MY CD COLLECTION

毎回1つのテーマに絞って私の手持ちのCDをご紹介、個人的な思い入れなどを語っていくコーナーです

      
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第12回:Pub Rockin' (1)
パブ・ロックって何?
  ・・・という疑問を持っている人は多いと思います。「イギリスでパンクが出てくる前後に、チャートと無関係にパブなどで活動していた人たち」とか、「ニック・ロウとか?」とか、イメージはなんとなく湧く。 でも、具体的に「こんな音楽」と説明できる人はいないんじゃないでしょうか。事実、評論家の文章、ネット上の各サイトの管理人のテキストを読んでも、人によって解釈、定義にばらつきがある。実は私も「好きなジャンル」である反面、 やっぱり説明も定義もできません。

  ただ、「どうしても定義しろ」といわれれば、こう答えるでしょう。「パブ・ロックとは、具体的な音楽のスタイルを表わす言葉ではない。70年代初頭(あくまでも「初頭」!)、当時の流行りの音楽とは無関係に、自分の好きな音楽をパブなどで気ままに演奏していた、パブの雰囲気を感じさせるイギリス人アーティスト」。 つまり音楽のスタイルを表わす言葉ではなく、雰囲気を表わす言葉、私はそう考えています。近年では「いや、スタイルだ」っていう評論家が随分増えたけど共感できません。パブ・ロックの人のやってる音楽のスタイルは、アーティストによって全然違っていている。しかも、同じ人が全然違うスタイルの音楽を無節操に演奏しているケースも多い。 そこに共通するのは、スタイルこそ違え、シンプルで誰にでも演奏できそうな楽曲が多いということ。その「誰にでも演奏できるロック」という点は後のパンクと共通しているし、だからこそ「パンクの先祖」といわれると考えて間違いないでしょう。

  また、パブ・ロックが注目されるのはパンク前後、つまり70年代後半になってから。だけどパブ・ロックの全盛期は本当は70年代初頭。だから「厳密なパブ・ロック」とは「パンク前夜」の70年代初頭のアーティスト、ブレンズリー・シュワルツやドクター・フィールグッドなどを指すはずなのに、 「パンク時代」、または「パンク後」の人たち、つまりニック・ロウ周辺のエルヴィス・コステロやグラハム・パーカー、さらにはスクイーズやXTCなどまでをも「パブ・ロック」と称することも多いようで、余計に定義が分かりにくくなっているんでしょう。というか、日本ではパンクと同時代や後のアーティストの方を「正しいパブ・ロック」だと信じている人も多いようで、余計に定義が曖昧になっているのが現状のようです。 ああ、あと「パブ・ロックの大物」として語られることの多いデイヴ・エドモンズも「パブ・ロックの人」でなく、「パブ・ロックに接近した人」という方が正しいんじゃないかと思ってます。

  とまあ、そういうわけで「厳密なパブ・ロック」は、あくまでも70年代初頭の人たちなんだけど、ここでは小難しく考えるのはやめて、そうした「パンク時代」や「パンク後」の人も含めた「広義のパブ・ロック」の人たちのアルバムをご紹介していきたいと思います。 何よりも、小難しく考えないのもパブ・ロックの精神ですからね。 それに70年代初頭の「厳密なパブ・ロック」の人たちって、リアル・タイムでは全く売れずに、後に再評価された人が多いせいか、未CD化、レコードも発売後すぐ廃盤、日本でまともに紹介されてないということも結構多くて、聴きたくっても、なかなか聴けないというのも正直なところなので・・・。 マン、ヘルプ・ユアセルフ、チリ・ウィリー&レッド・ホット・ペッパーズ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズではない!)、ダックス・デラックス、ルー・ルイス、ミッキー・ジャップ、ココモ・・・。こういう「厳密なパブ・ロック」の人たちの音源が手軽に手に入る、そんな時代がくることを願ってやみません。


ORIGINAL GOLDEN GREATS / BRINSLEY SCHWARZ
収録曲
1.Shining Brightly、2.Country Girl、3.[ I'm ] Starship、 4.Funk Angel、5.Nightingale、 6.Ju Ju Man、7.Happy Doing What We're Doing、8.Surrender To The Rhythm、9.Don't Lose Your Grip On Love、10.Hypocrite、 11.[ It's Gonna Be A ] Bring Down、12.Run Rudolf Run       

      

      

 

