ジャズとボサノバをミックスしエレガントな作風に仕上げ、AOR・フュージョンの名作を作りだす才人。NYを中心としたジャズ・ミュージシャンを毎回起用したアルバムは発表されるたびに話題になってきている。そんなマイケル・フランクスのアルバムからセレクトし紹介して行きます。
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1. Sleeping Gypsy / (1977) Michael Brecker - Sax (Tenor)、Larry Carlton - Guitar、Joe Sample - Keyboards、David Sanborn - Sax (Alto)、Ray Armando - Percussion 、Larry Bunker - Drums、Helio Delmiro - Guitar、Wilton Felder - Bass、John Guerin - Drums 、Joao Palma - Drums、Tommy LiPuma - Producer、Al Schmitt - Engineer, Mixing、Claus Ogerman - Arranger, Conductor |
これを聴かずして、マイケル・フランクスを語る事はできない。歴史的な名盤である。豪華なジャズメンの参加は毎度の事ながら、このアルバムでは、クルセイダーズのメンバーをバックに、マイケル・ブレッカー、デビッド・サンボーンらの参加でジャズ・ファンの間でも話題になった作品。まず1曲目の”Lady Wants to Know”でノックアウトされた方は多いはずである。私はこのSAXを聴き、その後マイケル・ブレッカーの参加アルバム等を探して聞き込んだ記憶がある・・。フランクスのささやく様なヴォーカルとけだるい感触がうまくマッチして・・、大人の時間を演出するにはもってこいのBGM音楽であろう・・。ブラジル録音の曲もあり、フランクスがアントニオ・カルロス・ジョビンに傾倒していたことが分かる・・。ジョビンに捧げた”Antonio's Song”はサンボーンのがSAXが官能的に歌い上げている。それと、アル・シュミットのエンジニアリングと、トミー・リピューマのプロデュースが光り、クラウス・オーガマンのストリングス・アレンジ等、現在聴いても色あせない魅力が詰まった名作である事は誰も疑う事はないだろう・・。いまだに米国では、このアルバム以上の高い評価をもらったものはない・・。に専念している。 |
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2. Objects of Desire / (1982) Mark Egan - Bass 、Bonnie Raitt - Vocals、Luther Vandross - Vocals (bckgr)、Michael Brecker - Sax、Larry Carlton - Guitar 、Michael Colina - Producer、Victor Feldman - Percussion、Steve Khan - Guitar、Rob Mounsey - Keyboards、David Sanborn - Sax 、Lew Soloff - Trumpet、Randy Vanwarmer - Vocals (bckgr)、Ray Bardani - Producer、Rubens Bassini - Percussion、Randy Brecker - Trumpet、Joe Caro - Guitar 、Francisco Centeno - Bass、Rick Cutler - Drums、Lawrence Feldman - Flute, Sax 、Neil Jason - Bass、Ted Lo - Fender Rhodes 、Harvey Mason - Drums、Hugh McCracken - Guitar 、Nick Moroch - Guitar、Andy Newmark - Drums 、Buddy Williams - Drums |
この作品は、幾分アップテンポの曲もあり、ジャズ・ボサノバ風味は後退した感じがする。しかし、曲調は相変わらず落ち着いた雰囲気はあり、安心して聴くことができる。参加メンバーは、これまた豪華になり、プロデューサーも複数で行う形は現在もお得意な所・・。(なんとコーラス隊には、ルーサー・ヴァンドロスの名前もあるっ)それをコンポジションしていくフランクスの手腕はさすがである。伊達に学校の講師を務めたりしてはいないのだ・・。華やかな女性コーラスとニール・ジェイソンのベースが心地よい”Jealousy”から幕開けするこのアルバム。その中でも一番のオススメ曲は、サンボーンのアルトが張りのあるトーンでスタートする、女性ヴォーカルとのデュエット曲”Love Duet”である。それまでは渋み路線中心だったフランクスの曲だが、これはとても明るい雰囲気の曲調である。ジャケットにもそれは表現されており、南国情緒たっぷりのもので、フランクスさんタヒチあたりに何日か滞在したのだろうか?ドラムスは、アンディ・ニューマークとバディ・ウィリアムスが曲によって上手く配置され、ベースもマーク・イーガンらが職人芸を披露している。ワーナーが総力を結集して作り出した傑作として私は認識している。(フランクス作はほとんどワーナー社なのだが・・)NYを中心とした80年代を代表するジャズメンが集まった作品としては、それまでに無いくらい豪華なのだが案外サラリとして聴くことができるのは、ポップな曲がジャズ・ファン意外にも大きくアピールし、日本ではAORの名盤として紹介されてきたからである。良い意味で、一般のポップス・ファンにも受け入れられる作風が過去の作品との大きな違いかもしれない・・。 |
