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CDボーナス・トラック:15.Daytime Nightime Suffering、16.Wonderful Christmastime、17.Rudolph The Red-Nosed Reggae(赤鼻のトナカイ)
| 発売日 | 1979.6.8.(英) |
| プロデューサー | ポール・マッカートニー、クリス・トーマス |
| レコーディング | 78.6.〜79.4. |
| 手持ちのCD | TOCP-5990(東芝EMI) |
| 購入時期 | 1990年3月末 |
| ポール・マッカートニー(vo,b,p他) リンダ・マッカートニー(key,vo) デニー・レイン(g,key,vo) スティーヴ・ホリー(d) ローレンス・ジュバー(lead・g) | |
| ハウイ・ケーシー(sax)、トニー・ドーシー(トロンボーン)、スティーヴ・ハワード(トランペット)、ダデアス・リチャード(sax)、ピート・タウンゼンド(g8,13)、デイヴ・ギルモア(g:8,13)、ジョン・ポール・ジョーンズ(b,key:8,13)、ジョン・ボーナム(d:8,13)、ロニー・レイン(b:8,13) 、ケニー・ジョーンズ(d:8,13)、ゲイリー・ブルッカー(key:8,13)、ハンク・マーヴィン(g:8,13)、ブルース・トーマス(b:8,13)、トニー・アシュトン(key:8,13)、レイ・クーパー(per:8,13)、スピーディ・アキュリー(per:8,13) 、トニー・カー(per:8,13)、モーリス・パート(per:8,13)、ブラック・ダイク・ミルズ・バンド(11) |
| 新メンバー、スティーヴ・ホリー、ローレンス・ジュバーを加えた新生ウイングス初のアルバム。また、ビートルズ解散以降、頑なにセルフ・プロデュースを貫いてきたポールが、クリス・トーマスを共同プロデューサーに迎えたこと、ピート・タウンゼンド、デイヴ・ギルモア、ジョン・ボーナム、ジョン・ポール・ジョーンズ、ロニー・レイン他、総勢20人以上からなるスーパー・セッション、ロッケストラのテイクを含むことなど、
話題には事欠かない、超豪華な内容に仕上がっている。特に、「ホワイト・アルバム」でジョージ・マーティン不在時に代役を務めた後、70年代に入ってロキシー・ミュージック、セックス・ピストルズなどを手がけて大プロデューサーとなっていたクリス・トーマスが関わったことで、ハード・エッジな仕上がりになっていること、時代を意識してか、パンク、ニュー・ウェイヴ、テクノなどの影響も垣間見えることが大きな特徴といえよう。 ロッケストラによるテイクは、8.Rockestra Themeと13.So Glad To See You Hereの2曲。リラックスした空気を感じるシンプルな作品で、いかにも「企画もの」っぽい感じ。この2曲のみ、若干浮き上がって聞こえるが、嫌いではない。むしろ、アルバムのカラーを決定付けているのは、時代を意識したような作品の方。パンク風の超アップ・テンポなロック・ナンバー、4.Spin It On、 初期ロキシー・ミュージックをヘビーにしたような6.Old Siam, Sir(全英35位、アメリカ未発売)、テクノ風のシンセを駆使したワンマン・レコーディング・ナンバー7.Arrow Through Me(イギリス未発売、全米29位)、コステロの作りそうなひねくれニューウェイヴ風ポップ9.To Youといった作品にそれが顕著。ただ、6.Old Siam, Sirにしても、7.Arrow Through Meにしてもそうだけど、 アレンジは当時の最新のサウンドを思いっきり意識している反面、よく聴くといかにもポールらしい、親しみやすいポップなメロディが隠れているのが分かる。だから、リアル・タイムで聴いた人がどう感じたのかは定かじゃないけど、私ははじめて聴いた時から何の違和感も持たなかったものだ。おそらく、これもニュー・ウェイヴを意識したと思われる2.Getting Closer(全英60位、全米20位)だって、私には「典型的なポール流ポップ系R&R」にしか聞こえない。