ブリティッシュ・インヴェイジョン

ビートルズの登場以降、イギリスでは多数のビート・バンドが登場。ひとつのムーブメントにまで発展した。

BRITISH INVASION at BBC

ーブリティッシュ・ビート・バンドのBBC音源ー

遂にキンクスのBBCセッションが登場。ということで、今回は普段とは趣向を変えて、ブリティッシュ・ビート・バンドのBBC音源にスポットを当ててみます。
      
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ブリティッシュ・ビート・バンドとBBCセッション
  60年代当時のイギリス国営放送、BBCラジオでは、ミュージシャンズ・ユニオンの規定により、レコードをかけるのではなくアーティストの生演奏、及びラジオ番組用に新たに録音された音源を放送しなければならなかった。 そんなわけで、BBCセッションといえば未発表曲、未発表ライブ、デビュー以前にレパートリーにしていたスタンダードのカバーなど、貴重な音源の宝庫。どのアーティストのファンにとっても、「宝の山」であり、各種ブートが出回り、しかも異常に人気が高かった。

  ところが1990年代に入ると、そうした海賊盤への対抗措置ということもあってか、続々とBBC音源の公式発売が進んだ。特に1994年のビートルズのLIVE AT THE BBC発売が決定打となってか、レッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリックスなど大物のBBCものが続々と公式発売。 今やBBC音源は一部のマニアのみが知る音源というよりも、「ロック・ファンの常識」と化しているのである。

  とはいえ、私をはじめとした「いちばん好きなのは60年代のブリティッシュ・ビート」だと自負するファンにとって最も嬉しく、興味深いのはやはりブリティッシュ・ビート・バンドのBBC音源であることは間違いない。何よりもこの時代のビート・バンドの場合、 後のロック・バンドと比べるとライブ音源が少ないこと、時代が本格的なロックの直前ということもあって、後のバンドと比べると自由に、気ままにレパートリーを選んでいること、以上の2つの理由から、どうしても他の時代のバンド以上に注目してしまうというものだ。

  ビートルズの後も、ヤードバーズ、マンフレッド・マン、ザ・フー、スモール・フェイセズなどの貴重なBBCものが続々と発売されてきたが、遂に待望のキンクスが登場。ということで、いい機会かなという想いもあり、ここに「BBC音源特集」を組もうと思い立った。 ただし、マンフレッド・マンはまだ未購入、ビートルズはこちらで紹介済み。同じ「BBCもの」といっても、公式録音テイク以上にバンドのカラーの違いがよく出ていて、どれも聴きどころが多く、興味深いところだ。

  最後に。こうなれば残るはもう一組、いうまでもない、ストーンズのBBC発売を待望したいところ。ブートはいっぱい出てる、非公式曲もいっぱい、絶対に出して欲しいところ。だけど60年代のストーンズには、あのアラン・クラインが絡んでるから簡単にはいかないだろうなあ。あと、ビート・バンド以外のBBC音源はまた別の機会にでも。


ON AIR : ORIGINAL BBC RECORDINGS/ THE YARDBIRDS
収録曲
1.I Ain't Got You、2.For Your Love、3.I'm Not Talking、 4.I Wish You Would、5.Heartful Of Soul、 6.I've Been Wrong (aka I Ain't Done Wrong)、7.Too Much Monkey Of Business、8.Love Me Like I Love You、9.I'm A Man、10.Evil Hearted You、 11.Still I'm Sad、12.Hang On Sloopy、13.Smokestack Lightning、14.Mr. You're A Better Man Than I、15.Train Kept A Rollin'、 16.Shapes Of Things、17.Dust My Blues、18.Scratch My Back ?、19.Over Under Sideways Down、20.The Sun Is Shining、 21.Shapes Of Things (Versuin 2)、22.Most Likely You'll Go Your Way、23.Little Games、24.Drinking Muddy Water、25.Think About It、26.Goodnight Sweet Josephine、27.My Baby       

