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CDボーナス・トラック:12.Twice In A Lifetime、13.We All Stand Together、14.Simple As That
| 発売日 | 1983.10.31.(英) |
| プロデューサー | ジョージ・マーティン |
| レコーディング | 81.1.〜2.(4,5,7〜9.) 81.11.(2,6.) 82.5〜10.(1,3,10,11.) |
| 手持ちのCD | TOCP-3136(東芝EMI) |
| 購入時期 | 1995年頃 |
| リンダ・マッカートニー(bvo) マイケル・ジャクソン(vo:2,6.)、リンゴ・スター(d:5.)、エリック・スチュアート(g,bvo)、スタンリー・クラーク(b)、スティーヴ・ガット(d)、アンディ・マッケイ(sax)、デニー・レイン(g)、デイヴ・マタックス(d)、クリス・ハマースミス(har:2.) |
| ジョージ・マーティンのプロデュース、セッション参加メンバーも共通していることから分かるように、TUG OF WARの続編ともいえそうなアルバム。実際4,5,7〜9.は、前作のセッションで録音されたものだし、「大物としての貫禄や余裕が感じられる、シンフォニックで落ち着いたサウンド」という点でも共通している。
そして前作と対になるようなタイトルからも、この2枚がほぼ同じコンセプトで制作されたものだということが分かる。そして、スティーヴィー・ワンダーに続いて「畑違いの大物」、マイケル・ジャクソンとの共演(2,6.)も実現、その点もまた共通点といえそうだ。 目玉はマイケル・ジャクソンとの共作、共演ナンバーの2,6.ということになるのか。特に2.:Say Say Sayはシングル・カットされ全英2位、全米1位の大ヒット。一方の6.:The Manは、よりマイケル色の濃いナンバー。また、ポールは同時期にマイケルのアルバムTHRILLERのセッションに参加、 同アルバムに収録されたThe Girl Is Mineでもデュエット、この曲も全英8位、全米2位のヒット、そしてマイケルのこのアルバムが記録的な大ヒットとなったことはいうまでもない。もうひとつ、アルバムのタイトル曲1.:Pipes Of Peaceも全英1位(アメリカではSo BadのB面扱い)のヒットを記録したが、これは「平和」を訴えたメッセージ・ソング。70年代のポールはメッセージ・ソングを避け、 否定的な発言を繰り返してきた。この時期からポールがメッセージ・ソングを作るようになった理由を、ポール自身は「ジョンの『歌え』という声が聞こえたから」と言ってるけど、私はむしろ、「ジョンと比較される」ことを恐れる必要がなくなり、メッセージ・ソングが歌えるようになった、そんなところだと推測している。 どうしてもマイケルとの共演と、このメッセージ・ソングに目が行きがちだけど、このアルバムの本質はもっと別のところにある。ちょっとシュールな詞を伴った、多重録音による「手作り」感覚のポップ・ナンバー、3.:The Other Me、Eleanor Rigby風のストリングスやヘビーなギターの使い方が効果的な4.:Keep Under Cover、そしてファルセットを生かした素朴で、温かみのあるスイートなバラード 5.:So Bad(全米ではA面扱い、全米23位)は、肩の力の抜けたポール本来の作風が光る佳曲で、このアルバムのカラーを決定付けているのは、これらの作品の方といってもよい。こうしたリラックスした作品と、派手な作品が入り交じった6.までの展開は悪くない。ただし、後半は若干クオリティが落ちるかな、というのも正直な感想。特にスタンリー・クラークとの共作名義のインスト9.:Hey Hey、 前作のタイトル曲Tug Of Warのディスコ・バージョン10.:Tug Of Peaceといったアドリブ風の作品を収めたことで、完成度という点では、若干マイナスかなという印象は否めない。もちろん、こういう「とっ散らかった」感覚もまたポールらしさではあるんだけど・・・。 