 
発売1974年
メンバーニック・ロウ(vo,b)
ブレンズリー・シュワルツ(g)
ボブ・アンドリュース(key)
ビリー・ランキン(d)
イアン・ゴム(g,vo:5〜12.)
参加ミュージシャンB.Jコール(steelg:3.)、デイヴ・ジャクソン(sax:4.)、ウィリー・ウェイダー(フィドル:2.)
手持ちのCDVSCD-521(ヴィヴィッド)
購入1992年頃
  パンク時代になって、その「仕掛人」のひとりとして、「ロックパイルのメンバー」としてニック・ロウが注目を浴びるようになってはじめて正当に評価されたのがブレンズリー・シュワルツ。だけど、「パブ・ロックって何?」のところで述べた通り、「厳密なパブ・ロックは実は70年代初頭の人たち」という観点から見ると、 彼らこそがその「厳密なパブ・ロック」の頂点に立つバンドだったことは疑いようがない。事実、
ニック・ロウのところの第2章で述べた通り、セールスでは全く振るわなかったものの、イギリスのパブでのライブ活動が認められ、一部で熱狂的ファンを獲得していたのも事実だし、70年代半ばになってさらに活気づいていくパブ・ロック・シーンから登場するアーティストの多くが 彼らの影響で登場したということは誰にも否定できないんだから。

  バンドの足跡についてはニック・ロウの第2章を参照していただくとして、このアルバムはデビューから72年のNERVOUS ON THE ROADまで、つまり初期4枚のアルバムからセレクトされたベスト盤。「ニック・ロウ」のところで述べている通り、デビュー当初の彼らはアメリカのカントリー・ロックやルーツ・ロックの影響をモロに受けた作品を発表していたわけで、 CSN&Yをコピーしたようなコーラスのアコースティック・ナンバー1.Shining Brightly、スティール・ギターをフューチャーした本格的カントリー・ロック3.Starship、70年代初頭のいわゆる「シンガー・ソング・ライター」の人たちのような作風の、アコースティックで素朴な5.Nightingaleなど、 とてもイギリス人のバンドとは思えない、そして後に「ニュー・ウェイヴの申し子」となるニックが手がけたとは思えないような作品が並ぶ。ただ、もろ後期バーズ風のカントリー・ロック2.Country Girlは、かなりディープな仕上がりであるにもかかわらず、ポップなメロディを持った佳曲で、後のニックの作風を思わせるところも見え隠れしている。 これらは「アメリカのルーツ・ロックをコピーしただけ」ともとれそうだけど、「自分の好きな音楽の影響を露骨に表現する」というスタイルは、まさに「パブ・ロック」の特徴だといえる。一方で突然サックスをフューチャーした、軟弱で垢抜けない変なファンキー・ナンバー4.Funk Angel、なんとボブ・マーリーのカバー10.Hypocriteのような曲もあり、 こうした「ゴッタ煮感」「節操のなさ」「統一感のなさ」もまた、パブ・ロックらしさといってよいだろう。この時期の「厳密なパブ・ロック」のバンドには、彼らのようにルーツ・ロックをやってた人ばかりじゃなく、ブルースっぽい人、R&Rな人はもちろん、ジャズっぽい人やプログレっぽい人までいたというのも事実だから。

  ただ、前も述べた通り、これは初期のベスト。この後、次第に彼らは露骨なアメリカン・ルーツ・ロック路線を抜け出し、ニックのポップ・センスを生かした作風に移行していく。ソロ時代のニックのファンには、むしろそっちの方が受けはよさそうだし、実は私自身も後期の方が好き。ただ、この初期の「無節操さ」「垢抜けなさ」こそが実はパブ・ロックの特徴ではなかろうか。 事実、パンク時代以降の「広義のパブ・ロック」の人というと、「ポップな人たち」という印象が強いけど、この時代の「厳密なパブ・ロック」は、むしろこういう路線の人たちの方が圧倒的に多い。だから初期のパブ・ロックの雰囲気を知るには、この初期のベストが最適と考えるところだ。

   アルバム好感度     70


25 YEARS OF DR. FEELGOOD / DR. FEELGOOD
収録曲
Disk-1:1.She Does It Right、2.I Don't Mind、3.All Through The City、 4.Keep It Out Of Sight、5.Roxette、 6.I Call Tell、7.Sneakin Suspicion、8.Back In The Night、9.Going Back Home、10.Riot In Cell Block No.9、 11.She's A Wind Up、12.That's It, I Quit、13.Night Time、 14.Milk & Alcohol、15.Put Him Out Of Your Mind、 16.Shotgun Blues、17.No Mo Do Yakamo、18.Jumping From Love To Love、19.Violent Love、20.Rat Race、21.Crazy 'Bout Girls