      

 

 
発売1991年(国内盤は94年)
メンバーキース・レルフ(vo,har)
ポール・サミュエル=スミス(b:1〜20)
ジム・マッカーティ(d)
ジェフ・ベック(g,vo:1〜20.)
クリス・ドレヤ(g,b)
ジミー・ペイジ(g:21〜27.)
手持ちのCDSRCS-7330(ソニー)
購入1994年春

  「3大ギタリストのいたバンド」、「ツェッペリンの前身」といわれるが故に比較されてバッシングされる悲劇のバンド。だけど、実はこのバンドがいかに素晴らしいバンドかを伝えたくてこちらをアップした私だけど、今回はBBCについて。発売は1991年、つまりビートルズより前、まだ「BBCもの」に対する一般的知名度が高まる前の発売だったわけで、いわば「元祖BBC音源」といっても過言ではない。にもかかわらず、国内盤の登場は94年。「国内盤至上主義」の私だから待たされた。 クラプトン時代のテイク、ベック&ペイジ「ツイン・リード」時代のテイクなしということで、それが残念。ただし、ベック時代とペイジ時代では全然バンドのカラーが違ってるのが分かるし、スタジオ・テイクと印象の違う演奏が聞かれたりと、興味深い点は実に多い。

  まずベック時代のテイクが1〜20。代表曲のオン・パレードだけど、実は1,2,4,7.はクラプトン時代に公式録音された曲なわけで、ベックがギターを弾いたテイクは貴重。特にベックがクラプトンとは全く違う、シャープでハイトーンのソロを聞かせる1.I Ain't Got Youが面白い。 また、クラプトン時代のヤードバーズのライブはFIVE LIVE YARDBIRDSで聴くことができるが、それと比べるとネットリとしたブルース色が薄れて、クリアーでポップな演奏に変化しているのが分かる。それは一部で誤解されているように「ベックがリーダーシップを握ってブルース色を薄めた」のではなく、オリジナル・メンバーの4人がブルースのコピー脱却を狙っていた→クラプトン脱退→脱ブルースにうってつけのベックが参加した →その才能を「利用して」ブルースからスムーズに脱却、と考えた方がよい。特に3.I'm Not Talking、16.Shape Of Thingsにおけるベース、11.Still I'm Sad、12.Hang On Sloopyにおけるバック・ボーカルのセンス から明白だが、この時代の音楽面でのリーダーはサミュエル=スミスだった。また、ロッド・スチュワートやロバート・プラントと比較されて理不尽な批判を受けることの多いレルフにしたって10.Evil Hearted Youのようなポップ系ナンバーではよいボーカルを聞かせているし、9.I'm A Man、13.Smokestack Lightningのハープは間違いなくブライアン・ジョーンズよりも上。 ライブ・バンドとしてはビートルズ、ストーンズのはるか上をいっていたことは明白で、7.Too Much Monkey Of Business、13.Smokestack Lightning、14.Mr. You're Better Man Than Iといったところがベスト・テイクで、アドリブっぽい演奏も交えていて実にアグレッシブ。ただし残念なのは、局側の意向なのか、それとも彼らが「気分屋」のバンドなのか定かじゃないけど12.Hang On Sloopyや15.Train Kept A Rollin'のように、 あっさりし過ぎた演奏に終わっているテイクもある点。もっといいテイクは残ってなかったのかなあ。17〜20.はROGER THE ENGINEER期のテイク。この時代には、ベックのギターがバンドの枠をはみ出しかかってるのが分かる。まあ17.Dust My Bluesでのベックのボーカルはご愛敬だけど(笑)。ベックが珍しくブルース色濃厚なスライドを聴かせるエルモア・ジェームスの20.The Sun Is Shiningの出来も素晴らしい。

