MY CD COLLECTION

毎回1つのテーマに絞って私の手持ちのCDをご紹介、個人的な思い入れなどを語っていくコーナーです

      
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第16回:ヘビメタじゃないんだよ
  「このアーティストはヘビメタだから」という先入観を持たれるあまり、なぜか一般ロック・ファンに相手にされないアーティスト、結構いるもんです。 でも、実はちゃんと聴けば、いわゆる世間でいうところの「ヘビメタ」とは全く違ったアーティストだ、ということもしばしばありなわけで。ということで、今回はそんな、ヘビメタだと誤解されがちなアーティストを集めてみました。

  なお、このテキスト全編で「ヘビメタ」という言葉を否定的な意味で使用していますが、私にはヘビメタを批判する意志はありません。「ヘビメタ」と聞くと思わず遠ざけてしまう、 というロック・ファンが多いのは、残念ながら否定できない現実のはず。ですので、ここではそうやって「ヘビメタだから」という理由だけで遠ざけてしまう人がいるけど、ここに紹介したアーティストはヘビメタ云々という理由で遠ざけてしまうには惜しいよ、 ヘビメタ云々だけのアーティストじゃないんだよ、という意味を込めて、敢えて否定的に「ヘビメタ」という言葉を使用させていただいている次第ですのでご了承下さい。でも、「じゃあ、お前はヘビメタが好きか?」と聞かれれば苦しいけど(笑)。

LED ZEPPELIN IV
収録曲
1.Black Dog、2.Rock And Roll、3.The Battle Of Everymore(限りなき戦い)、 4.Stairway To Heaven(天国への階段)、5.Misty Mountain Hop、 6.Four Sticks、7.Going To California、8.When The Levee Breaks       

      

      

      

 

 
発売1971年
メンバージミー・ペイジ(g)
ロバート・プラント(vo,har)
ジョン・ポール・ジョーンズ(b,key)
ジョン・ボーナム(d)
プロデューサージミー・ペイジ
参加ミュージシャンサンディ・デニー(vo:3.)
手持ちのCDAMCY-4008(ワーナー)
購入1995年頃
  正直、このテーマでツェッペリンを登場させるのは馬鹿げてるかもしれない。「リアル・タイムならともかく、今時ヘビメタと思ってる奴なんていないよ」、そんな声が聞こえてきそう。確かに彼らが「ハード・ロックの元祖」と呼ばれているのは事実だし、私も否定しない。 セカンド・アルバム発表時までは確かにそう。だけど、その後の彼らの歩みを辿ってみると、彼らがハード・ロック=ヘビメタ的だったのは、あくまでもそこまでなのが分かる。サード・アルバムではブリティッシュ・トラッドに傾倒したアコースティック路線を打ち出す。そしてこの4枚目。

  このアルバムは「セカンドまでのハード路線と、サードで見せたアコースティック路線を融合させたアルバム」だとされている。私はそれを、ほんの3年ほど前まで本気で信じていたし、当時、とあるクロス・レビュー・サイトに投稿したレビューにもそんなことを書いた。今でもアップされてるけど、読み返すのが恥ずかしい、ネットをはじめて以降の私の「最大の汚点」だと思ってます(笑)。 確かに「ハード路線とアコースティック路線の融合」は、このアルバムの中で見られる。ハード・ロック・チューンの1.Black Dogと2.Rock And Rollはその前者の部分、3.The Battle Of Everymore、7.Going To Californiaが後者の部分を象徴する楽曲。そしてその両面を 1曲の中に封じ込めたのが4.Stairway To Heaven。これは間違いじゃないと思うし、今でも同意見、撤回する気もない。ただし、当時のレビューにこう書いたのがいけない。「この曲で彼らはサウンドを完成させた。以降のアルバムは、この4枚目のアルバムの焼き直しに過ぎない。よって、このアルバムこそが彼らの頂点であり、最高傑作である」。これでは、ツェッペリンはこのアルバム以降、全く進歩のなかった保守的なバンドだと言ってるも同じじゃないか。 これが大変な間違いであることは、みなさんならお分かりいただけるだろう。

