MY CD COLLECTION

毎回1つのテーマに絞って私の手持ちのCDをご紹介、個人的な思い入れなどを語っていくコーナーです

      
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第13回:「ブルース音痴」の聴くブルース・ロック
  「ブルースと☆TAKE」をお読みになっていただければお分かりの通り、私は「ブルース音痴」。ホンモノのブルースはちゃんと聴いたことがないし、大物アーティストも「名前くらいしか知らない」程度の認識しかないなど、多くのロック・ファンとは「ブルース観」やブルースへの接し方が異なっています。

  でも、一方で「ブルース寄りのロック」は好き。なぜなのか、これは自分でもよく分かりません。というわけで、今回のテーマはブルース・ロック。これから挙げるアルバム、アーティストは、当然大好きなものばかり。だけど一方で、ブルースを愛好されているみなさんから見ると、「認識不足だ」 「視点がおかしい」「ブルースの本質を分かってない」などと思えるような文章になっているものと思います。当然私は、これらのアーティストをブルース側からではなく、ロックの側から聴いてる、接してるわけだし。ですので以下、ブルース愛好家の方から見て異端な意見、表現も含まれているものと思いますが、「☆TAKEはブルース音痴だ」ということを念頭において、お読み頂けると幸いです。


LIVE AT THE BBC / PETER GREEN'S FLEETWOOD MAC
収録曲
Disk-1:1.Rattlesnake Shake、2.Sandy Mary、3.Believe My Time Ain't Long、 4.Although The Sun Is Shining、5.Only You、 6.You Never Know What You're Missing、7.Oh Well、8.Can't Believe You Wanna Leave、9.Jenny Lee、10.Heavenly、 11.When Will I Be Loved、12.When I See My Baby、13.Buddy's Song14.Honey Hush、15.Preachin'、16.Jumping At Shadows、17.Preachin' Blues、18.Need Your Love So Bad

Disk-2:1.Long Grey Mare、2.Sweet Home Chicago、3.Baby Please Set A Date、 4.Blues With A Feeling、5.Stop Messing Around、 6.Tallahassee Lassie、7.Hang On To A Dream、8.Linda、9.Mean Misterreatin' Mama、10.World Keeps Turning、 11.I Can't Hold Out、12.Early Morning Come、13.Albatross、14.Looking For Someday、15.A Fool No More、16.Got To Move、17.Like Crying Like Dying、18.Man Of The World       

      

      

 

 
発売1996年
メンバーピーター・グリーン(vo,g,key har:Disk-1:15.のみ不参加)
ミック・フリートウッド(d)
ジョン・マクヴィー(b)
ジェレミー・スペンサー(vo,g,key)
ダニー・カーワン(vo,g:Disk-1:1,2,4〜18.Disk-2:2,4〜8,12,13,18.)
クリスティン・マクヴィー(key:Disk-1:15.)
参加ミュージシャンニック・ピケット(key:Disk-1:2,5.)、クリスティン・パーフェクト[・マクヴィー](key:Disk-1:17,18.Disk-2:5.)、エディ・ボイド(key:Disk-2:5.)
手持ちのCDCRCL-4001-2(クラウン)
購入1996年
  「フリートウッド・マックといえばRUMOURS(噂)だけど、デビュー時はブルース・バンドだった」。10年くらい前まで、この事実を知っている「後追いロック・ファン」は多くなかった。ところが、90年代半ば「伝説のギタリスト」ピーター・グリーンが奇跡の復活。 それを契機にピーター・グリーンが注目されることが多くなった。ただ、私から見ると違和感を感じることも多い。というのも、ピーター・グリーンを神格化するあまり、マックを「ブルース道を極めたバンド=頑固一徹なブルース・バンド」と誤解している向きが多いから。 確かに当時のグリーンが同時代のブリティッシュ・ブルース勢の中でも、飛び抜けたブルース・フィーリングを持ったアーティストであったことに疑いの余地はない。だけど、間違っても彼らは「ブルース一直線」なバンドじゃない。オリジナル・アルバムを聴く限りでは分かり難い。しかし、このBBCセッション集を聴くと、 彼らが単なるブルース・バンドではなく、ブルースをルーツにして、様々な可能性を追求した野心的な「ロック・バンド」であったことがよく分かる。