  そして21〜27.がペイジ期のテイク。サミュエル=スミスがいなくなってる分、バンドのカラーがペイジ色に染まってるのが分かる。リズム・ギターから持ち替えたばかりのドレヤがベースを弾いてる分、バンドのまとまりという点から見るとパワー・ダウンしている感は否めない。だけど「プロデューサー的」な資質を持ったペイジが主導権を握っていることもあってか、 オーバー・ダビングを加えたり、エコーをかけたりしてそれを上手くカバーしているので、音自体はベック時代よりしっかりしているかのように聞こえる。「ライブ感覚ではベック時代、まとまりはペイジ時代」といったところか。それはベック時代の16.とペイジ時代の21.、同じShapes Of Thingsを聞き比べるとよく分かる。一方で23.Little Games、26.Goodnight Sweet Josephineでは スタジオ・テイク以上にアグレッシブな演奏を展開、ライブ感覚も忘れないあたりはさすが計算高いペイジらしい。それに、他のメンバーの色を適度に残すことも忘れてない。「ヤードバーズはペイジ時代には崩壊状態だった」っていうけど、実はそうじゃないんじゃないか、そう思わせるほどレベルは高い。

  なお、非公式録音曲はオリジナルの8.Love Me Like I Love You、18.Scrach My Back?、エルモア・ジェイムスの17.Dust My Blues、20.The Sun Is Shining、ディランの22.Most Likely You'll Go Your Way。現在ではワーナーに盤権が移動、タイトル、ジャケットが変更されて発売されているようで、権利関係の複雑なこのバンドの背景を物語っている。

   アルバム好感度     80


THE BBC SESSIONS / SMALL FACES
収録曲
1.Watcha Gonna Do About It、2.Jump Back、3.Baby Don't You Do It、 4.Shake、5.Sha-la-la-la-lee、 6.You Need Love、7.Hey Girl、8.E-D、9.One Night Stand、10.You'd Better Believe It、11.Understanding、12.All Or Nothing、 13.If I Were A Carpenter、14.Lazy Sunday、15.Every Little Bit Hurts、16-19.Rare Interviews With Steve Marriott、20.Rare Interview With Kenny Jones       

      

      

 

 
発売1999年(国内盤は2000年)
メンバースティーヴ・マリオット(vo,g)
ロニー・レイン(b,vo)
ケニー・ジョーンズ(d)
ジミー・ウィンストン(key:1〜3.)
イアン・マクレガン(key:4〜15.)
参加ミュージシャンP.P. アーノルド(bvo:13,15.)
手持ちのCDMSIF-3698(MSI)
購入2000年1月

  スモール・フェイセズは本国イギリス以外では「後追い」で再評価されたせいか、もともとレア・テイク集、ライブ・テイク集などがあまり出回っていなかった。それなだけに、このBBCセッションの登場は私にとって 他のビート・バンドもの以上に嬉しかった。発売は1999年、国内盤の登場は2000年初頭、ザ・フーのBBC発売と同時期だった。ということで私は、ザ・フーと一緒に購入した。

