ミュージック・ライフPart 12
(2002年4月15日〜10月20日)

ここでは、☆TAKEが音楽について感じたこと、最近買ったCD、自分の音楽の趣味・・・など、音楽についての たわいのない雑談を書いてゆきます。ここに書いてあることは、あくまでも私個人の考えや、感じたことなので、 あらかじめご了承ください。面白い話ではないかもしれませんが、よろしくお付き合い下さい。

      
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ライナー・ノーツを考える

UP:2002年10月20日
・輸入盤派? 国内盤派?
   ネット上でよく話題になりますよね。私はネットをはじめた当初(1998年初頭)、あるプロバイダーの大型BBSで、この話題に対して次のようにレスしました。「断然国内盤です。歌詞、対訳、何よりライナーが欲しいんです。私の好きなアーティストは、極端に60、70年代に偏っています。当然、リアル・タイムでは聴いておらず、知識がない。だから、そのアーティストに関する情報が欲しいし、 そのアルバムがどんなアルバムなのかだって知りたい」。それに対し、「輸入盤だ」とする人たちはこう述べていました。「輸入盤の方が安いし、あくまで英米盤の方がオリジナルだから」。その後も両派からいろんな意見が出て、面白い展開になりました。「国内盤が高いのはライナーがあるから。そのために金を出してると思えば割高感はない」とは私の反論。 で、結論として(当時のネットでは、意見が割れても口論にはならず、みんなで妥協点を見つけて「まとめ」に入るような空気があった。意見が違うだけで罵り合いになる近年の多くの大型BBSとは大違い)、「アーティストに関する情報が欲しい時は国内盤、音だけ聴ければよい時は輸入盤を買うのがベスト」ということに収まりかかってた。だけどそこで、こんな意見が出た。「でも、金を出してまで『読んでよかった』と思えるようなライナーにはめったにお目にかかれない」、 さらには、「アーティストに関する情報や、アルバムに対する知識なんて、果たして音楽を聴く上でそんなに重要なものなのか?」と。当時の私には全くピンとこなかった意見。でも、ここ1、2年、その方の言わんとしていたことが何となく分かりはじめてきました。果たして、CDを聴く上でライナーって、本当に必要なのかと。

・嫌いなタイプのライナー
  「嫌い」を語るよりは、「好き」を語るのがこのサイトと私のポリシー。だけど「嫌い」を語れば、その逆が「好き」になるわけで、その方が語りやすいのでここでは敢えて「嫌い」を語ります。ただし、以下は超個人的な意見。「善し悪し」ではなく、あくまで「好き嫌い」ですので誤解のなきよう。

持論の振りかざし、押し付け、威圧的な物言い
私が最も苦手なタイプのロック評。雑誌、サイトでもこういうタイプって結構目にしますが。「俺は絶対正しい」「俺はお前らより偉いんだ、その俺が言うんだから間違いない、みんな、よく聞け」、明らかに我々を見下してる。これでは聴く気すら失せてしまう。というか、ライター名を見て、こういう人が書いていることが分かった場合、私は最初から読まないようにしてます(笑)。

精神論一辺倒
「精神論でロックを聴く」行為は嫌いじゃないし、そういうライターも結構好きだけど、そればっかりでは引いてしまう。何より、あくまでも「ライナー=解説」のはずでしょう? 適度に精神論が入るライナーは好きだけど、「それだけ」は・・・。

アーティスト崇拝、思い入れ強すぎ
「熱く思い入れを語る」タイプのライターって私は意外と好き、というか、私自身も実はこの類に入ると思うし。でも、それ一辺倒は苦しいし、やり過ぎると引いてしまう。熱さの中にも、適度な冷静さが欲しい。それが進んで「崇拝」気味になるともうついていけない。「このアーティストは偉大だ、この人のやったことはすべてOK」ノリの文章は怖い。しかも、こういうタイプには「一穴主義」が多いから、平気で他のアーティストはけなす、そのくせ実は知らない。 ファン・クラブが手がけたライナーに多い。そのアーティストのやった失態、失敗作に関して「こいつ、馬鹿だから」くらいのことを、苦笑混じりに言える人だったら書いてもいいと思うけど。「愛情」と「崇拝」は別物だと思うが、その区別がつかない人は書くべきじゃない。

情報が間違いだらけ
私がライナーに最も求めているもの、やはりそれは情報とデータ。参加してるメンバーとか、発売日とか、制作の背景とか。それが最優先。理論は立派、思い入れも熱い、なのに情報は間違いだらけなんてライナーは論外。そんなの素人の私にだって、いや、ファンだったら誰でも書ける。プロのライターが私たち素人よりも明らかに勝ってる点、それは知識と情報だけだと私は思ってます。 それなのに「情報がない、間違ってる」なんてお話にもならない。

小説付きのライナー
そのアーティストの音楽をネタにした短編小説がついてる、ってパターン。ストーンズに多いかな(笑)。もちろん、このパターンは好きな人も多いのは分かるけど、私はライナーで小説を読みたいとは思わないし、そのために輸入盤よりも高い金を払いたいとも思えない。

復刻ライナー
再発ものによくある、アルバム発売当時のライナーをそのままつけるパターン。資料として読む分には面白い。発売当時のファンやマスコミがそのアーティストやアルバムをどう受け止めていたのかがよく分かるから。でも、これだと「後から分かった事実」などの重要な情報が欠けていたり、時間の経過とともに、そのアーティストやアルバムの評価が変わってて、ギャップや違和感を覚えるケースの方が多い。例えば、 私の持ってるクラプトンのファースト・ソロのライナーは、発売時のものの復刻なんだけど、ブラインド・フェイスをこき下ろし、クラプトンを「ギターの神様」と思い込み、このアルバムにもそんなクラプトンを求めてる、そんな論調。これじゃあ「今聴くためのガイド」としては全く役に立たない。「復刻ライナー」は、確かに貴重で、興味深いものだけど、その場合、復刻ライナーとともに、今現在のライナーも補足の意味でつけて欲しいと思う。 そうやってこそ、はじめて価値が出るんじゃないかな。私の持ってるジョージ・ハリスンのGEORGE HARRISON(慈愛の輝き)はこのパターン。だから、時間の経過とともに、評価がどう変わったかが分かってよかった。

比較、批判、否定
他のアーティストと比較し、他のアーティストを批判しつつ、「それに引きかえ、このアーティスト、このアルバムは素晴らしい」とする論調のライナー。まして、その比較、批判されてるアーティストが好きだったりしたらこの上なく不愉快で、破り捨てたくもなる。はじめて聴くアーティストのCDを買って、ワクワクしながらライナーを読んでた時に、自分が好きなアーティストが批判、否定されてたりしたら、 「さあ、今から聴くぞ」という気持ちも急速に冷めてしまう。実はこのパターンでのめり込めなかったアーティストもある。こういう、「聴く前に気持ちを冷めさせる」行為はやめて欲しい。そのくせ、批判対象のアーティストのCDのライナーも、同じ人が書いてるなんて不可解なケースも多々ある(笑)。 あと、自分が買った以外のアルバムを「この人の最高傑作はこっち」と持ち上げるパターンも嫌。これじゃあ、「あんた、こっちを買って損してるよ」と言われてるような心境になる。

貴重な英文ライナーの対訳がない
原盤についている英盤ライナーのうち、「どうしても読みたい」気持ちにさせられるのが、アーティスト自身が手がけたライナー、本人による回想、曲紹介。本人じゃなくても、アーティストの側近とか、ゆかりの人とかが手がけたライナー。ところが、せっかく貴重な英文ライナーがついてるのに、対訳がないというパターンもよくある。ザ・フーのボックス、ピート・タウンゼンドの手がけたライナーの対訳が一切なく、 代わりに載ってたのは「なぜザ・フーは日本で受けないのか?」なんてボックスには不似合いな、日本人ライターの書いた文章。ガッカリ。読みたいのはピートの回顧録の方でしょう、買った人の9割9部9厘の人がそのはず。その点、ディランのBIOGRAPHは素晴らしかった。珍しい、本人による長文の全曲紹介の完全対訳があった。これはCD本体以上にのめり込んだ。それと、対訳はあるけど、ベタベタの「直訳日本語」であるがために、何を言ってるのかよく分からないのも困る。

