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| 「このアーティストはヘビメタだから」という先入観を持たれるあまり、なぜか一般ロック・ファンに相手にされないアーティスト、結構いるもんです。
でも、実はちゃんと聴けば、いわゆる世間でいうところの「ヘビメタ」とは全く違ったアーティストだ、ということもしばしばありなわけで。ということで、今回はそんな、ヘビメタだと誤解されがちなアーティストを集めてみました。 なお、このテキスト全編で「ヘビメタ」という言葉を否定的な意味で使用していますが、私にはヘビメタを批判する意志はありません。「ヘビメタ」と聞くと思わず遠ざけてしまう、 というロック・ファンが多いのは、残念ながら否定できない現実のはず。ですので、ここではそうやって「ヘビメタだから」という理由だけで遠ざけてしまう人がいるけど、ここに紹介したアーティストはヘビメタ云々という理由で遠ざけてしまうには惜しいよ、 ヘビメタ云々だけのアーティストじゃないんだよ、という意味を込めて、敢えて否定的に「ヘビメタ」という言葉を使用させていただいている次第ですのでご了承下さい。でも、「じゃあ、お前はヘビメタが好きか?」と聞かれれば苦しいけど(笑)。 |
このアルバムは「セカンドまでのハード路線と、サードで見せたアコースティック路線を融合させたアルバム」だとされている。私はそれを、ほんの3年ほど前まで本気で信じていたし、当時、とあるクロス・レビュー・サイトに投稿したレビューにもそんなことを書いた。今でもアップされてるけど、読み返すのが恥ずかしい、ネットをはじめて以降の私の「最大の汚点」だと思ってます(笑)。 確かに「ハード路線とアコースティック路線の融合」は、このアルバムの中で見られる。ハード・ロック・チューンの1.Black Dogと2.Rock And Rollはその前者の部分、3.The Battle Of Everymore、7.Going To Californiaが後者の部分を象徴する楽曲。そしてその両面を 1曲の中に封じ込めたのが4.Stairway To Heaven。これは間違いじゃないと思うし、今でも同意見、撤回する気もない。ただし、当時のレビューにこう書いたのがいけない。「この曲で彼らはサウンドを完成させた。以降のアルバムは、この4枚目のアルバムの焼き直しに過ぎない。よって、このアルバムこそが彼らの頂点であり、最高傑作である」。これでは、ツェッペリンはこのアルバム以降、全く進歩のなかった保守的なバンドだと言ってるも同じじゃないか。 これが大変な間違いであることは、みなさんならお分かりいただけるだろう。 例えば1.Black Dog。確かにハード・ロックなんだけど、全然「ノリノリの曲」じゃない。何度となく入るブレイク、前のめり気味のギター・ソロ、突然つんのめるリズム。「ノリノリで聴く」ことは絶対不可能だ。また、2.Rock And Rollも、一聴すると古典的なR&Rだけど、 ギター・リフが異様に人工的。今でいうサンプリングのような感覚でリフが用いられている。個人的にはこの2曲がこのアルバムではいちばん好きではあるけど。さらにアコースティック路線の曲、3.The Battle Of Everymoreにしても、単純なトラッドでもないし、60年代のフォーク・ロックの焼き直しでもなく、どことなくエスニックな香りが漂う。つまり、ハードな曲も、アコースティックな曲も一癖も二癖もある。変拍子に人工的な音、これはプログレ的と見ることが出来るし、 エスニックな香りというのは、後のワールド・ミュージックの先駆けといってもよい。そこで思う。実はネットをはじめてから、「ツェッペリンの最高傑作はHOUSES OF THE HOLY(この4枚目の次のアルバム)だ」とする人に多く出会ってきた。そのアルバムの特徴といえば、プログレ風の楽曲やワールド・ミュージック的な楽曲が多く、バラエティに富んでいることである。そう、つまりこの4枚目は一見すると、「ハード路線とアコースティック路線を融合させた」という、 初期の彼らの集大成的なアルバムである一方で、「プログレ風やエスニック路線の芽生え」という次作以降の彼らの進化を予感させるアルバムでもあった。そのことに気がついた時、「4枚目で成長が終わった」という私の誤った認識を恥ずかしく思った。彼らが「単なるハード・ロック、ヘビメタじゃない」とされる最大の理由は、中期以降にこれらの変化、進歩を見せて「コンテンポラリーなロック」を聞かせたからに他ならないのだから。でも、純粋に「好き、嫌い」でいえば、今でもこれが好き、 この4枚目までのツェッペリンがいちばん好き、それでもやっぱり最高傑作はこれだと思う、それもまた偽らざる事実ではあるけど。 *アルバム好感度 90
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/ THIN LIZZY
彼らの出世作が1.Whisky In The Jar。これは実はアイルランドのトラディッショナル・ソングの改作。朴訥なフィルのボーカルと繊細なメロディが印象に残る。メンバーの入れ替わりの激しかったシン・リジーだが、全盛期といわれるのがブライアン・ロバートソン、スコット・ゴーハムのツイン・リード時代(3〜10.)。 ここでは、ライブ・テイクも含まれているが、ハードな中にも物悲しい、ヨーロッパ的なメロディが流れる9.Still In Love With You、多くのカバーを生んだハードでストレートなブギー4.The Boys Are Back In Townなどの代表曲のクオリティが高い。バンド・アンサンブルも「ツイン・リード」といっても、2人のギタリストがバトルを演じたり、 テクニックを見せびらかすこともない、ソロ・パートで、2本のギターがハーモニーを聞かせるのがこのバンドの特徴で、ハードなナンバーでも繊細でメロディアスなフレーズが登場、間違ってもヘビメタ的なツイン・リードではない。