THE BEATLES ALBUM GUIDE

(番外編)

(4)LIVE AT THE STAR-CLUB
IN HAMBURG GERMANY; 1962

      
トップへ
トップ・ページに戻る
リストへ
前のページに戻る

(1)データ
収録曲
1.Introduction、2.I'm Gonna Sit Right Down And Cry [ Over You ]、3.I Saw Her Standing There、4.Roll Over Beethoven、5.Hippy Hippy Shake、 6.Sweet Little Sixteen、7.Lend Me Your Comb、8.Your Feets Too Big、9.Twist And Shout、10.Mr. Moonlight、11.A Taste Of Honey(蜜の味)、 12.Besame Mucho、13.Reminiscing、14.Kansas City〜Hey Hey Hey Hey、15.Where Have You Been All My Life、16.Hully Gully、17.Till There Was You、18.Nothin' Shakin'、19.To Know Her Is To Love Her(会ったとたんに一目ぼれ)、 20.Little Queenie、21.Falling In Love Again、22.Ask Me Why、23.Be-Bop-A-Lula、24.Hallelujah I Love Her So、25.Sheila、 26.Red Sail In The Sunset(夕陽に赤い帆)、27.Everbody's Trying To Be My Baby(みんないい子)、28.Matchbox、29.I'm Talking About You、30.Shimmy Shake、31.Long Tall Sally(のっぽのサリー)、32.I Remember You       

 

      
発売日1977.5.7.(旧西独)
手持ちのCD38CP-44(テイチク)*stereo
購入時期1988年暮れ頃?


(2)解説
   ビートルズはデビュー以前の60年からデビュー直後の62年12月までの間に、計5回のハンブルク巡業を行っている。このうち62年12月に行われたスター・クラブでのライブは、リバプールのバンド、ドミノスのメンバー、テッド・テイラーの依頼でエイドリアン・バーバーが録音していた。当時のビートルズはレコード・デビューこそ果たしていたものの、全くの無名であり 発表を目的とした録音というわけではなく、あくまでもテッド・テイラー個人が楽しむために録音されたものであった。ところが、70年代になって突然この音源を「ビートルズの未発表音源」として発表しようという動きが出始めた。そして77年4月、旧西ドイツのベラフォン・レーベルから発売されたのである。しかし、ビートルズ・サイドに印税が一切入らないことや、当人たちが全く知らないところで録られた音源を勝手に発売されたことに激怒したビートルズ・サイド、特にジョージが猛抗議して 裁判沙汰にまで発展した。だが、結局ビートルズ側が敗訴したことから、77年5月にイギリス、日本など世界中で発売されるに至った。つまり、ビートルズ・サイドとは一切関係のない、いち個人が所有していた音源が公式盤として発売されるという異例の自体となったのである。その後、この「ハンブルクもの」の音源は、収録曲を微妙に変えただけのアルバムや、61年のトニー・シェリダンとのセッションのテイクと組み合わせたものなど、劣悪な編集盤が乱発される自体となった。

  その後CD時代になって、再びビートルズ側が提訴。長い訴訟の間も多くの編集盤が出回っていたが、結局ビートルズ側の勝訴を受けて「ハンブルクもの」のテイクを含むアルバムはすべて廃盤となった。97年には再び「ハンブルクもの」の決定版的なアルバムの発売が発表されたものの、再びビートルズ側が提訴、勝訴したことを受けて直前になって発売中止。現在ではハンブルクもののアルバムは一切市場には出回っておらず、また、ビートルズ側のかたくなな態度を見ると今後、 「ハンブルクもの」のアルバムが公式盤として出回る可能性はゼロに近いといわれている。

  ということで、かつては東芝EMIの公式録音盤と同じくらい手に入りやすく、マニア以外の初心者にもお馴染みだった「ハンブルクもの」ではあるが、現在では全く出回っていない。よって、最近のファンにとっては全く馴染みのないものかもしれないが、中古盤店などに行けば今でも稀に目にすることがある。ここに紹介したアルバムは、その以前出回っていた「ハンブルクもの」の中では最も多くのテイクが収められて「完全盤」と称して発売されていたものである。しかしこれは本当は完全盤ではなく、未発表音源としてRed Hot、Love Me Doの他、いくつかの曲の別テイクも海賊盤などで発掘されている。また、このライブ盤の録られたステージは 1962年12月31日とされていたが、その後の調査で62年12月25日〜31日のうちの3ステージからのテイクを寄せ集めたものであることが明らかになった。さらに、ここに収められている16.:Hully Gullyの他、海賊盤で発掘されたいくつかの未発表テイクは、実はビートルズ以外のバンドの演奏であることも明らかになっている。

