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| 発売日 | 1978.6.9.(英) |
| プロデューサー | ザ・グリマー・ツインズ |
| レコーディング | 77.10〜78.2 |
| イアン・マクレガン(key:1,3)、メル・コリンズ(sax:1)、シュガー・ブルー(har:1,4) | |
| 手持ちのCD | VJCP-25116(ヴァージン) |
| 購入時期 | 1994年? |
| ミック・ジャガー(vo,g,p) キース・リチャーズ(g,b,p,vo) ロン・ウッド(g,b) チャーリー・ワッツ(d) ビル・ワイマン(b,syn) |
| ディスコ、AORといった新たな音楽が次々に登場、ジャンルの多様化が進んだ70年代末。そして、それらに反発するかのように登場したパンク。時代は大きな転換期を迎えていた。一方、ストーンズはといえばキースが麻薬不法所持で逮捕され、危機的な状態にあった。
そんな中、キースが保釈中の身という、危うい状態の中レコーディングされたのがこのアルバム。そんな時代や状況を反映してか、緊張感の漂う仕上がりとなっている他、パンクやディスコに対する「返答」とでもいった曲が並んでいる。 まず、いきなりディスコ風の1.Miss Youでアルバムは幕を開ける。当時は賛否両論、というより、「否」な意見が多数を占めていた。しかし、シュガー・ブルーの吹くハープはブルージー、メル・コリンズ(元キング・クリムゾン)のサックスはジャージーだし、 私には単純なディスコ・ナンバーというよりも「ディスコ風ミクスチャー・ナンバー」という想いが強い。それに、IT'S ONLY ROCK'N ROLLにはじまり、前作BLACK AND BLUEで完成を見た「ファンク路線」の延長線上にあると見ることもできるので、決して「時代に媚びを売った」結果生まれたナンバーではないだろう。 それ以外の曲を見ると、シンプルなロック・ナンバーが多い。前作BLACK AND BLUEで完成させた「シティ感覚路線」をあっさり捨て去り、ストレートなサウンドにこだわったのは、やはりパンクを意識したせいだと推測できる。 「奴等のやっていることは、俺たちのやってきたことと何ら変わらない」。キースの言葉にもそれがうかがえる。 2.When The Whip Comes Downやテンプテーションズのカバー、3.Just My Imaginationにもそれは顕著だが、それ以上に5.Lies、7.Respectableの2曲はパンクの影響なしには考えられない作品と言える。 そのイメージと違い、70年代以降のストーンズがここまでストレートに、ブルース色や泥臭さのない、ギンギンのR&Rをやることはなかった。一見「いつものストーンズ」のような気がするけど、冷静に振り返ってみていただければ分かるはず。この2曲、実はこのアルバムの中でいちばん大好きだったりする。その他にも、久々のカントリー・ナンバー、6.Far Away Eyes、 ルーズでブルージーな4.Some Girls、キースのパンキッシュ・ボーカルが印象的な8.Before They Make Me Run、カーティス・メイフィールド風のファルセットが魅力的な泣けるバラード9.Beast Of Burden、単調かつ、攻撃的なリフが曲をリードする異色作10.Shatteredと、 完成度が高く、また多様なスタイルの曲が並んでいる。 このように、多種多様な曲が並んでおり、1曲ごとの完成度も高いので、アルバム全体の出来もとてもよいと思う。リアル・タイムでは「時代に擦り寄っている」と非難されたそうだし、近年でも決して「好き」という人は多くないようだけど、私は好きだし、高く評価している。ジャケットやスキャンダラスな歌詞が話題になったなどという話も私にとっては蛇足でしかない。 だけど、このアルバムが近年それほど好まれていない(嫌われもしないけど)理由も分からないでもない。前も書いた通り、ストレートなR&Rの多いアルバムだが、70年代初頭のような猥雑な空気や「ワル」のイメージ、「危なさ」は皆無で、ワイルドさはあるんだけど音は整っていてクリア。