  例えば1.Black Dog。確かにハード・ロックなんだけど、全然「ノリノリの曲」じゃない。何度となく入るブレイク、前のめり気味のギター・ソロ、突然つんのめるリズム。「ノリノリで聴く」ことは絶対不可能だ。また、2.Rock And Rollも、一聴すると古典的なR&Rだけど、 ギター・リフが異様に人工的。今でいうサンプリングのような感覚でリフが用いられている。個人的にはこの2曲がこのアルバムではいちばん好きではあるけど。さらにアコースティック路線の曲、3.The Battle Of Everymoreにしても、単純なトラッドでもないし、60年代のフォーク・ロックの焼き直しでもなく、どことなくエスニックな香りが漂う。つまり、ハードな曲も、アコースティックな曲も一癖も二癖もある。変拍子に人工的な音、これはプログレ的と見ることが出来るし、 エスニックな香りというのは、後のワールド・ミュージックの先駆けといってもよい。そこで思う。実はネットをはじめてから、「ツェッペリンの最高傑作はHOUSES OF THE HOLY(この4枚目の次のアルバム)だ」とする人に多く出会ってきた。そのアルバムの特徴といえば、プログレ風の楽曲やワールド・ミュージック的な楽曲が多く、バラエティに富んでいることである。そう、つまりこの4枚目は一見すると、「ハード路線とアコースティック路線を融合させた」という、 初期の彼らの集大成的なアルバムである一方で、「プログレ風やエスニック路線の芽生え」という次作以降の彼らの進化を予感させるアルバムでもあった。そのことに気がついた時、「4枚目で成長が終わった」という私の誤った認識を恥ずかしく思った。彼らが「単なるハード・ロック、ヘビメタじゃない」とされる最大の理由は、中期以降にこれらの変化、進歩を見せて「コンテンポラリーなロック」を聞かせたからに他ならないのだから。でも、純粋に「好き、嫌い」でいえば、今でもこれが好き、 この4枚目までのツェッペリンがいちばん好き、それでもやっぱり最高傑作はこれだと思う、それもまた偽らざる事実ではあるけど。

   アルバム好感度     90


DEDICATION(デディケーション〜フィルに捧ぐ/シン・リジー・ベスト)
           / THIN LIZZY
収録曲
1.Whisky In The Jar、2.The Rocker、3.Jailbreak(脱獄)、 4.The Boys Are Back In Town(ヤツらは町へ)、5.Don't Believe A Word(甘い言葉に気をつけろ)、 6.Bad Reputation(悪名)、7.Dancin' In The Moonlight [It's Caught Me In Its Spotlight]、8.Rosalie / Cowgirl Song [Live]、9.Still In Love With You [Live](それでも君を)、10.Emerald [Live]、 11.Waiting For An Alibi(アリバイ)、12.Do Anything You Want To(ヤツらはデンジャラス!!)、13.Sarah、14.Parisienne Walkways [Phil Lynott with Gary Moore](パリの散歩道)、15.Chine Town 、16.Killer On The Loose(ヤツらはレディ・キラー)、17.Out In The Fields [Phil Lynott with Gary Moore]、18.Dedication [Phil Lynott]       

      

      

 

 
発売1991年
名義シン・リジー(1〜13,15,16.)、フィル・ライノット&ゲイリー・ムーア(14,17.)、フィル・ライノット(18)
メンバーフィル・ライノット(vo,b)
ブライアン・ダウニー(d:1〜13,15,16.)
エリック・ベル(g:1,2.)
ブライアン・ロバートソン(g:3〜10.)
スコット・ゴーハム(g:3〜13,15,16.)
ゲイリー・ムーア(g:11〜13.)
スノーウィ・ホワイト(g:15,16.)
手持ちのCDPHCR-1068(フォノグラム)
購入1992年7月
  ゲイリー・ムーア、ブライアン・ロバートソン、スノーウィ・ホワイト、ジョン・サイクスなど、後にヘビメタ・ファンに支持された華々しいギタリストたちが入れ替わり立ち代わり在籍。その事実「だけ」で、ヘビメタ・バンド扱いされている不幸なバンドがシン・リジー。しかし実態は、 あくまでもリーダーのフィル・ライノット(「リノット」という人もいるので表記に迷う)の個性を前面に打ち出した、彼による、彼のためのバンド。そのライノットはブラジル人とアイルランド人のハーフで、出生を反映してか、ファンキーでソウルフルな作品や、ストレートなブギーの中に、 アイリッシュ・トラッド的な繊細な一面も垣間見せる、個性的で唯一無二の作品を発表し続けてきたソング・ライター、シンガーである。この彼の個性こそがバンドのカラー。このアルバムは、1986年に亡くなったフィルへの追悼盤という形でリリースされたベスト・アルバム。 ただし、フィルがゲイリー・ムーアのアルバムにゲストとして参加した14,17.、フィルのソロ未発表曲18.が収録されている上、シン・リジーの重要なレパートリーが削られたりしているので、純粋なシン・リジーのベストというより、あくまでも「フィルを偲ぶアルバム」といった趣である。