ということで、アルバムのカラーは前作を継承したものだけど、リラックスした作品が多く、アドリブ風の作品も収録されているので、前作のような「隙のないほどの完成度」はない。しかもTUG OF WARのところで触れた通り、ジョンの死を境に、ポールから「時代をリードしてやる」というような気負いが消え、「ベテランの余裕」が漂うようになっていく。前作のような「高い完成度」があれば、その「余裕」もプラスに受け入れられるけど、 若干落ちてしまうと、「余裕」を「年寄りの道楽」といった、否定的な受け取り方をする人もでてくる。事実、この作品発表後の世間の評価も同じ路線のはずの前作とは逆に、「落ち着き過ぎ」「甘すぎ」といったものが主流を占めたらしい。チャートでも全英では4位だったものの、全米では15位と振るわなかった。気負いが抜け、人間としては充実期に入ったはずのポールだけど、 それが「老けた」という風に否定的に見られたんだから皮肉だ。事実、ウイングス世代の中には「このアルバム以降、ポールは落ちぶれた」などと辛辣なことを述べる人もいるようだけど、私はこの「リラックス感」が心地よいし、決して嫌いな作品ではない。特にSo Badは大好きだし。しばらくはポールの苦戦が続く。なお、現在発売中のCDには、85年の同名映画テーマ曲で、サントラのみに収録されていた12.:Twice In A Life Time、84年にシングルのみで発売されたアニメ「ルパートとカエルの歌」のテーマ曲 13.:We All Stand Together(全英3位)、86年のチャリティ・オムニバスLIVE IN WORLDにのみ収録された14.:Simple As Thatの3曲が収録されている。 |
*アルバム好感度 80
CDボーナス・トラック:9,15,16,17.
| 発売日 | 1984.10.22.(英) |
| プロデューサー | ジョージ・マーティン |
| レコーディング | 82.12.〜84.7. |
| 手持ちのCD | 077778926825(英・EMI) |
| 購入時期 | 1996年頃 |
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リンダ・マッカートニー(bvo:1,6〜10,14、key:6〜10.) リンゴ・スター(d:5,6,8〜10.)、ジョン・ポール・ジョーンズ(b:6)、デイヴ・ギルモア(g:1.)、デイヴ・エドモンズ(g:6,8〜10.)、スティーヴ・ルカサー(g:7.)、ジェフ・ポーカロ(d:7.)、クリス・スペディング(g:6,8〜10.)、エリック・スチュアート(bvo:1,14、g:9.) 、ハービー・フラワーズ(b:1,13.)、デイヴ・マタックス(d:13.)、ルイス・ジャクソン(b:7.)、スチュワート・エリオット(d:1.) |
| ポール主演の同名映画サントラ。映画はポール演じるアーティストのニュー・アルバムのマスター・テープが紛失、そこから騒ぎが起こっていくが、実はすべて「そのアーティストの夢だった」という落ちのついたもので、ストーリーはチープなもの。しかし、多くの演奏シーンで構成されていること、
リンゴの他、ジョン・ポール・ジョーンズやデイヴ・エドモンズ、TOTOのメンバーまでという超豪華メンバーの参加、さらにビートルズ・ナンバーの再演もあるということで、大変な話題となった。このサントラもビートルズ・ナンバーの再演もあり、
プロデューサーはここでもジョージ・マーティン。映画共々、注目を浴びた。 純粋な新曲は1,8,10.の3曲だけ。映画の主題歌1.:No More Lonely Night(全英2位、全米6位)はポールらしい、メロディアスなバラードで、ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアのギター・ソロも印象的な名曲。残る8,10.の2曲は、ストレートなR&Rだけど、お世辞にも出来がよいとはいえない。 映画ではデイヴ・エドモンズ&クリス・スペディングというツワモノ2人を従えてガレージで演奏するシーンで効果的に使われており、映像があれば映える曲だけど。