THE BEATLES ALBUM GUIDE

(13)ABBEY ROAD

      
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(1)データ
収録曲
     
1.Come Together7.Here Comes The Sun
2.Something8.Because
3.Maxwell's Silver Hammer9.You Never Give Me Your Money
4.Oh! Darling10.Sun King
5.Octpus's Garden11.Mean Mr.Musterd
6.I Want You[She's So Heavy]12.Polythene Pam
 13.She Came In Through
   The Bathroom Window
 14.Golden Slumbers
 15.Carry That Weight
 16.The End
 17.Her Majesty
      

  

 

 

 

      
発売日1969.9.26.(英)
プロデューサージョージ・マーティン
レコーディング69.2.22.(6)
69.4.18〜5.6.(2,4〜6,9)
69.7.9.〜8.15.(1〜17)
参加ミュージシャンジョージ・マーティン(オルガン、ピアノ、エレキ・ハープシコード)
ビリー・プレストン(オルガン:2,6)
手持ちのCDCP32-5332(東芝EMI)*stereo
購入時期1987年11月


(2)解説
   ビートルズのラスト・レコーディング・アルバム。ラスト・アルバムはLET IT BEということになっているが、レコーディングはこちらの方が後のため、事実上こちらがラスト・アルバムと考えて間違いないだろう。もう一度ビートルズを立て直すことを目的に行われた 69年1月のGet Backセッションも、かえってメンバー間の関係を悪化させる結果に終わり、芳しい結果をもたらすことはできなかった。しかし、どうしてももう一度セッションを行って完璧なアルバムを作りたいと願ったポールは、他のメンバーやマーティンに呼びかけ、さらにTHE BEATLESのセッション中にポールと揉めて飛び出したエンジニア、ジェフ・エメリックを呼び戻し、 レコーディングが行われることとなった。こうして再び4人揃ってスタジオに入り、集中的なセッションによって生み出されたのがこのアルバムであった。

  もちろん既にビートルズは崩壊状態にあり、途中ジョンが交通事故で入院するというアクシデントがあったりで、メンバー間のこのレコーディングにかける情熱に差はあったものの、「最後に完璧なものを作りたい」という4人の熱意もあって、久々に隙のない大作に仕上がった。 特にB面における未完成曲を繋ぎあわせたメドレーが圧巻で「これだけでSGT.PEPPERSをも凌ぐ」と絶賛された。全世界で1500万枚以上を売上げ、全英19週連続1位、全米ではトータル11週1位に君臨。SGT.PEPPERSと並ぶ「ビートルズの代表作」といわれている。アルバム・タイトルは 当初「エヴェレスト」になる予定であったが後に変更。アビー・ロード・スタジオ前の横断歩道で撮影されたジャケットも有名で、模倣されることも多く、また横断歩道は観光名所と化した。また、このジャケットでポールが裸足であることなどを根拠にした「ポール・マッカートニー死亡説」も 起こるなど、多くの話題も提供した。

(3)☆TAKEの独断と偏見
   「ビートルズの最高傑作は何?」と聞かれれば、私は迷わずこのアルバムを上げるだろう。それはSGT.PEPPERSよりもはるかに上だという意味である。その辺に関してはSGT.PEPPERSの項を参照して頂くとして、ある意味「コンセプト」を最後まで貫くことができず、 曲と曲との繋がりが稀薄な印象のSGT.PEPPERSよりも、こちらの方がよっぽど「トータル・アルバム」的な色が濃く、構成、展開ともに全く隙がない。ちょっとシンフォニックなサウンドは「ビートルズ独自解釈のプログレ」(あくまで「独自解釈の」という範囲)という印象も持つ。