  彼らの出世作が1.Whisky In The Jar。これは実はアイルランドのトラディッショナル・ソングの改作。朴訥なフィルのボーカルと繊細なメロディが印象に残る。メンバーの入れ替わりの激しかったシン・リジーだが、全盛期といわれるのがブライアン・ロバートソン、スコット・ゴーハムのツイン・リード時代(3〜10.)。 ここでは、ライブ・テイクも含まれているが、ハードな中にも物悲しい、ヨーロッパ的なメロディが流れる9.Still In Love With You、多くのカバーを生んだハードでストレートなブギー4.The Boys Are Back In Townなどの代表曲のクオリティが高い。バンド・アンサンブルも「ツイン・リード」といっても、2人のギタリストがバトルを演じたり、 テクニックを見せびらかすこともない、ソロ・パートで、2本のギターがハーモニーを聞かせるのがこのバンドの特徴で、ハードなナンバーでも繊細でメロディアスなフレーズが登場、間違ってもヘビメタ的なツイン・リードではない。それはロバートソンに代わって、80年代にギター・ヒーローとして注目されるゲイリー・ムーアが加入(11〜13.)しても同じ。 特にアコースティックなソウル・バラード13.Sarahは、彼らにしか出来ないであろうバラード。とはいえ、ムーアに代わってスノーウィ・ホワイトが加入しての15.China Townあたりを聴くと、それ以前よりもよりヘビメタっぽい音になってるような気はする。とはいえ、基本は70年代のブギー的な部分を発展させたような作品だし、 時代が変化したことも考え合わせれば、決して不自然な感じはしない。なお、ここには最終期、ジョン・サイクス時代のナンバーは未収録。残るゲイリー・ムーア名義のナンバーでは、サンタナの「哀愁のヨーロッパ」を思わせる14.Parisienne Walkwaysが美しい名曲。しかし「パリ」といいつつ、むしろアイリッシュっぽいのは、フィルとムーア、共にアイリッシュの血が流れてるせいだろう。 ムーアもまた、誤解されているアーティストだと私は思う。

  というわけで、やはりこのバンドはヘビメタ云々ではなく、フィルという、ハードな中にも繊細さを隠さない、そんな朴訥なシンガー、ソングライターのためのバンドだったことが分かる。いわばヘビメタ的な世界とは全く対極の世界にいた人じゃないだろうか。フィルはジョニー・サンダース、ピストルズなどのパンク勢の他、ミッジ・ユーロ、ヒューイ・ルイス、マーク・ノップラーとも親交が深かった。シン・リジーの歴代メンバーは ハード・ロック畑の人が多いけど、彼自身はハード・ロックよりむしろ、パンクやパブ・ロックなどに近いスタンスの人だったのかもしれない。

   アルバム好感度     80


IF YOU WANT BLOOD YOU'VE GOT IT(流血ライブ/ギター殺人事件) /
AC/DC
収録曲
1.Riff Raff、2.Hell Ain't A Bad Place To Be(地獄は楽しい所だぜ)、3.Bad Boy Boogie、 4.The Jack、5.Problem Child(素敵な問題児)、 6.Whole Lotta Rosie、7.Rock'n Roll Damnation(地獄のロックン・ロール)、8.High Voltage、9.Let There Be Rock(ロック魂)、10.Rocker(俺らはロッカー)       

      

      

 

 
発売1978年
メンバーアンガス・ヤング(lead・g)
マルコム・ヤング(g)
ボン・スコット(vo)
クリフ・ウィリアムス(b)
フィル・ラッド(d)
プロデューサーハリー・ヴァンダ、ジョージ・ヤング
手持ちのCD18P2-2760(ワーナー)
購入2002年8月
  このオーストラリア産のバンドも世間一般ではヘビメタということになっているし、私もそう誤解していた。だけど10年ほど前、 偶然テレビで動く彼らの姿を見て認識が一気に変わった。小汚い帽子を被って、枯れた声で熱唱するボーカリスト(ブライアン・ジョンソン)、 その傍らには半ズボン姿で、リズムに合わせて激しく首を振りながらギターを弾くギタリスト(アンガス・ヤング)。ヘビメタ的「様式美」とは全く無縁、 熱く激しいロックン・ロール・バンド、しかも全身全霊をかけて、ぶっ倒れそうになりそうなほど前のめりな。 それでいて「硬派」な感じでもなく、どこかお馬鹿でコミカルでもある。演奏されているHighway To Hellという曲も、 ストーンズや初期エアロにも通じる、ギター・リフの印象的なブギー・ナンバー。以来、私はこのバンドが気になっていた。 だけど、ベスト・アルバムがない。よく知らないアーティストはまずベストで体験することにしている私なので、何を買えばよいのか・・・。 そんなこんなで、「聴かなければ」と思いながら未体験のまま10年の歳月が流れた。そんな今年(2002年)の夏、ネット上のある場所でこのバンドのことが話題になった。 その時複数の方が教えてくれた。複数のライブ盤があるから、それをベスト代わりに聴くのがいちばんだと。ということで手に入れたのがこの、 1978年に発売されたライブ・アルバムだったというわけ。

