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| 発売 | 1964(英) |
| プロデューサー | シェル・タルミー |
| メンバー | レイ・デイヴィス(vo,g,har,key) デイヴ・デイヴィス(leadg,vo) ピート・クエイフ(b) ミック・エイヴォリー(d) |
| 参加ミュージシャン | ジミー・ペイジ?(g,per)、ボビー・グラハム(d) |
| VICP-5328(KINDA KINKSとの2in1CD、ビクター) | |
| 購入時期 | 1994年頃 |
| キンクスのデビュー・アルバム。サード・シングルとして発売されたブリティッシュ・ビート・クラシック7.You Really Got Meの突然の大ヒットを受けて、急ごしらえ的に作られた感も強いため一般的には評価は高くなく、
大ファンを名乗る人からさえも「後のアルバムと比較すれば語るべきところはない」と切り捨てられる冷遇ぶり。確かに、後のキンクスのカラーともいえる「ひねくれた」雰囲気の曲は皆無。カバー曲も、同時代の他のR&B系ビート・バンドと比較すると、音がスカスカだったり、リズムがセカセカし過ぎていて重さや粘り気がないなど、
「本格指向」は薄い。レイのボーカルも後年のような深みやけだるさがなく、どこかミック・ジャガーやヴァン・モリスンを気取ったような、気張ったスタイルを貫いていて、若干の違和感がある。
もちろん、多くの人が言う通り、後年の彼らのアルバムと比較すればチープである、それもまた認めざるを得ない。 だけど私はこのアルバムが好きだ。「7.You Really Got Meと初期を代表するメロディアス・ナンバー13.Stop Your Sobbingだけが飛び抜けてる」というのが一般的評価だけど、他の曲がそこまで劣ってるとは思えない。 レイのボーカルが左右のスピーカーを行ったり来たりする3.So Mystifyingは、R&Bとブリティッシュ・ポップが程よくブレンドされた典型的ブリティッシュ・ビート・ナンバー。これは好感度がかなり高い。それに続く3.Just Can't Go To Sleepも大好き。こっちはさらにポップで 軽めのポップ・ナンバーだけど、ハンド・クラッピングとNo no no no noのコーラスが、いかにもブリティッシュ・ビートらしい。私の手持ちのCDのライナーで「やっつけ仕事」と安易にバッサリやられてるのが腹立たしい。 カバー曲もチャック・ベリーの11.Too Much Monkey Of Businessは、残念ながら先に述べた「軽すぎてセカセカしたリズム」が致命傷になってうまくいっていないが、1.Beautiful Delilah、4.Long Tall Shorty、8.Cadillacあたりは、逆にその「セカセカ感」が生きて、ガレージ色の濃い好テイクに仕上がっている。 特に1.Beautiful Delilahは、まだティーンのデイヴが青臭く、かつ、荒っぽいボーカルを聞かせていて、アルバム1曲目にふさわしい出来だ。他にもシェル・タルミー作でザ・フーも公式に発表している9.Bold Headed Woman、ラリー・ペイジとレイの共作で、後に歌詞を付けてジミー・ペイジが改作、She Just Satisfyedとしてレコーディング、シングル発売したインスト10.Revengeなど、 当時のブリティッシュ・ロック・シーンの流れを考える上で興味深いテイクもある。 というわけで、確かに「やっつけ仕事」なのかもしれない、「後のアルバムと比べるべくもない」のかもしれない。だけど、You Really Got MeとStop Your Sobbing以外にだって聴きどころはあるアルバムだと私は思う。少なくとも、多くのキンクス・ファンが「ファーストと比べるべくもないほどの進歩」と評するセカンドよりも、 私はこっちの方が数段好きだが。「やっつけ仕事」故に、逆に「勢いと生きのよさを感じる」と思うのだが、どうだろう。 といっても、熱心なファンほど、怠惰でマイペースなイメージの強いキンクスに「勢い」なんて求めてないのかもしれないけど。ただ、勢いはあるのに、「暑苦しい」感じがしないあたりは注目。この辺はいかにも後のキンクスを思わせるものがある。ただし、ラストの14.Got Love If You Want Itは例外。ヤードバーズのバージョンに似た熱いテイク。 「時代の空気」を身近に感じることが出来る。 |