  だけどこのアルバム、一歩間違うと幻のGET BACK同様、大失敗作に終わりかねない危険をはらんでいたのも事実だろう。B面のメドレーは「珠玉のメドレー」などと称されており、構成、展開とも申し分のないものだ。だけど1曲ずつ取り出してみると、 未完成で中途半端な作品ばかり。特にジョンの3曲、10〜12は、彼の本来の能力の5分くらいの力しか発揮されていない印象を受ける。そうした未完成で中途半端な曲を寄せ集めて繋ぎ、見事なメドレーに仕上げたのはポールとマーティンの2人である。 他の3人は関わっていない。それを考えると、2人のこの仕事ぶりは本当に素晴らしいものである。それもこれも、「もう一度ビートルズとして完璧な作品を作りたい」というポールとマーティン、特にポールのビートルズに対する情熱があればこそ成し遂げられた偉業であろう。 解散前後の一見、独善的とも見られるポールの言動は何かとバッシングの対象になっているが、もっと評価されて然るべきではないか。ポールのこの功績があればこそ、このアルバムは「名盤」になったのだし、ビートルズは「有終の美」を飾ることができたのだから・・・。

  それに対し、ジョンの「顔」がほとんど見えてこない。確かにセッション中、交通事故で入院して欠席するというアクシデントがあったとはいえ、不参加の曲が多すぎるし、提供している作品で彼らしい輝きの感じられるのが1.:Come Togetherの1曲のみというのは あまりにも寂しい。既にソロ活動を開始していたせいもあるかもしれないが、残念に思われる。逆に頑張りが目立つのはジョージだ。作品こそSomething、Here Comes The Sunの2曲しか提供していないが、この2曲ともジョージのビートルズ、ソロを通じた代表曲である。 さらに、当時シンセのインストによるソロ・アルバムを発表するなどシンセに興味を持っていたジョージは、この「ラスト・レコーディング・アルバム」にしてはじめてビートルズにシンセを導入しているのも注目に値する。さらに、エリック・クラプトンとの交流によってギタリストとしての成長ぶりがめざましく、 私はジョージがギタリストとして完成したのは、このビートルズ解散間際だったのではないかと思う。このように、ジョンが目立たない分、余計にジョージが目立って見えるのである。

  このように見ると、「最後に4人が力を合わせ・・・」という世間での評価には、私は疑問を感じる。ジョンにポールやジョージほどの熱意が感じられないからである。だけど、想いの強さに差こそあれ「もう一度ビートルズとして完璧な作品を作りたい」という気持ちが4人にあったことは 間違いない。ポールは「これで終わりだとは思わなかった」と言っているが、4人とも「ひょっとすると終わりかも・・・」という気持ちはあったのではないか? だからこそ、メンバーの関係は最悪であってもこれだけの作品を生み出すことができたのだと私は思う。結局、4人ともビートルズが 好きだったということだろう。一方で「これだけのアルバムが作れるなら、もっと続けられていたはず」という人もいるが、私はそれには賛成できない。このアルバムは「これで終わり」という気持ちがあればこそ、追い込まれていたからこそ生み出せたいわゆる「火事場の馬鹿力」のようなものだと思う。 あのままダラダラ、険悪なままでバンドを続けても、これまでの自らの「神話」に泥を塗るだけだったであろう。だから、辛いことだが「解散」は正しい選択だったと私は思う。

  個人的にはこのアルバム、とても神聖なものを聴くような思いで接してしまう。よって、めったに聴くことはないが、とても大事にしているアルバムである。もう一つ、このアルバムのセッションは69年7月から本格的にはじまっているが、なぜか一部の曲は2月、4月、5月に作業が始まっている。このセッションが 何のために行われたのか疑問である。もう一つこの時期、HOT AS A SUNというアルバムが作られたが、マスター・テープが盗まれて未発表に終わったという噂があった。最近では「この話はデマだった」ということになっているが、本当に断言してもよいのだろうか? メンバーにとって都合の悪いことがあったから、歴史から抹殺した可能性だってあるんじゃないか。 この断続的に続いていたセッションのことを思うと、「デマだ」と断言するのは短絡的すぎると私は思う。


(4)独断と偏見の全曲紹介
*このコーナーの見方
A.:作者、Lennon-McCartney作品の場合、大文字の方が実際の作者。カバーソングの場合はオリジナル・シンガー
B.:ボーカリスト、カッコ内はコーラス、ハーモニー
C.:イギリスでのシングル・ヒット記録。シングルB面曲はその旨記載
D担当楽器ーg:エレキ・ギター(赤字がリード・ギター)、ag:アコースティック・ギター、b:ベース、d:ドラム、 p:ピアノ、org:オルガン、ep:エレキ・ピアノ、syn:シンセ
曲名の後の得点は私自身の好感度。(100点満点)