(後記):2000年5月24日、突然Walters Recordsなる怪しげなレーベルから公式盤として「ハンブルクもの」のアルバムが登場。おそらく、例の訴訟の結果を無視して発表されたものと思われ、今後、また訴訟などに発展しそうな気配。また、24曲しか収録されておらず、私に言わせればここにご紹介した「完全盤」に勝る内容とは思えない。よって、まだ私は「中古盤店を回って完全盤を探した方がいいよ」と言いたいところだけど、「ハンブルクものは一切持ってない」という方は「回収」になる前に購入しておいた方がよいかも、という気もしないでもない。いずれにしても、今後の動向に注目したいところ。(2000年5月27日)

(3)☆TAKEの独断と偏見
   私がはじめて「ハンブルクもの」の存在を知ったのは、トニー・シェリダン・セッションのテイクと「ハンブルクもの」のテイクのいくつかを寄せ集めた編集盤ROCK-A-BILLY BEATLESというアルバムを手にした時だった。既にビートルズの全アルバムを手に入れていたはずなのに、はじめて目にする曲満載のこのアルバムを目撃して本当に驚いたものである。海賊盤でもないし・・・。その後も同様の編集盤を多く手に入れたが、やがて「ハンブルクものを極めたい」と思って手に入れたのがここにご紹介したアルバムであった。 つまり私は、それほど「ハンブルクもの」が好きだった。しかし実は「ハンブルクもの」はビートルズ・ファンの間では大変評判が悪い。ビートルズ・サイドの反対を押しきって強引に発売されたことがその最大の理由だろう。また、当時はまだ性能の悪かった家庭用のテープ・レコーダーで、いわゆる「オーディエンス録音」されたものだから、ボーカルがはるか彼方で聞こえるなど音の悪さは並ではない。もう一つ、 当時のビートルズは既にLove Me Doを発表済みのレコーディング・アーティストであり、「ドサ回り」的な要素の強い巡業に既に意欲をなくしていたのか、かなり荒っぽくて雑な演奏ぶりが目立つのも評判の悪い理由かもしれない。

  だが、私はそれでも好きである。私が「ハンブルクもの」が好きな理由は、その演奏ぶりである。先に述べた通り「荒すぎる」という評価は当然かもしれない。でも、私は逆にそこが好きなのである。演奏の「上手い、下手」も気にせずに、 若さと勢いにまかせて突っ走る演奏ぶりは、後のパンク・バンドをも思わせるものがある。ハンブルクでは酒や薬の力を借りて、客と殴り合ったり、罵り合ったりしながらの破天荒なステージを行ったというエピソードがある。デビュー後の彼らはエプスタインの影響下に置かれて、実に礼儀正しいステージを行っていたわけで、そうした彼らからは想像のつかない光景である。だけど、ここでの荒々しい演奏ぶりを聴くと、そうした破天荒なステージが目に浮かぶようである。つまり、このステージが行われたのは確かにレコード・デビュー後だけど、 ここには紛れもないデビュー以前のビートルズの姿がある。その姿が垣間見えるというだけでも、「ハンブルクもの」を聴く価値は十分あるのではないだろうか。演奏の「上手い、下手」よりももっと大事なものが確かにここにある。

  先にも述べたように、この音源の発売阻止に最も熱心だったのはジョージだったという。金銭や権利に関して最も神経質なジョージだから当然といえなくもないが、ジョージがこの音源の発売を阻止したかったもう一つの理由は、彼自身のギターのせいだといわれている。確かに、ジョージのギターはミスが多く、演奏が荒く感じられる原因の一つになっているといえなくもない。だけど、1人、とてもよい演奏をしているメンバーがいる。それはリンゴである。ここで聴けるリンゴの力強くヘビーなドラミングは、デビュー後のどのテイクよりも凄いといえなくもない。 特にI'm Gonna Sit〜、Shimmy Shake、Long Tall Sallyあたりのパワーには圧倒されるし、27.:Everybady's Trying To〜のエンディングのアドリブのセンスも、「ビートルズより先にリバプールで人気のあったバンド」のメンバーだったということを再認識させるには十分。まだ加入して間もなく、Love Me Doのレコーディングではドラムの座を奪われるなどしてきたリンゴが、何とかバンドに馴染もうと頑張っている様子が目に浮かぶようである。演奏に触れた以上、ボーカルについても触れなければいけないところだが、残念ながら録音状態が悪いためにどの曲もボーカル・パートは遥か彼方にしか聞こえず、ボーカルやコーラス・ワークを楽しむのには無理がありそうだ。