5〜7,9.の4曲は、いずれもウイングスやソロ・アルバムからのナンバーの再演。どれも豪華メンバーが参加してるせいか、従来の公式テイクよりもスケール・アップしている。 ただ、ファンの間では「好き、嫌い」が分かれており、私自身はデイヴ・エドモンズとクリス・スペディングのギターが印象的な6.Ballroom Dancingの出来がよいと思う一方、TOTOのスティーヴ・ルカサー&ジェフ・ポーカロを従えた7.Silly Love Songsは、「まとまり過ぎ」という印象が強くて全く馴染めない。私がTOTOのような、洗練された音が苦手なせいもあるんだろうけど、 ウイングスのテイクの方が素朴で数段いいと思う。そして注目はビートルズ・ナンバーの2〜4,11〜13.の6曲。もちろん、ビートルズ・ナンバーに挑んだという点は注目に値するけど、出来自体は「ビートルズのテイクの方が数段よい」というのも偽らざる事実。特にジャージーなサックス・ソロをフューチャーしてAORのようになってしまった13.:The Long And Winding Roadには 正直ガッカリ。これならフィル・スペクターのストリングスの方がまだマシというのが個人的な印象だ。ただ、6曲中4曲がREVOLVER収録曲というあたりは妙に納得。なお、14.:No More Lonely Nights [Playout Version]は、1.のアップ・テンプ・バージョンで、映画のエンド・ロールで流れたもの。16,17.は同じ曲の別ミックス、15.は映画でBGMとして流れたインストである。 新曲は3曲のみ。多くの本では「オリジナル・アルバム」として紹介されているけど、私自身は「企画盤」としか思ってない。事実、「思い入れの強いアーティストは国内盤で」というこだわりを持つ私が、偶然「輸入盤投げ売りコーナー」で売られているのを見て購入してしまったほど。ビートルズ・ナンバーの再演も「ノスタルジー」を感じるものが多く、 89年のツアー以降の「過去を前向きに受け入れての再演」というものとは趣を異にしているように思われる。事実、当時の好意的なファンにすら、その映画の出来共々「過去の栄光に浸った道楽」としか映らなかったらしく、前作以上に「もう終わり」という声を浴びせられる結果になってしまった。 だけど、ビートルズ解散以降、ひたすら「時代をリード」することに躍起になり、脇目も振らずに突き進んできたポールに、ようやく自分の過去を振り返るだけの心の余裕ができた、そのことが再演に繋がったのかなとも思える。80年代後半以降のポールは、ビートルズを「素晴らしい過去」として前向きに受け入れるようになっていくわけだけど、その最初のステップが実はこのサントラだった、そんな風に思ってしまう。 だとすると、今聴いてどう思うかはともかく、ポールの意識の変化が窺えるという点では興味深い。でも、それは今だからそう割り切れるというレベルの話、リアル・タイムでガッカリしたみなさんの気持ちは分からないでもない。チャートでも振るわず、全英では1位になったが、全米では24位どまりだった。実はTomorrow Never Knowsの再演も試みたが、ヨーコにクレームをつけられて断念したとの話もある。もしもそれが実現していたならば、このアルバムの評価、私の印象とも、大きく変わっていたかもしれないが。 |
*アルバム好感度 60
| 発売日 | 1986.9.1.(英) |
| ポール・マッカートニー&ヒュー・パジャム | |
| 85.4.〜86.4. | |
| 手持ちのCD | CP32-5156(東芝EMI) |
| 購入時期 | 1988年秋頃 |
| リンダ・マッカートニー(bvo) エリック・スチュアート(vo,g,key)、ピート・タウンゼンド(g:9)、フィル・コリンズ(d:9)、カルロス・アロマー(g)、ジェリー・マロッタ(d)、レイ・クーパー(per) |
