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「音楽年表」の方をご覧頂ければお分かりの通り、私は80年代に中高生だったにもかかわらず、当時洋楽に親しむ習慣が全くなかった。しかし、そんな「洋楽音痴」だった私でも、彼の名前はよく知っていた。何といっても、1984年、高1の時にBORN IN THE U.S.A.の大ヒット、 85年にはWe Are The Worldや「ライヴ・エイド」への参加と初来日、翌86年にはLP5枚組(CDは3枚組)のライブ盤が大ヒットと続いた。これだけのことがあれば、さすがに「洋楽音痴」の私でも、彼の名前や存在は意識せずにはいられなかった。そう、まさに私の世代にとって、彼は「アメリカのロック・スターの代名詞」だったのである。 なので、洋楽に目覚めた当初から、ラジオからのエア・チェックなどで自然と彼の曲を聴いてきたし、「現代のロック・スター」という意識を持って接してきた。 そんな私が初めて買ったアルバム、それがこれだった。実はBORN IN THE U.S.A.とどっちにするか迷ったんだけど、こっちを選んだ理由は「硬派な人の受けがよいのはこっちだった」からという、単純なものだった。聴いてみて思ったのは「こっちを選んで正解だったな」ということだった。BORN IN THE U.S.A.収録曲は、 確かに熱く、ストレートな、彼らしいものが揃っている反面、シンセの音が目立っていたり、アレンジが派手め(私の場合、誰の作品かに関わらず、80年代の音を今聴くと、結構そういう印象を受けることが多い)だったりで、彼本来の魅力を若干薄めているきらいがあったように思う。それに対し、ここでは、ほとんどE・ストリート・バンドによる、サックスやピアノ、オルガンなどを中心としたシンプルなアレンジだし、 その分彼本来のワイルドな魅力がダイレクトに伝わってくるという印象を受けた。ただ、そう感じるのはアレンジのせいだけではないだろう。デビュー当初の彼は、(本人は嫌がっていたらしいが)「ディランの再来」として売り出された、「フォーク寄り」というか、「シンガー・ソングライター」的な作風が特徴だった。サウンドよりも、アメリカの労働者階級の若者の気持ちを代弁したような歌詞を聞かせるというのが彼の持ち味。そのせいだろうか、彼の曲って、 アコースティック・ギターの弾き語りだけでも成り立ちそうなものが多く、それにE・ストリート・バンドの演奏を加えることにより「王道・アメリカン・ロックン・ロール」に仕上げている、私はそんな風に思う。そうした点から見れば、まだ初期のシンガー・ソングライター的な青臭さを残しつつも、豪快にロックする本作こそが、最も彼の魅力が最大限に引き出された最高傑作のような気がするのである。 しかし、「ロックン・ロール」なのに、ギターではなく、ピアノ、サックスをバックにしたスタイルは彼が作り上げたものといってよいだろう。中高生の頃は邦楽一筋だった私は、はじめて彼の曲を聴いた時、浜田省吾、佐野元春、尾崎豊はもちろん、甲斐バンドなど、「フォークに肉付けして骨太に仕上げたロック」の元祖が彼だったということに気がつき、その影響の大きさを実感したものだ。 収録曲について触れておくと1:Thunder Roadと5:Born To Runの2曲はいうまでもない、彼の代名詞のような曲。浜省、尾崎にも似たような曲がある(笑)。もちろん、この2曲も好きだけど、私が一番好きなのは4:Backstreets。バラード・ピアノとR&B風のオルガンをバックに熱いボーカルを聞かせるバラードで、 彼にしか出来ないような曲といってもよいだろう。2:Tenth Avenue Freeze-Outにはブレッカー・ブラザーズとデヴィッド・サンボーンが参加しているのも注目。しかし、このアルバム発表後、彼は裁判沙汰に巻き込まれ、しばらく活動できなくなってしまう。復活したのはパンク・ムーヴメント後。「ニュー・ヒーロー」だったはずの彼も、「オールド・ウェイヴ」的な見られ方をされてしまったのではないだろうか。事実、時代が移っていたこともあり、ブランクを埋めるのに若干時間がかかってしまった。正直、このブランクがなければ、彼は今以上の「大物」になっていたのではないかと思ったりもする。 また、85年初来日時に「洋楽音痴」だったことは、個人的には後悔するところ。「3時間以上も暴走しまくる、壮絶なライブだった」とのことで、「見てみたかったなあ」という想いは強い。もちろん、今でも「来日すれば必ず行きたい」とは思っているけど、最近の彼を見るにつけ「今はなぁ」という想いも若干あったりで・・・(笑) *アルバム好感度 90
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ヒューイといえば、映画Back To The Futureのテーマとなった1:Power Of Loveに尽きるだろう。この曲に象徴される、明るく、突き抜けた、健康的なアメリカン・ロックをやる人、という印象が強い。 逆にいえば、その明るさ、健康的で無害なイメージ故に「産業ロック」「ヒット・チャート・アーティスト」とみなされて、硬派なロック・ファンや、「ロック=ダーティでなければならない」といった想いの強い人に無視され、黙殺される傾向にあるようだ。 確かに、「スポーティなロックって・・・」という気もしないこともないけど、でも、私はかなり好きだったりする。何といっても、下積み時代、クローヴァーというバンドで活動しており、その頃、ニック・ロウら、イギリスのパブ・ロック周辺の人たちとの交流があったというのは注目に値する。 事実、彼の曲を聴くと、確かにルーツ・ミュージックの影響が垣間見える部分もあり、ハスキーなボーカルも、いかにもロックン・ローラーらしいものである。つまり、「基本が出来ている」ということである。なので、私には彼が単純な「産業ロック」な人などではない、しっかりとアメリカン・ロックの伝統を受け継いだ王道・アメリカン・ロックン・ローラーだと思うのである。 で、このアルバムは1992年発売のベスト。