THE ROLLING STONES ALBUM GUIDE

第3回

      
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(5)DECEMBER'S CHILDREN
収録曲
1.She Said "Yeah"、2.Talkin' 'Bout You、3.You Better Move On、4.Look What You've Done、5.The Singer Not The Song、 6.[Get Your Kicks] Route 66(Live)、7.Get Off Of My Cloud(一人ぼっちの世界)、8.I'm Free、9.As Tears Go By、10.Gotta Get Away、11.Blue Turns To Grey、 12.I'm Moving On(Live)       

   

 

 

      

 
発売日1965.12.3.(米)
プロデューサーアンドリュー・ルーグ・オールダム
レコーディング63.9(3)
64.6(4)
65.3(6,12)
65.9(1,2,5,7,8,10,11)
65.10(9)
参加ミュージシャンイアン・スチュアート(p,org,マリンバ)
ジャック・ニッチェ(key)
J.W.アレクサンダー(per)
手持ちのCDP25L-25036(ポリグラム)
購入時期1989年暮れ
メンバーミック・ジャガー(Vo)
キース・リチャード(g)
ブライアン・ジョーンズ(g,har)
チャーリー・ワッツ(d)
ビル・ワイマン(b)


  アメリカ編集盤。本国イギリスでは、これに相当するアルバムは発表されていない。ということで、ここに収録されているのは、同時期に発売されたシングルや、そのセッションで レコーディングされた曲、さらにはイギリスでは65年初頭に発売されたライブEPからのライブ・バージョン(6,12)、64年の12X5のセッションで録られていたテイク(4)、 そして、イギリスでは63年に4曲入りEPに収録されていたテイク(3)など、これまでアメリカでは未発表だった年代もバラバラなテイクを寄せ集めたもので、いかにも「編集盤」というカラーが強い。ただ逆に、 初期のブルースの影響の濃いストーンズあり、65年以降のよりポップな路線を打ち出したストーンズありと多彩な内容で、これ1枚でデビューから65年までのストーンズのあらゆるカラーが楽しめるので、個人的には結構愛聴してきた。

  カバー・ソングは、ブルースよりもR&Rが目立つ。何といってもいきなり荒々しく、パンキッシュな演奏のラリー・ウィリアムズの1:She Said Yeahではじまり、チャック・ベリーのルーズなノリの2:Talkin' 'Bout Youへの流れが 魅力的。この連発は聞き手を引きつけるに十分なものである。特に1のスピード感、個人的には大好きだったりする。ファーストに収録された曲のライブ・バージョン6:Loute 66とハンク・スノウの12:I'm Moving Onは イギリスではライブEPとして、アーサー・アレキサンダーのジェントルな3:You Better Move Onは63年のファーストEPで発表されていたテイク。マディ・ウォーターズのディープな4:Look What You've Doneは64年のセッションのアウト・テイクであり、いずれもこの時期の テイクではないものの、出来は悪くない。

  残る6曲はオリジナル作品だが、いずれもこの時期にレコーディングされたもの。最も目を引くのはSatisfactionに続くシングルとして発表され全英、全米ともにNo.1となった7:Get Off Of My Cloudであろう。ギター・リフに乗せてミックが言葉をたたみかけるような ボーカルを聴かせるキャッチーかつ、ストレートなナンバー。シングル・ヒットといえばもう1曲、9As Tears Go Byはアメリカでのみシングル・カットされて6位まで上昇した曲。ただ、実はこの曲は当時のミックの恋人だった女性シンガー、マリアンヌ・フェイスフルのために ミック、キース、そしてプロデューサーのアンドリューが共作したバラードのセルフ・カバーで、ミックが歌い、キースがギター、バックにストリングスを配したアレンジはどことなくビートルズのYesterdayの影響も感じさせる。この2曲、全く対照的なスタイルではあるが、ともにストーンズの 60年代の代表曲として知られている。が、この2曲以外のオリジナル作品も実に多彩で、良質な曲が揃っており、ミックとキースの成長の跡が窺える。特にHelp!の頃のビートルズを思わせるフォーク・タッチの5:The Singer Not The Songとマージー・ビート風の8:I'm Freeは それまでのストーンズにはなかったタイプの、しかし文句なしの名曲。前者はミックとキースのソングライターとしての心意気を感じさせる詞作、後者は自由奔放な彼らのキャラクターそのままの詞作であり、歌詞の方はしっかり「反逆児」してるのも好感が持てる。残る10:Gotta Get Away、11:Blue Turns To Greyは ともにアコースティックでジェントルなナンバー。うち、後者はミックとキースがマイティ・アヴェンジャーズに贈った曲のセルフ・カバーであり、のちにクリフ・リチャードのカバー・バージョンもヒットを記録している。

  このように、「寄せ集め」的なアルバムではあるが、よい曲が揃っているし、多彩で聴いていて純粋に楽しめる内容である。また、ミックとキースのソング・ライターとしての成長も感じられるし、無視できない一枚だと思う。なお、全米アルバム・チャートの最高位は4位であった。