  彼らの場合、こちらで触れた通り、初期には悪徳マネージャーによってアイドルのイメージを押し付けられ、レコーディングの際もポップな曲をやるようにとか、ハードな曲もソフトに演奏するようにとかと、いろいろ圧力をかけられていたという。 その分、当時の彼らのライブを見た人によると「レコードでは本来のワイルドな魅力が薄められている」ということになるようだ。ここで聴かれるテイクは、純粋なライブじゃないけど、「ライブ感覚」溢れるテイクで占められており、その分スタジオテイク以上にワイルドで荒々しい、 彼ら本来の姿を垣間見ることができる。特にヒット曲の1.Whatcha Gonna Do About It、5.Sha-la-la-la-lee、7.Hey Girl、12.All Or Nothing、ヘビー系の6.You Need Loveに それが顕著。「スモール・フェイセズ=モッズ=クール」というイメージを持っている人がいるとしたら、ビックリするはず。というか、ここにはクールなテイクなんて全くなく、とにかく若さをぶつけるような荒っぽいテイクばかりだ。また、1〜3.はジミー・ウィンストン在籍時のテイク、 残りはイアン・マクレガン加入後のテイクだけど、イアン加入後のテイクの方がはるかに出来がよいのが分かる。また13〜15.はイミディエイト移籍後のテイク。曲の構成上仕方なかったんだろうけど、オーバー・ダビングの目立つ14.Lazy Sundayがちょっと残念。 だけど、スタジオ・テイク以上のマリオットの熱唱の聴ける15.Every Little Bit Hurtsは素晴らしい。また、16〜20.は番組の司会者とメンバーのやりとり。国内盤には対訳があるので、これを読みながら聴くのがよいだろう。 しかし、マリオットの話し声は意外にも幼くて可愛い(笑)。歌っている時とのギャップが凄いんだけど、この辺が当時の少女ファンを虜にした理由かも。あと、ビートルズをはじめ他のバンドのBBC音源を聴くと、結構ふざけてインタビューに答えてるのが普通だけど、マリオットもジョーンズも冗談ひとつ言わずに生真面目に答えていて、 そこもまたスモール・フェイセズらしいところ。

  発売された時は、彼らのライブ音源自体が珍しいこともあって狂喜した私。だけど、他のバンドと比べると曲数が少なすぎること、イミディエイト時代のテイクが少ないことなど、不満も残る。また、2000年暮れにはドイツのテレビ・ライブ音源集NICEが登場。私は試聴しただけで未購入だけど、こっちのライブ・テイクの方がBBCのテイクの数段上を行く大暴走状態だったこともあって、 「もっとよいテイクはなかったのかな?」という不満も芽生えてしまった。とはいえ、スモール・フェイセズの場合レア・テイクの発掘はまだはじまったばかり。このBBCはその「第一歩」としては評価できるし、今後のレア・テイク発掘に大いに期待できるというもの。その希望を繋いだという点でも、このBBCものの登場は大きな意義がある。

   アルバム好感度     80


BBC SESSIONS / THE WHO
収録曲
1.My Generation (Radio 1 Jingle)、2.Anyway, Anyhow, Anywhere、3.Good Lovin'、 4.Just You And Me, Darling、5.Leaving Here、 6.My Generation、7.The Good's Gone、8.La La La Lies、9.Substitute、10.Man With Money、 11.Dancing In The Street、12.Disguises、13.I'm A Boy、14.Run Run Run、15.Boris The Spider、16.Happy Jack 、17.See My Way、18.Pictures Of Lily、19.A Quick One (While He's Away)、20.Substitute (2)、21.The Seeker、22.I'm Free、 23.Shakin' All Over / Spoonful (Medley)、24.Relay、25.Long Live Rock、26.Boris The Spider (Radio 1 Jingle)       

      

 

 
発売2000年
メンバーピート・タウンゼンド(g,vo)
ロジャー・ダルトリー(vo)
ジョン・エントウィッスル(b,vo)
キース・ムーン(d)
手持ちのCDPOCP-7413(ポリドール)
購入2000年1月

  ザ・フーといえば「ロック史上最高のライブ・バンド」。とはいえ、この言葉は主に68年から70年代初頭の頃の、ツェッペリンあたりと張り合っていた頃のザ・フーを指すことが多い。事実、LIVE AT LEEDSをはじめとして、 この時期のライブ音源は多く出回っており、その意味でも「ザ・フーのライブ」といった場合に、70年代の彼らを思い浮かべる人が多いのは当然。だけど逆に言えば、67年頃までのビート・バンド然としたライブ演奏は貴重なものであり、特に初期の「モッズ・バンドなザ・フー」を求めるファンにとって、 BBC音源のブートは必須アイテムとなっていたのである。そんな中登場したのがこのBBCセッション集。主にビート・バンド=モッズ・バンド&ポップ・バンド時代の音源が多い分、見過ごされがちな彼らの初期の姿が垣間見えて、新しい発見も多い。

