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| 発売日 | 1968.12.6.(英) | ||
| プロデューサー | ジミー・ミラー| レコーディング | 68.3(4,5) | 68.5〜6(1〜3,6〜10)
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| イアン・スチュアート(p,org) ニッキー・ホプキンス(p) デイヴ・メイスン(笛:6,マンドリン:9) リック・グリッチ(バイオリン:9) ロッキー・ディジョーン(コンガ:1) | |||
| 手持ちのCD | P25L-25043(ポリグラム) | ||
| 購入時期 | 1991年頃 | ||
| ミック・ジャガー(Vo,har) キース・リチャード(g,b) ブライアン・ジョーンズ(g,タンブーラ) チャーリー・ワッツ(d) ビル・ワイマン(b) |
| 世間一般では「前作THEIR SATANIC MAJESTIES REQUESTでビートルズの後を追うあまり本来の姿を見失っていたストーンズが、ブルースに戻ったアルバム」とされている。しかし、私はこのアルバムはそんな単純なものではないと思っている。簡単に「本来のブルースに戻った」というが、
ここには65年頃までのストーンズが持っていた「ブリティッシュ・ブルース」的な色は全く感じられない。ブリティッシュ・ブルースの特徴は、泥臭さがなくスタイリッシュで都会的なことであると思う。嘘だと思う人はジョン・メイオールを思い出して頂ければ分かりやすいと思う。
このアルバムの場合、全然スタイリッシュじゃないし都会的でもない。もっと土着的で泥臭く、悪い言い方をすれば「野暮ったい」印象すら受ける。つまり彼らは「以前のブルースに戻った」のではなく、全く新しい世界に足を踏み入れたのである。では、なぜサイケから一転、こんな田舎臭さも感じられるような
ブルースに傾倒したのか? これは、ボブ・ディランとホークス(後のザ・バンド)がウッドストックで行ったセッションと無関係ではないだろう。この「ルーツ・ミュージック」に接近したセッションの模様は、後年BASEMENT TAPESとして世に出ているが、実はこのセッションのテープは一部アーティストの間に出回り、
ミュージシャンの間で広く聴かれ、ロック界に大きな影響を与えていたのである。多くのアーティストがアメリカのルーツ・ミュージックに傾倒、ストーンズも例外ではなかったはずである。つまり、ストーンズがブルースにのめり込んだのは「昔に返った」のではなく、そうした新しい「風」に敏感に反応したため
と考えるべきであろう。 このアルバムのもうひとつの特徴といえば、1:Sympathy For The Devilに象徴されるような「悪魔」的なイメージである。ストーンズには以前からダークなイメージがあったが、それは「不良」という程度のものであり、ここではそれを大きく超越してしまったのである。このアルバムで決定づけられた「悪魔」的なイメージは、この後70年代初頭までに起こる多くの事件により さらに人々に強く印象づけられることになる。だが、私はこの「悪魔」的なイメージも、このアルバムから急に現れたものではないと思う。鍵は前作、THEIR SATANIC MAJESTIES REQUESTにあった。前作でストーンズが目指したのは、ビートルズのSGT. PEPPERSのような、ドラッグの影響のもたらすカラフルな世界ではなく、ダークで混沌とした世界であった。実はこのアルバムに見られる 「悪魔信仰」的な世界はその延長線上であるといえるのではないだろうか。つまり、これまた世間一般で言われている「前作までのサイケなイメージを捨ててこのアルバムを作り上げた」というのも大きな間違いだと思うのである。という風に見れば、このアルバムは「問題作」といわれ一部のファンの間で忌み嫌われている前作とも密接な繋がりがあるのである。 おそらく、このアルバムが好きで前作が嫌いという人は多いだろうけど、実はこの2枚、切っても切り離せない関係にあるように思うのである。 サウンドは実にシンプル。音がスカスカで、アコースティック。チャーリーのドラミングのシンプルさも印象に残るところだ。収録曲もブライアンの素晴らしいスライドをフューチャーした2:No Expactations、カントリー・フォーク風の3:Dear Doctor、セクシャルでヘビーな4:Parachute Woman、 ロバート・ウィルキンスのカバー、7:Prodigal Son、ヴェルベット・アンダーグランドの「ヘロイン」をパクった8:Stray Cat Blues、フィドル(ファミリーのリック・グリッチが担当)やマンドリン(トラフィックのデイヴ・メイスンが担当)の音が戦前のジャグ・バンドを連想させる9:Factory Girl、 ミックとキースが交互にボーカルをとり、コーラス隊を従えたゴスペル風でドラマティックな10:Salt On The Earthなど、全体にシンプルでアメリカ南部や戦前のブルースを意識したようなものが並んでいる。