  ということで、いわくつきの音源。もう公式発売はされないかもしれない音源。もちろん、ビートルズ側の意思を無視して発売されたものだから、メンバーの怒りはもっともだし、発売中止は当然の処分であろう。だけど、デビュー以前のビートルズを知ることのできる貴重な音源が姿を消してしまったのはちょっと残念である。なお、ANTHOLOGY 1には当然のことながら「ハンブルクもの」のテイクは1曲も選ばれなかった。にもかかわらず、AnthologyのビデオのBGMとして、同ライブの未発表音源Red Hotが使われていたのはどういうことだろう。メンバーが毛嫌いしている「ハンブルクもの」、 しかもそこからの未発表テイクを使う・・・。本当に裁判に持ち込んでまで「ハンブルクもの」の発売を阻止するほど嫌ってるの? ちょっと解せない。


(4)独断と偏見の全曲紹介
*このコーナーの見方
A.:作者、Lennon-McCartney作品の場合、大文字の方が実際の作者。カバーソングの場合はオリジナル・シンガー
B.:ボーカリスト、カッコ内はコーラス、ハーモニー
C.:公式曲は収録されているCD、未発表曲はその旨記述

*なお、名前の記述はJ:ジョン、P:ポール、G:ジョージ、R:リンゴ

1.Introduction

2.I'm Gonna Sit Right Down And Cry [ Over You ]
 A.o:ロイ・ハミルトン  B.J&P  C.未発表曲
  BBCセッションでも演奏されてLIVE AT THE BBCにも収録されていたエルヴィスのレパートリー。ここでの演奏はそのBBCでの演奏以上にヘビーで、特にリンゴのドラムが強烈。このアルバムの収録曲でも1、2を争う出来である。

3.I Saw Her Standing There
 A.Lennon-McCARTNEY  B.P(J)  C.PLEASE PLEASE ME
  ご存知PLEASE PLEASE MEにも収録されていたポールの作品。デビュー以前からの重要なレパートリーだったが、ここではベースとリズム・ギターのフレーズが微妙に違うため、どことなく雰囲気が異なる。ポールのボーカルもエルヴィスのもの真似っぽくて、まだボーカリストとしてスタイルを模索中であることが分かる。 なお、ギター・ソロがないが、これは後でカットされたもの。おそらく、ここで思いっきりトチってるのではないかと想像できる。

4.Roll Over Beethoven
 A.o:チャック・ベリー  B.G(J&P)  C.WITH THE BEATLES
  セカンド・アルバムWITH THE BEATLESにも収録されたジョージの歌うチャック・ベリー・ナンバー。しかし、ポップにアレンジされていた公式テイクと違って、かなり速いテンポで疾走するような演奏ぶりで、好感が持てる。ただし、ジョージのギターはミスが多く、特にイントロのミスを本人も嫌っているらしい。 その一方、ギター・ソロは公式テイクよりも長い。また、エンディング付近には公式テイクにはないジョンとポールのコーラスも入っているが、これはデビュー以降のライブでもたびたび聴かれた。

5.Hippy Hippy Shake
 A.o:チャン・ロメロ  B.P  C.未発表曲
  LIVE AT THE BBCにも収録されていた無名のアーティストのカバー。ここでの演奏はBBCのテイクをはるかに上回る出来で、この曲をヒットさせたスウィンギング・ブルージーンズのテイクにも勝るとも劣らないものがある。

6.Sweet Little Sixteen
 A.o:チャック・ベリー  B.J  C.未発表曲
  これもLIVE AT THE BBCにも収録されていたジョンの歌うチャック・ベリー・ナンバー。

