| BLINDMAN
1998. 12. 31
目黒 The Live Station |
| 98年最終日、BLINDMANを見る為に私は妻と二人で目黒ライブステーションを訪れた。 この日はライブステーションの企画した「目黒鋼鉄宣言」の最終日に当たっていた。ハードロックを盛り立てようという主催者の思いが、出場バンドの面々に現れているようだ。 少し早めに着いたので他のバンドを見ることが出来た。ちょうど「狐火」の演奏が始まる前だった。96年10月号の『Player』誌に、写真付で紹介されていたのを思い出した。その時には「どちらかというと硬派な(153頁)」バンドと書かれていた。 日本の祭囃子のBGMが流れる中、ステージの白いカーテンが開かれると、客席に背を向けて立つメンバーの不動の姿が現れた。まるで80年代のJudas Priest のライブのオープニングを連想させる。Judas Priestと違っているのは、羽織を背に掲げている点であった。 BGMは音量を増してくる。そして或る瞬間羽織を一斉に投げ打ち、演奏が開始された。(メンバーは当初、狐のお面を被っていた。) サウンドはアグレッシヴだが、パッキングは非常にタイト。ズレが少なく、聴いていて気分が良い。現代風のブレイクと展開が使われていたが、ツインギターの間奏部は伝統的なハモリのスタイルを踏襲している。ステージングも曲毎にきちんと演出されており、連獅子の様なフォーメーションをキメてくる。激しいリズムとキメ。これは歌舞伎でもよく見られるスタイルだ。日本人の好む所なのかもしれない。それにしてもヘッドバンギングに揺れる長髪というのは、本当に絵になるなと思う。なかなか楽しめたライブだった。 次はZEAL CAMERA。レザーのライダースジャケットというVoの外見で、無意識に正統派英国風のサウンドを勝手に予想してしまったが、実際はひねったメロディーが多かった。彼らは曲をリフで埋め尽くさず、最小限の音で構成していた。この様なスタイルは、今では珍しいのではないだろうか。使える限りのエフェクトを用いたかの様な、ブ厚い音作りが主流の現在のシーンの中で聴くと、どこか懐かしい感じさえするサウンドだ。とにかく真面目なメンバーの人柄が伝わってくるステージだった。 いよいよBLINDMANの登場。これ迄に何度かそのステージを見たことがあったのだが、毎回、特に奇をてらった演出など無いのに、オープニングの曲が始まると、それまでの空気が変わるかの様な印象を受ける。ある種の風格を感じるのだ。そしてそれは今回もそうだった。今回はキーボードの遠藤さんが抜けてしまった後のライヴだったので、どんな感じになるのかと思いながら鑑賞することになった。 そしてステージは始まった。懸念のキーボードはCONCERTO MOONの小池さんがサポートとして紹介された。(曲順等は記憶に頼っているので実際とは異なるであろうことをご了承していただきたい。) 1曲目は「The Man In The Mirror」。この曲は、出だしのギターにキーボードが絡んでメインのリフを構成する。そして中間部にはキーボードソロもある。つまりキーボードがとても目立つ曲なのだが、予想していた違和感はそれほど感じられなかった。 それにしても彼らは曲が良い。何と表現すべきだろうか。単に耳に心地よく分かり易いという、上辺だけのメロディーでは決してなく、もっと深い部分からしっかりとメロディーが組み立てられているので、よく噛むほどに味が出る感じが非常にするのだ。 BLINDMANが、それまで出ていたバンドと何処か違うと感じるのは、その様な理由もあるからではないだろうか。1曲目を聴いていてそう思った。 2曲目は「Gaze Into Your Eyes」。この曲も心のひだに触れる所が幾つかある。サビに移る直前の、音が少し上がる所。サビの最後の音が、何か物を言いきらないように、ニュアンスを残し含ませる様な所。終曲に向かう途中で音階が上がる所。そしてエンディングにキーボードの音だけ残る所。しかし残念ながら、この日の演奏では最後のキーボードは省かれた。Vo.の高谷さんがMCで、今回のステージにスペシャルゲストの参加がある事を皆に告げていた。 3曲目は「Why Did You Come Back?」。サビのフレーズを観客も一緒に歌う。会場の雰囲気も次第に盛り上がってくる。私の左前に立っている人達は他のバンド目当てで来ていた様だったが、この曲あたりからBLINDMANの演奏に反応を見せ始めていた。 そして4曲目「Raise Your Faith」。軽快なリズムにメジャーなキーが乗るこの曲は、会場の多くの人達の心を捉える。左前の人達も身体が揺れている。この曲を聴いて冷静のままでいるのは、非常に難しいだろう。特に中間部でのギターとキーボードの掛け合いと絡み合いは、鳥肌がたつほど素晴らしい。“Higher and higher, raise your faith!”会場の盛り上がりもこの曲で一気に増す。人に勇気を与える内容の歌詞も非常に良い。 あっという間に最後の曲が告げられる。会場からはそれを残念がる声が沸き起こる。それはそうだ。これから更に盛り上がりそうな流れが会場に出来てきた所なのだから。多くの人が、もっと曲を聞きたいと思っている様だ。それにスペシャルゲストはいつ登場するのだろう。そんな事を思っている中、5曲目「When The Fool Moon Rises」がスタートした。 今回会場にて配られたオムニバスCDにも収録されたこの曲は、他の多くのバンドには見られない堂々とした安定感がある。ミドルテンポでこれだけ聴かせるなんて、小手先のセンスや技術だけでは決して出来ない。演奏も実に説得力あるものだった。演奏が終わっても拍手と歓声は鳴り止まない。人々はアンコールを求め続ける。 再びメンバーがステージに姿を現す。そしてもう一人CONCERTO MOONのギタリスト島さんが紹介された。日本のロックシーンを盛り上げる上で、BLINDMANと CONCERTO MOONの交流はプラスになると思うので、これは非常に喜ばしい事だ。ステージでは恐らく有名な曲がジャムセッション風に演じられた。(恥ずかしながら私はその曲を知らなかった。(※筆者注:後日Vo.のAnnieさんより教えていただきました。DEEP PURPLE「嵐の使者」に入っている「LADY DOUBLE DEALER」でした。Annieさん、ありがとうございました!)会場は大いに盛り上がった。時間の関係でアンコールは1曲の演奏に留まったが内容は素晴らしいものだった。お陰でとても爽やかな気分で大晦日を過ごすことが出来た。 |