また、「1枚のアルバムの中にキースのボーカル曲があり(Before They Make Me Run)、 カントリー・タッチあり(Far Away Eyes)、ダンサブルな曲(Miss You)、ブルージーな曲(Some Girls)、泣けるバラード(Beast Of Burden)も入れてやれ」というツボを抑えた構成。それにレゲエが加われば、これは現在まで受け継がれている典型的なストーンズのアルバムの構成である。 またこれは「これまでのストーンズの歩んできた道やイメージ」を1枚に凝縮した内容ともいえる。つまり、このアルバム以降のストーンズは「これまでのストーンズのイメージ」をブランド化し、そのブランドを守りつつ、時代の音をとり入れていくことで活動を続けているといっても過言ではない。こんなことをいうと怒るファンもいるかもしれない。だけど、70年代末以降、多様化していく音楽産業の中で「生き残っていく」ために彼らが選択した道だったのではないか。 こうした「したたかさ」があったからこそ、ストーンズは生き残った、私はそう信じて疑わない。その路線を決定付けたという点で、このアルバムは見逃せないんだけど、反面、「このアルバムからストーンズは守りの姿勢に入った」とか、「エンターテイメント化した」と否定的に見る向きもあるだろう。それが前も述べた「現在では好きという人が多くない」理由かもしれないと私は思うのである。 なお、ストレートな作品ばかりなのに嫌気がさしたイアン・スチュアートがセッションに参加せず、ビリー・プレストンなど旧知のメンバーとも決別。一部で元フェイセズのイアン・マクレガンなどが加わっているが、大半の曲はサポート・メンバーなし。その分、「バンド・サウンド」に仕上がっていて、その点でも私は好感を持っている。 最後に、このアルバムからキースの名前がKeith RichardからKeith Richardsと、本名で表記されるようになった。 |
*アルバム好感度 100
| 発売日 | 1980.6.24.(英) |
| プロデューサー | ザ・グリマー・ツインズ |
| レコーディング | 79.1〜2、79.6〜8 |
| イアン・スチュアート(p) マイケル・シュリーヴ(per:1,9)、ボビー・キーズ(sax:1,4,8)、ニッキー・ホプキンス(p:5)、シュガー・ブルー(har:3,7)、マックス・ロメオ(bvo:1) | |
| 手持ちのCD | VJCP-25117(ヴァージン) |
| 購入時期 | 1996年? |
| ミック・ジャガー(vo,p) キース・リチャーズ(g,p,vo) ロン・ウッド(g,b,sax) チャーリー・ワッツ(d) ビル・ワイマン(b) |
| 前作SOME GIRLSのカラー=「パンキッシュ」な面と「エンターテイメント&コンテンポラリー」な面のうち、後者のみを取り出して、それをより強く推し進めたアルバム。だが、主にMiss Youにすら嫌悪感をあらわにした層のファンからバッシングを受け、
リアル・タイムで受け入れられることのあまりなかった一枚。ニュー・ウェイヴの時代を意識したかのように、ダンス・ミュージック、レゲエ、ロカビリーなど多種多様な作品で占められているが、反面、前作にあったストレートなR&Rや、70年代初頭のブルージーな感覚が薄く、
「ストーンズらしくない」、「時代の音に染まり過ぎだ」と思われてしまったのがその要因だろう。THEIR SATANIC MAJESTIES REQUESTと並ぶ「悲劇の名盤」と言って過言ではないだろう。 アルバムは前作に続き、「ファンク&ダンス路線」のナンバー、1.Dance [Pt.1]で幕を開ける。キースはインスト・ナンバーにしたくて、作詞を担当したミックと激しく対立したというエピソードも残っているが、もしも本当にアルバムの1曲目がインストのダンス・ナンバーになっていたら、 もっと大変な騒ぎになっていたのでは? と思われ、興味深い。当時のストーンズがいかに新たなサウンドに対して意欲的であったかが分かるところ。