  というわけで、こうやって書き連ねてみると、私がライナーに求めているのは、あくまでも情報とデータだということが分かります。ただ、事務的に情報とデータだけを並べられると読んでいて面白くない。だからその中に、適度に筆者の思い入れを入れてくれれば理想のライナーになる、といったところでしょう。「評価」はいらないかな。評価するのは、あくまでも聞き手自身なんだから。

・今では「ライナー<個人の音楽サイト」
   最初に書いた「輸入盤派? 国内盤派?」の議論の後、私は多くの個人の音楽サイトを見て刺激を受け、このサイトを立ち上げました。その後も相互リンク・サイト、既に閉鎖されたサイト、ただ通り過ぎただけの非リンク・サイトを入れると、おそらく何百もの個人のサイトを見てきたものと思われます。気に入ったものもあれば、気に入らなかったものもありますが、ひとくちに「ロック・サイト」といっても、 様々なタイプがあります。同じアーティスト、同じアルバムについて語っても、サイト=管理人によって受け止め方(つまり好き嫌い)が違うだけじゃなく、語り方、見方も全然違う。ある人は精神論で語り、ある人はデータだけを羅列する、ある人は思い入れを排して学問のように分析して理論で語る、ある人は思い入れだけで突っ走る、ある人はプレイヤーの視点から楽器の技術論やコード進行を語る、ある人は敢えて欠点を探して批判的に語る、ある人はジョークを交えて面白おかしく語る、ある人は詞の世界を深く探る、ある人はミーハー・ノリではしゃぐ、ある人はその音楽との出会いを自伝のように語る・・・。同じことについて語ってるとは思えないほど、 ありとあらゆる語り方をしてる、本当に面白いです。

  そのせいでしょうか、最近はライナーを読むより、個人サイトのテキストを読みながらアルバムを聴いた方がずっと面白いと思えるようになりました。確かに、情報やデータが欲しいんなら、絶対プロのライターが書いたライナーの方が優れている。でも、「嫌いなタイプのライナー」で述べたように、その情報やデータが間違いだらけのものや、思い入れや精神論だけを書き殴ったようなものも多い。 同じ「思い入れだけを書き殴る」のであれば、いくら音楽が好きだといっても、結局は「職業=仕事」として書かれたプロの文章よりも、あくまでも「楽しみ、趣味の一環」として思い入れと愛情だけで書かれた素人の文章の方が純粋といえる。ならば「面白い」「書いた人の気持ちが伝わる」「身近に感じられる」のは、断然素人の文章。それに、素人の場合はプロと違って「仕事」ではない分、書きにくいことだって書ける。例えば、ライナーだと当然メーカーに気を遣って絶賛一辺倒になるけど、 素人であれば「好きなアルバムだけど、この辺だけがちょっと気に入らない」といったマイナスな書き方も出来る。もちろん、自分と意見が違ってて、それゆえに「ちょっと待て」と思うこともあるだろう。だけど、プロのライターが自分と意見が違うと腹が立ったり、「俺の感覚は間違ってるのか?」と迷ったりするけど、素人ファンの文章であれば、「趣味の違いだな」と容易に割り切ることも出来る。

  まあ、そんなこんなで、ネットをはじめて多くの音楽サイトを見るようになってから、私は情報、データについて書かれたライナーや、アーティスト自身が手がけたライナー以外は、ほとんど読まなくなりました。また、以前のように「ライナーを読みたいから国内盤派」なんてことはなくなり、輸入盤を購入するケースも増えました。参加メンバーとか発表年などのデータくらいだったら、輸入盤で英文を読んでもちゃんと理解できるし。だから、いっそのことメーカーの人もプロのライターじゃなく、有名サイトの優秀な管理人にライナーを要請してみてはどうかな?  「この人なら、絶対プロよりも面白いライナーが書ける」と思えるような人、ネット上にはいっぱいいるし。ただ、結局はライナーを手がけた時点で、その人も「プロ」になるわけだし、批判的な部分は削除されたりとか手を加えられるだろうから、成功するとはいえないかも。だとすればやはり、アルバムを買ったら、そのアルバムが紹介されてる個人のサイトへ行ってテキストを読む、という今の楽しみ方がベストなのかもしれません。でも、やっぱり情報とデータは絶対ライナーが頼り。それなだけに、 ライナーを手がけるライターのみなさんにはデータと情報の充実、重視を心がけて欲しいと思わずにはいられません。

・私の選ぶベスト・ライナー
  ライナーについて、ちょっと手厳しいことばかり書いてしまいましたが、最後は「このライナーはよかったぞ」「感動したぞ」「心に残ったぞ」というライナーを。ただ、これもまた私の「好き嫌い」が基準。優れているのかどうかは分からないし、「俺もそれ、読んだけど嫌いだった」という人もいるかもしれません。あと、あくまでも「私の持ってるCDについていたもの」なので、 今では別のライナーになってる、というケースもあるかもしれませんので、あらかじめご了承ください。(ライター名は敬称略)

ROCK 'N' ROLL /JOHN LENNON(1987、東芝EMI、伊丹宇宙)
賛否両論ある文章かも。ジョンの死を美化したような表現もあるし。でも、はじめて読んだ時、思わず目が潤んだ、後で読んだら「クサイよ」と思ったけど、第一印象は強烈だった。

COMPLETE SINGLE COLLECTION1964-1966 / THE KINKS(1988、テイチク、加藤ひさし)
この人の語るキンクス話、思い入れが伝わってきて結構好き。これがはじめて買ったキンクスのアルバムだったけど、ライナーを読んで、ますますキンクスが好きになったし、楽しくキンクスを聴き、知ることが出来た

IMAGINE / JOHN LENNON(1987、東芝EMI、渋谷陽一)
このライター自体は好きじゃないタイプだけど、「このアルバムは単なる優しいアルバムじゃない」という論調は鋭い。彼にしてはアクの薄いタイプの文章かも(笑)、その分、私でも受け入れられた。

THE SINGLES / THE WHO(1985、ポリドール、松村雄策)
各曲に添えられたピートのコメント、さらにはロックに対する思いを語ったピートのコメントが嬉しい。

MUSWELL HILLBILLIES / THE KINKS(1993、MSI、大鷹俊一)
この人は好きなライターで、文章とか、ロックを語るスタンスとかが自分に近いと思ってる(「似てる」と言われたことあり)。ここでも、このアルバムを「単なるアメリカン・ミュージックに挑戦したものではない」とする彼の意見に大納得

BIOGRAPH / BOB DYLAN(1985、ソニー)
上でも述べたけど、超長文の本人のコメントをメインにした曲解説は圧巻。ディランって自分のことは語らない人だし。

THE BEST OF ROD STEWART(1989、ワーナー)
本人よる全曲紹介がある。しかも、ただそれだけで、他には一切の解説も補足もない。それが逆に潔い。

PET SOUNDS / THE BEACH BOYS(1988、東芝EMI、山下達郎、ブライアン・ウィルソン)
本人+フォローワーの日本人アーティストという組み合わせは、ある意味、これ以上ないものかも。山下氏も決して「崇拝」に走ってはいなくって冷静なのがよい。