  実はこのバンド、1980年にボーカリストのボン・スコットが亡くなり、後任にブライアン・ジョンソンが加入するというフロントマンの交代劇があった。 で、これはボン・スコット時代のライブ。結成当初から他のメンバーよりも年上(年齢詐称、実はデビュー時に30過ぎていたという説も)で、酒、女、ドラッグ、喧嘩に明け暮れ、 塀の中の生活も経験したというワイルドなボーカリスト、ボン・スコットの存在感が凄い。潰れたような声、ぶっきらぼうな歌い方、 「上手い」という言葉とはかけ離れたタイプ。だけど、まさに野獣そのものといった感じで、ステージの上で観客にすら襲いかからんばかりの様は、映像がないにもかかわらず、その姿が目に浮かぶかのよう。 そしてリーダーでギタリストのアンガス・ヤング。この人も決して上手いギタリストではない。終始楽曲のリズムを無視するかのように前のめり、つんのめり気味でソロを弾く。 ステージ上を転げまわり、走り回りながらギターを弾いているかのようですらある。 そうした終始暴走気味の2人が、バンド全体のイメージを決定づけている。 だけど、そこにリズム・ギタリストでアンガスの兄、マルコムがいることで若干のブレーキがかかる。彼らの楽曲は、ストーンズのように「イントロのギター・リフ一発で決まり」 といったタイプのものが多い。で、そのリフの大半を弾いているのがマルコムで、2人が暴走してる間も 延々リフを弾き続ける。だから終始アンガスとボンが前のめり気味に暴走し続けても、 決してバンド全体がバラバラになることはない。そう、この一見目立たない兄が、バンドの屋台骨を支えている張本人というわけ。この辺の関係も絶妙だ。

  というわけで、このライブ盤もアンガス&ボンの暴走ぶりが目立つ、傑作ロックン・ロール・アルバムだけど、やはりマルコムの弾くリフには思わず引きつけられるものがある。 収録曲もこの時点での代表曲ばかり、特にガンズもカバーしたブギーR&Rクラシック、6:Whole Lotta Rosieは名曲。 ここでもアンガス・コールの起こる中に、あのイントロのリフが登場する、というオープニングに興奮させられる。他にもボンが観客を煽っての大合唱が巻き起こる8.High Voltage、 ZEPのRock And Rollそっくりの1.Riff Raffなど、どの演奏も熱い。しかも終始ノンストップ、曲間のインターバルもほとんどない。 こんなライブ、生で見てみたいぞ。だけどなぜ今まで、こんな素晴らしいバンドを聴かずにきたんだろう。そう思うと今さらながら後悔させられる。

  なお、彼らがセールス上でブレイクするのは、この次に出たアルバム、HIGHWAY TO HELLから。つまりこれはブレイク寸前、最も勢いに乗っていた時期のライブともいえる。しかもそのHIGHWAY TO HELL発表後、ボン・スコットが急死して、 フロントマンが入れ替わっているわけだから、ボン・スコット時代の最高のパフォーマンスを体験できる貴重なアルバムだともいえる。その後、ブライアン時代の曲も聴くことが出来た私だが、正直、カリスマ性と野性味の両面で、ボンの方が勝ってるように思えるし、 バンド自体もボン時代の方がワイルドで、本来の魅力に溢れていたようにも思える。なのでやはり私は、AC/DCをこれから体験したいという方には、ブライアン時代の2枚組ライブよりも、こっちの方をお勧めしたい。それにしても、ギターがステージに立つのアンガスの腹に突き刺さって流血しているというジャケット写真、 このバンドの「壮絶なようでいて、でもちょっと馬鹿っぽい」というキャラクターを象徴するような名ジャケだと思う。

   アルバム好感度     90

                                                                   *:2002年10月26日UP


      
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