7.Lend Me Your Comb
 A.o:カール・パーキンス  B.J&G/P  C.未発表曲
  カール・パーキンスのカバーで、前半はジョンとジョージのダブル・ボーカル、サビはポールのソロ・ボーカルという珍しいスタイルで演奏されている。なお、この曲はBBCセッションでもレコーディングされたが、LIVE AT THE BBCには収録されず。ただし、そのBBCセッションでのテイクは後にANTHOLOGY 1に収録されて陽の目を見た。

8.Your Feets Too Big
 A.o:ファッツ・ウォーラー  B.P(J&G)  C.未発表曲
  ジャズ・アーティストのファッツ・ウォーラーが戦前に発表したスタンダード・ナンバー。例によってスタンダード好きのポールが歌っている。しかし、ハーフ・スポークン気味のパートがあったり、エルヴィス風の声で歌ったりしているせいか、意外とR&B的な仕上がりなので違和感はない。 また、どことなくポールのセカンド・ソロRAMに収録されていたSmile Awayに似ているのも興味深い。

9.Twist And Shout
 A.o:アイズレー・ブラザーズ  B.J(P&G)  C.PLEASE PLEASE ME
  PLEASE PLEASE MEに収録されたアイズレー・ブラザーズのカバーで、ビートルズのライブの定番曲としても有名。ここでは、いきなりコーラスから入る変則的なバージョンで演奏されている。観客の大歓声からも、既にビートルズのライブの定番だったということが分かる。

10.Mr. Moonlight
 A.o:ドクター・フィールグッド&インターンズ  B.J(P&G)  C.BEATLES FOR SALE
  後にアルバムBEATLES FOR SALEに収録されることになる曲。しかし、イントロにジョンのシャウトを入れたり、アフリカン・ドラムやオルガンをフューチャーするなどのアレンジを施したアルバム・バージョンと異なり、ここではシンプルなギター中心の演奏。テンポも早めである。イントロのジョンのシャウトがないのは寂しいけど、個人的にはこっちのアレンジの方が好きである。

11.A Taste Of Honey(蜜の味)
 A.o:レニー・ウェルチ  B.P(J&G)  C.PLEASE PLEASE ME
  アルバムPLEASE PLEASE MEにも収録されるスタンダード・ナンバー。しかし、この手の曲はやはり観客の受けも悪いようで、観客による雑談がはっきりと聞こえる。また、ジョンもポールの曲紹介や、演奏中もふざけて声を上げている。気持ちは分かるが・・・(笑)。

12.Besame Mucho
 A.o:ジミー・ドーシー楽団  B.P(J&G)  C.未発表曲
  戦前にメキシコ人の作曲家によって書かれたスタンダード。ビートルズの本来のイメージとかけ離れた曲ではあるが、62年1月のデッカ・オーディション、6月のパーロフォンでのオーディション(ANTHOLOGY 1に収録)などでも演奏されており、当時のビートルズの重要なレパートリーであった。実際、ここでもポールがSpecial Request Cha-cha-chaと紹介していることから、 観客のリクエストに応えて演奏しているのが分かる。つまり、観客にとっても「ビートルズのお馴染みのレパートリー」だったということであろう。まあ、個人的には・・・(笑)。

13.Reminiscing
 A.o:バディ・ホリー  B.G  C.未発表曲
  バディ・ホリーのカバーで、ボーカルはジョージ。バディ・ホリーは59年に飛行機事故で若くして亡くなっているが、彼の死後も多くの未発表曲がシングル・カットされてヒットしており、この曲もそうした曲で、作者はキング・カーティス。

14.Kansa City〜Hey, Hey, Hey, Hey
 A.o:リトル・リチャード  B.P(J&G)  C.BEATLES FOR SALE
  後にBEATLES FOR SALEに収録されることになるリトル・リチャードのカバー。しかし、公式テイクにあったカントリー色は薄く、R&R色の濃い演奏である。

15.Where Have You Been
 A.o:アーサー・アレキサンダー  B.J(P&G)  C.未発表曲
  ジョンのお気に入りのR&Bシンガー、アーサー・アレキサンダーのナンバー。アレキサンダーの曲ではいつもよいボーカルを聴かせてくれるジョンだが、ここではノイズがひどくてボーカル・パートが他のテイクにも増して聞きとりづらい。それが残念でならないところ。