とはいえ、LONDON TOWNのところでも述べた通り、 「あれも、これもやりたい」が故に、アルバムのカラーを統一できないのところがポールの長所であり、短所でもある。ここでも、弾き語り調の小作3.We're Open Tonight、ドラマティックで美しいピアノ・バラードと、アコーディオンの弾き語りをメドレーにした10.After The Ball / Million Miles、以前アップルからアルバムを発表したブラス・バンド、ブラック・ダイク・ミルズ・バンドが参加したバラード調のメドレー11.Winter Rose / Love Awake、 ビートルズのHoney Pieを思わせるジャズ風の14.Baby's Requestと、本当に多種多様な曲が並んでいる。さらには、シンセを使ったインスト1.Reception、レコーディングに使用した城の所有者に詩を朗読させた12.The Broadcastのような、「実験的」とも、「お遊び」ともとれそうな曲もあり・・・・。なお、5.Again And Again And Againはデニー・レインの作・ボーカルによるポップ・ナンバー。なかなかの佳曲で、 私はウイングス時代のデニーの作品ではいちばん好き。 だけど、これだけいろいろな作品を収めたのは、他でもない、ポール自身の気合いのせいだと私は思う。新メンバーを加えたウイングスによる初のアルバムだったこともあるし、ニュー・ウェイヴなどの登場により、「時代にとり残されたくない」想いもあっただろうし、このアルバム発表後の「カンボジア難民救済コンサート」に向けて張り切っていただろうし・・・。そんな事情が重なったことが、「新たなサウンドへの挑戦」や「多種多様な作品を作り出した」ことへと繋がったと私は思う。事実、前作LONDON TOWNからは一転、 VENUS AND MARS以来の、ハイテンションで、「頑張り過ぎ」たポールの姿を確かにここに感じる。だが、そのテンションの高い内容、完成度にもかかわらず、チャートでは全英6位、全米8位と、ウイングスにしては今一歩だった。ニュー・ウェイヴ全盛の時代だったということも原因の一つだろうが、それ以上に、全体にヘビーでハード・エッジなナンバーが多いため、ポールに「ポップ・シンガー」のイメージを求める、一部の頑ななファンを戸惑わせてしまったことが最も大きかったんじゃないだろうか。私はもともと、ハード・エッジな音楽が大好きだから、 はじめて聴いた時から気に入ったけど・・・。なお、現在発売中のCDには、ボーナス・トラックとして、アルバムと同時期に発売されたシングル、Goodnight TonightのB面、15.Daytime Nightime Suffering、ソロ名義で発表されたシングルでクリスマス・ソングの16.Wonderful Christmastime(全英6位、アメリカ未発売)、そのB面で「赤鼻のトナカイ」をレゲエにアレンジした17.Rudolph The Red-Nosed Reggaeが収録されている。うち、15.Daytime Nightime Sufferingは 「なぜB面に?」と思えるほどの完成度の高いポップ・ナンバー。ポールは、あるインタビューで「いちばん好きな自分の作品だ」とコメントしたこともあるほどで必聴。 |
*アルバム好感度 90
CDボーナス・トラック:12.Check My Machine、13.Secret Friend
| 発売日 | 1980.5.16.(英) |
| プロデューサー | ポール・マッカートニー |
| レコーディング | 79年 |
| 手持ちのCD | CP28-1018(東芝EMI) |
| 購入時期 | 1988年秋頃 |
| リンダ・マッカートニー(bvo:11) |
| 1980年1月、ウイングス日本公演のために来日したポールは、成田空港で麻薬不法所持のため逮捕されてしまった。帰国後、「謹慎状態」に入ったわけだが、そんな中、発表されたのがこのソロ名義アルバム。実は音源の方は79年にプライベート録音されたものであり、
もともとは発表の意思はなかったらしが、活動を休止したことで、急遽発売に踏み切ったと言われている。プライベート録音ということで、McCARTNEY同様、一部でリンダがコーラスで加わっている以外、ワンマン・レコーディングされている。また、YMOを気に入ったポールはシンセを導入、