  ピーター・グリーンばかりが注目されるけど、グリーン、ジェレミー・スペンサー、さらには途中加入のダニー・カーワンという3人のタイプの異なるフロントマンがいたことを忘れてはならない。途中加入したダニー・カーワンはアコースティックな音色のギターとポップな作風が特徴。それはDisk-1:4.Although The Sun Is Shining、パワー・ポップ風のDisk-1:5.Only Youなどに顕著。今はホームレスになってるとの噂もあるが行方不明。 ジェレミー・スペンサーはピーターとの「二枚看板」の片割れといったところ。そう、この時代のマックはグリーンひとりのバンドではなかった。彼の特徴はエルモア・ジェームス・スタイルのギターやボーカル。それはデビュー・シングルDisk-1:3.Believe My Time Ain't LongやDisk-2:11.I Can't Hold Out、Disk-2:3.Baby Please Set A Dateに顕著。 ただ、世間ではスペンサーは「エルモア・ジェームス・フォローワーのブルース・ギタリスト」として語られるけど、もうひとつ、オールディーズ・マニアとしての側面も持ち合わせている。金ラメの衣装で腰を振ってエルヴィスの真似をする彼のパフォーマンスは、当時のライブの名物だったらしい。ここでもコミカルな声で歌うDisk-1:9.Jenny Lee、エヴァリー・ブラザーズのDisk-1:12.When Will I Be Loved、バディ・ホリー風のDisk-1:13.Buddy's Song、ロカビリー・スタンダードDisk-1:14.Honey Hushなど、 「芸」と呼んでもいいほどの見事な「なりきり」ぶり。その「なりきり」こそが、彼の最大の特徴だと私は思う。つまりエルモア・ジェームス・スタイルも、その多くある「なりきり=芸」のレパートリーのひとつにすぎなかったのではなかろうか。それと彼は「ブルースマン」じゃなく、「ロックン・ローラー」なのかもしれない。後に新興宗教に入信(拉致?)、そのまま脱退してしまったが、この個性はグリーンと同等に再評価されてしかるべきだ。というか、スペンサーとカーワンのこの辺の個性がきちんと評価されるようになれば、マックに対する「ブルース道を極めた」云々という誤解も解けると思うのだが・・・。

  やはり最大の注目はグリーン。BB・キング・スタイルのスローなブルースが得意というイメージが強い彼だけど、ZEPを思わせるリフがヘビーなDisk-1:1.Rattlesnake Shake、Disk-1:7.Oh Well、Disk-1:2.Sandy Mary、生ギター弾き語りでロバート・ジョンソンに挑むDisk-1:17.Preachin' Blues、ソウルフルなDisk-2:5.Stop Messing Around、 コミカルなガレージ・ロックDisk-2:6.Talahassie Lassie、スロー・ブルースというより、繊細なポップ系バラードのようなDisk-1:18.Need Your Love So Bad、内省的な歌詞を伴ったトラッド調のDisk-2:18.Man Of The Worldなど、実に多彩。こういう人をブルース云々という枠の中だけで語るのは実にもったいない。もちろん全盛期に脱退、長いリタイヤ時代を過ごしたことはもっともったいないが。大ヒットしたことで有名なエスニックなインストDisk-2:13.Albatrossを聴くと、 幻想的でフワフワしていて、ポップで・・・、おっと、これってスティーヴィー&リンジー時代のマックの特徴じゃないか、などと考えてしまうけど突飛だろうか? あの「ファンタスティック・ポップ」時代のマックの要素は、実はこの頃から彼らの中にあったのではないか、そしてそれをはじめて公にしたのは、「頑固一徹ブルース・ギタリスト」と思われがちなグリーンの手がけたこの曲だったのではないか。

  「ピーター・グリーンズ・マック」を好む人は「ファンタスティックなマック」を遠ざけ、「ファンタスティックなマック」を好む人は「ピーター・グリーンズ・マック」を遠ざける。そして「あれは別のバンド」だという。 でも、私はこの2つは紛れもなく繋がっているし、切り離して聴いてはいけないと思うのである。ちなみに私は「ピーター・グリーンズ・マック」の方が好きだけど、「ファンタスティックなマック」もまた好きです。ついでに、3人のフロント・マンがいて、それぞれが自分の手がけた作品を歌う、その間他の2人はバックに徹する、このスタイルもまた、両方の時代に共通する特徴だ。ほら、やっぱり繋がってる。

