ジョージ・マーティン、BP:ビリー・プレストン |
| A.Lennon-McCARTNEY B.P(J) C.ー D.J(ag),P(ag),G(g),R(d) |
| ポールが68年にアップルの新人、モーティマーのために書いた曲。結局モーティマーのバージョンは発表されず、このセッションでビートルズの曲としてレコーディングされることとなった。two of usとはジョンとヨーコのことで、ポールがジョンにビートルズ(home)に戻るように訴えた曲といわれているが、ポールはこれを否定。two of usとは ポールとリンダのことで、二人でドライブした時に思いついた曲だと説明している。どっちが本当なのだろうか? 楽器編成はジョンとポールがアコースティック・ギターを担当。ジョージはエレキ・ギターの低音弦を使用してベースのようなフレーズを弾いている。おそらくポールの提案だろうが、映画ではこのギターを巡ってポールとジョージが口論するシーンが見られ、 これがもとで一時期ジョージはセッションを抜け、ビートルズ脱退をほのめかす事件も起こっている。ポールとジョンのハモリも絶妙で、とても解散間際とは思えないものがある。また、映画ではよりロック色の濃い、アップ・テンポのバージョンも聴くことができる。しかし、冒頭のジョンの意味不明のしゃべりも変に耳に残るところ。これは本来この曲のレコーディング時に発せられたものではなく、 後から繋ぎあわせたものである。 |
| A.LENNON-McCartney B.J(P) C.ー D.J(g),P(b),G(g),R(d),BP(ep) |
| ジョンのナンセンスな詞作の曲。ジョンとしてはサビのall I want is youというヨーコへの想いを表現したかっただけで、残りの歌詞は曲としての体裁を整えるために無理矢理付け足したものと思われる。そのためか映画で見られる「アップル屋上ライブ」のこの曲の演奏シーンでは、ジョンの前に歌詞のカンぺを持った男が座っているのを見ることができる。ここでは、その「アップル屋上ライブ」でのテイクがそのまま収録されている。 ただし、オープニングとエンディングにあったはずのポールとジョージによるall I want is youというコーラスがカットされているのは不満。ただ、演奏が始まる前、ジョンがカウントをとって演奏をはじめようとした時、リンゴが止め(映画で見れば分かるが、たばこを置いている)、ジョージのカウントで改めて演奏をはじめる様子、その後ろでポールが鼻をすすっている音、 演奏終了後、他の3人とビリー・プレストンにthank you,brotherと声をかけているジョンの声、などがそのまま収録されているのは嬉しい。演奏はシンプルで、イントロのフレーズをジョン、ジョージ、ポールがユニゾンで弾いていたり、ソロではクラプトン風、ボーカルのバックではチェット・アトキンス風などと弾き分けているジョージのギターは印象的だ。曲の出来は今一つだが、いかにもバンドらしい演奏には好感が持てる。 |
| A.LENNON-McCartney B.J(コーラス隊) C.ー D.J(ag),P(p),G(タンブーラ,マラカス),R(d)・・・(+ストリングス) |
| ジョンがヨーコに見せられた松尾芭蕉に影響を受けて書いたという叙情的で詩的な歌詞を持った名曲。しかし、マハリシの教えをそのまま歌詞にしたものという説もある。確かに、宗教的な用語が多用されているので、私は「マハリシ説」の方が信憑性が高いと思っている。レコーディングは68年2月にシングルLady Madonnaのセッションで行われたがボツになり、そのテイクは後に69年12月12日に発売された動物愛護のチャリティ・アルバムNO ONE'S GONNA CHANGE OUR WORLDに収録された。ただ、ジョンはこのテイクを気に入っていなかったため、69年1月のGet Backセッションでも 何度か再レコーディングを試みたが、ここでも満足のいくテイクを録音することはできなかった。