逃げなきゃ!ああ、でももう足が動かない。ああ、どうしよう!?助けて!!「キャー!!」
「最近、占いが当らなくなって・・・。ファンが私を恨むようになって。おまけに私、両親がいないもんだから、出生が怪しいとかなんとか。私もう誰も信用できない!」「はじめて私がるりこさんと会ったところよ。いやでも、ここも安全とは言えないの。だってもう、るりこさんしか頼る人いないんだもの!」
るりこさんの家にご厄介になることに。
るりこさんの家で自分自身を祓って落ち着いた私に、るりこさんのご主人が体の具合を尋ねてきた。「ええ」「心配をおかけしました」居間には、私に会いたくて来たという米屋さんがいたけど、るりこさんに一喝されて帰ろうとする。「今!この家にいる人は、ここを出て行かないほうがいいです!この家は、現在物忌みに入っています」物忌みってなにかっていう質問が。「その日は家を出ないほうが良いのです。実は、あのような来客を迎えるのも、あなた方には良くありません。ところで、私はるりこさんのような素晴らしい方が、このような家にいるのが心配です。魔が差しはしないかと。この家の丑寅の方角にあたる勝手口に、盛り塩すら置かれていないのですから。丑、寅、つまりこの家の中心から東北にあたる方角は鬼門ですよ。鬼門を清めないと鬼が入りこんでくるなんていうのは今や日本の常識です。ご主人がそんな調子ですからこの家は鬼だらけなんです。家族をこんな危険な目にあわせて、どういうつもりですか?」納得のいかない表情のご主人。そこに、さっき帰っていった米屋さんの旦那さんが災難に。ほら、言わんこっちゃない。「だから私は止めたんです」
夕飯の献立に手をつける気にならない。まだ体調が悪いのかと心配してくれるるりこさんだけど、「いえ、あまりに食べ合わせの悪いものばかり出ているので」納得のいかないという顔のKタローくん。「一緒に食べると体に悪いと言っているの。陰陽五行説に逆らうものを、あなたは調理しすぎているのよ。木・火・土・金・水、東洋では森羅万象すべてのものはこれに属すと考えられています。例えば、この料理、トマトとバターは木星の食物ですが、ほうれんそうやシイタケやジャガイモは土星のものです。木から見て土は、相容れない相克の関係で、相性が最も悪いのです。こういうものを食べていると、必ず、腰、あるいは膝に、支障をきたします」ご主人の腰、はつゑさんの膝が相次いで故障。ほら、だから言ったでしょう。食べ合わせが悪いって。
「Kタローくんダメでしょ!!土星のキャベツと、水星の豚肉を塩をまぶして一緒に炒めたら!」豚とキャベツの相性がいいと主張するKタローくん「いえ、塩味の豚とキャベツは胃と腎臓に負担がかかるわ。あなた、コックをするなら五味の分類ぐらい知らないと。酸っぱい味、辛い味、甘い味、苦い味、しょっぱい味の5つ!」それぐらい知ってるというKタローくんだけど、「いいえ、土星のキャベツは甘い味、水星の豚肉はしょっぱい味という、食べ物の五味の原則まで知らないと、意味がないの」
ということで、陰陽五行説のレクチャー。「木・火・土・金・水、このやじるしの方向が、お互いを相容れない相克の関係。この“克”は、克すという意味です。克すというのは、傷つけるということ。例えば、さっきの例でいうと、キャベツは土星、豚肉は水星、土は水を克すという関係ですから、お互いを傷つけあって良くないということですね」
Kタローくんが突然、いい食べ合わせがあるって言い出した。「え?」そのいい食べ合わせで料理を作るつもりだって。「そう、できるものなら・・・」
土星の甘味を中心に、、土を活かす火星の苦味、土星が活かす金星の辛味。の3つの味の料理。自信たっぷりに、相克の関係はないかと言ってくるKタローくん。「ないわ。でも、料理というのは美味しいかどうかよ。いただきます」苦い。でも・・・、「今日の料理は、滋養強壮に良い料理です。その上、その上・・・、心が、心が、こもってるから。私は、Kタローくんのこの料理、美味しいと思う」Kタローくんの料理とるりこさんの言葉が、私を救ってくれた。「はい」私は、やっと笑顔に戻れた。
安堵したのもつかの間、マスコミがいきなり押しかけてきた!どうしよう!?ご主人やはつゑさんの活躍で一応は追っ払ったけど、これじゃどうにも身動きができない。そこでマリ子さんの妙案が。「マリ子です」マリ子さんに変装して逃げるという作戦。「ちょっと。あのー、みなさん・・・、どうもありがとうございました。私も、こんな温かい家族で、育ちたかったです。るりこさん、本当にありがとう。あなたのおかげで、私は世に出ることができたのに、またこんな迷惑を」「いいえ、本当にるりこさんのおかげなんです。それから、Kタローくんの五行相生の料理は、本当にとっても美味しかった。ただ、最後に、高野山家のみなさんに、一言だけ言っておきたいんです。鬼門に盛り塩は、忘れないように!」さあ、出発を前に気合いを入れて、「ダー!!」
関空に向かって走るタクシーの中、「るりこさん、これ和泉の方に向かってるんですよねぇ。日本を離れる前に、ちょっと寄りたいところがあるんです」
「るりこさん、ここに、安倍清明の母親とされる、白狐が祭られているんです。るりこさん、これが、狐の母が、別れ際に安倍清明に残した、有名な歌です。おおきに・・・」
恋しくば、尋ねきてみよ、和泉なる、信太乃森の、うらみ葛の葉
「お・お・き・に・・・・・・」