*なお、名前の記述はJ:ジョン、P:ポール、G:ジョージ、R:リンゴ、GM:ジョージ・マーティン、BP:ビリー・プレストン

1.Come Together     100
 A.LENNON-McCartney  B.J(P)  C.両A面シングル(69.10.31.発売:全英4位、全米1位)   D.J(g,ep,タンバリン),P(b),G(g),R(d,マラカス)
  ジョンがチャック・ベリーの代表曲You Can't Catch Meをパクったファンキーなナンバー。後にベリーの曲の著作権管理者に訴えられて裁判にまで発展したが、ジョンが75年のアルバムROCKN' ROLLの中でYou Can't Catch Meをカバーすることで決着を見た。詞作は久々にナンセンスで難解なもので、エロティックな雰囲気も漂う一方、 ロックン・ローラーを皮肉ったような部分もあるので、自らを皮肉った曲だと私は解釈している。サウンド面で前面に出ているのはポールのベースで、このフレーズが曲全体のイメージを決定づけていると言ってよい。ポールのハモリはあまりうまくいっておらず、後に「もうジョンとはハモれなかった」とコメントしていた。なお、「シュッ」というジョンの声が入っているが、これは 最初shoot meと歌っていたが、後からmeを消したものだということである。CDの歌詞カードにfunny fingerとあるが、これは誤記で正しくはmonkey finger。ジョンにとってはお気に入りの曲のようで、72年の「ワン・トゥ・ワン・コンサート」でも演奏された。なお、アメリカで次のSomethingとの両A面でシングル・カット。その後、イギリスや世界中で 同じシングルが発売。アメリカ仕様のシングルがイギリスで発売された最初で最後のケースとなった。

2.Something    90
A.Harrison  B.G(P&G)  C.両A面シングル(69.10.31.発売:全英4位、全米1位)   D.J(p,g),P(b),G(g),R(d),BP(org)・・・(+ストリングス)
  ジョージが妻・パティに捧げたといわれるバラードの名曲でジョージの最高傑作といわれる作品。両A面とはいえ、はじめてジョージの作品がシングル・カットされたケースとなった。ジョンはギターとピアノを弾いたが、ともに消されている。特にギターに関してはジョンのリズム・ギターの上からジョージが新しいギターをダビングしており、ジョージのビートルズにおける 地位が向上したことを物語っている。そのジョージによるレズリー・スピーカーを通したリード・ギターが素晴らしく、エリック・クラプトンにも絶賛された名演である。よって、「リード・ギターはクラプトン」説もあるが、それはとんでもない間違いである。間奏でそのギター・ソロに絡みつくようなフレーズを聞かせるポールのベースも見事。ジョージの作品になると張り切るポールの姿勢は 最後まで変わらなかった。オルガンはビリー・プレストン。ジョン説もあるが、ビリーがこの曲でオルガンを弾いたと発言しているので、彼のプレイと考えて間違いないだろう。ハモリはほとんどジョージ一人のようだが、サビの最高音部はポールっぽいので、ポールもバック・ボーカルで参加しているようだ。個人的には91年のジョージの来日公演で、まるで焦らすかのような長いギター・ソロに続いて この曲がはじまった瞬間、卒倒しそうになったことを昨日のように思い出す。