Disk-2:1.Dangerous、2.Mad Man Blues、3.Dimples、 4.Hunting Shooting Fishing、5.See Your Later Alligator、 6.King For A Day、7.Baby Jane、8.Sugar Turns To Alcohol、9.Down By The Jetty Blues、10.Double Crossed、 11.Wolfman Callin'、12.One Step Forward、13.Roadrunner、 14.Down At The Doctors、15.Heart Of The City、 16.World Keeps Turning、17.Instinct To Survive、18.Going Out West、19.You Got Me

      

      

      

 

 
発売1997年
メンバールー・ブリロー(vo,har:Disk-1:1〜21.Disk-2:1〜15.)
ウィルコ・ジョンソン(g:Disk-1:1〜10.)
ジョン・スパークス(b:Disk-1:1〜21.)
ビッグ・フィギュア(d:Disk-1:1〜21.)
ジョン・メイヨー(g:Disk-1:11〜19.)
ジョニー・ギター(g:Disk-1:20,21.)
ゴードン・ラッセル(g:Disk-2:1〜5.)
フィル・ミッチェル(b:Disk-2:1〜7,9,16〜19.)
ケヴィン・モリス(d:Disk-2:1〜19.)
スティーヴ・ウォルフォン(g:Disk-2:6〜19.)
デイヴ・ブロンズ(b:Disk-2:8,10〜15.)
ピート・ゲイジ(vo:Disk-2:16〜19.)
参加ミュージシャンボブ・アンドリュース(key)、ブレンズリー・シュワルツ(g)
手持ちのCDMSIF-3582-3(MSI)
購入1998年
  60年代、ストーンズなどのR&B系ブリティッシュ・ビートの洗礼を受けて音楽をはじめたというルー・ブリロー&ウィルコ・ジョンソンが中心となってバンドが結成されたのが1972年。以降、パブで演奏したり、ブレンズリー・シュワルツとともにツアーを行ったりして地道にライブ活動、レコード・デビューは1975年になってから。 彼らのように「デビューまでの間、パブでの下積み生活があったから、デビュー時には既にベテランだった」というケースはパブ・ロックにはよくあること。しかし、デビューが1975年ということで、まさにパンク直前。後のパンクの連中の中には、彼らの「追っかけ」だったという人も多く、 それなだけに70年代初頭にデビューしてしまった他のパブ・ロック勢以上にパンクに近い存在といえるし、パンクとセットで語られることも多い。だけどサウンドはパンク云々というよりも、初期ストーンズなどのR&B系ビート・バンドそのもの。私の中ではむしろ、「遅れてきたR&B系ビート・バンド」という想いが強い。この2枚組は そんな彼らのデビューから1997年までの足跡を追ったアンソロジー。パブ・ロック・シーンから衝撃のデビュー、両輪のひとりウィルコ脱退、バンドの顔ブリローの死(94年)、それを乗り越えての再編成・・・。複雑なバンドの歩みが凝縮された内容となっている。