  ということで、注目は67年までのテイク1〜19。うちデビュー当初の65年のテイクが2〜8.。初期の彼らといえば、「モッズ・バンド」ということになるんだろうけど、 そのイメージで売っていたのは、本当にわずかな期間だったのである。シングル・ヒットの2:Anyway, Anyhow, Anywhereや6.My Generationも注目だが、それ以上に目を引くのはカバー曲、ロジャーが得意としていたジェイムズ・ブラウンの4.Just You And Me, Darling、 モータウンの5.Leaving Here、オリンピックスの3.Good Lovin'。モッズ・バンドというイメージを決定付けていたのは、実はピートの書くオリジナル曲ではなく、これらカバー曲にあったのでは?という想いを強くさせる。 この時期、オリジナル作品でいきたいピートと、R&Bカバー中心でいきたいロジャーの間で激しい対立=リーダー争いが起こって、バンド崩壊の危機にさらされていたというのは有名。結果的にピートが勝ち、オリジナル中心にレパートリーが変化していくわけだけど、それによって「モッズ色」は薄れていくわけで興味深くもある。実際、これらのテイクを聴くと、 ロジャーの熱いボーカルがフューチャーされていて、ロジャー色が濃いのが分かる。ただし、3.Good Lovin'は、同時期にヤング・ラスカルズがカバーして大ヒット、そっちのテイクの方がザ・フーのバージョンよりも数段上だというのも正直な印象ではある。

  9〜13.は66年、14〜19.は67年のテイク。65年のテイクから順に聴き比べると分かるんだけど、次第にブラック色が薄れて、ポップ色が強くなっていくのが分かる。66年にはエヴァリー・ブラザーズの10.Man With A Money、マーサ&ヴァンデラズの11.Dancing In The Streetも演奏されているけど、67年になるとカバーは姿を消す。 そのことは次第にモッズのイメージを脱していくこと、そして、ピート主導にバンドが変化していくことを物語っている。 特にヒット・シングル9.Substitute、13.I'm A Boy、16.Happy Jack、18.Pictures Of Lilyあたりを聴くと、「ザ・フーはアルバム・アーティスト」という70年代以降のイメージに反して、この時期はチャート・アーティストだったことが忍ばれる。 何よりも、作風、演奏ともにポップだし、ロジャーの歌い方も65年や70年代と比べると、かなりソフトな印象。また、見過ごされがちだけど、コーラス・ワークの素晴らしさにも注目。特にピートの繊細な高音は、めったに語られないけどザ・フーの特徴だといっても過言ではない。だけど、一方でキースのドラムの切れ具合、ジョンのベースの暴走ぶりは ポップな曲調からは想像のできないものがあり、単なるポップには終わらないあたりもまたザ・フーらしい。

  残りは70年代、20〜23.が70年、24,25.が73年のテイクである。この時期のライブは映像やライブ盤でお馴染みなので説明の必要はないだろう。ビート・バンド然とした60年代とは比較にならないほどスケール・アップした彼らの姿がここにある。特に同じ20.Substituteを、 66年のテイク9.と聴き比べれば違いが分かるというもの。ただ、あくまでもスタジオ・ライブなので、同時代のライブ盤と比べるとこじんまりとした印象があることも否めず、この時代のライブを楽しむならLIVE AT LEEDSなどのライブ盤の方がよいかなという想いもある。

  ということでザ・フーの場合、70年代のライブはライブ盤やビデオが多数出回っているので、ここで楽しめるのはむしろ60年代のテイクの方。特に「モッズ・バンド→ポップ・バンド」という変化がはっきりと読みとれるのが興味深いし、意外と知られていない素顔なので、多くの人に聴いて欲しいと思う。ただ、個人的にはQUICK ONE収録の名曲So Sad About Usや、映画THE KIDS ARE ALRIGHTでもお馴染みのJBカバー、Shout And Shimmyも聴きたかったなという想いもあり、 その辺は残念。なお、1,26.は番組で使われたジングル(CMに入る前や、明けに流れるBGM)で、ザ・フー自身の演奏である。