*アルバム好感度 90
| 発売 | 1965(英) |
| プロデューサー | シェル・タルミー |
| メンバー | レイ・デイヴィス(vo,g,har,key) デイヴ・デイヴィス(leadg,vo) ピート・クエイフ(b) ミック・エイヴォリー(d) |
| 参加ミュージシャン | ボビー・グラハム?(d) |
| VICP-5328(KINKSとの2in1CD、ビクター) | |
| 購入時期 | 1994年頃 |
| You Really Got Meの後、同様の強力なギター・リフを打ち出した「キンキー・サウンド」のAll Day And All Of The Night、そのスタイルをスローな曲に応用した6.Tired Waiting For Youとたて続けにヒットを連発。一躍「ビートルズ、ストーンズに続くバンド」に飛躍を遂げた頃に発表されたセカンド・アルバム。
ファーストと比べるとレイの作風も確立されて、より多彩な作品が増えているし、巧みなコーラス・ワークなど、バンドとしてのまとまりも向上しているし、レイのボーカルも力みが消え、ようやくお馴染みの「けだるい」スタイルを確立しているしで、「ビート・バンド」として大きく成長しているのが分かる。 アルバムは前作の延長線上にありながら、よりビート・バンドとして完成されたことを物語るような1.Look For My Baby、2.Got My Feet On The Groundでスタートするが、その直後にブリティッシュ・トラッド・フォーク調の3.Nothin' In The World Can Stop Me Worryin' 'Bout That Girlが唐突に登場する。 「後のサウンドの変化の予兆」といえなくもないが、まだこのアルバムの中で聴くと「唐突」という印象は否めない。やはりこのアルバムの特徴は、そんなことよりもむしろ、「ビート・バンドとして成長した姿が垣間見える」という点に尽きる。レイのボーカルから力みが消え、けだるいボーカル・スタイルを確立したことにより、アーシーなブルース4.Naggin' Womanのような曲をやっても無理がなくなりつつあるし、 Stop Your Sobbingの続編ともいえそうな哀愁漂う佳曲8.Don't Ever Changeも聴き逃せないし、後の彼らからすると意外なほどストレートにメロディアスなフォーク・バラード12.Something Better Beginningを聴いていると、もしも彼らがこの後、「ひねくれた」方向に向かわなかったとしても、きっと優れたバンドとして評価されただろうなと思わせるものがあり、「後のキンクスのカラー」云々と切り離しても十分楽しめる。 デイヴの方はぶっきらぼうな2.Got My Feet On The Ground、近年でもライブでお馴染みの6.Come On Nowで、レイのけだるいボーカルとは正反対のパンキッシュなボーカルを聴かせており、ここへきてようやく2人の個性の違いがはっきりと表面に出るようになった。一方でマーサ&ザ・ヴァンデラスの7.Dancing In The Streetのような、シャープさが求められるナンバーはやはり苦手なようで、 あまり上手くいっていない。この辺も後の彼らのイメージを考えれば納得させられるところだ。 というわけで、「デビュー作のカラーの中に、後のキンクスを思わせる影も見え隠れするアルバム」というのが一般的評価のようだが、私にはむしろ、「ビート・バンドとしての様々な可能性を垣間見せはじめたアルバム」というイメージが強い。イギリス色だの、ひねくれ感覚云々を語るにはまだ時期尚早。それらは、ここで垣間見せている多くの可能性のひとつに過ぎない。 ただ、私自身のアルバムの好感度は決して高くない。勢いと若さでは前作に、バラエティに富んだ内容という点では次作に劣る、というイメージが強いせいかもしれない。 |
*アルバム好感度 80
| 発売 | 1965(英) |
| プロデューサー | シェル・タルミー |
| メンバー | レイ・デイヴィス(vo,g,har,key) デイヴ・デイヴィス(leadg,vo) ピート・クエイフ(b) ミック・エイヴォリー(d) |