   アルバム好感度     100


(6)AFTERMATH
収録曲
1.Mother's Little Helper、2.Stupid Girl、3.Lady Jane、4.Under My Thumb、5.Doncha Bother Me(邪魔をするなよ)、 6.Goin' Home、7.Flight 505、8.High And Dry、9.Out Of Time、10.It's Not Easy、11.I Am Waiting、 12.Take It Or Leave It、13.Think、14.What To Do       

  

 

 

 

      

 

発売日1966.4.15.(英)
プロデューサーアンドリュー・ルーグ・オールダム
レコーディング65.12(1,5,6,12,13)
66.3(2〜4,7〜11,14)
参加ミュージシャンイアン・スチュアート(p,org)
ジャック・ニッチェ(key)
手持ちのCDP25L-25037
購入時期1990年秋頃
メンバーミック・ジャガー(Vo)
キース・リチャード(g)
ブライアン・ジョーンズ(g,key,マリンバ,ダルシマー他)
チャーリー・ワッツ(d)
ビル・ワイマン(b,key)


  65年暮れ、ビートルズの発表したアルバムRUBBER SOULは、単なる曲の寄せ集めでないトータルなものとして仕上げられたものだった。このビートルズのアルバムに触発されて 作られたのがこのアルバムであった。ここに紹介したのはイギリス盤であるが、アメリカでも同タイトルのアルバムが発売されており、現在CDで入手可能なのはアメリカ盤のみである(後記参照)。しかし、アメリカ盤は 11曲しか入ってない上、ストーンズが敢えてアルバムに収録しなかったシングルPaint It Blackを収録しているなど、アルバムを「トータルなもの」と考えるようになっていた彼らの意志を無視したものである。 よって私はアメリカ盤を紹介する気にはならないので、ここでは現在は廃盤のイギリス盤を紹介したい。

  このアルバムの収録曲を見渡してまず気がつくのは、はじめて全曲Jagger-Richardのオリジナル作品で構成されていることである。ここにいたってようやくミックとキースはソングライターとしても一本立ちしたと考えることができる。 また、その作品も露骨にブラック・ミュージックをコピーしたようなものではなく、その中にポップ、フォーク、カントリー、クラシックなどのあらゆる音楽の手法を取り入れている。アレンジもキーボード、マリンバ、パーカッションなどを多用した凝ったものである。 おそらくビートルズの影響もあったものと思われるが、とにかくポップ色が濃い。とはいえ、マリンバの使用は同時代の他のバンドには見られなかったもので注目に値する。収録曲も多彩で12弦ギターをフューチャーしたシングル・ナンバーの1:Mothers' Little Helper、クラシカルなバラード3:Lady Jane、R&B風のリズムながらマリンバをフューチャーした4:Under My Thumb、 黒さとポップさを兼ね備えた曲でクリス・ファーロウに贈った9:Out Of Time、日本のGSを思わせる曲調でサーチャーズに贈った12:Take It Or Leave Itなど名曲揃い。特に4:Under My Thumbは70,80年代までライブで演奏された隠れた名曲。個人的には9:Out Of Time が、彼らにしてはポップなのにブラック・フィーリングが感じられる曲調で、かなり気に入っている。現在発売されているアメリカ盤には未収録、しかも現在CDで聴けるFLOWERS収録バージョンが途中でフェイド・アウトするショート・バージョンというのも腹立たしい限り。他にも、このアルバムでしか味わえない見逃せない曲が多い。例えば、ビーチ・ボーイズを思わせる14:What To Do、のちのスワンプ・ロックを先取りしたような7:Flight 505、8:High And Dry、そして 延々11分以上にわたってアドリブ風な演奏が展開される当時としては型破りなほど長尺な6Goin' Homeなど、彼らの新たな試みにチャレンジしようという野心が感じられる。

  このように実に多彩な内容で、それまでの「ブラック・ミュージック・フォローワー」というイメージを脱却し、自らのオリジナリティを追求しようという彼らの野心の感じられるアルバムである。全体にポップ色が濃く、ビートルズからの影響が顕著なために、今日では評価が高くないようだ。確かにこれ以前及び、 70年代以降の彼らのイメージとは異なるが、私は「良質なブリット・ポップ(既に死語か?)アルバム」として高く評価している。またリーダーの座を奪われ、隅に追いやられた感のあるブライアンだが、ここではキーボードやダルシマー、マリンバなどありとあらゆる楽器を操り「マルチ・プレイヤー」としての存在をアピールしている。全英アルバム・チャートの最高位は1位。 アメリカ盤の方は全米チャート最高位2位であった。それにしても現在、全く別物といってもよい、中途半端な内容のアメリカ盤のみしか現在入手不可能というのは本当に腹立たしい。早期にイギリス盤CDの復活を期待したい。

  (後記):2002年、めでたくイギリス盤のCD、復活しています

   アルバム好感度     100

                                                                   *:1998年9月10日UP


      
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