   アルバム好感度     80

BBC SESSIONS 1964-1977 / THE KINKS
収録曲
Disk-1:1.Interview、2.You Really Got Me、3.Interview、 4.Cadillac、5.All Day And All Of The Night、 6.Tired Of Waiting For You、7.Everybody's Gonna Be Happy、8.See My Friend、9.This Strange Effect、10.Milk Cow Blues、11.Wonder Where My Baby Is Tonight 、12.Till The End Of The Day、13.Where Have All The Good Times Gone ?、14.Death Of A Clown、15.Love Me 'Till The Sun Shine、16.Harry Rug、17.Good Luck Charm 、18.Waterloo Sunset、19.Monica、20.Days、21.The Village Green Preservation Society

Disk-2:1.Mindless Child Of Motherhood、2.Holiday、3.Demolition、 4.Victoria、5.Here Comes Yet Another Day、 6.Money Talk、7.Mirror Of Love、8.Celluloid Heroes、9.Skin And Bone / Dry Bones、10.Get Back In The Line、11.Did You See His Name 、12.When I Turn Off The Living Room Lights、13.Skin And Bone、14.Money Talk       

      

      

 

 
発売2001年
メンバーレイ・デイヴィス(vo,g,har,key)
デイヴ・デイヴィス(g,vo)
ピート・クエイフ(b:Disk-1:allDisk-2:11,12.)
ミック・エイヴォリー(d)
ジョン・ダルトン(b:Disk-2:1〜9,13,14.)
ジョン・ゴズリン(key:Disk-2:2〜10,13,14.)
参加ミュージシャンニッキー・ホプキンス(key:Disk-1:14〜18,20.)、ジョン・ビーカム(トロンボーン、チューバ:Disk-2:2〜9,13,14.)、アラン・ホルムズ(sax、クラリネット:Disk-2:2〜9,13,14.)、マイケル・ローズン(トランペット:Disk-2:2,13.) 、ローリー・ブラウン(トランペット:Disk-2:3〜9,14.)、パム・トラヴィス(bvo:Disk-2:3〜9,14.)、マリアン・プライス(bvo:Disk-2:3,14.)、チャーリー・ハミル(bvo:Disk-2:4〜9.)、ロサ・デイヴィス(bvo:Disk-1:14.)
手持ちのCDVICP-61373-4(ビクター)
購入2001年5月

  2001年に登場した待望のキンクスのBBCセッション音源集。当初は60年代、パイ時代の音源のみしか登場しないと予想してたんだけど、何と2枚組、しかも77年までという 実に幅広い年代からセレクトされており、ビート・バンドとしてデビューしながらも、イギリス色の濃いけだるいサウンド(60年代末)→ホーンを従えてボードヴィル・バンド風(70年代初頭)にと、 大きく変化していく様子の分かる嬉しい内容となった。