THE RUTLES(1990、MSI)
ラトルズの映像版ALL YOU NEED IS CASHのストーリーが書かれているので、物語として楽しめるし、映像版に収録されていたミック・ジャガーのインタビューも再現。CD、ビデオ、そしてこのライナーが揃えば「ラトルズのことはすべて分かる」といった感じ。 これに金を払うのは苦になるどころか、もう少し払ってもいいという気にすらさせられる(笑)。まるで映画を見にいったら映画館で売られているプログラムを見ているかのよう。

ANTHOLOGY シリーズ / THE REATLES(1995、東芝EMI、マーク・ルイソン)
「ビートルズ研究」の第一人者、マーク・ルイソン氏の綿密な調査に基づいた解説。なにしろ、いちファンでありながら、アビー・ロード・スタジオのレコーディング日誌の閲覧、すべてのマスター・テープの試聴を許され、それをもとにまとめたんだから、 これ以上信憑性の高いものはない。このライナーに限らず、この人の手がけたものはすべて素晴らしいし、現時点では最も信憑性が高いといえる。それなだけに、なぜかその後に書き加えられた、日本のファン・クラブによる解説は全くの蛇足。


喪失感 ー追悼ジョン・エントウィッスル

UP:2002年7月8日
  ザ・フーのジョン・エントウィッスルが2002年6月27日に急死した。世の中はサッカー・ワールド・カップ一色、サッカー観戦歴20年近くになる私も、この1ヶ月間はほとんどロックのことなど忘れてしまい、頭の中はサッカーのことばかり。そんな中「サッカーの記事でも読もう」と思って何気なく広げた新聞の夕刊。ところが、死亡欄に何気なく目を移した私は、思わず我が目を疑った。「ジョン・エントウィッスル氏(ロック・バンド、ザ・フーのベーシスト)」。??? ジョン・エントウィッスル? 死亡欄? 何? ・・・えっ? まさか!  すぐにはこの記事が何を意味するのか、私には把握できなかった。そう、それは頭の中がサッカー一色で、音楽モードに切り替えられなかったこともそうだけど、それ以上に、ジョンが亡くなるなんてことは私の中では全く考えもしなかったことだから。THE CONCERT FOR NEW YORK CITYでも見ることの出来たザ・フー再結成ライブでの彼らの往年を思わせるパフォーマンスぶり、今後は新譜を出すなどして本格的に活動再開する可能性があるとの噂、そしてなによりも、ついこの前、「ビートルズ・トリビュート・バンド」なる不可解なユニットの一員としてトッド・ラングレンらと来日したばかりの彼。 そう、「突然亡くなる」なんて要素は、ひとかけらもない。そんな中で目にした死亡記事。決して身近な知り合いだったというわけじゃないから「元気だったのに」とはいえないけど、遠目に見る限りにおいては、「亡くなってしまう要素」は全く感じられなかったわけで。しかもジョンといえば、寡黙で無表情な人。その分、不死身というか、そんなイメージを勝手に持っていた。身を削りながらロックに取り組み、繊細な一面も持ち合わせているピート、スター然としたイメージのロジャーが亡くなってもショックはショックだけど、そのイメージ故に「長生きしないタイプ」といえるし、不思議には思わないだろう。 だけど、無表情で頑強で、不死身な印象のジョンの死。やはりすぐには受け入れることが出来なかったし、今でも実感が湧かないというのが正直なところだ。

  だけど、そこでふと考える。私にとってジョン・エントウィッスルってどんな存在だったのだろうか? ザ・フーはビートルズ、ストーンズの次に大好きなバンド、自分にとって大事なバンド。だけど私はこれまで、ジョンに注目した記憶がほとんどない。私の中でザ・フーといえば、=ピート・タウンゼンド。私の考える「ザ・フーの魅力」「ザ・フーのイメージ」を体現しているのは断然ピートだった。だから私の「ザ・フー好き」は=「ピート好き」を意味していた。一方でロジャー・ダルトリーの存在、 それは私にとって「ピートと相対する存在」。といっても彼が嫌いなわけじゃなく、一見粗暴なようでいてアーティスティックで繊細なピートと正反対な要素、スター然としていてタフで男っぽい彼の存在は、ピートに欠けている部分を補うために、絶対に欠くことの出来ない存在だと思ってきた。そしてキース・ムーンは愛すべき奇人。ロック界に奇人と呼ばれる人は多いけど、ハチャメチャで問題児なのにダーティな感じがせず、むしろ愛らしさまで感じることもある彼の存在はロック界において唯一無二のものであり、誰にも代え難い魅力を感じてきた。そう、確かに私はジョンを除く3人にはそれぞれに思い入れがあり、そのキャラクターを愛してもいる。 それに対しジョンにはそこまでの思い入れを抱きにくい。イメージといえば寡黙で無表情でおとなしい、ライブ映像などを見ても他の3人が破天荒なパフォーマンスを繰り広げる中、ただ一人直立不動で無表情に黙々とベースを弾き続けている、その姿は逆に怖い・・・、といったもの。そう、ビジュアル的にも地味だし、キャラクター的にも地味。どうしても映像や写真でザ・フーを見る時、私が彼を見る順番はいつも最後の4番目。ヘタをすると一度も気に留めないことさえある。

  だけど一方で、こと音源を聴く場合ということになると、その状況は一変する。1988年頃にベスト盤を手に入れてザ・フー初体験するまでの私には、「ベースの音」を意識するという機会がなかった。多くの人はビートルズのレコードでポール・マッカートニーのベースを聴いて、「はじめてベースの音を意識した」と言っているけど、私はビートルズを聴いて「ベースの音」を意識したことはなかった。というか、ビートルズは私の中で、あくまでも「ボーカル・メインのバンド」である。つまり、まずボーカルありき。ビートルズを演奏面に注目して聴くようになるのは、この後もっと多くのロックを聴き込んだ後のことになる。 初めて買って聴いたザ・フーのベスト盤に収録されていたMy Generationの間奏のソロ、I'm A BoyやHappy Jackのイントロから入ってくるリフ、これこそが私がはじめて意識して聴いた「ベースの音」なのである。凄い音だなあ、ちょっと歪んでるよ、しかもギターよりも馬鹿でかい音を出してる。これは衝撃だった。以降も多くのザ・フーの楽曲を聴き進めていった私にとって、「音が凄い」メンバーといえば間違いなくキースとジョンだった。ピートはライブなどでの派手なアクションを見れば「凄い」と思うし、引き込まれてはいくんだけど、音を聴くだけではそれほど派手だとは思えないし、彼のギターを意識して聴くということはない。そう、つまりザ・フーの映像や写真を見る時に注目する順番はピート→キース→ロジャー→ジョンで、 しかもジョンに注目することはほとんどないんだけど、いざ音を聴く時ということになるとキース→ジョン→ピート→ロジャーと、大きく順番が異なってくる。つまり私の中で彼は、そのキャラクターや存在、パフォーマンスの面では思い入れはあまり持てない一方、ことプレイヤーとして見ると俄然注目度が上がるというわけ。つまり私の中で彼は「プレイヤー」なんだということだろう。