3.Maxwell's Silver Hammer    70
 A.Lennon-McCARTNEY  B.P(P&G)  C.ー   D.J(org),P(b,p,syn),G(g,syn,ag),R(d,金床),GM(org)
  いかにもポールらしいポップなナンバーで69年1月のGet Backセッション中に作られており、映画Let It Beでも演奏シーンを見ることができた。しかし、そのポップで能天気な曲調に似合わず、歌詞は物騒で意味深。このハンマーを使って殺人を続けるMaxwellをポール、殺されるインテリ女学生Joanをヨーコに見立てることもでき、そう考えると余計に物騒な気がするのは私だけか? Joanはジョンではないかという人もおり、ジョンもそう思っていたようで、この曲を嫌っていた。レコーディングはジョンの入院中に行われたため不参加だと思いきや、後からオルガンをダビングしている。ただし、その上からさらにマーティンが新しいオルガンをダビングしているので、またしてもジョンの「顔」が見えない。シンセの音が複数入っており、ジョージ説、ポール説とあるが、 いろんな音が入っているので2人で弾いたと勝手に解釈した。リンゴの叩く金床の音も印象的。

4.Oh! Darling      100
 A.Lennon-McCARTNEY  B.P(J,P&G)  C.ー   D.J(p),P(b,org),G(g),R(d,タンバリン)
  ポール作の50年代ソウル風ナンバー。この曲もまたGet Backセッションで作られたもので、映画Let It Beでも演奏シーンを見ることができた。歌詞は一見ラブ・ソングのようだが、ポールのジョンに対するメッセージのように思われる。楽器編成は謎が多く、ピアノ、オルガンともジョン説、ポール説があり判断に困る。一応典型的なコード弾きなので、ピアノをジョンとしたが、 自信は全くない。とにかくポールの太く、ソウルフルなボーカルに尽きる曲だが、ポールはこの曲を歌うために、ボーカル録りの日、早くからスタジオ入りして喉を潰してレコーディングに臨んだという。後にジョンは「むしろ僕が歌った方が上手く歌える」と言っていた。確かにジョン向きの曲であり、ジョンが歌っていれば75年のアルバムROCKN' ROLL収録のAin't That A Shameのような 仕上がりになっていたのではないかと思う。でも、ジョンはジョンで、ポールはポールで違うカラーがあり、ここでのポールのボーカルが素晴らしいのは事実だから、ポールが歌って正解だろう。

5.Octpus's Garden    90
 A.Starkey  B.R(P,G&R)  C.ー   D.J(g),P(b,p),G(g),R(d)
  THE BEATLES収録のDon't Pass Me Byに続くリンゴの単独作品でジョージが手伝っている。この曲の作曲の様子は映画Let It Beでも見ることができる。まるでYellow Submarineの姉妹品ともいえそうな歌詞と雰囲気を持った曲で、テンションの高い曲が揃ったこのアルバムの中で、よいアクセントになっている。しかし、リンゴによると「ゴタゴタ続きで海にでも潜ってしまいたかった」気持ちを歌ったものらしく、そんなに能天気な歌ではなさそうだ。ジョージの弾むようなギター・ソロ、ジョンのアルペジオという2本のギターの絡みもよい。 ストローでコップの水を吹いたりというSEも多様。ハモリはリンゴ自身、バック・ボーカルはポールとジョージで、ジョンはボーカル・パートには参加しておらず、またもジョンの影が薄いのが残念だ。

6.I Want You [She's So Heavy]      80
 A.LENNON-McCartney  B.J(P&G)  C.ー   D.J(g),P(b),G(g,syn),R(d),BP(org)
  ヘビーなサウンドとあまりにもシンプルな歌詞を持ったジョンの作品。その歌詞の単純さ故、発表当時バッシングされたようだが、ジョンがヨーコの影響で自分の感情をストレートに表現するようになった結果生まれた作品といえ、こうした作風は70年のジョンの初の本格的ソロ・アルバムJOHN LENNON/PLASTIC ONO BAND での彼の作風に繋がっている。ジョンのボーカルも感情むき出しで、最後のシャウトはR&R的なものではない、「魂の底からの叫び」といった感じの壮絶さである。このアルバムのセッション中、ジョンはこの曲にかかりっきりで、特にギターを何度もオーバー・ダビング。ジョージの弾いたものも入っているが、大半はジョンによるもの。 抑えたトーンのソロや、ボーカルのバックでボーカルと同じフレーズを弾くプレイはジョン独特のもの。これも、以降のジョンのソロ作品に見られるようになるプレイである。ポール、リンゴもヘビーなプレイを聞かせており、ポールのヴェンチャーズ風のフレーズも耳に残る。オルガンはビリー・プレストン。エンディングで延々展開される フレーズはテープ・ループによるもので、そこに被っているノイズはジョージがシンセで作ったもの。突然切れてしまうエンディングも衝撃的だが、このジョンの試みはA面、B面のないCDの時代になって意味がなくなってしまったのは残念。