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3. Dragonfly Summer / (1993) Gil Goldstein - Keyboards, Producer 、Toninho Horta - Guitar 、Steve Khan - Guitar、Dave Koz - Sax 、Bob Mintzer - Sax 、Marvin Stamm - Trumpet、Jeff Lorber - Keyboards, Producer、Jimmy Haslip - Bass、Ronald Carbone - Viola 、Mino Cinelu - Percussion、Paulinho Da Costa - Percussion 、Harvey Estrin - Flute、Lawrence Feldman - Flute、Russell Ferrante - Keyboards、Paul Jackson, Jr. - Guitar、William Kennedy - Drums、Alec Milstein - Bass、John "J.R." Robinson - Drums、Steve Rodby - Bass |
90年代に入り2作目は渋いジャケットが印象的なこのアルバム。名盤”Sleeping Gypsy ”では蝶か蛾を飛ばしていたが、こんどは「トンボ」である・・。フランクスさんは、ナチュラリストなのか自然のものに対してアプローチが他のアーテイストとは違う様である・・。フルートが軽快な調べでリードする”Coming To Life”が始まると、そこはもう「マイケル・フランクス・ワールド」が開演し我々をまちかまえているのだ。リスナーは黙ってその音に身をゆだねることとなる。今回もまた、豪華なメンバーと複数のプロデューサーが名を連ねている。イエロー・ジャケッツのチームは彼らのライブアルバムで共演することでフランクスと交流を深めていくとになり、ボブ・ミンツァーは続けてこの後2作に登場するし、ジミー・ハスリップにいたっては、プロデュースを立て続けてしていく事になる。ジェフ・ローバーは前作に続いてプロデュースしているが、フランクスとの相性はベストマッチングとは行かなかったようで、ローバー本来のヨサがあまり出せなかったのが残念な所・・。珍しい所では、トニーニョ・ホルタと、パット・メセニー・グループのスティーブ・ロドビーが参加している事である。作風としては、従来の落ち着いた曲調も目立ちジャズ・ボッサ好きも納得のアルバムに仕上がっている。それにしても、だんだんと豪華さが増して次は誰が参加してくるかと、毎回待ち遠しくなってくるが、アルバム発表のスパンは3年から4年と寡作になってきている。 |
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4. Abandoned Garden / (1995) Mark Egan - Bass、Carla Bley - Piano、Michael Brecker - Sax、Peter Erskine - Drums、Art Farmer -pet、 Gil Goldstein - Piano, Producer、Bob James - Piano、Marc Johnson - Bass、Bob Mintzer - Flute、David Sanborn - Sax、Steve Swallow - Bass、Don Alias - Percussion、Jimmy Haslip - Bass, Producer、Lewis Nash - Drums、Joshua Redman - Sax、Manolo Badrena - Percussion 、Randy Brecker - Flugelhorn、Eliane Elias - Piano、Lawrence Feldman - Flute、Russell Ferrante - Piano, Producer 、Chuck Loeb - Guitar、Christian McBride - Bass Jeff Mironov - Guitar、Chris Parker - Drums 、Matt Pierson - Producer、Andy Snitzer - Sax |