もう1曲、ディープなダンス・ナンバーが8.Emotional Rescure。こっちの方はミックがほぼ全編で高音のファルセットを聞かせる意欲作。 いわれなければストーンズの曲だとは気がつかないほどのディープさである。また、レゲエ風の3.Send It To Meも、BLACK AND BLUE収録のCherry Oh Babyのように、ストレートにジャマイカ産のレゲエを採り入れたというよりも、クラッシュのLONDON CALLINGやポリスなどに通じる、ニュー・ウェイヴの連中が当時やっていた「偽レゲエ」っぽい感覚を持っている。 さらに、ロカビリーやオールディーズを思わせるようなサウンド、歌詞の2.Summer Romance、9.She's So Coldも、ストレートに50年代に回帰したというよりも、ネオ・ロカビリーの影響を感じる。当時キースは連日のようにデビュー前のストレイ・キャッツのライブを見に足を運んでいて、デイヴ・エドモンズにさらわれたことを知った時、 本気で悔しがったというエピソードもあるし・・・。キースのギターの音色にもロカビリーの影響が顕著である。それ以外の曲を見ると、カントリー・フレイバーに、エスニックな味わいもミックスした5.Indian Girl、シュガー・ブルーのハープが印象的なブルース7.Down In The Holeあたりは、前作のところで述べた通り、「アルバム1枚に必ず1曲」なタイプのナンバー、 6.Where The Boys GoはストレートなR&Rながら、女性コーラスがオールディーズっぽいような、ディスコっぽいようなという、何とも奇妙な曲。そして、ラストを飾る10.All About YouはキースがGOATS HEAD SOUPのComing Down Again以来、久々に歌ったバラード(「この曲がはじめてのバラード」と書かれたレビューも多いが、忘れちゃ困る)。 しかし、前作のBefore They Make Me Runでの甲高い声とは別人のような、しゃがれた声になっていて驚かされる。ドラッグ抜き治療のせいだといわれるが・・・。以降のキースのボーカル曲の典型的なスタイルとなっていくが、個人的には前の声の方が好きかも・・・。 このように、様々なスタイルの曲が並び、ストレートな曲は4.Let Me Go1曲といっても過言ではない。それゆえに、前にも述べた通りリアル・タイムではまともに評価されなかった。また、「ストーンズの本格的なエンターテイメント路線」のはじまったアルバムといえるのかもしれない。だけど、何度もこのコンテンツで述べてきた通り、「時代の音に敏感」であることもストーンズの特徴である。 主にそうした資質を持っているのはミック。当時のキースはドラッグを巡る訴訟とリハビリのため、「リーダーの座を取り戻そうとしていた」(キースのコメント)状態にあり、その分、ミックの資質が全開したと見ることもできよう。だけど、それは決して悪いことではないし、時には「無節操過ぎる」と映るほど時代の音をとり入れることもまた、彼らの「長生きの秘訣」であると思うのだが・・・。もしもストーンズにそうした感覚がなかったら、とっくに解散しているか、またはヴェンチャーズ(ファンの方、怒らないで! 私の勝手なイメージです)などのように小さな会場で笑顔を振り撒きつつ、オヤジばかりの観客を相手に演奏する「ナツメロ・バンド」と化しているに違いない。 ストーンズに硬派なイメージを過剰に求めるファンの方には、そのことを認識していただきたいなあと常々思っている。前作で述べた「ブランド化」ととともに、この「時代に敏感」であること、 その2つのバランスを上手くとってきたことがストーンズの長寿の秘密であり、80年代以降のストーンズの基本路線ではなかろうか。その一方の柱である無節操な面を理解すれば、このアルバムが駄作だなどとは私には思えないのである。しかし、不評なわりには、また、ツアーも行われなかったにもかかわらず、英米ともにNo.1となっている。 |
*アルバム好感度 80
*:2000年12月14日UP
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