7.Here Comes The Sun      80
 A.Harrison  B.G(G)  C.ー   D.P(b),G(ag,g,syn),R(d)・・・(+ストリングス)
  ジョージの代表作の一つ。ジョージがアップルに関する煩わしい会議をサボってエリック・クラプトンの家に寄り、庭でくつろいだ、その時の気持ちをストレートに歌ったものである。リード・ギターは12弦っぽい音だが、実はアンプに繋いだアコースティック・ギター。ボーカル・パートと同じメロディを弾くシンセもジョージのプレイ。 ハモリもジョージ自身。ミドルのコーラスはメンバー全員によるという説もあるが、私の耳にはすべてジョージの声に聞こえる。ということで、演奏、ボーカルともほとんどジョージの独り舞台である。作風も典型的な「ビートルズ・サウンド」と違っており、ジョージが自らの作風を完成の域にまで高めているのが分かる。ジョンは不参加。

8.Because      60
 A.LENNON-McCartney  B.J,P&G  C.ー   D.J(g),P(b),G(syn),GM(エレクトリック・ハープシコード)
  ジョンがヨーコがピアノで弾いていたベートーベンの「月光」を聴き、それを逆に弾いてもらって、そのフレーズを使って作った曲。よってジョンには珍しいクラシカルな作品である。そのためか後年、ジョンはこの曲を嫌っていた。This BoyYes It Isの続編とも言えそうな3声コーラス・ナンバーで、 最初から終わりまで、全編3人のコーラスからなる。3人で何度か歌ってダビングしたらしく、このコーラスは複雑で再現が難しい。イントロから入ってくるのがマーティンによるエレクトリック・ハープシコードで、直後に同じフレーズで入ってくるのがジョンのギター。サビに登場するのがジョージのシンセである。 リンゴは不参加だが、この曲のレコーディング用にハイハットを刻む音を録音、ボーカル録りの際、ジョン、ポール、ジョージはその音に合わせて歌ったという。

9.You Never Give Me Your Money    80
 A.Lennon-McCARTNEY  B.P(J,P&G)  C.ー  D.J(g),P(b,p,g),G(g),R(d,タンバリン),GM(p)
  ポールがアップルの財政難に悩んだ気持ちをストレートに書いたメドレー形式の曲。曲の構成を見ると、おそらくジョンのHappiness Is A Warm Gunに影響を受けたものと思われる。やたらギターが多くダビングされ、どれが誰によるものかはっきりしないほどだが、一応、ジョン、ポール、ジョージの3人で弾いたものと思われる。 ただ、大半がポールによるものだろう。バック・ボーカルやコーラスもほとんどポールの声のようだが、エンディングのone two three four〜の部分のみ、ジョンとジョージも参加していると思う。ピアノはポールで、途中で登場するホンキー・トンク調のピアノもポールといわれ、誰も異論を唱えないが、私にはどうしてもマーティンのように思われる。 なお、CDの歌詞カードに誤りがあるので訂正しておく。(誤)”One sweet dream,It's you,today”→(正)”One sweet dream,came true,today”。また、ポールはチャイムの音と虫の声のテープを使い、次の曲と繋いでいる。

10.Sun King      70
 A.LENNON-McCartney  B.J(P&G)  C.ー   D.J(g,org),P(b),G(g),R(d,ボンゴ,マラカス)
  ここから「メドレー」に入り、まずこの曲から13.までが最初の「メドレー」となる。この曲は当時大ヒットしていたフリートウッド・マックのAlbatrossを皮肉って書いたジョンの作品。スペイン民謡「ロス・パラノイアス」にインスパイアされたという説もある。実際、スペイン語っぽい歌詞も登場するが、これはジョンがスペイン語やポルトガル語の単語を適当に並べたものだということで、CDの歌詞カード、ちょっと怪しい。 ジョン、ポール、ジョージの3部のコーラスは8.を、曲のタイトルや歌詞は7.を思わせる。演奏はとても静かでジョンがアルペジオのギター、ジョージが低音のフレーズを弾いている。