16.Hully Gully
 オリンピックスのカバー。このテイクは当初「ビートルズの演奏」として発掘されたが、100%ビートルズの演奏ではないと断言できる。サックスが入っているし、ギターがジョージよりも流暢、ドラムがリンゴにしてはパワー不足。そして、ボーカルをとっているのもポールという説が一部にあったが、 どう聞いてもビートルズのメンバーの声ではない。ウエイターのホルスト・オーベルという説もあったが、彼の声とも違うようだ。おそらく、スター・クラブに出演していた他のバンドの演奏だろうが、ひょっとすると、後に大出世したアーティストが加わってるのではないかという推測も・・・。

17.Till There Was You
 A.o:アニタ・ブライアント  B.P  C.WITH THE BEATLES
  アルバムWITH THE BEATLESにも収録されたスタンダード・ナンバーのカバー。後にライブの定番になる曲でもあるが、まだ自分たちのものにできていないのか、かなり間延びした演奏。観客の反応も悪く、ジョンが歌を復唱するなど、ここでもふざけているのが聞きとれる。

18.Nothin' Shakin'
 A.o:エディ・フォンティン  B.G  C.未発表曲
  BBCセッションでも録音されてLIVE AT THE BBCにも収録されていたジョージのレパートリー。BBCのテイクより数段ヘビーなアレンジで、特にリンゴのドラムにそれが顕著である。

19.To Know Her Is To Love Her(会ったとたんに一目ぼれ)
 A.o:テディ・ベアーズ  B.J(P&G)  C.未発表曲
  フィル・スペクターが在籍していたコーラス・グループ、テディ・ベアーズのカバーで、LIVE AT THE BBCや62年1月のデッカ・オーディションでも取り上げていたことでお馴染み。しかし、こうしたメロウな曲は、ボーカル・パートの聞きとりづらいこのアルバムで聴くにはちょっと苦しい。演奏自体は悪くないんだけど・・・。

20.Little Queenie
 A.o:チャック・ベリー  B.P  C.未発表曲
  ストーンズもライブ・アルバムGET YER YA-YA'S OUT!でカバーしていたチャック・ベリー・ナンバー。しかし、チャック・ベリーのカバーには珍しく、ポールがボーカルをとっている。チャック・ベリー・ナンバーをエルヴィス風に歌うポールのボーカルは異色だが、なかなか悪くない。また、なぜかジョンのリズム・ギターの音がやたら大きいようだが、 粗削りで力強い、なかなか魅力的なものである。

21.Falling In Love Again
 A.o:マレーネ・ディートリッヒ  B.P(J)  C.未発表曲
  戦前のドイツ人女優、マレーネ・ディートリッヒのカバー。「なぜこんな曲を?」と思ってしまうが、ドイツ人の観客へのサービスの意味で取り上げたらしい。しかし、ロックを聴きにきていた観客はこの曲を知らなかったようで、むしろ逆に盛り下がっているのが分かる。 しかし、ジョージのギターは悪くない。

22.Ask Me Why
 A.LENNON-McCartney  B.J(P&G)  C.PLEASE PLEASE ME
  セカンド・シングルPlease Please MeのB面として発表後、アルバムPLEASE PLEASE MEにも収録されたジョンの作品。そのバージョンは既に62年11月20日にレコーディングを済ませていたので、この演奏は公式レコーディング後に行われたことになる。I can't believeなどの歌詞を誰かが復唱しているのが聞こえるが、この声の主は誰なのだろうか? リンゴのような気もするが・・・。

23.Be-Bop-A-Lula
 A.o:ジーン・ヴィンセント  B.ホルスト・オーベル  C.未発表曲
  ロカビリー・シンガー、ジーン・ヴィンセントの代表曲。普段はジョンがボーカルをとっていたらしいが、ここでボーカルをとるのはスター・クラブのウエイター、ホルスト・オーベル。大歓声を浴びているが、このような「飛び入り」があるというのもこの時期ならでは。なお、ジョンは75年のアルバムROCKN' ROLLで、 ポールは91年のUNPLUGGEDでカバーしている。

24.Hallelujah I Love Her So
 A.o:レイ・チャールズ  B.ホルスト・オーベル  C.未発表曲
  オリジナルはレイ・チャールズで、エディ・コクランのカバーも知られるR&Bのスタンダード。ここでもボーカルはホルスト・オーベルだが、普段はポールが歌っていた。実際、60年のクオリーメンのホーム・レコーディングではポールが歌っており、そのバージョンはANTHOLOGY 1に収録されている。

