猪木ボンバイエ
昨年の暮れの猪木祭りは、たくさんの人に勇気を与える結果になった。
視聴率は、紅白には全く及ばなかったものの、14.5%くらいだったというから、若者の絶対的な支持をうけたのだろう。
では、試合を振り返ってみよう。
高田対ベルナルド→引き分け
稀に見る好勝負とは、全く正反対で、稀に見るダメ試合。高田を応援した俺のような好青年は、痛い思いをする。この試合だけ、何故か3分3Rで行われていることにも、疑問を抱きつつ、その試合は俺の目をTVにくぎ付けにするも、不完全燃焼。高田は、パンチを恐がり、ベルナルドはひたすら高田を待ち、両選手が触れ合ったのは、わずかに2、3回であった。高田には、これ以上惨めな試合をしてほしくないと、心から思う。試合後、ベルナルドは、「私は彼の土俵に上がって、試合をしているんだ」と、少々荒れていたそうだ。
佐竹対グレコ→引き分け
またも引き分けが続く。猪木の全国行脚のプロモーション活動の福岡にて、突如参戦を直訴して、出場を決めた佐竹雅明は、K-1を経験している総合選手として、グレコに挑んだ。が、しかし、グレコにタックルを決めるも、フロントチョークの態勢に取られ、K-1の選手に落とされかける。その後も、終始逃げ腰の佐竹は、良いところもないまま、5Rを終え、ドロー。グレコは、佐竹戦を有利に進め、自信をつけたのか、日本のプロレス参戦を表明した。
グッドリッジ対ブラガ→引き分け
腕相撲世界一のグッドリッジは、何故かK-1から出場のブラガとの対戦。実は、この二人、親友同士。だから、本気で闘うのは、初めてで、グッドリッジは試合後「殴るのに躊躇した」とコメントしている。急遽決まったカードだけに、悔やまれる。グッドリッジなら、K-1選手に間違い無く勝っていたはず。ブラガは、かつて船木を苦しめたほどの総合ファイターなので、この試合は異種格闘技というような空気をかんじられず。
石沢対子安→引き分け
ケンドー・カシンこと、石沢常光。彼は、昨年PRIDEにて、ハイアン・グレイシーに秒さつされた。しかし、彼の実力は、学生アマレス時代も光るものがあったようで、この試合は圧倒的に石沢有利という予想だった。が、しかし、子安は徹底的に寝技防御対策をしてきたようだ。後半には子安のハイキックもヒットし、危ない場面もあった。石沢、終始攻めきれず、試合終了後には、自分から握手を求めに行っていたようだ。珍しい光景だが、石沢はすぐに会場を後にし、インタビュースペースには現れなかったらしい。
ドン・フライ対アビディ→2Rチョークスリーパー
フライ勝利
ここまで4試合引き分け続きで、会場の観客もTV視聴者も、きっとフラストレ-ションがたまっていたはず。そんな空気を一変させたのは、UFCチャンピオン、ドン・フライ。彼は実は、プロボクサーのライセンスをも持っている究極の総合ファイターである。打撃に対しても、なかなかのものを持っているわけで、ゴングと同時に、アビディへ突進。パンチをもらいながらも、楽々とテイクダウン。1Rは、フライの腕がらみの関節をよけたりと、アビディも意地を見せるが、結局終始アビディを子供扱いしたフライは、2R首を極め、勝利。試合後、アビディはすねている様子で、フライが声をかけても目を合わせようとしていなかった。気が強いのだろうが、フライは全てにおいて、アビディに勝っていたようだ。ストリートファイトでも、フライは勝つだろうな。
永田対ミルコ→1RTKO ミルコ勝利
現役のエースのプロレスラーをまたもや、秒殺した。ミルコ・クロコップという男、只者ではない。永田を応援していたプロレスファンの夢をハイキック一蹴。永田の見えない角度で、これ以上とない芸術的な蹴りをヒットさせた。ミルコは、リング上で、興奮した面持ちで勝利をセコンド陣に祝福される。強い。そして、プロレスラーよ、やつを倒してくれ。
安田対バンナ→2Rがけっぷちギロチンチョーク 安田忠夫男の勝利
メインは、がっけぷちの男、安田。はっきりいって、猪木がバンナに対し、安田を当てると言った時、耳を疑った。誰もが、バンナ衝撃的なKOシーンを頭に描いていたはずだ。しかし、捨てるものが無い男は、がけっぷちの男には、神憑り的な強さがあった。この二人がリングに対峙しただけで、ものすごい違和感を覚えた。それと同時に、ワクワクする気持ちになった。このとき、既に安田への期待感でいっぱいだ。ゴングと同時に、安田は、突進、テイクダウン。その瞬間「イケル」と思った。もしかしたら、もしかする、と本気で思った。
安田が、バンナをテイクダウン。まさかの光景だった。すごすぎる。安田イケル、この時点で確信していた。
1Rは、バンナに抑えつけられ、パンチをもらったが、絶えしのぐ。2R、このラウンドで何かが起こるはず。安田は、またもや突進。バンナをテイクダウン。その後、安田は上からプレッシャーをかけていく。首にひじを入れる格好で、ギロチンチョークをねらう。バンナは体位を入れ替え様とするが、なかなか安田をはねのけることはできない。そして、2R2分過ぎ、試合が動く。一瞬の隙をついて、安田ががけっぷちのギロチンチョークをバンナへ。その瞬間、バンナはタップ。安田が、2001年大晦日のヒーローになった。
安田の試合、前へ出ることの大切さ、当たり前のようで、誰もが出きることではない。壁が強大であるほど、それはより困難を強いられるはずだ。安田の試合で泣いた人、少なくないはずだ。安田からもらった感動は、きっと勇気に変えられはず。
安田よ、ありがとう。猪木、ボンバイエ!!!