それはロバートソンに代わって、80年代にギター・ヒーローとして注目されるゲイリー・ムーアが加入(11〜13.)しても同じ。 特にアコースティックなソウル・バラード13.Sarahは、彼らにしか出来ないであろうバラード。とはいえ、ムーアに代わってスノーウィ・ホワイトが加入しての15.China Townあたりを聴くと、それ以前よりもよりヘビメタっぽい音になってるような気はする。とはいえ、基本は70年代のブギー的な部分を発展させたような作品だし、 時代が変化したことも考え合わせれば、決して不自然な感じはしない。なお、ここには最終期、ジョン・サイクス時代のナンバーは未収録。残るゲイリー・ムーア名義のナンバーでは、サンタナの「哀愁のヨーロッパ」を思わせる14.Parisienne Walkwaysが美しい名曲。しかし「パリ」といいつつ、むしろアイリッシュっぽいのは、フィルとムーア、共にアイリッシュの血が流れてるせいだろう。 ムーアもまた、誤解されているアーティストだと私は思う。 というわけで、やはりこのバンドはヘビメタ云々ではなく、フィルという、ハードな中にも繊細さを隠さない、そんな朴訥なシンガー、ソングライターのためのバンドだったことが分かる。いわばヘビメタ的な世界とは全く対極の世界にいた人じゃないだろうか。フィルはジョニー・サンダース、ピストルズなどのパンク勢の他、ミッジ・ユーロ、ヒューイ・ルイス、マーク・ノップラーとも親交が深かった。シン・リジーの歴代メンバーは ハード・ロック畑の人が多いけど、彼自身はハード・ロックよりむしろ、パンクやパブ・ロックなどに近いスタンスの人だったのかもしれない。 *アルバム好感度 80
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AC/DC
実はこのバンド、1980年にボーカリストのボン・スコットが亡くなり、後任にブライアン・ジョンソンが加入するというフロントマンの交代劇があった。 で、これはボン・スコット時代のライブ。結成当初から他のメンバーよりも年上(年齢詐称、実はデビュー時に30過ぎていたという説も)で、酒、女、ドラッグ、喧嘩に明け暮れ、 塀の中の生活も経験したというワイルドなボーカリスト、ボン・スコットの存在感が凄い。潰れたような声、ぶっきらぼうな歌い方、 「上手い」という言葉とはかけ離れたタイプ。だけど、まさに野獣そのものといった感じで、ステージの上で観客にすら襲いかからんばかりの様は、映像がないにもかかわらず、その姿が目に浮かぶかのよう。 そしてリーダーでギタリストのアンガス・ヤング。この人も決して上手いギタリストではない。終始楽曲のリズムを無視するかのように前のめり、つんのめり気味でソロを弾く。 ステージ上を転げまわり、走り回りながらギターを弾いているかのようですらある。 そうした終始暴走気味の2人が、バンド全体のイメージを決定づけている。 だけど、そこにリズム・ギタリストでアンガスの兄、マルコムがいることで若干のブレーキがかかる。彼らの楽曲は、ストーンズのように「イントロのギター・リフ一発で決まり」 といったタイプのものが多い。で、そのリフの大半を弾いているのがマルコムで、2人が暴走してる間も 延々リフを弾き続ける。だから終始アンガスとボンが前のめり気味に暴走し続けても、 決してバンド全体がバラバラになることはない。そう、この一見目立たない兄が、バンドの屋台骨を支えている張本人というわけ。この辺の関係も絶妙だ。 というわけで、このライブ盤もアンガス&ボンの暴走ぶりが目立つ、傑作ロックン・ロール・アルバムだけど、やはりマルコムの弾くリフには思わず引きつけられるものがある。 収録曲もこの時点での代表曲ばかり、特にガンズもカバーしたブギーR&Rクラシック、6:Whole Lotta Rosieは名曲。 ここでもアンガス・コールの起こる中に、あのイントロのリフが登場する、というオープニングに興奮させられる。他にもボンが観客を煽っての大合唱が巻き起こる8.High Voltage、 ZEPのRock And Rollそっくりの1.Riff Raffなど、どの演奏も熱い。しかも終始ノンストップ、曲間のインターバルもほとんどない。 こんなライブ、生で見てみたいぞ。だけどなぜ今まで、こんな素晴らしいバンドを聴かずにきたんだろう。そう思うと今さらながら後悔させられる。 なお、彼らがセールス上でブレイクするのは、この次に出たアルバム、HIGHWAY TO HELLから。つまりこれはブレイク寸前、最も勢いに乗っていた時期のライブともいえる。しかもそのHIGHWAY TO HELL発表後、ボン・スコットが急死して、 フロントマンが入れ替わっているわけだから、ボン・スコット時代の最高のパフォーマンスを体験できる貴重なアルバムだともいえる。その後、ブライアン時代の曲も聴くことが出来た私だが、正直、カリスマ性と野性味の両面で、ボンの方が勝ってるように思えるし、 バンド自体もボン時代の方がワイルドで、本来の魅力に溢れていたようにも思える。なのでやはり私は、AC/DCをこれから体験したいという方には、ブライアン時代の2枚組ライブよりも、こっちの方をお勧めしたい。それにしても、ギターがステージに立つのアンガスの腹に突き刺さって流血しているというジャケット写真、 このバンドの「壮絶なようでいて、でもちょっと馬鹿っぽい」というキャラクターを象徴するような名ジャケだと思う。 *アルバム好感度 90
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*:2002年10月26日UP
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