全体にテクノ風の作品で占められているのも特徴といえる。 YMOをはじめとした、当時のテクノを露骨に意識しているのが2.Temporary Secretary、6.Front Parlour、8.Frozen Japanese、10.Darkroomといったところ。当時のファンは「なぜポールがこんなことを!」と、悲しんだそうだけど、 私のように、後追いで聴くと、あまりにもチープすぎる、時代を感じさせる出来に、もっと悲しくなる。「微笑ましい」と見ることもできるのか? しかも、8.Frozen Japaneseは、日本以外ではFrozen Japのタイトル、10.Darkroomは監獄を連想させられるタイトルということで、日本で逮捕されたことに対する 皮肉ともとれるわけで、物議を醸した。だけど、同じ「シンセを使ったテクノ風の曲」でも、聴くべきところのある作品だってある。シンセの弾き語り調の4.Waterfalls(全英9位、全米106位)、讃美歌のような荘厳な7.Summer's Day Songの2曲は、メロディだけ取り出すと実に美しい作品であり、ポールらしさを感じる。 また、レコーディング時にアレクシス・コナーの特番を見たそうで、それを反映したようなスロー・ブルースの3.On The Way、打ち込みを使ったニュー・ウェイヴ風のビートに、ブルース・ギターが絡む異色作5.Nodody Knows、エルヴィスを意識したようなボーカルが何重にも絡んでいくコミカルな4.Bogey Music、 このアルバムでは珍しい、アコースティック・ギターの弾き語り11.One Of These Daysなども楽しめる。最後に、シングル・ヒットした1.Coming Up(全英2位、全米1位、ただしアメリカではライブ・バージョンがA面扱い)は、ウイングスのライブでも既に披露していたが、私はここで聴けるテクノ風アレンジよりも、よりストレートなロック色の感じられる、そのライブ・バージョンの方が断然好きだ。 ということで、「ポールらしくないテクノ・アルバム」というのが一般的な評価で、あまり受けもよくない。だけど、「もともとは発表の意思がなかった」んだということ、それは頭においておくべきではないだろうか。「シンセを使って、ちょっと遊んでみました」といったアルバム、私はそんな風に思っている。そう思えば、目くじらを立てる必要はないと思うんだけど・・・。 にもかかわらず、全英1位、全米3位というチャート・アクションはちょっと意外だ。なお、CDに収められたボーナス・トラックだが、シングル4.WaterfallsのB面12.Check My Machine、12インチ・シングル2.Temporary SecretaryのB面13.Secret Friendはどちらもシンセを使ったお遊び風のナンバー。 |
*アルバム好感度 60
| 発売日 | 1982.4.26.(英) |
| ジョージ・マーティン | |
| 80.10.〜81.9. | |
| 手持ちのCD | CP35-3001(東芝EMI) |
| 購入時期 | 1988年夏頃 |
| リンダ・マッカートニー(bvo:1〜4,6〜8,11) スティーヴィー・ワンダー(vo,syn:4、vo,key,d:12)、カール・パーキンス(vo,g:9)、リンゴ・スター(d:2)、エリック・スチュアート(g:1、bvo:1〜4,6〜8)、スティーヴ・ガット(d:2,3)、スタンリー・クラーク(b:3,7)、アンディ・マッケイ(リリコン:4)、デニー・レイン(g:1,3,6,7、b:8)、デイヴ・マタックス(d:11)、エイドリアン・シェパード(d:8)、ジョージ・マーティン(ep:2,11) |
| McCARTNEY II発表後、ウイングスのニュー・アルバム制作を開始したポール。しかも、プロデューサーは久々のジョージ・マーティン。ところが、レコーディング開始早々の1980年12月8日のジョンの訃報にショックを受けたポールは、またしても活動停止でレコーディングは中断。81年に入ってレコーディング再開するも、ポールに当分ツアー活動を行う意思がないことを知ったデニー・レインが