| プロデューサーにジェネシスのINVISIBLE TOUCHなどを手がけたヒュー・パジャムを迎え、打ち込みやシンセを多様するなど、スタジオ・ワークと当時の最新流行のサウンドをとり入れた意欲作。と同時に、ビートルズ解散以降、ほとんど単独でソング・ライティングを手がけてきたポールが、TUG OF WAR以来行動を共にしていた元10CCのエリック・スチュアートをソング・ライティングのパートナーとして重用、
1,4,7〜10.と、全10曲中半分以上の6曲を共作している点も話題となった。 大きく分けると、テクノロジーを駆使した作品(2,3,6,7.)と、ハード・エッジな作品(1,8,9.)が中心。従来はどんなにテクノロジーを駆使しても、ハード・エッジになっても、「まずメロディありき」だったポールだけど、ここでは意外なほどサウンド指向。 前者では打ち込みを使ったリズム、80年代ならではの深いエコーのかかったドラム、機械的なボーカルが耳に残り、「メロディがサウンドに負けている」ように聞こえてしまう。特に別人のようなボーカルとバックの音の斬新さばかりが印象に残る7.:Pretty Little Headにそれが顕著。 後者の「ハード・エッジ」系の曲も同様。ピート・タウンゼンドとフィル・コリンズが参加している9.:Angryには感情移入するけど、冷静に聴けば「どうかなあ」という気がするし。 一方で、ポールらしい作品だってある。TUG OF WAR収録のSomebody Who Careに通じる枯れたアコースティック・ナンバー4.:Footprints、打ち込みは使っているけど、本来のポップ・センスを感じる6.:Pressは悪くない。ビートルズ後期を思わせるピアノ・バラードの5.:Only Love Remainsは 人気が高いけど、「世界を股にかける力のある僕さ」という大物然とした歌詞が鼻につくかなという想いもあり、個人的にはあまり好きではない。 このように、あまりにもイメージとかけ離れていたことが災いしてか、PIPES OF PEACEあたりからポール離れをはじめた人たちのみならず、好意的なファンをも戸惑わせる結果になり、チャートでも全英8位、全米36位という、これまでで最低な結果に終わってしまった。 PIPES OF PEACEで「落ち着き過ぎ」といわれ、BROAD STREETで「過去の栄光に囚われている」とされたポール。そのことに危機感を抱き「最新のサウンドを採り入れてもう一度時代に追いつこう」とした意欲作、のつもりだった。だけど、サウンドを追求するあまり、「まずメロディありき」という、 ポール本来の持ち味を殺してしまった。それがこのアルバムなのではないだろうか。過去にも「新しいサウンド」に挑戦したことはあったが、その持ち味までは失っていなかったのに。メロディのよい曲もあるけど、サウンドの斬新さの前にそれが霞んで見える。 21世紀に入った今聴くと、あの頃よりは純粋な気持ちで聴けるけど、それでも「大好き」とまではいえない。私自身が「典型的80年代サウンド」にアレルギー体質なせいでもあるだろうけど。でも、はじめて聴いた時は「若々しい」と思ったし、世間の人ほど毛嫌いしてるわけではない。 また、エリック・スチュアート が機能していないのも痛い。彼もポール同様「メロディ・メイカー」タイプのソング・ライター。決して「サウンド重視」のライターじゃない。それなのに、こうした曲で占められたというのは機能しなかった証拠。おそらくポールに「従って」作業したのみだったのではないだろうか。 結局ポールが必要としたのは、彼のような従順なタイプでも、「ポール・フォローワー」でもない、反対意見の言える、そしてポールとは異なった個性を持ったパートナーだったのである。なお、CD時代に突入、リリース形態が複雑になっている。 私が持っている86年発売仕様のCDには、ボーナス・トラックとしてシングル・カップリングの11〜13.が追加されていた。発売は86年9月、私がビートルズに目覚めるのは87年1月、「リアル・タイムにもう少しで届かなかったアルバム」なのである。 |
*アルバム好感度 70
*:2001年6月13日UP
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