  一方で彼が冷遇されたソング・ライターだったという点にも思わず注目してしまう。ソング・ライターなんだけど、バンド内にはピートという絶対的なライターがいる。その分作品を発表する機会が少なく、彼の中にはかなり早い時期から欲求不満があったと聞いている。ビートルズにおけるジョージのような立場。だけど彼の場合、ジョージのような「弟分」だったわけでもないから、その欲求不満はジョージ以上に大きかったんじゃないだろうか。彼がピートやロジャーに対してどんな感情を抱いていたのか、実は私は知らない。ピートとロジャーがお互いにどう思ってたのかはよく語られるし、「メンバー間の不仲」といった時に語られるのもほとんどこの2人の関係について。 だけど私はきっと、ジョンも2人のことをよく思っていなかったと想像している。デビュー前は絶対的リーダーで独善的だったというロジャーに対しては遺恨があったろうし、ピートに対してもライターとして冷遇されることに対する不満を抱いていたはず。だけど、言葉を交わさなかったり目を合わせなかったりと、その不仲ぶりを露骨に人前にさらすピート&ロジャーと違って、ジョンの場合、映像などを見る限りピートやロジャーとも上手くいっているかのような、そんな素振りを見せていることが多い。だからといって彼が「人目に触れるから」意識して仲のよいフリをしていたというわけでもないだろう。「ムカつくけど、とりあえずそれは表に出さない」。 彼が無表情で寡黙な性格だからこそ、それを表に出さなかった、とも考えられるけど。事実いざインタビューなどになると、ピートやロジャーに対して辛辣なことを言っていたというあたりも見逃せないところだ。こう考えると本当にザ・フーは、危うい人間関係の上に成り立ってたんだなあと実感せずにいられない。一方でこんなコメントもある。「俺がピートのソロ・ツアーをサポートした時のこと。ピートがいきなりアドリブ演奏をはじめたら、他のサポート・メンバーはついていけなくなったが、俺だけはついていけた。俺は第六感で奴のプレーが読めるんだ」。仲は最悪で危ういのに、なぜか固い絆で結ばれている。やっぱりザ・フーは奇妙なバンドだ。

  結局ザ・フーの一員としての彼の来日は実現せずに終わってしまった。私が彼の死のニュースを聞いて一番残念に思ったのは、まさにその点である。ザ・フーといえば私の中で(いや、「私の中で」だけではないと断言する!)最強のライブ・バンド。だけど、峠は越しているし、キースというパフォーマーとして必要不可欠なメンバーもとっくにいない。だから「再結成ライブを見たい」という気持ちはそれほど強くなくって、1989年の再結成ツアーも特別見たいと思えなかった。ピートは難聴でエレキ・ギターが弾けなくなっていたし、メンバーの老け込みがひどくて逆に見ていて悲しいものがあったから。だけど近年の再結成ライブではピートがエレキ・ギターを弾き、往年を思わせる破天荒なパフォーマンスを繰り広げていると聞いた。 それなだけに「見たい」気持ちが本当に強かった。ポール、ジョージ、ストーンズ、キンクスを見てしまった私にとって、「残るはザ・フーだけ、後はザ・フーさえ見れたら、もうライブは卒業してもよい」とすら思っていた。それなだけにジョンの急死は本当に残念だ。今後の再結成ザ・フーの動向を私は知らない。ピート&ロジャーだけで活動を続けるのか? もちろん続けて欲しいと思うし、2人で来日して見に行くだろう。だけどジョンがいなくなった今、ザ・フーを見るということへの欲求は急速に薄れはじめている。先も書いたように、ジョンのパフォーマーーとしてや、そのキャラクターに対する思い入れは強くないはずなのに。なぜこんな気持ちになるんだろう。きっと「喪失感」からくるものなんだろう。いたはずの人がいなくなるというのは、こんなにも寂しいものなんだろうか。本当に寂しい。 こんなことなら昨年末のビートルズ・トリビュート・バンドでも見とけばよかったかも。でもなあ、なぜ彼がビートルズを歌い、演奏する気になったのか理解不能。やはり私にはまだまだこの人のことはよく分かってないのかもしれない。

  うーん、とても追悼文とは思えないような、まとまりのない、変な文章になってしまった。自分が今までいかにジョンに注目する機会が少なかったか、気に留める機会が少なかったかを再認識する結果になったと言えるかもしれない。にもかかわらず、この喪失感は何だろう。いなくなってはじめて私は彼の存在の大きさに気がついたのかもしれない。ロッカーなんて基本的に長生きできる生き物じゃないと私は思ってる。それに60年代に活躍した多くのアーティストが、これから「最期」を向かえる機会を多く目にしなければならないんだな、と覚悟したのはジョージが亡くなった時、あれ以降、ある程度の覚悟を持って新聞の「死亡欄」を見ている自分がいる。だけど彼はやっぱり「若くして亡くなる」ようなイメージの男じゃないから余計だ。 「あの世」を信じない私は「今頃キースと再会してるのかな」なんてことを思う気はないけど、今回だけはそう思うことにしたい。

(後日談):「ザ・フーを見たいという欲求は薄れはじめている」なんて書いてますけど、2004年4月、ザ・フーの初来日が決まった途端、そんなことは忘れてしまいました。


手放してしまったアルバムたち(5)

UP:2002年4月15日
   MY CD COLLECTIONの前書きにある通り、私は1997年から1998年にかけて多くの手持ちのCDを売却してしまいました。売った枚数は300枚以上。「聴いたけど気に入らなかった」アルバム、 「ほとんど聴かなかった」アルバムもあるけど、「もう少し聴き込みたかったけど、経済的な理由で泣く泣く手放した」アルバムというのも結構ありました。ということで、ここではそうした「手放してしまったアルバム」について述べていきたいと思います。
TIME PIECES / ERIC CLAPTON
クラプトンの70年代ベスト。選曲されているのはデレク&ザ・ドミノスから、このアルバムの発売された1982年現在までの代表曲。つまりクリームなどは収録されていないわけで、「ソロ・ベスト」といったところ。While My Guitarで彼の存在を知った私は、「ビートルズ以外も聴いてみよう」と思い立った当初、 1989年の春先に購入。「ギターの神様」云々というレッテルとはかけ離れた渋くて、レイドバックしたサウンドのテイクばかり。多くの同世代の人は「肩透かし」ということが多いけど、私はもの凄く気に入った。大人の雰囲気があって、リラックスしていてカッコイイ。つまり私にとって「クラプトンへの入り口」になった1枚で、繰り返し聴いていた。 後に70年代のクラプトンのすべてのアルバムを買い揃えた時点で売却。私にっては「役目を終えたアルバム」だけど、多くの人にはワーナー以降のベストより、こっちの方を聴いて欲しいと思う。

JEFF BECK SESSION WORKS / JEFF BECK
ジェフ・ベックのセッション参加音源集。バッジャー、マルコム・マクラレン、ヤードバーズ再結成のボックス・オブ・フロッグスなど、70年代末から80年代にベックがレコーディングに参加したテイクを寄せ集めたもの。ボックス・オブ・フロッグスを聴けたのは嬉しかったし、ファンにとっては有り難いコンピかも。でもボックス・オブ・フロッグスは 私にとっては期待外れだったし、他もあんまり好きなタイプのテイクは多くなく、繰り返し聴くことはなかった。ただし、映画のサントラに提供したTrain Kept A Rollin'だけはカッコよかった。でも、あのテイクのボーカルは誰?