ウイングス脱退を決意し、ウイングスも自然消滅・・・。このような紆余曲折の末、1982年になってようやく登場したのがこのアルバム。ジョンの死という、これまでにないほど大きな逆境を乗り越えようというポールの意気込みの感じられる、テンションの高い内容に仕上がった。また、スティーヴィー・ワンダーとのデュエットや、マーティンやリンゴの参加と、話題にも事欠かない1枚ともいえる。他にも、フュージョン界の大物スティーヴ・ガット&スタンリー・クラーク、カール・パーキンス、ロキシー・ミュージックのアンディ・マッケイ、10ccのエリック・スチュアートなど豪華なメンバーが参加。なお、デニー・レインが参加しているのは、もともとウイングスのアルバムとして制作が開始された名残である。 収録曲も多彩。シンフォニックでドラマティックな1.Tug Of War(全英53位、全米53位)、もともとはリンゴのために書いたというポップ・チューン2.Take It Away(全英15位、全米10位)、新境地ともいえそうなガット・ギターのソロをフューチャーしたアダルトなムードのバラード3.Somebody Who Cares、ピアノをフューチャーしたR&B風のロック・ナンバー6.Ballroom Dancing、メドレー形式の7.The Pound Is Sinking、 隠れた名曲ともいえそうなピアノ・バラード8.Wanderlust、ファルセット・ボーカルが印象的なセルジオ・メンデス風ナンバー11.Dress Me Up As A Robberと、様々な、完成度の高いナンバーが連なる。そんな中に、カール・パーキンスとデュエットした小粋なロカビリー9.Get It、スティーヴィー・ワンダーとの共作名義で、 スタジオで軽く演奏してみたといったリラックスした雰囲気、いかにもスティーヴィー風の作風が印象的な4.What's That You're Doing?、そして、有名な、「人類の調和」を歌ったスティーヴィー・ワンダーとのデュエット・ナンバー12.Ebony And Ivory(全英1位、全米1位)を交えた展開は、まさに「息をつく暇もない」といったところ。ただ、私がこのアルバムでいちばんひかれるナンバーは、実はEbony And Ivoryではなく、5.Here Today。 ジョンの追悼歌だが、歌詞は練って書かれた風ではなく、思いついた言葉を羅列した「殴り書き」といった風。ポールの場合、ジョンと違って「思いつき」で歌詞を書くということはやらない。そのポールが敢えてジョンへの思いを、「無意識に書いた」といわんばかりにストレートに書き殴っている。それなだけにジョンへの想いがストレートに伝わってきて、胸が締め付けられる。「ジョンの死を悲観的に語るのは嫌い」な私といえども、 何度歌詞を読みながら聴いても込み上げてくるものを感じる。 このように、「逆境に強い」ポールの本領発揮とでもいえそうな、実に完成度の高いアルバムに仕上がっており、全英1位、全米1位の大ヒットとなった。ただ、見逃せないのは、「完成度が高い」反面、70年代のポールの傑作にあった「頑張り過ぎ」な印象が薄い点。「時代をリードしてやるぞ」といった気負いは全くなく、むしろ、「どっしりと構えた大スターの貫禄」を感じる。ジョンへのライバル心が消えたことも大きいだろうが、 ポールが、ジョンの死で沈んでいた時、家族で過ごす時間を増やすなど、「普通の人」としてリラックスして過ごせるようリンダが尽力したというエピソードもあるので、その辺も大きな要因かもしれない。以降、現在に至るまでポールから「気負い」は消えた。反面、「時代をリードする」こともなくなっていくわけで、その辺には特にウイングス世代の方の中に否定的な意見を述べる人も多いけど、ポールの選んだ道なので、とやかくいうべきじゃないと思う。もうひとつ、このアルバムは「ビートルズっぽい」といわれるけど、ロック色の薄い、「大人の雰囲気」や貫禄の漂うこのアルバムに、私は「ビートルズ的」な印象は全然持てない。 まあ、全体にシンフォニックなサウンドだから、ABBEY ROADの延長線上にあるアルバムと解釈できなくもないけど・・・。 |
*アルバム好感度 80
*:2000年10月5日UP
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