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ストーンズ好きが昂じて”〜ing・・・s”という名前に憧れ、Flamin' Grooviesと名付けたというシスコ出身のガレージR&Rバンド。60年代末、サイケ全盛の時代にデビュー、メイン・ストリームとかけ離れた存在だったわけで、当然注目を浴びる機会はなかった。70年代初頭にはリーダーのロイ・ロニーが脱退するなど、 メンバー・チェンジに見回れたものの、70年代半ばにはデイヴ・エドモンズのプロデュースでアルバムを発表、アメリカのバンドながらパブ・ロック・ファンにちょっとだけ注目を浴びた。しかし、ここでまたも2代目フロント・マンのクリス・ウィルソンが抜けるなどのメンバー・チェンジで失速。ロックの歴史に名前を残すこともなく、デビューから30年以上たった現在も活動中という、何とも不思議なバンドである。ただし、一部で熱狂的支持者がいるのは事実。 エドモンズのプロデュースで発表したSHAKE SOME ACTION(76年)、NOW(78年)、それに続くJUMPIN' IN THE NIGHT(79年)という、サイアー・レーベルに残した3枚はコアなパブ・ロック・ファンの支持を得ていたし、70年代初頭、バンドの創始者ロイ・ロニーのいた時代は「元祖パンク」としてガレージ系のファンに絶賛されているし・・・。つまり、彼らは「カルト・バンド」のひとつといってもよいだろう。 私がこのバンドを知ったのは、1995年発売の雑誌THE DIGのNo.3を読んだのがきっかけ。全く知らなかったバンド、でも「エドモンズのプロデュース」、「ストーンズに憧れたバンド」、「ガレージ・バンド」、「パワー・ポップ」、「ビートルズをカバーした」といった、私の心を動かすようなキーワードで溢れたその記事を見て、どうしても聴きたくなった。そしてCDを探した。国内盤など1枚もない。輸入盤もほとんどない。 そんな中、苦心してみつけたのがこのベスト盤。店の隅で埃を被っていた。みつけた瞬間の嬉しかったことといったらなかった。ところがそれから約1年後、「パワー・ポップ」なるものが注目されるようになると、「サイアー3部作」とこのベスト盤の国内盤CDが登場、さらには初期のガレージ期のアルバムまで再発。あれには驚いた反面、悔しかった。このバンドに関するデータはTHE DIGの記事以外ない。 それなだけに国内盤を買って日本語のライナーが読みたかった。それが残念だったのである。 で、このベスト盤はサイアーからの発売ということもあり、先も述べたサイアー時代の「3部作」収録曲に、ロイ・ロニー時代の作品を「申し訳」程度に付け加えたもの。よって、初期ガレージ期の作品は2〜4の3曲のみ。ということで「ガレージ風=ストーンズっぽい」曲は少なく、むしろパワー・ポップ然とした作品が大半を占める。 近年はパワー・ポップ関連のオムニバスにもよく登場するポップな名曲1.Shake Some Action、バーズ風フォーク・ロック6.Yes It's True、15.Yes I Am、ドリーミーなメロディのポップ・ナンバー9.Between The Lines、11.You Tore Me Down、12.I'll Cry Alone、 ストレートなビート・ロック8.In The USA、ビートルズのAll My Loving風のリズムの21.All I Wanted、ビートルズのBBCなどでお馴染みのSome Other Guy風のリフが印象的な22.Jumpin' In The Night、プロデューサーのエドモンズが共作者として名を連なるロックパイル風の5.Yeah My Babyと聴きどころは多く、 パワー・ポップ系にファンの方に受けそう。だけど、「ストーンズ・フォローワー」という観点からいえば、やはりロイ・ロニー時代の2〜4が注目だろう。中でも2.Teenage Headはガレージ・バンド時代の彼らの代名詞になっている1曲。ブルージーなリフに乗せてロニーがダミ声で歌う、チープで猥雑なナンバーである。ストーンズのWild Horsesでピアノを弾いていた ジム・ディッキンソンをわざわざセッションに招くという徹底したこだわりぶりも素晴らしい。ロック史には「ヒットとは無縁だった永遠の名曲」というのがよくあるが、これもまさにそうした曲である。いうまでもなく18.Absolutely Sweet Marieはディラン、23.There's A Placeはビートルズ、24.River Deep Mountain Highはアイク&ティナ・ターナーのカバー。 特にビートルズのThere's A Placeは丸々コピーだが、これ以上ないほどはまっている。 ようやく国内盤CDも出始めたし、ゆっくり聴き進めたいバンドだ。このベストにはストーンズのカバーはないが、ストーンズの曲もいっぱいカバーしているし、NOWに至ってはアルバム・タイトルからジャケットまで見事に初期ストーンズを真似てしまう徹底ぶり。黒ずくめ、グラサン、くわえタバコって、そこまでやるか! 本当にストーンズが好きなんだなあと微笑ましくなってしまう。反面「好きな音楽をフォローしている」というレベルを脱しきれないまま「オヤジ」になってしまった、 「大人になりきれない子供」みたいなバンドといえなくもないし、「だから売れないんだよ」と思ってしまう。とはいえ、だからこそ愛しい。そしてそんな彼らだからこそ、熱狂的支持者がいるんだと思う。なお「シリル・ジョーダンがリーダーぶってるのが気に入らなかった」ことを理由に、自分の結成したグルーヴィーズをあっさり脱退したロイ・ロニーは、現在もバンド活動の傍ら、何とレコード店の店員をやってるとか!! いかにも「らしい」エピソードである。今後はロイ・ロニー時代のアルバムを聴いてみたいなと思ってるところだ。私は「ガレージもの」も「パワー・ポップ」もどっちも大好きだから、両方の時代とも楽しめるけど・・・。 *アルバム好感度 80