PHOBIA / THE KINKS
93年発売のキンクス現時点でのスタジオ最新作。買ったのは発売直後。世間では「キンクスの90年代幕開けを飾る快作」といわれ、評判はよかった。確かに全体にコンセプトが貫かれていたり、レイらしい皮肉の利いた歌詞など、キンクスらしさが全開しているし、曲の出来も悪くない。 ただし、音がやたらハード・エッジ過ぎるのが気になった。全編でデイヴのヘビーなギターが響き渡る。どこか90年代初頭のグランジやオルタナを思わせるような響きが。決して嫌いな音ではないんだけど、 キンクスのカラーには合わないし、楽曲のよさがハード・エッジなサウンドに負けていると感じた。事実、1時間以上もそういう音を聴かされて疲れたというのが第一印象。レイはそのミックスにクレームをつけ、移籍したばかりのソニーと決別、一方のデイヴはこのミックスを大変気に入っており、しかもデイヴの知らないところでレイがソニーとの決別を決めていたとかで、近年の2人の離反、活動停止の要因なのでは? という気もしないでもない。

BEST OF / ROGER DALTREY
ザ・フーのボーカリストのソロ・ベスト。もともとソングライターではない彼だから、ソロではラス・バラードやアダム・フェイスなどを相棒に活動、ポップな曲を歌っていた、というくらいの予備知識だけを持って購入。参加メンバーも豪華だし、ポップな曲調もザ・フーとは全然違うけど嫌いではない。だけど、いくらザ・フーと全然違う曲をやっているからといっても、ボーカル・スタイルや歌声までが 別人のように違うのには驚かされた。これがあのロジャーの声、歌? 作風が違っても違和感はないけど、歌い方や声まで違うとなるとさすがに・・・。ということで、結局ザ・フーの4人のソロは全部売ってしまった。ザ・フーは大好きなのに、本当になぜだろう・・・。

MAIN OFFENDER / KEITH RICHARDS
キースのセカンド・ソロ。こちらでも述べた通り、買ったのは発売直後、ファースト・ソロよりも先だった。疾走するようなパンキッシュ&チャック・ベリー・タイプのストレートなR&Rを期待していた。ところが全編ストーンズからギター・リフだけを取り出したような、ユルいテンポの骨格だけのような楽曲ばかり。 ポップなメロディとも無縁。残念ながら肩透かしだった。後に買ったファーストの方も同様の内容だったけど、ファーストの方が若干親しみやすさでと完成度では上と見た。ファーストの方は聴くたびに良さが分かっていったけど、こっちは結局売却。その「渋味」は分かるんだけど、私がキースに求めるイメージとは全く違っていたのがいけなかった。

BEST / BAD COMPANY
元フリーのポール・ロジャース&サイモン・カーク、元モット・ザ・フープルのミック・ラルフス、元キング・クリムゾンのボズ・バレルによって結成され、スーパー・バンドといわれたバンドのベスト。メンバーは強力、それ以前に聴いて気に入っていたフリーのメンバーが2人ということで、期待を持って買った。 だけどフリーと比べるとリラックス・ムード。ある意味、余裕の感じられる仕上がり。だけど、悪く言えば「そつがなく、落ち着き過ぎ」ともとれるわけで、そこが「緊張感に欠ける」と映ってしまった。フリーと比べたりせずに、もっと純粋な気持ちで聴ければ気に入ってたろうに。

GREATEST HITS II / QUEEN
クイーンの80年代以降のベスト。デビューから80年のアルバムTHE GAMEまでから選曲された I の方は既に持っていて気に入っていたので、「続きを」と思って購入。しかし70年代とは一転、シンセや打ち込みを駆使した私の苦手な「80年代サウンド」で支配されている上、 大袈裟に思えるアレンジに隠された「親しみやすさ」という点でも、70年代に及ばないと感じた。とにかく、気に入った曲がRadio Ga Gaの1曲だけでは辛い。

AROUND THE NEXT DREAM / BBM
ジャック・ブルース&ジンジャー・ベイカーの元クリーム・リズム隊が、ゲイリー・ムーアと合体した「第2のクリーム」唯一のアルバム。STILL GOT THE BLUESとAFTER HOURSというムーアの「ブルース2部作」は大好きだし、私自身が「90年代のクラプトンはこうあって欲しい」と願っている路線を突き進んでいた当時の彼がブルース&ベイカーと合体となれば、 これは期待せずにはいられない、とばかりに購入。当然悪くはない、悪いはずはあろうはずもない、だけどゲイリー・ムーアはやはり大先輩を前に若干遠慮気味、一方でブルース&ベイカーの衰えも隠せず。その分クリームのような「三つ巴」とはなっていないのが気になった。つまりクリームと比較してしまったのがいけなかったのだろう。クリーム云々を一切意識しなければ、本当に素晴らしい内容だと思うんだけど。それとヘビメタ系のライターが絶賛してるのも気に入らなかった。 このバンドをそういう目で見て欲しくないよな。

BEST / GRAND FUNK RAILROAD
日本では伝説の「暴風雨の後楽園球場ライブ」で知られる70年代初頭のアメリカン・ハード・ロック・バンドのベスト。後年「レイルロード」が外れてよりポップな方向に向かうけど、これは純粋な肉体派だった頃の初期ベスト。小難しいことは一切やっていない、ストレートなハード・ロック。故に「お馬鹿すぎる」との批判もあるけど、 ここまでやれると潔いと思うし、嫌いでもない。ただし、聴いていて疲れるのは事実。同じような曲が続くのも辛かったのか、嫌いではないはずなのに繰り返し聴くことはなく、結局売ってしまった。

OH! YEAH / SPONGETONES
80年代にデビューした「カレッジ・チャートのビートルズ」91年のアルバム。「ビートルズっぽいバンド」というのはいっぱいあるけど、あくまでも初期にこだわったフォローワーである、というような話を雑誌「ニュー・ルーディーズ・クラブ」ビートルズ特集の中で「ちびまる子ちゃん」のプロデューサー、宮永正隆氏が語っているのを見て興味を持ち、購入した。 確かに中後期じゃなく、はつらつとした若さ溢れる初期ビートルズを思わせるサウンドは好感を持った。ただこれは「ビートルズ・フォローワー」にありがちな傾向だけど、破天荒な面が若干欠けているように思った。その分、「ビートルズよりもホリーズに近いかなあ」という印象。嫌いではなかったんだけど、期待が過剰だった分、「のめり込み」とはいかなかった。

DAYS OF ARB VOL.1(1978-1983) / A.R.B.
いわゆる「めんたいビート」の流れから登場した、石橋陵率いる福岡のバンドの最も初期のベスト。このバンドはギタリストが交代するたびにサウンドが変化してきたわけだけど、このベストでフォローされているのは、田中一郎在籍時代。パンク、ブリティッシュ・ビートを思わせるストレートなサウンドと、硬派なキャラの、いかにも福岡らしい感覚を持った 石橋の存在感がこのバンドの魅力か。だけど、石橋の声って、そのカリスマ性や存在感、硬派なイメージに反して、意外と「軽い」という印象を持った。正直、もっとドスの利いた声を想像していたので、ちょっとイメージと違ってた。サウンドもモッズなんかと比較すると、若干軽いようにも思えた。決して嫌いではなかったし、手放したいとは思ってなかったんだけど、そんな理由もあって聞き返すことはあまりなく、結局売却してしまった。 でも、本当は手元に置いて、もっと聴き込みたかった。つまり売却は後悔しているところ。(後日談):2004年、他のベスト盤を聴いた途端、気に入ってしまう

LIP SERVICE / THE ROCKERS
これも「めんたいビート」の流れから登場したバンドで、陣内孝則が在籍していたことで知られる。私はこのバンドの曲は1曲も知らなかったので、「ベストでも」と思って買ったのがこれ。ところが、これはベストじゃなく、実はライブ盤。よく知らないアーティストに最初に手を出す時にライブ盤から、 というのはある意味無謀なわけで・・・。ベスト盤を買い直したいと思っているところ。(後日談):2003年暮れにファースト・アルバム購入

BEST / 柳ジョージ&レイニーウッド
風貌といい、ギターの音色といい、「日本のクラプトン」といった雰囲気のギタリスト&ボーカリストの柳が、70年代後半に率いていたバンドのベスト。私が「ベストテン」に夢中になっていた頃に、20位から11位のコーナーによく登場していて、タイアップものの曲も結構あったので、当時からそれなりによく知っていたし、好きな曲もあった。 確かに、一部のタイアップ曲は昔聴いた時同様、好きだった。反面、ちょっと渋すぎる、大人っぽ過ぎると映る曲も多数あり。「俺には早すぎた」という想いが強く、売却。

