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| 2003年3月、「女性アーティストと☆TAKE」というテキストを手がけ、その中で「意外と女性アーティストは聴いていない」とした私。その後、何組かの女性アーティストに挑戦、あの頃よりは聴く機会は多くなっていると思います。 で、ここでは、そんな私がずっと以前から慣れ親しんできた女性アーティスト3組をご紹介します。 |
このアルバムはそのデビュー・シングル7.Stop Your Sobbingを含むデビュー・アルバム。この後、ジェイムズとピーターが相次いでドラッグで他界、メンバー・チェンジが激しくなり、「クリッシーとそのバック・バンド」といったバンドになっていくわけだけど、ここではまだオリジナル・メンバーの4人編成で、後と比べるとバンドとしてまとまっており、ロック色も濃い。 そのあたりはハード・エッジな音を作ることで定評のあるプロデューサー、クリス・トーマスの手腕も大きい。パンクを思わせるシャープなギター・サウンドとハード・エッジなサウンドに乗せて、クリッシーがクールなボーカルを聞かせてくれる。パンキッシュなバックに乗せて、ヴェルヴェッツ時代のルー・リードを思わせるような、地を這うようなハーフ・スポークン気味のクールな低音で歌われる1.Preciousで幕開け。 以降も同様の、パンク、ニューウェイヴを思わせるようなバックに乗せてクリッシーがクールなボーカルを聞かせるナンバーが続いていくが、4.Tattooed Love Boysなどはかなりニューウェイヴ色の濃いアグレッシブな仕上がり。5.Space Invaderは、当時日本のインベーダー・ゲームに凝っていたというジェイムズとピーター作のインストである。後半はキンクスの直球コピーの7.Stop Your Sobbingからスタート、 ここからはクリッシーが若干違った顔を垣間見せる。全収録曲中最もポップな8.Kidsは、それまでの収録曲と比べるとグッとテンポが遅く聞こえるてしまうが、イントロのギターだけでも「いい曲に違いない」と思えるほどキャッチーで、この曲の路線がセカンド以降、現在まで続くプリテンダーズの「王道」な作風になる。私がこの曲をはじめて聴いたのは、全盛期のプリンセス・プリンセスの奥居香が「最も影響を受けた曲」と紹介してラジオでかけた時。一発で気に入ったし、今でもプリテンダーズで最も好きな曲だ。 ポリス経由のニューウェイヴ・レゲエ9.Private Life、さらにはポップなリフに乗せてクールに、でも時にはエモーショナルに歌い上げる10.Brass In Pocket、唯一のバラード11.Lovers Of Todayと続くあたりがこのアルバムのハイライト。前半だけ聴くと「ありがちなニューウェイヴ系ポップ・ロックか?」と思ってしまうけど、後半は多種多様な楽曲で個性を見せつけてくれる。特に「単なる男勝りのクールな鉄の女」に見せかけて、8.Kids、11.Lovers Of Todayでは、ほのかな「母性」も感じさせるあたりがよい。そしてそれをバック・アップする3人も、単なるバック・ミュージシャンになっておらず、 バンドとしてのまとまりも見せているあたりがよい。 結局、先も述べたようにジェイムズとピーターの他界以降、「クリッシーとそのバック・バンド」になってしまったプリテンダーズ。もちろん、未だにバンドの本質は全く変わっていないんだけど、やはりバンドとして最もまとまっていたこの時代が、私には一番魅力的に思われる。 *アルバム好感度 80
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というわけで、これはローン・ジャスティスのファースト・アルバム。発表は85年、プロデューサーは当時トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズなどを手がけていたジミー・アイオヴィン。彼は曲作りやサウンド作りでのサポートはもちろん、セッションに自らの人脈であるハートブレイカーズのメンバーやリトル・スティーヴン(元Eストリート・バンド)を参加させるなど、もの凄い入れ込みようだったらしく、そのせいかカントリーに根差しつつも、 どことなく当時流行りのスプリングスティーンやトム・ペティを思わせる「王道アメリカン・ロック」風のサウンドに仕上がっている。後のマリアの作風から推測される、彼女本来の音楽性(エミルー・ハリス系カントリーにヴェルヴェッツなどのオルタナ感覚を取り入れた作風)からすると、少しロック色が強すぎ、派手過ぎな観も否めず、故にコアなマリア・ファンには「プロデューサーに作られた音」と評される機会も多いよう。