   アルバム好感度     80


AN ANTHOLOGY:THE ELEKTRA YEARS
          / THE PAUL BUTTERFIELD BLUES BAND
収録曲
Disk-1:1.Born In Chicago、2.Lovin' Cup、3.One More Mile、 4.Off The Wall、5.Come On In、 6.Nut Popper #I、7.Ain't No Need To Go No Further / It's Too Late Brother、8.Born In Chicago、9.Shake Your Money Maker、10.Blues With A Feeling、 11.Thank You Mr. Poobah、12.Our Love Is Driftin'、13.Mystery Train、 14.Last Night、15.Walkin' Blues、 16.I Got A Mind To Give Up Living、17.Work Song、18.All These Blues、19.East West

Disk-2:1.One More Heartache、2.Double Trouble、3.Last Hope's Gone、 4.Mornin' Blues、5.Just To Be With You、 6.Get Yourself Together、7.In My Own Dream、8.Love March、9.Walkin' By Myself、10.Love Disease、 11.Eveything's Gonna Be Alright、12.Driftin' & Driftin'、13.Blind Leading The Blind、 14.Song For Lee

      

      

      

 

 
発売1997年
メンバーポール・バターフィールド(vo,har,key)
マイク・ブルームフィールド(g,key:Disk-1:1〜19.)
エルヴィン・ビショップ(g:Disk-1:1〜19.Disk-2:1〜7.)
ジェローム・アーノルド(b:Disk-1:1〜19.)
サム・レイ(d:Disk-1:1〜14.)
マーク・ナフタリン(key:Disk-1:8〜19.Disk-2:1〜7.)
ビリー・ダヴェンポート(d:Disk-1:15〜19.)
バグシー・モー(b,vo:Disk-2:1〜7.)
フィリップ・ウィルソン(d,vo:Disk-2:1〜10.)
キース・ジョンソン(trumpet:Disk-2:1〜10.)
ジーン・ディンウィッディー(sax:Disk-2:1〜14.)
デヴィッド・サンボーン(sax:Disk-2:1〜14.)
バジー・フェイトン(g:Disk-2:8〜10.)
ロッド・ヒックス(b:Disk-2:8〜14.)
スティーヴ・マダイオ(trumpet:Disk-2:8〜14.)
トレヴァー・ローレンス(sax:Disk-2:8〜12.)
テッド・ハリス(key:Disk-2:8〜12.)
ラルフ・ウォッシュ(g:Disk-2:11〜14.)
ジョージ・デヴィッドソン(d:Disk-2:11,12.)
デニス・ウィッテッド(d:Disk-2:13,14.)
ボビー・ホール(per:Disk-2:13,14.)
ビッグ・ブラック(per:Disk-2:13,14.)
参加ミュージシャンアル・クーパー(key:Disk-2:5.)、メアリー・クレイトン(bvo:Disk-2:13.)、クライディ・キング(bvo:Disk-2:13.)、ヴェネッタ・フィールズ(bvo:Disk-2:13.)、オマー・ドレイク(bvo:Disk-2:13.)
手持ちのCDAMCY-2607-8(ワーナー)
購入1997年
  ブルースの本場シカゴで生まれ育ち、白人でありながらティーンの頃からブルースマンとセッションを行っていたというハーピスト兼ボーカリストがポール・バターフィールド。学友でギタリストのエルヴィン・ビショップ、ハウリン・ウルフのバンドにいた黒人リズム・セクションのジェローム・アーノルド&サム・レイとともにバターフィールド・ブルース・バンドを結成したのが63年。65年のデビュー時にはディランのHIGHWAY 61 REVISITEDのセッションにも参加した名ギタリスト 、マイク・ブルームフィールドと、キーボードのマーク・ナフタリンが加入しているが、彼らこそアメリカン・ホワイト・ブルースの元祖といっても過言ではないだろう。同時代のイギリスではストーンズ、ヤードバーズ、ジョン・メイオールなどが活躍していたけど、当時のアメリカにはまだ人種の壁が残っていたはず。その時代に白人でありながらブルースにのめり込み、白人離れしたディープなサウンドを生み出していたこと、 そして白人黒人混成バンドであったことなどを考え合わせると、その存在がいかに革新的であったかが分かろうというもの。この2枚組は、そんな彼らのデビュー前から解散までの足跡を追ったアンソロジー。1枚目はブルームフィールド、ビショップという2人のギタリストを擁していた時代、2枚目はメンバー・チェンジ後、デヴィッド・サンボーンらホーン・セクションを加えてジャズなどに接近していった時代のテイクを収めている。