グループ・サウンズ / V.A.
日本で一世を風靡したグループ・サウンズ(G.S.)の代表曲を集めたオムニバス。ブリティッシュ・ビート好きな人の多くがG.S.好きだから、「聴かねば、でも初心者だからとりあえず駆け足で」と思って購入。しかし「ロック」な楽曲は皆無。タイガース、スパイダース、テンプターズ、ゴールデン・カップスなどのヒット曲は、どう聴いたって「歌謡曲」の世界。歌詞の世界も「王子様」みたいなのが多いし、 これらをブリティッシュ・ビートと平行して聴きたいとはとても思えなかった。ただ当時の彼ら自身は、もっと硬派なものをやりたいと願っていたのに、結局こういう曲をやらされてた、そういうことなんだろうなというのは理解できるし、アルバムではそういう曲もやってるんだろうけど、GSをこれ以上追求する気は起きなかった。(後日談):2003年、スパイダースに興味を持って(こちらを参照)GS観が変わり、以降、いくつか聴き進める

BEST / 矢沢永吉
いうまでもない、日本を代表するシンガーの最も初期、ソニー時代のベスト。キャラクターばかりが語られる人だけど、ストレートなロックン・ローラーと思いきや、実はAORや歌謡曲的な要素が無理なく入ってるのが、実は作品の特徴。「ベストテン」の頃から好きな人だった。「時間よ止まれ」に「ウイスキー・コーク」。どの曲も好き。 だけどI Love You O.K.が未収録など、意外と重要な、聴きたい曲の抜け落ちが。それが気に入らずに売却。他の編集盤を買い直そうと思っているところ。

RICK DANKO
ザ・バンドのベーシスト兼ボーカリスト唯一の本格的ソロ・アルバム。こちらで述べた通り、私がルーツ・ロックやザ・バンドに目覚めたきっかけを作ったのは、生で聴いた彼の歌声。だからザ・バンドの3人のボーカリストの中でも彼への思い入れは大変強く、当然ソロも聴きたいと思った。 その人柄の感じられる素朴な作品で占められていて、なんらザ・バンド時代と変化はない。クラプトン、ロン・ウッドなど、ゲストも豪華。個人的にはデニー・シーウェル(元ウイングス)の名前にビックリ。だけどザ・バンドと比べると緊張感に欠ける。それにIt Makes No Differenceのような「熱唱型」の曲がないのも寂しい。リラックス・ムードが裏目に出ている、私にはそう感じられた。 結局、この後1枚も本格的なソロを出せずに逝ってしまったことは残念でならない。

THE BRIDGE / BILLY JOEL
1986年の作品。彼のアルバムには私が聴いた限りでは「外れ」はないんだけど、これは唯一の「外れ」。スティーヴ・ウィンウッド、シンディ・ローパー、そして御大レイ・チャールズとの共演など、話題には事欠かない。反面、ポール同様「有無を言わさず納得させるポップ」が売りの彼にしては若干が曲が弱いという印象は否めない。 Matter Of Trustという、彼には珍しいバリバリのギター・ロック・ナンバー(本人が弾いてる)はカッコイイけど、私にとっては「この1曲を聴くための1枚」という印象しかなく、同曲の入ったベストを購入した時点で売却してしまった。

PAUL ANKA & NEIL SEDAKA
オールディーズを代表する白人シンガー2人の代表曲を集めたコンピレーション盤。実はロック・ファンになる前に、短い「オールディーズ・マイ・ブーム」期を過ごした私、1枚で2人の代表曲のほとんどが聴けるとあって、大喜びで購入した。だけど、実はこれはRCA(BMGビクター)音源を使ったもの。ニール・セダカは 全盛期をRCAで過ごしてるから、ここに収録されているのがオリジナル音源。だけどポール・アンカの方は、ヒットを連発の全盛期を過ごしたのがコロンビア在籍時。で、峠を過ぎた60年代初頭にRCAに移籍してる。つまり、収録されている曲こそDianaをはじめとした代表曲だけど、ここに収録されてるのはすべてRCA移籍後に往年のヒット曲を再録音したテイクばかり。 アレンジやボーカルなどが聴き慣れてるバージョンと違うし、違和感ばかり。後にRCAからのニール・セダカのベストと、ポール・アンカのコロンビア(ソニー)時代のベストを買い直した上で売却。オールディーズや初期ロックン・ロールの人の場合、結構60年代以降に代表曲の再録音やってるケースが多いから、気をつけて買わなければいけない、そのことは後の教訓になった。 そういえば、やたら間奏のギター・ソロの長いJohnny B Goodeの入ったチャック・ベリーのベストも出回ってるけど、あれは「再録ベスト」なんですよね。気がつかずに聴いてる人も多いみたいだけど。

GREATEST HITS VOL.1 / CHICAGO
ブラス・ロックの代表的バンドの、デビューからテリー・キャスの急死までの、いわゆる最初の黄金時代の代表曲をフォローしたベスト。アグレッシブで攻撃的なデビュー当初の作品もいいし、Saturday In The Parkなどの、若干ポップになっていく時代の曲もいい。80年代以降のAORでオシャレ系なシカゴには感心しないけど、この時期はいい。でも、曲数の少なさが気になった。 90年代後半に新しいベストが出ると聞いて、そっちを購入しようと思い立って売却。でも、実は未だに買えてない。

TEN SUMMONER'S TALES / STING
1993年発表のスティング5枚目のアルバム。ポリスは好きなので、「今度はソロでも」と思い、当時の最新作を買ってみたというわけ。もはやこの時期の彼は「元ポリス」などという肩書きは必要ない大物になっていたし、事実この作品も大変完成度が高く、隙がない。だけど ポリスと比べるとロック色も、ポップ色も薄くなり、随分とジャズ色が濃くなったサウンドには馴染めなかった。それともともと「完全主義者」で、隙のない音作りを好む人のようだけど、「不完全で人間的なくらいの方がロックは魅力的なんだ」と思ってる私には、彼のそうした部分が理解できなかった。私の中ではやはりスティング=ポリスなんだと実感した。

TAXI / BRIAN FERRY
そのスティングのアルバムと同時期に発売され、一緒に購入したブライアン・フェリーによる全編カバーの企画アルバム。シュレルズのWill You Love Me Tomorrow、ヴェルヴェッツのAll Tomorrow's Party、スタンダード・ナンバーのAmazing Graceなど、幅広い選曲に目を引かれた。 しかし、全編ロキシー解散後の彼にありがちな、ネチネチ・ボーカルで仕上げられている。決して嫌いでもないんだけど、全編全く同じスタイルで「料理」されてしまうと、単調という感も否めず。カバー集のポイントは、その「料理法」にあるわけだけど、全編同じというのは辛かった。

BEST / PETER FRAMPTON
元ハンブル・パイというより、70年代半ばにライブ盤を大ヒットさせた人のベスト。これは90年代半ばにポリドールが出した「1400円ベスト盤シリーズ」のひとつ。曲数が少なくてコンパクトで安いのが売りだっけ。ところが、国内盤なのにライナーなし。 売却したのは彼の作品がどうのこうのということではなく、「もっと曲数の多い、ちゃんとしたベストを買おう」と思ったから。彼の作品自体は好きだったし、ちょうど買った頃にビッグ・マウンテンというレゲエ・バンドがヒットさせていたBaby I Love Your Wayが彼の作品だったということを知ることができたのは収穫だった。