  まずDisk-1:1〜10.がブリロー&ウィルコの2枚看板が在籍していた時代のテイク(75〜77年)。「R&Rよりもブルースを歌った方がいいのでは?」と思える野暮ったく、不器用そうなダミ声のブリローのボーカルと、「パイレーツのミック・グリーンに影響を受けた」という、シャープで切れ味鋭いカッティングが持ち味のウィルコのギターの絡みは絶品。特にウィルコの奏でるボ・ディドリー・ビートにのせて独特のダミ声でブリローが歌う、というか、ウィルコのギターがブリローを煽っているようなDisk-1:2.I Don't Mindが素晴らしい。この曲に限らず、この時代のテイクでは両者の個性がぶつかり合っていて(というより、ウィルコがブリローを煽ってる)、 火花が散るような緊張感がある。時代は70年代半ば、きらびやかでリッチなサウンド、複雑なアレンジが幅を利かせる中に突然登場したブルージーで「モノクロ」な音、シンプルでストレートなR&R。きっと当時は衝撃的だっただろう。ただ、逆に言えばブリローとウィルコの「ぶつかり合い」はリスナーには楽しめる反面、当事者たちにとっては苦痛だったのだろう、 全盛期の77年、ウィルコが突然脱退。しかも、事実上ブリローによる一方的「クビ宣告」だったそうで、一緒に演奏することに疲れたブリローが、ウィルコを遠ざけようとしたというのが定説。ということで、以降はブリローのワンマン・バンドと化し、ギタリストはたびたび交代、さらにリズム隊の2人が82年に脱退した時点で「フィールグッズ=ブリロー」となっていく。 そのせいだろうか、ウィルコ脱退後の彼らからは緊張感や尖がった感覚が消え、「楽しげに好きなR&Rを演奏する趣味的バンド」と化しているのが、ここに収録されたテイクからも分かる。ただ、逆に言えばウィルコ脱退後のテイクの方がより「パブ・ロック的」といえなくもないし、それはそれで悪くない。とはいえ、初期フィールグッズの雰囲気の好きな人は、ウィルコ脱退後のフィールグッズではなく、 ウィルコのソロ活動(ソリッド・センダーズ)の方を支持するようになったというのも偽らざる事実のよう。そして1994年には、フィールグッズをひとりで守り続けたブリローが急死。当然解散するものと思われたが、なんと残されたメンバーは新ボーカリストを迎えて活動を続行、オリジナル・メンバーのひとりもいない、ブリロー死後のテイクがDisk-2:16〜19.。 ブリローもウィルコもいないのに、ちゃんとフィールグッズの音に仕上がってる。でも、私個人はこれをフィールグッズだとはあんまり認めたくない。まあ、「オリジナル・メンバーがいなくなっても活動を続ける」いい加減さもまた「パブ・ロック」なんだろうけど。

  ただ、これまでも述べてきたことからお分かりの通り、作品のクオリティはウィルコ在籍時のものが圧倒的に高い。よって、純粋に彼らの音楽を楽しみたい方にはむしろ、ウィルコ在籍時のオリジナル・アルバムをお勧めした方がよいのかもしれない。この2枚組は「バンドの足跡を辿りたい」人向けかな。なお、彼らのマネージャー、ジェイク・リヴィエラは、70年代末にニック・ロウらと スティッフ・レーベルを立ち上げ、パンク以降の「広義のパブ・ロック」・シーンの発展に貢献した人であることも見逃せないところだ。

   アルバム好感度     80


D.I.Y. : TEENAGE KICKSーUK POP I
収録曲
1.So It Goes(ニック・ロウ)、2.Do Anything You Wanna Do(エディ&ザ・ホット・ロッズ)、3.Mary Provost(ニック・ロウ)、 4.Whole Wide World(レックレス・エリック)、5.Dancing The Night Away(モーターズ)、 6.2-4-6-8 Motorway(トム・ロビンソン・バンド)、7.Television Generation(カーサル・フライヤーズ)、8.Take Me, I'm Yours(スクイーズ)、9.Another Girl, Another Planet(オンリー・ワンズ)、10.This Is Pop ?(XTC)、 11.Brickfield Nights(ボーイズ)、12.Airport(モーターズ)、13.Jilted John(ジルテッド・ジョン)、 14.Top Of The Pops(レジロズ)、15.Ghosts Of Princes In Towers(リッチ・キッズ)、 16.Teenage Kicks(アンダートーンズ)、17.Look Back In Love [ Not In Anger ](ヨッツ)、18.A Girl I Know [ Precis Of A Friend ](ブリーザーズ)、19.Into The Valley(スキッズ)       

 

 
発売1993年
CDMSIF-2034(MSI)
購入1993年頃
  70年代初頭の「厳密なパブ・ロック」の人たちと違って、パンク期、パンク後の「広義のパブ・ロック」の人たちの作品は入手が比較的簡単だ。メジャーでない人、シングルだけで消えた人などの音源も、「厳密なパブ・ロック」と比べると、 オムニバス盤がいっぱい出ているから、比較的手軽にまとめて聴くことができる。ということで、このアルバムはMY CD COLLECTION第2回で触れた
「良心的なパンクのコンピレーション盤:DIYシリーズ」の中の一枚。そっちの前書き、「D.I.Y.シリーズとは」でも述べているように、このシリーズのよいところは 頑なに「スタイルとしてのパンク」に凝り固まらない選曲にある。このアルバムは「U.K. POP」と題されているが、パンク直前のパブ・ロック勢、パンクと同時代に活躍したパワー・ポップ、ポップ寄りのパンク、さらにはパンク後に登場したニューウェイヴ勢までと、「パンク周辺の人たち」を、 幅広い時代(76年から79年までの3年だけど)からあらゆるタイプのアーティストがピック・アップされている。時代も音もバラバラ、にもかかわらず、ここにはなぜか統一感がある。これはパブ・ロック→パンク→ニューウェイブと時代は違っても、あくまでも「パブ・ロック的」 というカラーに合致したアーティストが選ばれているからに他ならない。一見バラバラなのに、聴いてみると一本筋が通っている、さすがライノの仕事。このシリーズ中、最も面白く、素晴らしい選曲でもある。こういう選曲の作業は楽しいだろうな。