そこでフィル・スペクターは、その68年に録られたテイクからポールやジョージのコーラスをカットして重厚なオーケストラや女声コーラスをオーバー・ダビング、さらに70年4月1日にリンゴが新たなドラムをダビング(ビートルズのメンバーがビートルズの一員としてレコーディングに臨んだ最後の日となった)このテイクを完成させた。正直、ストリングスの音ばかりが目立ち、しかもまるでイージー・リスニングのような出来になっており、曲自体をぶち壊されてしまったという 想いが強い。曲自体は素晴らしいが、このテイクには好感が持てないので、ここでの好感度は低く採点している。また、テンポもかなり落とされているので、とてもジョンが歌っているとは思えないほど声が変わってしまっている。なお、68年に録音され、NO ONE'S〜に収録されたテイクは現在PAST MASTERS Vol.2に収録されている。しかし、そのテイクも今一つで、せっかくの名曲なのに満足な形のテイクが残せなかったというのは 残念でならない。 |
| A.Harrison B.G(P&G) C.ー D.P(b,p),G(ag,g),R(d),BP(org)・・・(+ストリングス) |
| ジョージがGet Backセッション中、指示ばかりするポールを皮肉った曲。自分とヨーコのばかり主張するジョンを皮肉ったという説もあるが、ポールと考えた方が自然だろう。69年1月のGet Backセッション中に作曲され、リハーサルは行ったもののレコーディングはされず。ということで、レコーディングが行われたのは翌年の1月3日。しかし、当時は既にビートルズは事実上崩壊しており ジョンは不参加。ポールも参加していないと強硬に主張している人もいるが、アビー・ロードのデータではポールは参加していることになっているし、このベースとバック・ボーカルは明らかにポールによるものだからポールは参加していると考えて間違いない。レコーディング当初は1分37秒しかなかったが、後にフィル・スペクターが無理矢理に切り貼りして「リピート」を 1回多くし、さらに曲と不釣り合いなストリングスをダビングしている。また、69年1月に曲ができた当初はワルツであった。そのアレンジによる演奏は映画でも見ることができるが、その演奏に合わせてジョンとヨーコがダンスするシーンが印象的だった。 |
| A.Lennon-McCartney-Starkey-Harrison B.J C.ー D.J(6弦b),P(p),G(g),R(d),GM(マラカス),BP(org) |
| 作者クレジットに4人の名前が記されたビートルズの4人とビリー・プレストン、マーティンによるアドリブ風のジャム・ナンバー。本当は10分以上延々と演奏されたが、ここではフィル・スペクターに編集されてわずか50秒。この曲本来のエキサイティングな魅力は感じられない。映画では4分、海賊盤などでは8分のバージョンを聴くことができた。こんな中途半端な編集をするくらいなら、せめて 4分バージョンを収めて欲しかった。なお、次の曲につながるジョンの語りは、元々は全然違う日に発せられたものである。 |
| A.Lennon-McCARTNEY B.P(J&G) C.ー D.J(6弦b),P(p,マラカス),G(g),R(d),BP(org)・・・(+ストリングス) |
| ビートルズのラスト・シングルとしても知られるポールの名曲。ただし、アルバムより一足先の70年3月6日に発売になったシングルはマーティンがプロデュースしており、ここに収められたフィル・スペクター・プロデュース・バージョンとは別テイク。ベーシック・トラックは同じながら、シングル・バージョンとはリード・ギター、オルガン、ドラムが異なっている他、ここでも大袈裟なホーン・セクションがオーバー・ダビングされ、さらに切り貼りによって「リピート」が一回多くなっている。 個人的にはホーンのせいでジョンとジョージのコーラスがほとんど聞こえないのが不満である反面、ジョージのリード・ギターはこっちの方が好きだから、私はどちらが好きかは選べない。シングル・バージョンは現在CDPAST MASTERS Vol.2に収録されている。