25.Sheila
 A.o:トミー・ロウ  B.G  C.未発表曲
  ポップ・シンガー、トミー・ロウのカバーで、ボーカルはジョージ。トミー・ロウは63年のイギリス・ツアーで、オープニング・アクトとしてビートルズを起用、結果的にビートルズに食われてしまったというエピソードでも知られている(詳細はこちら)。

26.Red In The Sunset(夕陽に赤い帆)
 A.o:レイ・ノーブル楽団  B.P  C.未発表曲
  戦前に作られたスタンダード・ナンバーだが、ファッツ・ドミノやジョー・ターナーもカバーしているので、ビートルズは彼らを通じてこの曲を知ったのだろう。実際、演奏、ボーカルともR&R色が濃く、言われなければスタンダード・ナンバーだとは気づかない。

27.Everybody's Trying To Be My Baby(みんないい子)
 A.o:カール・パーキンス  B.G  C.BEATLES FOR SALE
  後にアルバムBEATLES FOR SALEに収録されることになるジョージの歌うカール・パーキンス・ナンバー。しかし、ジョンのリズム・ギターはアルバム・バージョンではアコースティック・ギターのストロークだったのに対し、ここではR&Rのリズムを刻んでいて、その分こっちの方が ノリがよく感じられる。また、エンディングのドラムのフレーズをリンゴが何度も繰り返していて、彼のドラマーとしてのセンスを感じる。

28.Matchbox
 A.o:カール・パーキンス  B.J  C.PAST MASTERS Vol.1
  64年に発売された4曲入りEPLong Tall Sallyに収録されたカール・パーキンスのカバー。しかし、公式テイクではリンゴがボーカルをとっていたが、ここではジョンがボーカル。もともとはピート・ベストが歌っていたらしい。アルバムBEATLES FOR SALEではリンゴが、LIVE AT THE BBCでは ジョンがボーカルをとったHoney Don't同様、ボーカリストが違うというだけで全く違う曲のようになっているあたりが興味深い。また、公式テイクに付け加えられていた「桃の木」云々というフレーズも登場しない。

29.I'm Talkin' About You
 A.o:チャック・ベリー  B.J  C.未発表曲
  チャック・ベリーのナンバーで、ストーンズもカバーしていることで有名。ビートルズはBBCセッションでも演奏しているが、そのバージョンはLIVE AT THE BBCには収録されなかった。

30.Shimmy Shake
 A.o:ビリー・ランド  B.J&P  C.未発表曲
  原題はShimmy Like Kateで、ここではポールがShimmy Shimmyと紹介している。ジョンとポールのダブル・ボーカルだが、ジョンがShimmyと歌った後、ポールがjust one more timeとシャウトするあたりのコンビネーションが素晴らしい。リンゴのパワフルなドラム、ジョージのドライブ感のあるリード・ギターも文句なしの出来で、 このライブ盤のベスト・テイクだと断言したい。残念なのは、やはり音質の悪さで、クリアな音のこの曲の演奏が残っていればなあと思ってしまう。

31.Long Tall Sally
 A.o:リトル・リチャード  B.P  C.PAST MASTERS Vol.1
  64年に4曲入りEPLong Tall Sallyとして発表されたが、それ以上にビートルズのライブのラスト・ナンバーとして知られるレパートリー。ライブの定番だったのはデビュー以前からのことであり、ここでも大歓声を浴びている。演奏の方も実に荒々しいもので、特にリンゴのドラムが凄い。 ギター・ソロは最初の方がジョンで2回目がジョージなのはいつものことだが、ジョージはギター・ソロをトチってしまって、以降、萎縮したのかギターを弾くのをやめてしまっている。そのあたりが残念なところ。

32.I Remember You
 A.o:ドロシー・ラムール  B.P  C.未発表曲
  42年の映画「艦隊入港」のテーマ曲だが、ビートルズは62年、ポップ・シンガーのフランク・アイフィールドがカバーしたバージョンを手本にしている。ジョンがハーモニカを担当している。

   アルバム・トータルの好感度     90

                                                                     *:1999年4月9日UP

     


      
トップへ
トップ・ページに戻る
リストへ
前のページに戻る