特に戦前のブルースのレコードからヒントを得たというキースの変速チューニングのギター、既に身も 心もボロボロだったはずのブライアンの 最後の輝きともいえそうなスライド・ギターが耳に残る。そうした収録曲の中で異彩を放っているのがLP時代のA、B面それぞれのトップに配されていた1:Sympathy For The Devil、6:Street Fighting Manの2曲である。1:Sympathy For The Devilは「悪魔信仰」を連想させ、ライブで演奏するたびに暴動が起こっていたことで有名な曰く付きの曲。だけど、この曲は私は 詞を読むと権力者を「悪魔」に見立てた、ジョークにならないほどキツイ社会風刺の曲。サンバのリズムを取り入れてアフリカ音楽へ接近した野心的な曲でもある。もっと音楽的な部分で注目されてよい曲だろう。チョーキングを多用したキースにしては珍しいスタイルのソロ、ミックの神懸かり的なボーカルも素晴らしい。6:Street Fighting Manは、 パンキッシュな詞と、アコースティック・ギターをエレキ・ギター風に使った荒々しい演奏が印象的な曲で、シングル・カットされたが詞が過激すぎてヒットには至らなかった。この2曲だけが他の曲と雰囲気が違うが、逆によいアクセントになっている。また、アルバムと同じセッションで録音され、アルバムより先に発売されたシングルJumpin' Jack Flash も本来このアルバムに収められる予定だったそうだが、このアルバムのカラーに合っていないので収録されなくてよかったと思う。なお、このアルバムからジミー・ミラーがプロデュースを担当。以降70年代初頭までストーンズと行動を共にすることになる。地味なサウンドのアルバムだが「名盤」といわれ、特にコアなストーンズ・ファンに人気が高い。私も好きなアルバムである。 |
*アルバム好感度 90
| 発売日 | 1969.12.5.(英) |
| プロデューサー | ジミー・ミラー |
| レコーディング | 68.5〜6(2,6,7,9) 69.6〜7(5,8) 69.11(1,3,4) |
| イアン・スチュアート(p:5) ニッキー・ホプキンス(p:1,4,7,8,org:7) ライ・クーダー(マンドリン:2) レオン・ラッセル(p:4) アル・クーパー(p,org,フレンチホルン:9) バイロン・バーライン(フィドル:3) メアリー・クレイトン(vo:1) ドリス・トロイ(bvo:9) マデリン・ベル(bvo:9) ナネット・ニューマン(bvo:3,9) ボビー・キーズ(sax:4) ロッキー・ディジョーン(per:9) ジミー・ミラー(per:1,8,d:9) | |
| 手持ちのCD | P25L-25045 |
| 購入時期 | 1991年頃 |
| ミック・ジャガー(vo,har) キース・リチャード(g,b,vo) ブライアン・ジョーンズ(per:6,オート・ハープ:7) ミック・テイラー(g:3,4) チャーリー・ワッツ(d) ビル・ワイマン(b) |
| 前作BEGGARS BANQUET発表後、ブライアン・ジョーンズの解雇と急死、ミック・テイラーの加入というゴタゴタを間に挟んでレコーディングされたアルバム。しかし、内容的にはそんなことを微塵も感じさせない力作であり、
ストーンズの代表作の一つとされている。ブライアンの参加は6,7の2曲のみでその上、ギターも弾いておらず、一方の新加入のミック・テイラーの参加曲も3,4の2曲。ということで、
このアルバムの大半のギター・パートはキース一人で担当。その上、ミックも映画出演のため多忙で、曲作りはほとんどキース一人で行われている。ということで、キースの頑張りがやたら目立つアルバムである。サウンド的には、前作からはじまった