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あるボードで見かけた書き込み。「ビート・クラブ」のビデオを見ていたらニューヨーク・ドールズが登場。すると、横で見ていたその方の奥さんが「これってストーンズ?」と聞いたとか。その書き込みを見て私は妙に納得してしまった。確かにこのバンドって、見た目もサウンドもストーンズそのもの。 「ロック音痴」な人が見間違うのも頷ける。ケバケバしいメイクのせいで、「アメリカのグラム・ロック」といわれ、ひどい場合には「ゲテもの」扱いすらされたという彼らが正当な評価を受けたのは解散後、パンク・ムーブメントが吹き荒れた頃だった。 ニューヨーク・パンクは彼らに憧れた連中が起こしたムーブメントだったり、彼らの最終期のマネージャーが後にピストルズを「でっち上げ」たマルコム・マクラレンだったり、ギタリストのジョニー・サンダースが後にパンクの連中に「アニキ」扱いされたりと、確かにパンク・ムーブメントはドールズの延長線上で起こったと考えて間違いない。 だけど見逃せないのは、彼らがストレートなストーンズ・フォローワーであったこと。メイクこそグラム風だけど、デヴィッドのスキャンダラスなキャラクター、ジョニーのキース直系のギター、さらにはパンクにはない泥臭い曲も登場・・・。つまり、彼らは「パンクの直接の先祖」でありながら、 実は正統派のストーンズ・フォローワーでもあったのである。ということは、彼らを通じてストーンズとパンクは繋がっているわけで、パンクは決して「突然変異」的なムーブメントではなかったということが分かるというものだ。 で、このアルバムはドールズのファースト・アルバム。パンクっぽい曲とブルージーで泥臭い曲が同居、まさに「ストーンズとパンクの橋渡し」という彼らの本来の姿が現れている。アルバムはストーンズというより、フェイセズ風のスワンプR&R1.Personality Crisisではじまり、パンク+チャック・ベリーともいえそうな 2.Looking For A Kissと続く。その後も、パンキッシュなVietnamese Baby、Frankenstein、Trashと、ストーンズのDead Flowers風のカントリー・フォーク4.Lonely Planet Boy、ボ・ディドリーのカバー9.Pillsのような曲が同居している。強引に言えば、EXILE ON MAIN STREET的なストーンズと、 SOME GIRLS的なストーンズが同居しているといったところだろう。そう考えると、やはりこのバンドが正統派ストーンズ・フォローワーであることを再確認させられてしまう。 純粋にいい曲が多いし、文句なくカッコイイし、ロックの歴史的にも重要な位置にあるアルバムといえる。ただし残念な点もある。プロデュースはあのトッド・ラングレン。大半の曲に施されたボーカルのダブル・トラック化、深いエコー、異様にクリアな音など、彼お得意の「オーバー・プロデュース」が炸裂しているのである。彼のオーバー・プロデュースは ポップ系のアーティストを担当した時には対立を生む反面、好結果をもたらすことが多いけど、彼らのように生々しさや攻撃性、ライブ感覚などが売りのバンドで炸裂してしまうと、その本来の魅力を薄めてしまう。正直、彼らのナンバーにダブル・トラック・ボーカルやエコーなどは不必要。ストレートにそのままの音を録音してしまった方が断然よかったと思われる。 事実、2.Looking For A Kissは「ビート・クラブ」のビデオのライブ・バージョンの方が、8.Subway Trainはジョニーがソロ・アルバムSO ALONEで再録したソロ・バージョンの方が数段カッコよく思われる。本当にそれだけが残念。ジョニーも後年、トッドのプロデュースをけなしまくっていた。また、リアル・タイムでは「ゲテもの」扱いされてしまったがために正当な評価を得ることができず、セールス的にも不発だった。 続くセカンド・アルバムTOO MUCH TOO SOONはさらなる大コケ、直後デヴィッドとジョニーの対立がもとでジョニーとジェリーが脱退(2人はドラッグ中毒でヤバかったためにクビを切られたという説もあり)、アーサーはアル中で解雇、以降はデヴィッド&シルヴェイン+素人同然のメンバーによるバック・バンドと化し大きくパワー・ダウン、75年にはあっさり解散している。75年に来日を果たしているが、 デヴィッド&シルヴェイン以外のオリジナル・メンバーがいなくなった後だったこともあって大不評だったそうで、日本でリアル・タイムで受け入れられることはなかった。 パンク・ムーブメントが吹き荒れたのは解散直後であった。「早すぎたパンク・バンド」であったこと、メイクのせいで「ゲテもの」扱いされてしまったことが原因で、リアル・タイムではまともに評価されなかった不幸なバンドだった。 本当にもったいない。ストーンズ、フェイセズのファンの人は先入観を捨てて必ず聴き直して欲しいと思う。もうひとつ、ジョン・レノン、デヴィッド・ボウイのお気に入りのバンドだったということも付け加えておこう。 *アルバム好感度 90