NAZZ
トッド・ラングレンが在籍していた「第2のモンキーズ」のデビュー・アルバム。サウンドはブリティッシュ・ビート色が強く、しかもマージー・ビートではなく、モッズ風のシャープなナンバーが中心。オープニングのOpen My Eyesはザ・フーのI Can't Explainソックリのイントロ、クリエーションのような重厚なサウンドのモッズ・ナンバーでカッコイイ。 一方でトッドがソロでも発表するHello It's Meのオリジナル・バージョンも収録。ただし、このバンドの弱さは、良い曲と劣る曲の落差が激しいことと、ボーカルをトッドではなく、ストゥーキーというメンバーが担当している点。あまりよい声じゃないし、ボーカリストとしては弱いと思う。この辺がこのバンドが成功しなかった理由かも。ちなみにトッドは作曲&ギター担当。曲によっては トッドのソロ以上に私の「ツボ」なだけに残念。Open My Eyesの入ったコンピが手に入った時点で売却。

BEST / CHRIS SPEDDING
プログレ、ジャズからロカビリー、パンクまでと、実に幅広い音楽性を持つ「ギター職人」のベスト。この人といえば、何といっても「ギター物真似ソング」Guitar Jamboree周辺の70年代半ばこそが全盛期。ところが、このベスト盤がフォローしているのは、 実は80年代から90年代のテイク。お馴染みの70年代の代表曲は全部ライブ・バージョン。しかも曲数が足りないせいか、唐突にロバート・ゴードンなどのセッションに参加したテイクまでが登場。仮にもスペディングのベストなのにこれはないだろうと。「ベスト」とは名ばかり、 持ってる必要なしと判断した。だけどGuitar Jamboreeのライブ・バージョンには、スタジオ・バージョンにはなかったロバート・フリップなどのネタも入っていて、あれは楽しめた。

THE BEST OF BRITISH ROCKABILLY / V.A.
81年のストレイ・キャッツのデビューでネオ・ロカビリー・ブームが巻き起こるずっと前から、イギリスにはアンダーグランドなテッズ・シーン、ロカビリー・シーンが確立されていたらしく、このコンピはそのネオロカ直前直後の多くのブリティッシュ・ロカビリー・バンドのテイクを寄せ集めたもの。レココレの「ネオロカ特集」で、 「ストレイ・キャッツ以前から活動していたバンド」としてその功績が称えられていたフライング・ソーサーズ、マッチボックス、ブルー・キャッツといったバンドの音が聴けるというので、大変期待して購入。だけど、どのバンドも「ロカビリーはこうあるべし」みたいに、50年代のロカビリーのスタイルに固執し過ぎるあまり、保守的で単調に聞こえる。ストレイ・キャッツのように、 「パンクの要素を取り入れて新しい音楽としてロカビリーを蘇らせた」といった鮮烈さがない。正直、彼らの大半がネオロカ・ブームに乗れずにすぐに解散したのも分かる。つまりは繰り返し聴きたいという感じはでなかった。

BOOTLEG HIM / ALEXIS KORNER
「ブリティッシュ・ブルースの父」として知られる人のアルバム。ストーンズ他、彼の取り巻きから大物がいっぱい登場したというエピソードはよく知られてる反面、肝心の音源自体はほとんど残っていない人でもあるわけで、これは「輸入盤500円セール」のワゴンの中で偶然見つけたもの。ライナーも英語だし、このアルバムがどういうものなのか、私には分からない。 だけどチャーリー・ワッツ、ジャック・ブルース他、大物の名前がバックにある。いろんな時代のテイクを寄せ集めたものかな。だけど、音の方は本格的なブルースとか、ロックを期待して聴くと肩透かし。むしろジャズに近いスタイリッシュなサウンドで「物真似」の域を脱していない。私ももう少しディープなのを期待していたので、やはり肩透かしを食らった。確かにイギリス人ながら、アメリカの、しかも黒人音楽であるブルースに目をつけ、 それを広めたという点において、彼が大功労者であることに異論はないけれど。

BEST / THE KINGSMEN
キンクスのYou Really Got Meの元ネタとか、元祖ギター・リフ・ナンバーとか、元祖ガレージ・パンクだとか、語られることの多い永遠のガレージ・ロック・クラシック「ルイ・ルイ」で知られる60年代初頭のアメリカン・ガレージ・バンドのベスト。知ってるのは当然その1曲だけ、という状態で購入した。 まずジャケットに驚いた。笑顔で一直線に並んで演奏している姿はヴェンチャーズやシャドウズとダブって見える。いかにも「ビートルズ以前」な前ロック的たたずまい。一方、音の方もリフを前面に押し出したスタイルこそ斬新だけど、ギターの音色は実にクリアで、意外と健康的。「ガレージ・ロック」という言葉から連想させられる、いかがわしさや粗暴さはない。 もう少し荒っぽい音をイメージしていたので、その辺がいけなかった。

SCORCHIN' BLUES / JOHNNY WINTER
アメリカの名ブルース・ロック・ギタリストの編集盤。純粋にベスト盤が欲しいと思って購入。ところがこれは「ブルース集」。コアなブルースもやる反面、ポップな曲やストレートなR&Rもやる人で、むしろヒットしたのはそれらの曲、アルバムの方。で、私が聴きたかったのも、実はもろブルースな曲ではなく、そういう曲の方。 その辺がいけなかった。決して嫌いではないんだけど、もっとポップ寄り、ヒット曲中心のベストを買い直そうと思い、売却してしまった。でも未だにベストは未購入。買わねば。

ROCK & ROLL HOOCHIE COO:BEST / RICK DERRINGER
一時期はそのジョニー・ウィンターの相棒として活動していたアメリカン・ロッカーのベスト。プロデューサー、セッション、ライターなど、多才な人で、ストレートなR&Rをやってる反面、そつのなさ、巧さが感じられる。その分、曲もよくってストレートでカッコイイ反面、どことなく物足りなさも覚えてしまった。決して嫌いではないし、数曲聴くだけならいいんだけど。

BEST / THE SPENCER DAVIS GROUP
若きスティーヴ・ウィンウッドの在籍したビート・バンドのベスト。当時は国内盤は皆無で、1991年に就職活動のために上京した際、前の前の場所にあった頃のタワーレコード渋谷店(東急ハンズの近く、今は楽器屋だったかな)で輸入盤を購入。もちろん大好きで、何度も聴き込んだ。ただし難点は収録曲が少ないこと。90年代末に2枚組のアンソロジーを手に入れた時点で、役目を終えて売却。

BEST / THE SMALL FACES
これも1991年に就職活動で上京した時、まだ西武デパート・パーキングの入り口の斜め前にあった頃のWAVE池袋店で購入。国内盤だったけど、当時はスモール・フェイセズの国内盤にお目にかかれる機会なんてほとんどなかった、今の若い人には想像もできないだろうけど、それほど日本では語られないバンドだった。テイチクから発売されてるベストということで、イミディエイト音源が中心。 All Or Nothingはライブ・バージョン、Hey Girlはエコーのかかったレアなテイク。数年後、突然彼らが再評価され、国内盤が乱立しはじめ、私も多くのアルバムを購入、役目を終えた。スモール・フェイセズが、ほんの10年ちょっと前までそれほど入手困難なアーティストだったということ、新しいファンには分かって欲しいよなあ。

BEST / SMOKEY ROBINSON
モータウン・レコード創設にも関わった最初のスター、スモーキー・ロビンソンのベスト。ホンモノのブラック・ミュージックは素人の私だけど、ビートルズがYou Really Got A Hold On Meをカバー、ジョージもソロでPure Somokeyという曲で彼をトリビュートしてるし、ビートルズ初期のジョンがボーカルのスタイルで手本にしてたのが彼だというエピソードを聞いたりで興味を持って買った。 まさにヴェルヴェット・ヴォイス。素晴らしい声だし、初期モータウン・ソングは、ブラック・ミュージック素人の私にも聴きやすかった。ただ彼の他、数人のブラック系のアーティストのベストを聴いた後、「ブラックものは今はオムニバスで聴くくらいでいいかなあ」と方向転換、Shop Around、Ooh Baby Babyといった彼の代表曲の入ったモータウンもののオムニバスを購入した時点で売却。 ロックだけでも極め切れないのに、ブラック系にまで手を伸ばすのはまだ時期尚早かなと。でもこのペースだと、そっちに手を出せるのは70歳くらいからか?