アメリカ南部指向を受け継いでいるが、ここではレオン・ラッセル、アル・クーパー、ライ・クーダーなどのアメリカ人アーティストのゲスト参加により、さらにディープに本格的なアメリカ南部的サウンドを確立するに至っている。 これは、ここに参加したアーティストの影響ももちろんだが、この時期キースがグラム・パーソンズと親交を深めていたこととも無縁ではないだろう。実際、シングルのみで発売された大ヒット曲Honky Tonk Womenのカントリー・バージョンともいえそうな 3:Country Honkには、フライング・ブリトー・ブラザーズのレコーディングにも参加しているバーロン・バーラインが参加。実はこの曲、Honky Tonk Womenのオリジナル・バージョンだということで、つまり、元々はグラムの影響下のもとに 作られた曲ということが明らかである。また、ロバート・ジョンソンのブルース・スタンダードをドラマティックで美しいバラードにアレンジした2:Love In Vainも、キースがグラムのアイデアを採り入れてカバーしたものであった。キースの汽車の汽笛を思わせる スライドの音も印象的な名演である。グラムは、このアルバムのセッションにこそ参加していないが、ストーンズ、特にキースに大きな影響を与え、このアルバムのサウンド作りに大きく貢献しているのである。もう一人、忘れてはならないのが、その2:Love In Vainで マンドリンを弾いている当時はまだ無名だったライ・クーダー。彼の参加はこの1曲だけであるが、実はセッション中のある日、キースが帰った後、ミック、ビル、チャーリー、ニッキー・ホプキンスとともに軽いジャムセッションを行っており、その模様はエンジニアの グリン・ジョンズによって録音されていた。後日、そのテープのライ・クーダーのプレイを聴いたキースは、彼のプレイ・スタイルやリフを盗み、自分の新たなギター・スタイルを確立するのである。もちろん、最初はパクリであったが、そうやって作り出したキースのギターのスタイルは、 以降のストーンズにとって、欠かせないものになっていくわけである。実際、1:Gimme Shelter、4:Live With Me、6:Midnight Rambler、8:Monkey Manあたりのキースの弾くリフは、これまでのストーンズにはみられなかったスタイルである一方、以降のストーンズ、キースの典型的なスタイルであるともいえる。 このようにして、本場のアーティストと交流することにより、ストーンズはこのアルバムでよりディープにアメリカ南部指向のサウンドにのめり込んでいくことになるのである。 楽曲も粒ぞろいである。何重にもオーバー・ダビングされたギター・リフと、ミックのボーカルに絡むメアリー・クレイトンのボーカルが印象的な退廃的かつ、ルーズな1:Gimme Shelter、ミック・テイラー加入後、初のレコーディング曲で、レオン・ラッセルがピアノのみならず ホーン・アレンジも担当した4:Live With Me、ストーンズには珍しい、長い演奏が延々と展開される6Midnight Rambler、初のキースのリード・ボーカル曲で、ブライアンのラスト・レコーディング・ナンバーになった7:You Got The Silver、 ロンドン・バッハ合唱団が参加、クラシカル、というよりゴスペル風の荘厳な大作9:You Can't Always Get What You Wantなど、「捨て曲」が全く見当たらない。ということで、「アメリカ南部的なサウンド」というと、「野性的」「荒々しい」「猥雑」という印象を受けるが、このアルバムには そうした感じがあまりない。楽曲の出来も完璧で、音もクリアだ。また、1:Gimme Shelterの、何重にも及ぶオーバー・ダブを施したギター・リフに象徴される、完璧かつ計算高いサウンド作りもこのアルバムの特徴といえる。つまり、「アメリカ南部的なワイルドなサウンド」を持つ一方で、 本来ならそれとは相容れないはずの「計算高さ」が同居しているのがこのアルバムの特徴ではないだろうか。ストーンズのアルバムで、こんなに計算高いアルバムは他に例を見ない。だから個人的には、好きな曲も多いし文句なく好きなアルバムなんだけど、「ストーンズらしくない」という印象を持つというのも正直なところである。 でも、「らしくない」と思ってはいるけど、実はこのアルバムこそが「ストーンズの最高傑作」だと思っている、というのも事実。ちょっと矛盾してるけど、これが私のこのアルバムに対する評価である。 さらに個人的なことを述べさせて頂くと、95年、98年の2回のストーンズの来日公演時に計3回のステージを見た私だが、 その際1:Gimme Shelter、2:Love In Vain、5:Let It Bleed、8:Monkey Man、9:You Can't Always Get What You Wantを生で体験。正直、生で見るまでは2,5,8あたりは特別好きな曲でもなかったのに、生で体験してこれらの曲のよさを再発見させられた。とにかく、なぜかこのアルバムの収録曲の演奏ばかりが印象に残ったのである。そんなところにも、 このアルバムの不思議な魅力を感じてしまうのである。全英チャート最高位1位、全米チャート最高位3位であった。 |
*アルバム好感度 100
*:1998年12月1日UP
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