  まずDisk-1:1〜7.はデビュー以前、1964年のテイクだが、白人離れしたブルース・フィーリングは確かに凄いとは思う反面、「ブルース・コピーの域をで出てない」という感も否めない。ここではまだブルームフィールドはゲスト扱い。それが1965年のファースト・アルバムTHE PAUL BUTTERFIELD BLUES BANDの頃のテイク、Disk-1:8〜14.になると、その雰囲気も一変する。 それは64年バージョンとアルバム・バージョンのBorn In Chicagoを聴き比べればよく分かる。バターフィールドの白人離れしたボーカルもさることながら、バターフィールドのハープ、ブルームフィールドとビショップのギターが時には絡み合い、時には反発し合う。「バトル演奏」の元祖はクリームということになってるけど、私はこの時代の彼らとヤードバーズこそがその元祖だと信じて疑わない。バンド・アンサンブルもヤードバーズなどのブリティッシュ勢に近い。だけど、やはり彼らはアメリカ人、しかも本場シカゴの出身。 「ホンモノ度」は彼らの方が高い。その辺がイギリスとアメリカの違いか。Disk-1:15〜19.は66年のセカンドEAST WESTから。最高傑作との呼び声も高いアルバムだけど、聴きものはインストの17.Work Songと19.East West。前者はジャズのスタンダード。後者はオリジナルだが、ブルームフィールドのギターは時にはサイケ風、時には東洋的なフレーズをも奏でる。 世間では「ピュアなブルース・バンド」といわれている彼らだけど、頑なにブルースに拘らず、新たなサウンドを生み出そうとしているあたり、やはり彼らも「ブルース・ロック・バンド」と考えた方がよいだろう。しかしブルームフィールドのギターは神懸かり的。「イギリスにはクラプトンがいるが、我々(アメリカ)にはブルームフィールドがいる!」と評した評論家もいたそうだけど、確かに同時代、つまりブルースブレイカーズ時代のクラプトンは彼に比べれば「青い」というか、「幼い」というか、そんな印象すら受けるほどだ。

  しかしその後、ブルームフィールドを筆頭にビショップ以外のメンバーが次々に脱退。後にジャズ・サックスの大物になるデヴィッド・サンボーン他、ジャズ畑のアーティストをメンバーに加えて67年、アルバムIN MY OWN DREAMを発表することになるが、その時期のテイクがDisk-2:1〜7.。ホーン・セクションを加えてバンド編成が大きく変化、ジャズ風の華やかなホーンに、バターフィールドのブルージーなハープやボーカルが絡むサウンドは実に個性的。 今聴くとB,S & Tなどのブラス・ロックの先駆けともいえそうだが、当時としては斬新で、実験的だったはず。この辺にもやはり彼らが単純なブルース・バンドではないことが現れている。それはギターがビショップから後にフュージョン界でブレイクするバジー・フェイトンに交代する69年のアルバムKEEP ON MOVIN'の頃のテイクDisk-2:8〜10.になると更に進化している。特に8.Love Marchは、ウッドストックで延々と演奏を続けてステージの進行を遅らせ、映画で見られるように「ジミヘンが登場した時は観客がまばら」という状態を生み出したことで知られる。 ホーン・セクションの人数も増え、既に「ビッグ・バンド」状態となっており、ブルームフィールド時代とは全く違う新境地を開拓している。結局フェイトンはすぐに脱退、その後のテイクとして11,12.という70年のライブ、13,14.という71年のアルバムSOMETIMES I FEEL LIKE SMILIN'収録テイクが収められている。

  結局その後、バターフィールドはバンドを解散、ウッドストックに篭ってディープにルーツ・ミュージック全般を追求していくことになる。やはり彼はブルース一辺倒のアーティストではなく、ブルースをルーツにしながらも、様々な可能性を追求した「ロック・アーティスト」だった。彼は87年に死去、初期の最重要メンバー、ブルームフィールドも81年にこの世を去っている。70年代半ば以降は地味な活動に終始した2人だけど、その功績はあまりにも大きい。余談だけどハープをくわえた顔アップ写真のジャケットがカッコイイ。

   アルバム好感度     80


IRISH TOUR '74 (ライブ・イン・アイルランド)
      / RORY GALLAGHER
収録曲
1.Cradle Rock、2.I Wonder Who [Who's Gonna Be Your Sweet Man]、3.Tattoo'd Lady(いれずみの女)、 4.Too Much Alchol(アルコール中毒)、5.As The Crow Flies(鳥が飛ぶように)、 6.A Million Miles Away(100万マイルも離れて)、7.Walk On Hot Coals、8.Who's That Coming、9.Back On My [Stompin' Ground]、10.Just A Little Bit       