歌詞に登場するMother Maryとは、普通に考えれば「聖母マリア」だが、ビートルズ解散の危機に悩んでいたある日、ポールが亡くなった母親・メアリー(Mary)の夢を見て、その夢の中の母の言葉を引用して書き上げたものである。曲調はポールのピアノを中心にした荘厳なバラードだが、ポールのボーカルやビリー・プレストンの オルガンのせいか、クラシカルな印象は薄く、むしろゴスペル・バラード風。「一発録り」が基本のセッションということで、ピアノを弾くポールの代わりにジョンがベースを弾いている。そのわりにポールによるマラカスがダビングされているのは一体・・・。今更説明するまでもない大スタンダードで、ビートルズの代表作ではあるが、私は一時期、ポールのソロ作品のように思えた。でも、ポールがソロで演奏しているのを聞くとやっぱり何かが違う感じがする。ということで、やはりこれはビートルズ・ナンバーだと今は思っている。 |
| A.o:トラディッショナル B.J(P) C.ー D.J(ag),P(ag),G(g),R(d) |
| このセッション中、無数に録音されたアドリブ風のテイクの一つで、この曲はリバプールの船員の間で歌われていた春歌。演奏はTwo Of Usのセッション中に行われたこともあり、楽器編成はそのTwo Of Usと同じ。ジョンもポールもかなりキツいリバプールなまりで歌っているのが面白い。 |
| A.Lennon-McCartney B.P/J(G) C.ー D.J(g),P(b),G(g),R(d)BP(ep) |
| ポールの作った同名曲とジョンの作った未完成曲Everybody Had A Hard Yearの2曲を繋いだ事実上の共作。ジョンとポールがそれぞれ、自分の作ったパートでボーカルをとり、最後には2つのフレーズが重なる、という展開はビートルズの全作品中、唯一この曲でのみ見られるスタイル。ポールの太い低音ボーカルが印象的で、その分ポールのカラーの方が色濃く出ている。本当にポールのボーカルは素晴らしい。 録音は「アップル屋上ライブ」で行われ、そのテイクが手を加えずにここに収められた。イントロから入ってくるリフがジョンのギターで、チョーキングを多用した荒々しいフレーズがジョージによるもの。特に、ブレイク部分に入る上下するフレーズが印象的で、映画で見られるリハーサルのシーンでは、ポールがジョンに弾き方を指示するシーンが入っていたので、「ジョンが弾いている」という説もあるが、 ここでは間違いなくジョージが担当している。鍵盤を転がすようなビリーのキーボードも印象的で、これまでのビートルズには見られなかったフレーズ。このアルバムにはビートルズの「代表曲」「人気曲」が多く収録されているが、この曲は見過ごされがち。だけど、私にとってはこの曲がベスト・テイク。なお、ジョンがアドリブで歌うOoh! My Soulがエンディングで聴かれる。また、歌詞に出るwet dreamを 歌詞カードでは「夢見て泣く」と訳されているが、これは「夢精する」と訳すのが正しい。 |
| A.LENNON-McCartney B.J(P) C.ー D.J(g),P(b),G(g),R(d),BP(ep) |
| ジョンがデビュー以前の57,8年頃に書いたという作品。63年のシングルFrom Me To Youのセッションで録音されたがボツに・・・(そのテイクはCDANTHOLOGY 1に収録)。他にも海賊盤で60年のスチュのいた頃のクオリーメンのホーム・レコーディング、62年のキャバーン・リハーサルなどでも聴くことができた初期の頃の定番レパートリーであった。 このセッションの「原点に戻る」というコンセプトのもと、ここでレコーディングされたのである。この曲も「アップル屋上ライブ」のテイクが使われており、前の曲と続けて演奏された。デビュー当初や以前のテイクと比べると、演奏自体にドライブ感がなく、ジョンのボーカルが弱くてポールのハモリの方が目立つのも難点。ジョージもよいソロを弾いているが、 当日のアップルの屋上が寒かったせいか、指の動きがスムーズではない。そんな中、目立つのがビリー・プレストンで、彼の弾く泥臭いフレーズが初期のビートルズのテイクにはなかったスワンプ・ロックっぽい息吹を吹き込んでいる。それに「ライブ感覚」が感じられる演奏ぶりは好感が持てるところだ。演奏終了後、ジョンはここではDanny Boyを口ずさんでいる。 |