だけど私個人は「女性ボーカルもの」よりも、「ロックもの」の方が好きという嗜好の持ち主でもあるので、 これくらいロック色が濃い方が無理なく聴けるというもの。「キレイなルックスのお姉ちゃんが、男3人に囲まれて、元気に明るく、でもハードにロックしまくっている」様は最高に魅力的に映るし、このアルバムの魅力はそこに尽きると思う。 アルバムはいきなりのマリアのシャウトからはじまる1.eAST oF EDENからスタート。「カントリーに根差した王道アメリカン・ロック」というと、良くも悪くも「泥臭い=野暮ったい」というイメージを抱きがちだけど、この曲はボ・ディドリーにパンクをブレンドしたような、ストレートかつ若々しいナンバー。聴く前は「カントリー・ロック的=泥臭くて垢抜けない、化粧っ気のない男勝りのお姉ちゃん」風なものを想像していたので、これは予想外だった。 「元気で明るい女性ロッカー」といった印象で、若々しく、しかも華やか。ある意味、私が女性ロッカーに対して最も期待するタイプのナンバーだった。続く2.After The Floodはスプリングスティーン風の「アメリカンなロック」。曲調はカントリー・タッチだけど、パンキッシュなほどに超アップテンポな5.Working Late、9.Soap, Soup And Salvation、やはりスプリングスティーンを連想させる6.Sweet, Sweet Babyなども同様。 やはり同じ王道アメリカン・ロック、カントリー・タッチのロックといっても、パンクを通過した世代ならではの感覚なのかもしれない。何より、これらの曲での明るく、元気ではつらつとしたマリアのボーカルは最高に魅力的だ。一方でカントリー・バラード調の4.Don't Toss Us Way、10.You Are The Lightでは、しっとりと聴かせてくれ、彼女のボーカリストとしての才能には驚かされる。なお3.Ways To Be Wickedはトム・ペティとマイク・キャンベルの作品である。 しかしファンやミュージシャン、評論家の間では高く評価されながらもローン・ジャスティスはもう1枚アルバムを発表した後、大きな成功を収めることなく解散。ソロ独立後のマリアも高評価のわりにはセールス的には大きな成功を収めるには至らず、今ではメジャー・レーベルとの契約もままならない状態。彼女のやってきたことは、90年代以降のオルタナ・カントリーに近いものがあり、ある意味「早すぎたアーティスト」だったのかもしれない。 あと、90年代にブレイクしたシャリル・クロウの作風、アーティストとしての資質は、このファーストで聴けるローン・ジャスティスに近いものがある。それを思えば、やはり彼女は「早すぎた」のかもしれない。とはいえ「明るく、はつらつとした」彼女のキャラは、そうしたフォローワーには見受けられない要素であり、それが最大の魅力だと思う。セカンド、さらにはソロ独立後は、よりクールなボーカルに変化したらしいけど、私にはこのファーストでの彼女のボーカルが一番魅力的に思われる。 *アルバム好感度 90
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まずファーストのALL OVER THE PLACEは1984年の発売(ジャケ写はファースト)。後の彼女たちは、良くも悪くも「ポップなヒット・メイカー」になっていくわけだけど、ここでは全曲バンド編成のシンプルな演奏。故に後の一連のヒット曲と比較すると「粗削り」「拙い」「垢抜けない」感じもするけど、 「バンドらしい」分、個人的には一番好感の持てるアルバムである。ほとんどがメンバーのオリジナルだが、主導権を握っているのはバンド創立者のヴィッキー。全編初期ビートルズを思わせる、元気で生きがよく、それでいて巧みなコーラス・ワークとリッケンバッカーの音色が印象的なナンバーばかり。 故にゴージャスな音が支配していた80年代にしては「拙い」「垢抜けない」「地味」「決定打に欠ける」のも事実だけど、私には「イキがったお姉ちゃんたちが一生懸命ロックしてる」様が最高に魅力的に映る。ボーカルは曲によってマイケルを除く3人が分担して担当しているが、やはり個人的にはスザンナのロニー・スペクターを連想させる、ちょっとハスキーで、それでいてキュートでドリーミーなボーカルが最高に魅力的だと思う。 特に元気なビートリー・ポップ・ロック3.James、ヴィッキーとボーカルを分け合うアップ・テンポな6.Tell Meの2曲がフェイヴァリット。ジャケのミニスカでジョン・レノン・モデルのリッケンバッカーを抱えて椅子に腰掛けたスザンナのキュートな姿には完全に心を奪われたし、未だに奪われたままである。 ファーストは西海岸でのローカル・ヒットに終わるも各方面で注目を集めてステップのきっかけとなった。