彼らの場合、アルバムでいえば83年のSPORTS、86年のFORE!の2枚が全盛期。正直、この2枚の時期以外の曲は、若干見劣りするという感も否めない。なのに、その2枚からのヒット曲の一部、例えば「すべてを君に」(個人的に好きなんだけど)などが抜け落ちていたりと、不備が目立ち、 選曲はあまりよくない。なので、こうしてご紹介しておいて、こんなことを書くのも何だが、これを買うよりも、SPORTSとFORE!を買った方がよいだろう(笑)。私も、そうすべきだったと思ってるし・・・。ただし、ブレイク寸前だったセカンド・アルバム収録の3:Do You Believe In Loveは明るく、ポップな彼ららしい名曲。 実は私の一番好きな曲はこの曲だったりするのである。他にはドリーミーなバラード4:If This Is It、軽快で60年代ポップ風の12:Stuck With Youあたりがお気に入り。ただ、全体を聴いて思うのは、確かに、ポップで、明るく、それでいてロックン・ロールとしても魅力的なんだけど、やっぱりといおうか、 シンセなどを多用した、80年代ならではの分厚いアレンジが気になる曲もいくつかあったりする。結局、私は80年代に「青春時代」を送った世代のはずなのに、こういう80年代らしいアレンジが性に合わないようだ。もちろん、彼らの作品が素晴らしいことには変わりはないんだけど、「アレンジがもっとシンプルな、70年代風のものだったらよかったのに」と思ってしまうのである。 なお、90年代以降、彼らは急速に失速。90年代には2枚のアルバムしか出していない上、地味に、小さな会場で、ひっそりと来日公演が行われたりしているほど。いっそ開き直って、イギリスのパブ・ロック風な素朴な作品に挑戦して欲しい、私はそんな風に思ってしまうのである。 *アルバム好感度 70
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私がトムの存在を知ったのは、実はトラヴェリング・ウィルベリーズの時だった。つまり、それまで私は、恥ずかしながら彼の名前、存在すら知らなかったのである。ウィルベリーズでようやく彼を知り、当時はまだ ワーナーから発売されていたDAMN THE TORPEDOES(破壊)を購入、さらに当時ヒットしていたFULL MOON FEVER収録曲をラジオで聴いて、エア・チェックして・・・。そんな風にして、徐々に彼の音楽を聴き込んでいった。 ものすごく気に入った。にもかかわらず、「夢中になって聴いた」という風ではなかった。確かに、フォーク・ロックあり、カントリー・ポップあり、ルーツ・ロックあり、ブリティッシュ・ビートありで、私の趣味には合ってるし、好きなんだけど、どこか地味で、 派手さがない分、「のめり込んで必死に聴く」というほどでもなく・・・。好きで、気に入ったはずなのに・・・。 その後、このベスト盤が発売になった時、私はすぐに購入した。しかし、気に入ったはずなのに、繰り返し聴きたいという風でもなくって、やはりそのまま放置していた。でも、CDの「大量売却」を実行した時、このアルバムを売ってしまおうという気は全くおこらなかった。おそらく、熱狂的なファンの方には怒られてしまいそうだけど、彼って、実はそんな存在なのかな、という気がする。 確かに、やってる作品は素晴らしいし、ロック・ファンならその魅力を理解できるはず。だけど、逆にいえば、あまりにも正攻法、というか、まっすぐで正直に、自分の好きな音楽を消化したロックをやってる分、「派手さがない」「そつがない」という感もあるわけで、気がつけば「最近聴いてなかったなあ」ということになって・・・。 でも、「いつも手元に置いておきたい」そんな感じかと・・・。ひょっとすると、「そういえば、まだ聴いてないや」とか、「持ってるし、好きだけど、あまり聴かないなあ」と思ってる方、多いんじゃないかと思う。ちょっと損してる人なのかなあ、という気もしないではない。私も最近、ようやく彼の本当の魅力が分りはじめてきたようだ。 しかし、日本では地味な印象の強い彼も、実はアメリカでは、新作を出すたびにビッグ・セールスを記録する「大物」で、スプリングスティーンと比較されることすら多いというんだから驚く。やはり、アメリカ人にとっては「王道」ということなのだろう。こうしてベスト盤で彼の歴史を辿ってみると、本当に深い。 初期の1:American Girlあたりはフォーク・ロック的でありながら、ストーンズのようなワイルドさがある。これが最も典型的な作風といえそうだけど、かと思えば、ストレートなアメリカン・ポップ風の7:Don't Do Me Like That、シンセや打ち込みも使ったひねくれた12:Don't Come Around Here No Moreのような作品も現れる。 さらに、ウィルベリーズ以降は13:I Won't Back Downのようなもろウィルベリーズな曲も登場、ポップ性も持ち合わせているのが分かる。などと書くと、「バラバラじゃないか」と思われそうだけど、これだけいろんなことをやっていても、全然無節操な感じがせず、とにかく、一貫性を感じるあたりが凄い。 それは、彼が自分のルーツをしっかり持った、「王道・アメリカン・ロッカー」だからに他ならない。また、ここには未収録だが、サザン・ロック風の作品、スティーヴィー・ニックスとデュエットまであるそうで、本当に、彼の懐の深さを感じずにはいられない。もっと多くの日本人に聴いて欲しい、評価して欲しい人のひとりである。 しかし、ここで初登場の「新曲」だった18:Mary Jane's Last Dance、ボーカル、サウンドともディランそのもの。実ははじめてウィルベリーズで彼の歌声を聴いた時、ディランと彼の声、見分けがつかなかったものだ。このテの声、はっきりいって好きです。 *アルバム好感度 80
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*:2000年3月7日UP
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