      

      

 

 
発売1975年
プロデューサーロリー・ギャラガー
参加ミュージシャンゲーリー・マッカヴォイ(b)、ロッド・ディアス(d)、ルー・マーティン(key)
CDALCB-598(アルファ)
購入1991年頃
  塗装の剥げたストラトキャスターをバリバリと弾きまくり、時々勢い余って尻餅をつき、恥ずかしそうに頭を掻きながら笑顔を浮かべて立ち上がる・・・などという、いかにも純朴そうなエピソードでも知られるアイルランド出身のブルース・ロック・ギタリスト。 60年代末に「第2のクリーム」といわれたトリオ・バンド、テイストのメンバーとしてデビュー、解散後ソロとして独立、72年にはメロディ・メイカー誌の「ギタリスト人気投票」で3大ギタリストを抑えてトップになるなど人気を博したことでも知られている。 このアルバムはそんな彼が「故郷への凱旋」を果たした74年のアイルランド・ツアーの模様を収録したライブ盤。ライブ盤ではあるけど、全盛期だし、「スタジオ盤よりもライブ」との定評のある彼なので、最高傑作といってもよい1枚である。

  収録曲はほとんどが代表曲で、この時点のベスト選曲といってもよい。若さに任せたようにバリバリとハードに弾きまくりつつ歌う1.Cradle Rock、3.Tattoo'd Lady、6.A Million Miles Awayといった代表曲はいかにも彼らしいし、 スタジオ・テイク以上に魅力的。ただ、「天才ギタリスト」といわれる彼だけど、テクニックに走ることは全くない。ブルースへの情熱をぶつけるかのように、若さと勢いにまかせて直線的に突っ走る。 時にはモタったり、突っ込み過ぎてリズムが狂ったりもする。そう、彼は「テクニシャン」ではなく、ひたむきで「直情型」のギタリスト。そんな一本気な姿勢のせいか、私はこの人に「ブルース系アーティスト」というより、「ロックン・ローラー」っぽさを感じる。 また、ブルース・ギタリストにありがちなねちっこさも泥臭さもない。スロー・ブルースの2.I Wonder Whoでも、ネットリとはしていないし、むしろバリバリとつんのめり気味に弾く。晩年「ブルースに憧れ、追求してきたはずが、気がつけばアイリッシュ的な色が出てしまうことが多いんだ」と告白していたらしい。アイリッシュの血ゆえに、無意識にアイリッシュ的な色が濃く出てしまうということなのだろうか。 それとも「ブルースはアイリッシュ・ミュージックと繋がっているから、ブルースを追求するとアイリッシュ・ミュージックに辿り着く」ということなのか。いずれにしても、それが彼の個性であり、魅力になっているのは確かだ。 私も彼からはあまり「ブルース・フィーリング」は感じないし、ヘビーなフレーズを弾いていても、牧歌的で繊細な印象を受ける。個人的にはマンドリンを弾きながら歌うトニー・ジョー・ホワイト作の5.As The Crow Fliesに 最もアイリッシュ色を感じる。「南部野郎」のトニー・ジョー・ホワイトの作品にアイリッシュの色が出るというのも何とも面白いが、実に素朴でトラッド調の演奏に仕上がっていて好感が持てる。ボーカルも決して上手くないが、ギター同様「ひたむきさ」が感じられるもので、彼の人柄がよく分かる。それにしても曲間の拍手と歓声はもの凄い。 地元アイルランドの観客が、「英雄の凱旋帰国ライブ」を熱く迎えている、そんな空気が伝わる。なお、9,10.の2曲はスタジオ録音の新曲である。

  結局彼は70年代後半以降はよりハードなサウンドに方向転換、80年代には長く活動を停止していたが88年になって復活。91年に来日公演も行われたが、年をとっても純朴青年風のパフォーマンスと謙虚な態度に変わりはなかったとかで好評だった。95年に急死してしまったが、このライブ盤を聴けば聴くほど「一度生で見たかったなあ」と思ってしまう。ちなみに、今はBMGビクターから発売、ジャケットも変更になっている。

   アルバム好感度     70

                                                                   *:2002年1月13日UP


      
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