そして出世作になったのが86年のDIFFERENT LIGHT。ここからスザンナに惚れ込んで自らアプローチをかけてきたという、あのプリンス作の1.Manic Mondayと、風変わりな曲調と歌詞を持った4.Walk Like An Egypcian(全員女性バンドによる初の全米No.1)の2曲がMTV効果もあって大ヒット。 いよいよスターダムに登り詰める。確かにアルバムとしての完成度はこれがNo.1。だけど、80年代という時代のせいかもしれないけど、シンセ、打ち込みの音が支配するサウンドに仕上がり、彼女たち自身による演奏の音が目立たない曲が多い。おそらくレコード会社やスタッフは「ロック・バンド」としてではなく、「ポップ・グループ」として売り出そうとしたのかもしれないし、 それゆえの変化であろう。だけど、バンド色が薄れてしまっているのは個人的には残念。MTV経由のヒットというのも「カレッジ・チャート出身」という彼女たちの本来の姿とは何かが違うような気がする。とはいえ、バンドとしてのまとまりでは全盛期。このアルバムからマイケルもボーカル&作曲に参加、ビッグ・スター(アレックス・チルトン)の9.September Girlをカバーして歌うなど、 ちょっとマニアックな彼女の趣味も表に出ている。このことによりメンバー各自の個性がより強く表れるようになり、「誰が欠けても成り立たない」バンドとなった。 姉御肌でバンドの創始者(ジョン的)のヴィッキー、華があってアイドル的な存在(ポール的)のスザンナ、クールで渋い(ジョージ的)マイケル、ムード・メイカー(リンゴ的)のデビーというメンバーの色分けは、ビートルズを連想させられる。個人的にはセカンドのベスト・テイクは、スザンナが切ないボーカルを聞かせるジュルーズ・シアーのカバー7.If She Knew What She Want。ビートルズ風掛け合いコーラスとサーチャーズ風ギター・ソロもよく、好感度高い。 しかし「各自の個性が色濃くなる」と逆にバンドとしてのまとまりがなくなっていくのも常。1988年EVERYTHING発表、大ヒットを記録する中、あっさり解散してしまう。このアルバムからはスザンナが歌い上げるバラードの名曲にして彼女たちの代表曲、そして今や80年代を代表するスタンダードと化した5.Eternal Flameの大ヒットを生み、同時期に「夜のヒットスタジオ」に出演していたことも覚えている。 だけど、実はこの曲はスザンナと、マドンナのLike A Virginなどを手がけたことで知られる売れっ子職業作曲家チームのビリー・スタインバーグ&トム・ケリーの共作。1.In Your Room、12.Waiting For Youといったスザンナが主導権&ボーカルをとった曲は、このチームとの共作。アルバム発表前に単独で「お色気」を売りにした映画にも出演するなど、映画監督を母に持ち、生まれた時から「芸能指向」が強かった彼女らしいといえなくもない。 一方でデビュー以来「女を売りにする」ことを嫌っていたヴィッキーがこれを快く思ったとは到底思えず、妹のデビーとの共作でバンド色の濃い6.Be With Youのようなナンバーを手がけている。というわけで、個人的にはこのサードではむしろ「ヴィッキー派」。しかしスザンナとの方向性の違いがあまりにもはっきりしてしまい、アルバムを通して聴くとアンバランスな観が否めないし、職業作曲家の関わった曲と並べるとどうしても「弱い」という印象が残ってしまう。 マイケルもフォーク調の4.Something To Believe Inのように、よりアーティスティックな方向を向いて孤立気味で、どことなく「ホワイト・アルバム」のような内容といえなくもない。「メンバー各自が違った個性を持っている」ことは、このバンド最大の魅力だったが、それが徒になって解散してしまったのは残念でならない。個人的にも「夜ヒット」ではじめて彼女たちを知り、「聴いてみようかな」と思った矢先の解散、リアル・タイムで間に合わなかったわけで、そのことは悔しい限りである。 なお、バングルスは1999年に再結成、2003年に初(!)来日公演も果たしているが、見損なってしまったのが残念。しかしメンバー全員40代半ばだというのに、ルックスがほとんど変わってないのは驚いた。既に2児の母だというのに、相変わらずキュート(今でも「キレイ」というよりこっちの方が当てはまる)なルックスでリッケンバッカーを掻き鳴らして歌うスザンナには驚かされるとともに、嬉しくもある。 *アルバム好感度 100
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*:2003年12月15日UP
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