11.Mean Mr. Masterd      60
 A.LENNON-McCartney  B.J(P)  C.ー   D.J(g,p),P(b),G(g),R(d,タンバリン)
  前の曲からはじまった「メドレー」の中の1曲。ジョンが68年のインド滞在中に冗談半分に書いた曲でGet Backセッションでも演奏された。ジョンとすれば発表の意思のない、書き捨ての曲だったようで歌詞も奇妙。ジョンによると、紙幣を(鼻の穴ではなく)女性の「アソコ」に隠していた男の新聞記事を読み、 それをヒントに書き上げたそうである。演奏はピアノ中心でジョンが担当。ジョンはギターも弾いていたが、消されていて聞こえない。最も目立つのはポールのベース。この曲の中で次の曲の主人公Polythene Pamも登場している。

12.Polythene Pam      60
 A.LENNON-McCartny  B.J(P&G)  C.ー   D.J(ag,マラカス),P(b,カウベル,g),G(g),R(d,タンバリン)
  「メドレー」の1曲で、これもジョンがインドで書いた曲。前の曲で登場した架空の女の曲だが、キャバーン時代の追っかけのファンの一人をモデルにしたという説もある。それを反映してか、ジョンはきついリバプールなまりで歌っている。演奏の方はジョンの力強いアコースティック・ギターとジョージのリード・ギターの掛け合いが印象的。パーカッション類も多用、 曲自体は書き捨てっぽいが、ノリのよさは感じる。次の曲との繋ぎの部分のギター・ソロはポール、という説もあるが、リズムをずらしたようなフレーズはジョージ独特のものなので、ジョージによるものと考えてよいだろう。そのソロの後に短い低音弦によるギターのフレーズも登場するので、ポールが弾いたのはそのギターではないだろうか。しかし、ジョンのビートルズ時代の「ラスト・ナンバー」がこの曲というのは寂しすぎる。

13.She Came In Through The Bathroom Window    60
 A.Lennon-McCARTNEY  B.P(J&G)  C.ー   D.J(ag),P(b),G(g),R(d,タンバリン)
  最初の「メドレー」の最後の曲。ポールの作品で、難解な歌詞のためにいろいろな憶測を呼んだ。「窓から入ってきた女」は、ジョンとポールの間に入ってきたヨーコのことだという説が根強かったが、ジョンはリンダのことだと言っていた。だが、本当は当時ポールの家に風呂場の窓から忍び込んだファンがいたそうで、ポールがそのことを 歌った曲だったようだ。レコーディングは前の曲と一緒に行われているので、楽器編成は同じでジョンとジョージのギターのパターンも同じ。ただ、鞭で叩くような音が入っており、これが何の音かは不明だ。

14.Golden Slambers      100
 A.Lennon-McCARTNEY  B.P  C.ー   D.P(p),G(b),R(d)・・・(+ストリングス)
  ラストの「メドレー」の1曲目。ポールが腹違いの妹ルースに見せられたピアノの本に載っていた16世紀に作られたGolden Slambers Kiss Your Eyesという曲にヒントを得て書いた曲。一部の歌詞はこの曲とほぼ同じである。だが「家に帰る」というフレーズが登場、ビートルズについて 書かれた詞であろう。ただ「かつて道があった」と過去形になっているあたり、ポールも無意識のうちに「解散」を悟っていたかのようである。演奏はポールのピアノとマーティンのストリングス中心でシンプル。だが、本当に「最後」だというのにジョンは不参加。ベースはジョージが担当。 ポールの振り絞るようなボーカルには胸を締めつけられそうになる。