| A.Lennon-McCARTNEY B.P(コーラス隊) C.ー D.J(6弦b),P(p),G(g,ag),R(d),BP(org) |
| ポールのバラードの名曲。ポールがジョンにビートルズに戻って欲しいと訴えた曲でもある。もともとはポールの荘厳なピアノ、ビリーのゴスペル風のオルガン、ジョージのレズリーのスピーカーを通したギターを中心としたゴスペル風のピアノ・バラードとしてレコーディングされていた。しかし、後にフィル・スペクターの手によって分厚いストリングスとコーラス隊が オーバー・ダビングされ、全く趣の違うイージー・リスニング風のバラードにされてしまい、曲がぶち壊されている。実際、ポールはこのテイクを聴いて激怒、彼が「ビートルズ脱退宣言」を出す原因の一つだったといわれている。残念ながら、ジョンのベースや70年4月1日にダビングされたリンゴのドラムを除いて、ビートルズの演奏はほとんど聞こえない。このテイクに不満を持ったポールは ウイングス、ソロを通じて何度か再レコーディングしたが、ブラスを加えたりシンセを加えたりしており、正直、成功しているとは思えない。現在ではANTHOLOGY 3に、ストリングスがダビングされていないテイクが聴け、このテイクがこの曲の「ベスト・テイク」だと思う。なお、アメリカでのみ「ラスト・シングル」としてシングル・カットされてNo.1ヒットとなっている。個人的にはあまり得意でない曲だったが、 90年のポール来日時にこの曲を生で聴いた時、不覚にもこみ上げてくるものを感じてしまった。以降、絶対に外せない曲となった。 |
| A.Harrison B.G C.ー D.J(steelg),P(p),G(ag),R(d) |
| ジョージ作の小粋なカントリー・ブルース。当時のジョージはザ・バンドなどのルーツ・ミュージックにはまっており、その影響も感じられる。ベースは入っておらず、ポールはピアノを担当。おそらく、弦の上に物を置いて弾いているものと思われる。ジョンは珍しくスティール・ギターを担当。 お世辞にも上手いとはいえないが、こんなところにもルーツ・ミュージックへの接近が感じられる。ジョージのギターはイントロ以外カットされているが、そのスペクターの意図が全く分からない。なお、冒頭のジョンのセリフは別の日に録られたものである。 |
| A.Lennon-McCARTNEY B.P(J) C.ー D.J(g),P(b),G(g),R(d),BP(ep) |
| 本来、アルバムGET BACKのタイトル・チューンになるはずだったポールの作品。一足先の69年4月にシングルとして発売されていたが、そちらはマーティンのプロデュース。ということで、ここに収められたのは別バージョン。ベーシック・トラックは同じだが、ここではラストのリピートをカット、冒頭にジョンとポールのしゃべりや替え歌を入れ、 エンディングに映画のラスト・シーンでのポールによるリンゴの妻・モーリンへの感謝の挨拶とジョンの「オーディションに合格できたかな」の語りを付け加えている。詞作はこれもポールがジョンにビートルズに戻るように訴えたもので、Jo-Joはジョン、Loretta Marthinはヨーコのことだといわれている。曲調は一見、ポールらしいポップなロックン・ロールだが、泥臭い演奏ぶりにはスワンプ・ロック的な色も・・・。 その雰囲気を盛り上げているのはビリーのキーボード。ギター・ソロはジョンが弾いており、スライドっぽいフレーズにもアメリカ南部的なエッセンスが感じられる。リンゴのドラミングも地味ながらメリハリのあるものである。なお、この曲のシングル・バージョンはPAST MASTERS Vol.2に収録されている。 |
*アルバム・トータルの好感度 80
*:1998年12月11日UP
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