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今やハード・ロック界の重鎮と化した彼らだが、デビュー当初は「ストーンズのコピー」といわれ、一部でバッシングを受けたという。こんなことを言うと、80年代以降のファンの方は「エアロってストーンズには似てないよ」と思うかもしれない。確かに80年代末の「復活」以降のエアロは ハード・ロックというか、ヘビメタ然としたところがあるし、時として「産業ロック」的なナンバーに手を染めたりと、いかにもBURN!誌の読者に受けそうなイメージで語られることが多い。だけど、デビュー当初の彼らはハード・ロックである以前に、ストレートなR&Rバンドであった。メロディアスな曲はやらないし、 分かりやすい構成の曲も少なく、「メロディよりもノリ(「グルーヴ」といった方が適当か)重視」な姿勢を貫いていた。確かに「ハード・ロック」だけど、「ハード・ロックである以前にR&Rである」というイメージが強い。彼らの本質がツェッペリンのように ブルースではなく、パープルのようにクラシックでもない、あくまでもR&Rだということ。それがこのバンドの最も重要な点ではないか。私はいつもそう思っている。80年代以降のヘビメタ然とした彼らの中にも、そのルーツははっきりと感じ取ることができる。 で、これまで述べてきたことからお分かりの通り、私が好きなのはやはりR&R然とした70年代の方。この時代の彼らには、確かにストーンズを感じることができる。ただし、微妙に違う点が多い。キャラクター的に似ているといわれるミックとタイラー。もちろん、タイラーはミックの影響をモロに受けたボーカリストだ。ただし、決定的な違いがある。 大雑把に言えばミックはオーティス・レディング・フォローワー、タイラーはジェイムズ・ブラウン・フォローワーであること。タイラーがよくやる、わめき散らすようなシャウトは間違いなくJBの影響だろう。また、ギター・サウンドも大きく違う。「ジェフ・ベックがアイドル」というジョー・ペリーのギターは ブルースの影響が薄く、また、キースのようなチャック・ベリー・スタイルでもなく、もっとファンキーな感覚の持ち主だといってよい。エアロというバンドの本質はこの2点、タイラーのJB的なボーカルと、ペリーのファンキーなギターに凝縮されているのではないだろうか。つまり、大雑把に見れば「ブルージーなストーンズ、ファンキーなエアロ」と色分けできると思う。 先も述べた「メロディよりもグルーヴ重視」な姿勢というのも、実はJBをはじめとしたファンクの基本ともいえるわけで、そんなところにも彼らの本質が表れている。やかましくて卑猥、これもまたJBとエアロの共通点であるし・・・。 随分と前置きが長くなってしまったが、このアルバムはエアロの70年代のライブ盤。70年代末にしては随分と録音状態が悪く、それゆえにファンの間ですら評判がよくなく、80年代以降の彼らのファンには特に不評を買っているようだ。だけど私に言わせれば、このバンドの「猥雑でやかましい」という本来の魅力が最も炸裂しているのは、 むしろスタジオ盤よりもこのライブ盤じゃないのかと思う。ただですら猥雑な音が、録音状態の悪さゆえに猥雑さがさらに増して聞こえる、私にはそう思えるのだが・・・。収録曲はベスト選曲といってもよい内容。彼らのレパートリーで最もストーンズっぽい12.Mama Kin、ヤードバーズ経由で取り上げている14.I Ain't Got You、 17.Train Kept A Rollin'には彼らのブリティッシュ・ビート・フリークぶりが窺えるし、ジョー・ペリーがスタジオ盤にない、トーキング・モジュレイターを使用したギターを聴かせる2.Sweet Emotion、7.Walk This Wayには彼らのファンキーな面が特によく出ているしで、 このあたりが聴きどころ。個人的には様式美ハード風の9.Dream Onは苦手だけど・・・。ビートルズ・カバーの6.Come Togetherはスタジオ・テイク以上にワイルドに仕上がってて、こっちの方が出来はよいと思う。私がこのアルバムを「エアロの最高傑作」というと、みんな変な顔をするけど、 私は一歩もひきません(笑)。ヘビメタ経由のファンには受けそうにないけど、ロックの本来のカッコよさって、こういう「ワイルドさ」「やかましさ」じゃないのかな。なお、デビュー当初はニューヨーク・ドールズと比較されることも多かったということを付け加えておこう。その両バンドが全く逆の運命を辿ったことを思う時、私は複雑な気分にさせられる。 *アルバム好感度 80
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*:2001年1月14日UP
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