DEEPEST PURPLE / DEEP PURPLE
ディープ・パープル第2期と第3期のテイクからなるベスト盤。大学時代、講義中に後ろの席に座っていた連中が、「ディープ・パープルがカッコイイ」と雑談していたのを聞いて興味を持って購入。当時は国内盤はなく、輸入盤。私が約半年間の「パープル・ブーム期」を迎えるのに大きく貢献。 わずか半年の間に何10回、何100回も聴いた。その後、3枚組ボックスを購入、その時点で役目を終えて売却。しかし聴くと「パープル・マイ・ブーム」の頃のワクワクした気持ちにも戻れる、私にとってはそんな大事な1枚だったから、手放したことを後悔している。

BEST / THE BAND
邦題は「軌跡」。70年代リアル・タイムに発売されたベスト盤。こちらに書いた通り、1989年にリンゴ・スター& His オール・スター・バンドの来日公演で彼らの音楽に出会い、衝撃を受けた翌日、大急ぎで購入したもの。はじめて出会ったタイプの音楽だったし、新鮮に感じられ、何度も聴き返した。 ただし、選曲はI Shall Be ReleasedやRag Mama Ragなどの代表曲が抜け落ちていて、あまりよくなかった。後にTO KINGDOM COMEという2枚組のベストが発売されたのでそっちを購入、役目を終え、こっちは売却。しかし私にとっては「ライブの翌日大急ぎで購入」という、とても思い出深い一枚だったので、思い入れは強かった。

IMAGINE -O.S.T.- / JOHN LENNON
1988年公開のジョン・レノンのドキュメンタリー映画サントラ。映画の方は「ジョン・レノン・ブーム」を巻き起こす大成功となった。このサントラは発売と同時に購入。ビートルズの曲とソロ・ナンバーから構成されているけど、レアなテイクはImagineのリハーサル・テイクと、後にビートルズの「新曲」として登場するReal Loveのデモ・バージョンのみ。 買った当初は「ジョン・ソロ初心者」だったから繰り返し聴いていたけど、アルバムを揃えるうちに聴く機会も減り、1990年に4枚組ボックスを購入してからは「ただ持ってるだけ」に。以降、おそらく一度も聴かずに売却してしまった。だけどジョンの場合、他の3人以上にビートルズ時代の曲とソロ作品を一緒に聴くと違和感があるなあ、ということを実感することはできた。 Twist And Shout→Strawberry Fields→Mother→Woman。とても同じ人とは思えん・・・。

CHANGES BOWIE / DAVID BOWIE
1990年に発売されたデヴィッド・ボウイのベスト。それまで彼のCDのベスト盤は全く出ていなかったので、発売と同時に大急ぎで買った。ラジオで聴いて大好きだったStarmanが入ってないという 決定的な欠陥はあったけど。一方でFeimのニュー・ミックス、Feim '90なんてのも収録、これもよくなかったけど、それに無理矢理に日本語の歌詞をつけた宮沢りえの「ゲーム」なんてもっと寒い日本語カバーもあったっけ(笑)。購入直後に強行した1週間の北海道旅行では、やはり同時期に買ったロッド・スチュワートのベストとともに 「旅のお供」になったアルバムでもあり、それなだけに内容云々抜きに、思い入れも大変強かった。90年代半ばに2枚組のSINGLESが出た時点で役目を終えて売却、しかし聴くと「北海道旅行の思い出」が蘇る、私にとって「モノ以上の1枚」だっただけに、別れがとても辛かった。

FLOWERS IN THE DIRT / PAUL McCARTNEY
私がリアル・タイムではじめて手に入れたポールのアルバム。こちらで述べた通り、発売日に購入、来日公演に向けて聴きまくった、思い出深いアルバム。ところが来日直前に「来日記念盤」として、ボーナス・トラックをプラスした2枚組仕様が登場、そっちも購入したので、仕様こそ違え「同じアルバムが手元に2枚」状態になった。 もともとコレクターズ気質とは全く無縁で、同じアルバムを何枚も持つということに疑問を抱いている私、結局発売日に買った通常仕様の方を売ってしまった。しかし仕様の違う同じアルバムが手元にあるとはいえ、「来日記念盤」の方を聴いても以前ほど「来日前後の気持ちが蘇る」ことがなくなった。「通常盤」を売った時、その思い出まで一緒に売ってしまったのかな、とも思え・・・。 おそらく最も売却したことを悔やんでるアルバムは、これだろう。

  実はしばらく続いたこのシリーズも、今回で終わりにしようかなと思っています。そろそろ「☆TAKE! お前でもこんなの聴いてたの?」という意外な人の登場もなくなってきたし。これをはじめて以降、「よく自分の手持在庫を手放せますね」なんてネット上で言葉をよくかけられるけど、手放す時はやっぱり「泣く泣く」でした。本当なら1枚だって手放したくなかった、それが正直な気持ちです。ずっと好きじゃなかったものなのに、ある時突然聴きたくなる、好きになるってことはよくあることだし、ここに挙げたもののうち、売った後に聴きたくなったものも後を絶ちません。 なによりも、どれも一度は興味を持ったものばかりですしね。

  それに「役目を終えて売却」ってのも、主にベスト盤に多かったですけど、これらだって「聴けばはじめて聴いた頃の気持ちに返れる」わけで、やはり音楽ソフトは私たちにとって、単なる「音の出る持ち物」なんかじゃないんだということを実感します。聴くたびに、これを買った頃の自分はこんなだったなあ、毎日こんなことを考えていたなあ、これはどこの店で手に入れた、その頃の自分はこうだった、どこに住んでいた、自分の周りにはあんな人や、こんな人がいた、あの人たちは今どうしてるかなあ、今では聴き慣れたこの人、この曲だけど、はじめて聴いた時はこんなことを感じたよなあ・・・などなど、そういうことを思い出す。 いわば自分自身の(写真を貼りつける方の)アルバムみたいなもの。「アルバムなんて音を聴くだけのためにあるもの」「音が出ればそれだけでよいじゃないか」「手軽に手に入ればそれでいい」そういうレベルのものでは絶対に(そう、本当に「絶対に!」)ない、ということを再確認しました。例えば今回挙げたCHANGES BOWIEを売却したという行為は、単に「ボウイのベストを売った」というより、同時に北海道旅行の思い出まで一緒に売ってしまったみたいに思えて、売ったことへの罪悪感すら覚えています。できればもう、これから先は1枚も売りたくはないなあ。 実際、売却し終わって現金を受け取った瞬間、自分という人間の一部分が無くなってしまったような、そんな脱力感に襲われます。間違っても、「やった、金が手に入った」とは全く思えない。もうあんな気分は二度と味わいたくないです。

  なお、本文中で一部のアーティストに対して辛辣な言葉を吐いていますが、これは私の「好き、嫌い」というレベルに過ぎず、音楽の質や善し悪しについて述べているものではないということはご了承下さい。私はいかなる音楽もけなすつもりはないですし、どれも一度は関心を持って聴こうとした、好きになろうとした音楽であるということは間違いないのですから。 また、間違ってもこれを「レビュー」としては活用しないで下さい(笑)。「☆TAKEは売ってしまったらしいけど、本当によくないのか?」と疑問に思ったら、御自身でお聴きになって、御自身の感覚で「好き、嫌い」を判断していただきたいなと思います。また、「これが分からないとはお前は鈍い奴だ」といった批判もご遠慮下さい。「これを聴けばきっと鈍い☆TAKEでも分かるよ」といったアドバイスは大歓迎ですけどね。


      
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