まずDisk-1が60年代、パイ時代の出演分。うち1〜13.までが64、65年、ビート・バンド然とした演奏を聴かせていた時代のテイク。2.You Really Got Me、 5.All Day And〜、12.Till The End Of The Dayなど、お得意のギターリフを生かした「キンキー・サウンド」なハードな曲を演奏してるんだけど、なぜか他の同時代のビート・バンドと比較すると 「熱さ」があまり感じられないのが面白い。逆に考えれば、「哀愁とけだるさの漂う」60年代後半のキンクスの特徴が、実はこの時期から既に潜在的にあったとも考えられるわけで。ただし、デイヴの歌う10.Milk Cow Bluesは、 熱くヘビーなボーカルが印象的。この辺にレイとデイヴの個性の違いが垣間見えて興味を引かれるところだ。もう一点、実はこの時期の公式レコーディングでは、ドラマーのミック・エイヴォリーは排除され、セッションマンのボビー・グラハムが ドラムを叩くことが圧倒的に多かったという。だけど、当然ここではミック・エイヴォリーがドラムを担当。私の耳にはミックのドラムの方が、グラハムよりも数段パワフルでエネルギッシュに聞こえる。そのミックのドラムが聴けるのが嬉しい反面、 「何でレコーディングでは虐げられてたんだろう?」という疑問が芽生えてしまう。 なお、9.This Strange Effectは、レイがデイヴ・ベリーに贈った曲のセルフ・カバーで、 キンクスとしては公式にはレコーディングしていない曲を取り上げた貴重なものである。

  14〜21.は67〜68年、ボードヴィル、トラッド寄りの作風に方向転換、「けだるい」サウンドに変身した時期のテイク。まさにこの辺は「キンクスの真骨頂」ともいえる作品が揃っており、しかもSunny Afternoonなどが外れていたりで、 若干渋目の選曲になっているあたりも目を引く。それとデイヴがお馴染みの14.Death Of A Clownの他、未発表曲17.Good Luck Charmでもボーカルを担当するなど、いつになく張り切っている様子が窺える。 ソロ名義シングルとなったDeath Of A Clownを発表、脱退説が流れた時期だったことを思うと興味深いところ。また、ほぼ全テイクでニッキー・ホプキンスがバック・アップ、好サポートぶりも目を引くところだ。

  だけど、このアルバムの目玉は実はDisk-2の方。68年(11.)、69年(12.)、70年(1.)、72年(2,13.)、74年(3〜9,14.)、 77年(10.)と、幅広い年代のテイクが入っているけど、ハイライトは何といってもRCA時代、SOUP OPERA発表時の74年のテイク。ホーンと女声コーラスを従え、戦前のボードヴィルやミュージック・ホールを思わせるような演奏が展開されていて、 とてもYou Really Got Meと同じバンドとは思えないほど。だけど一方で、そのホーン・セクションやデイヴ&ミックが意外とアグレッシブな音を出しており、ちゃんと「ロック的」な要素も入っているから、純粋なボードヴィルでもない。 まさにジャンル分け不能な音楽である。ある意味、公式テイク以上に風変わりな作風に仕上がっていて、言葉にできないほどである。 とはいえ、やはり8.Celluloid Herosはここでも名曲だなと再認識。なお、10.Get Back In The Lineが最も新しい、77年の音源。ただ77年といえば、既に「ポップ&ハード」なアリスタ時代に入っていたはず。 もっとアリスタ時代らしいテイクを収めていれば、このバンドの変遷がよりはっきり分かったのにとちょっとだけ悔やまれるところだ。

  という風に、まさに聴きどころ満載だし、公式録音では味わえない聴きどころいっぱいの2枚組である。話によると現在のレイとデイヴは、またもケンカ中とかでキンクスは活動を停止しているとの噂。「キンクスといえばレイのバンド」というのが一般的評価なんだろうけど、 ここにはデイヴのボーカル曲(Disk-1:10,11,14,17Disk-2:1.)が予想以上に多く収められている他、ライナーにも「偉大な兄弟」と、敢えてデイヴも含めて絶賛する表現が多く見受けられる。こうやってデイヴを持ち上げているのを見ると、「もう一度一緒にやって欲しい」と願う編者の気持ち、さらにはレイの気持ちが表れてるのかな、などと思ってしまうけど考え過ぎか。 ただし、初期にはビートルズなど同様、チャック・ベリー・ナンバーなどの非公式レコーディングのスタンダードも多く演奏しているようなので、それらも発掘して欲しかったなとも思う。それが唯一の不満かもしれない。

   アルバム好感度     80

                                                             *:2001年7月1日UP


      
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