こちらはアントニオ・カルロス・ジョビンに捧げたアルバムであり、90年代の作品の中では一番ジャズ・ボッサ風味が強く反映されたアルバムとなっている。プロデュースはマット・ピアソン、ラッセル・フェランテ&ジミー・ハスリップのイエロー・ジャケッツ組、マット・ピアソン&ギル・ゴールドスティン組の3組である。イエロー・ジャケッツ組のプロデュース曲でもあるジョー・サンプルとの共作曲”Somehow Our Love Survives”意外はしっとりと落ち着いた曲調であり、ジョビンへの追悼の意が込められた大人の雰囲気が満載のアルバムである。インナーに映し出されたフランクスの後ろ姿もどこか寂しげであり、彼のつぶやき風ヴォーカルも曲によくとけ込んでいる。マット・ピアソンのプロデュース曲は渋い感じが出ており、イリアーヌ・エリスのピアノが曲にマッチしてブラジリアンテイストをかもし出して納得の仕上がりとなっている。アート・ファーマーが渋い演奏を披露している”In The Yellow House”などピアソンならではであり、このアルバムでしか聴くことの出来ないマッチングもある。毎回の事ながら参加メンバーの豪華さは作品を発表されるたびにため息を出す位なのだが、今回はカーラ・ブレイ、ボブ・ジェームス、ラッセル・フェランテ、ギル・ゴールドスティン、イリアーヌ・エリス、と5人ものピアニストを揃えて来ているし、マーク・ジョンソン、スティーブ・スワロウ、クリスチャン・マクブライト、と言うジャズ・ベーシストも参加させてジャズ・テイストは90年代の作品中一番である。夕暮れ時にコーヒーでもすすりながら聴きたいアルバムでございましょう。本当に落ち着けます・・。 |
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5. Barefoot on the Beach / (1999) Will Lee- Bass,Vo、Charles Blenzig - Keyboards 、 Chris Hunter- sax 、Jay Azzolina - Guitar、David Charles - Percussion 、Carmen Cuesta-Vo、Jimmy Haslip-Bass、 Shawn Pelton- Drums 、Chris Palmaro- Keyboards 、 Jeff Mironov- Guitar、Bashiri Johnson - Percussion 、Bob Mintzer- sax 、Valerie Simpson-Vo、Brian Dunne- Drums 、 Mike Ricchiuti- Keyboards 、 Andy Snitzer- sax 、Jim Hynes-Flugelhorn、 Birch Johnson-Trombone、 David Mann-Flugelhorn、 Chuck Loeb - Guitar、Steve Gadd- Drums 、Steve Khan - Guitar、Dave Samuels-Vib、 Larry Lunetta-Trumpet、Michael Brecker- sax 、Lani Groves-Vo、 Bob James-Piano、John Patitucci-Bass、 Randy Brecker-Trumpet、 Jim Beard-Strings、Tawasha Agee-Vo |
こちらは、1999年の最新作であります。蝶、トンボ、と来て今回は熊である!自然大好き人間なのねぇフランクスさんは!前作は、追悼アルバムだったのでちょっと陰りぎみだったのが、このアルバムでは、すっきりとした作風になっている。レーベルもウィンダムヒルに変わって心機一転といった所でしょうか?今回もNYを中心としたジャズ/フュージョンのオールスターが参加した豪華な作りとなっている。おなじみのメンバーが多い中、ヴィブラホーンでデイブ・サミュエルズがいい味を出しているし、ボブ・ミンツァーが常連組の中ではキラリと光るプレイでフランクスの歌を盛り上げている。今回のプロデュースは、2組でチャック・ローブとジミー・ハスリップが担当している。メンバー的には2組に分かれる所もあるが、スティーブ・ガッドはどちらにも参加しているし、ジミー・ハスリップはローブのプロデュース曲にベースで参加している。ヴァレリー・シンプソンをフューチャーした” Now Love Has No End”は、アンディ・スニッツァーのホーン・アレンジが二人の歌を見事にバックアップしているし、シンプソンの声は非常にマイク乗りがいいのでフランクスさんもタジタジと言ったところである。1曲めのアルバムタイトル曲は、ウィル・リーの気持ちの良いベースからスタートして、チャールズ・ブレンジグのキーボードがさりげなく流れ、クリス・ハンターのSAXがこれまた泣かせるのである・・。全体的にゆったりめの曲が多いのも、リラックスして聴く事ができるし、フランクスさん自身も楽しんでいるのが良く解る。それにしても、チャック・ローブのめざましい活躍ぶりは目を見張るものがある。コンテンポラリー・フュージョンのツボを押さえた曲つくりは今後もマイケル・フランクスの片腕となって行くのではないだろうか??早くも、次回作を期待してしまうのは私だけではあるまい!1999年に発表されたヴォーカル/フュージョンものの中ではダントツの出来と太鼓判を押してしまいましょう! |