15.Carry That Weight      100
 A.Lennon-McCARTNEY  B.P(G&R)  C.ー   D.P(p,g),G(g,b),R(d,ティンパニー)・・・(+ストリングス)
  前曲からのメドレーの1曲。ポールの作品で途中、9.のフレーズも登場、アルバムに統一感を持たせることに成功している。歌詞は前曲に続いて重苦しく、ビートルズの解散に関するもの。特に「君はこれからその重荷を背負っていくんだ」というフレーズは、 ポールが他の3人のメンバーだけじゃなく、自分自身にも呼びかけているかのようだ。レコーディングはまたもジョンは不参加。boy〜以下の部分は、4人のコーラスという説、ポール1人の多重録音という説があるが、ポール、ジョージ、リンゴの3人によるものと考えてよいのではないか。 一番よく聞こえるのはリンゴの低音だしポール1人ということはなかろう。ただし、I never give〜のパートは、ポール1人の多重録音だろう。ベースはジョージ、リード・ギターはポールだが、次の曲との繋ぎのギターはレズリーのスピーカーを通したような音なので、勝手にジョージだと判断した。 このメドレー、90年ポールの来日公演で聴いたが、ピースサインを掲げて笑顔で「その重荷を・・・」というヘビーなフレーズを歌うポールを見てホッとする反面、「いいのか」と思ったというのも事実だ。

16.The End      100
 A.Lennon-McCARTNEY  B.P(J,P&G)  C.ー   D.J(g),P(b,p,g),G(g),R(d)・・・(+ストリングス)
  4人で顔を合わせてレコーディングされた最後の曲で、ポールの作品。同時にこの「メドレー」、このアルバム、そしてビートルズの最後を飾る曲。最初に入ってくるギターはポール。短いポールの歌の後、リンゴのドラム・ソロ、ジョン、ポール、ジョージによるコーラスが入り、次にポール、ジョージ、ジョンの順で3回 ギター・ソロが展開される。掻き鳴らすようなギターはすぐにジョンだと分かるが、ポールとジョージは区別がつきにくい。私もポール、ジョージの順で間違いないと思うが、ポールの90年来日公演でこのメドレーが演奏された時、最後から2番目のジョージが弾いているはずのフレーズをポールが弾いたことが気になる。 単にポールがジョージのプレイをコピーしただけだろうが、「ひょっとするとジョージ、ポール、ジョンの順なのか?」という気もしてしまう。ギター・バトルの後、ポール1人の多重録音によるボーカル・パートが登場。この部分の歌詞は、ポールの書いた歌詞の中でもベストのものの一つと言われる。 しかし、CDの歌詞カードにyou make your loveという、歌われてない1行が書かれているのが不可解。また、訳も「奪う愛は生み出す愛に等しい」とあるけれど、「受け取る愛は生み出す愛に等しい」と訳す方が適当だと思う。「愛した分だけ愛される」という意味のフレーズだから「奪う」と言ってしまうと微妙なニュアンスが違ってしまう。この部分のリード・ギターはジョージ、リズム・ギターはジョンのようだ。本当に「最後」を飾るにふさわしい曲だが、 最後の「メドレー」の3曲がすべてポールの作品でジョンの顔が見えないのが寂しい。

17.Her Majesty      50
 A.Lennon-McCARTNEY  B.P  C.ー   D.P(ag)
  前の曲が終わってしばらくしてはじまるポールの小作。LP時代はノー・クレジットだったという。ポール一人の弾き語りで、「女王陛下は美しい、でも、シラフでは口説けない」と、イギリス王室を痛烈に皮肉った曲である。なお、オープニングの「ジャ〜ン!」という音はMean Mr.Masterdの1音である。ポールは一度、ここに発表された順番と全く違う曲順で、 メドレーを完成させていた。その時、Mean Mr.Masterdの次がこの曲で、その順番に一度、繋ぎあわせていた。しかし、これを気に入らなかったポールは、もう一度切り離して新たなメドレーを作ったわけだが、その時切る場所を誤ってMean Mr.Masterdのエンディングの1音をこの曲の頭に残してしまい、 同時に最後の1音を切り落としてしまったのである。さらにこの曲も本来捨ててしまうつもりだったから、特に直されることもなかったのである。

   アルバム・トータルの好感度     100

                                                                   *:1998年12月11日UP


      
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