  まず純粋なパブ・ロックのアーティストといえるのは1〜5.7.か。人によって受け止め方が違うだろうけど、私流の解釈ならそうなる。ニック・ロウは説明の必要はないが、次に有名なのは2.エディ&ザ・ホット・ロッズ。 デビューは1974年、ドクター・フィールグッド同様、後のパンクの連中の熱烈な支持を受けたり、パンクの連中と同じステージに立ったりといったエピソードで知られる。また、彼らの「追っかけ」の中には、後のピストルズのメンバーがいたことでも有名。ブルース色はないけど、ほのかなR&B色を感じるシャープでストレートなR&Rをやるバンドで、個人的には大好き。フィールグッズと並んで、60'sビートものが好きな人にも超お勧めしたいバンドである。 CDは出てるけどまだ持ってないので、今後ぜひ手に入れて、ここでご紹介したいと思っているところだ。 5.モーターズは70年代初頭のパブ・ロック・バンドだったダックス・デラックスのメンバーが結成したポップなR&Rバンド、それと75年デビューながら、70年代前半からパブで演奏していた7.カーサス・フライヤーズの2組は、パンクっぽい直線的なギター・サウンドやリズムに、パブ・ロック直系のポップなメロディの絡むサウンドが特徴。 つまり、パブで培った「基礎」に、上手くパンクのエッセンスをとり入れているわけで、キャリアの長さゆえの懐の深さ、したたかさを感じる。4.レックレス・エリックはニック・ロウのプロデュースでスティッフからデビュー、ロウやコステロと共にスティッフ・ツアーを行ったことで知られるシンガーである。

  それ以外のアーティストは純粋なパブ・ロックのアーティストじゃない。6.トム・ロビンソン・バンドはメンバー全員がゲイということで騒がれたが、サウンドは直線的で骨太、実は男っぽい(笑)ポップ・ロック(曲はRCサクセションの「雨上がりの夜空に」の元ネタ)、9.オンリー・ワンズは曇った音、ひねくれた作風が売りのライター、ピーター・ペレット率いるバンド、11.ボーイズ(90年代末の日本で再評価)と16.アンダートーンズ(曲はシーナ&ザ・ロケッツのBig Beatの元ネタか?)は 「パンク」として登場したが、根っこは「ポップ」の要素をより強く感じさせるバンド、15.リッチ・キッズはピストルズをクビになったグレン・マトロックと、後にウルトラボックスに加入するミッジ・ユーロが結成した知る人ぞ知る好バンド、14.レジロズは女性ボーカルをフューチャー、ドリーミーなメロディとコミカルさが同居したパーティ・バンド、18.プリーザーズはマージー・ビートのリバイバル・バンド、というか、ちょっとムード演歌系GSっぽい、そして8.スクイーズと10.XTCは今更説明の必要のない パンク後に登場した根強い人気のニューウェイヴ・ポップ・バンド・・・。といったように、収録されたアーティストを見渡すと、パンク前からパンク後までと時代は幅広いし、ジャンルもバラバラ。一見「パンク・シーンの周辺で活躍していた人たちを適当に集めた」ようでいて、実は一貫性がある。これらのバンドに共通する感覚、それは「いかにもロンドンのパブにいそうな、シンプルでありながらポップかつ音楽の基礎のできたアーティストたち」だということ。 つまり何度も述べた通り、「厳密なパブ・ロック」は、確かにパンク前のアーティストだけど、「パブ・ロック感覚」は後の世代にも受け継がれているということ。事実、ここに収められたアーティストの楽曲を聴けば、そのことがはっきりするはずだ。また、ここに収められているアーティストの大半がパブで下積み生活を送った人たちだということも見逃せない。

   アルバム好感度     90

                                                                   *:2001年11月23日UP


      
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