| 参加ミュージシャン | ニッキー・ホプキンス?(p)、ボビー・グラハム?(d)、シェル・タルミー(g:10.) |
| VICP-5329(FACE TO FACEとの2in1CD、ビクター) | |
| 購入時期 | 1995年春頃 |
| 1965年暮れ(66年の年明けとする説もあり、実は発売日不明)に発売されたサード・アルバム。次作FACE TO FACEと並んで、R&Bバンドから「けだるいイギリス的バンド」へと変貌を遂げていく、いわゆる過渡期の1枚とされているアルバムだが、
こちらの方はFACE TO FACEと比べるとまだまだ「ビート色」が濃く、「ビート・バンドとしての最後のアルバム」といえるかもしれない。 アルバムはデイヴの歌うブルース・カバー1.Milk Cow Bluesからスタートする。しかし「カバー」とはいえ、前作までのカバー曲と比べると格段にオリジナリティも、バンドとしてのまとまりもよく、しかも生きもよいしでクオリティは高い。キンクスの初期カバーものとしては 最高傑作といえるものであり、ビート・バンドとして完成、次の可能性を探っていたという、当時のキンクスの立場もよく分かる。そして、その「究極のビート・ロック」から一転、アコースティックな2.Ring The Bellが登場する。この辺の流れも、いかにも「過渡期」らしい。 その後もデイヴの歌う、ビートルズYou've Got To Hide Your Love Away経由ディラン節の5.I Am Free、カリプソ風のポップ・ナンバー8.I'm On An Island、プロデューサーのシェル・タルミーがギターを弾くビート・ロック10.It's Too Lateなど、 実に多彩なナンバーが並ぶ。しかし、最も重要な収録曲は、同時期にシングル発売された6.Till The End Of The Day、そしてそのB面だった9.Where Have All The Good Times Goneの2曲。前者はYou Really Got Me以来の、強力なギター・リフを前面に押し出した 「キンキー・サウンド」の完成品ともいえそうなナンバー。ハードなだけではなく、ポップで哀愁漂うメロディをも併せ持った佳曲、レイの自信作で「全米、全英両方でベスト3以内に入る」と宣言していた。ところが、そのクオリティ&ヒット性の高さにもかかわらず、そこまでのヒットには至らず。当時のファンは「キンキーなキンクス」に飽きはじめていたのかもしれない。 以降のレイは「キンキー」な曲は書かなくなり、作風は大きく変化、しかも「シングル・ヒット狙い」は一切やらなくなる。この失敗(あくまでも「チャート上の」)は後のキンクスの歩みに大きな影響を及ぼすことになる。しかしその変化の予感は実はそのB面、9.Where Have All The Good Times Goneの中で、既に垣間見えている。ディラン経由のけだるいボーカル、 フォーク・ロック風のサウンド、皮肉の散りばめられた歌詞が新鮮で、以降のキンクスの「基本路線」になる側面をはじめてうかがわせたナンバーとなった。特にTime Is On My Side風の歌詞でストーンズを、Yesterday風の歌詞でビートルズを皮肉ってるのでは? と思わせる一説が鮮烈だ。 というわけで、ビート・バンドとしての完成した姿を見せると同時に、今後の変化をも予測させる、まさに過渡期の1枚。「過渡期のアルバム」というと「まとまりがない」として嫌う人も多いけど、私はどのアーティストでも、この「過渡期」が大好き。いろんな可能性を垣間見せているし、作風が多彩だから。 このアルバムもまた同じ。よって、好感度は高い。それに「過渡期」といっても、ビート・バンド的側面と、「けだるい系」が上手く調和しあっている分、「まとまりがない」という印象はあまり受けない。私は次作のFACE TO FACEとの2in1で聴いたからかもしれないが、次作とは対になるようなアルバムだと解釈している。なお、1.Milk Cow Bluesを除いて全曲レイのオリジナル作品。レイのソング・ライターとしての急成長ぶりも目覚しい。 |
*アルバム好感度 100
*:2003年2月1日UP
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