第5回:学園のムフフフ[「ブルー・ロージス」収]
/山岸涼子(文春文庫ビジュアル版)
先週に引き続いて山岸涼子です。しかし傾向と対策は大分違う
のでここ注意!
まんが文庫定着のおかげで中途ハンパな作品まで文庫化される
のは困ったもんですが、過去の名・迷作を目にできるのも事実。
これは1974年の別冊セブンティーンに掲載された、山岸涼
子の学園ラブコメ(!)です。
ラブコメ。山岸作品のぎすぎすした雰囲気を演出している
かっちり四角にくくられたフキダシもなく、登場人物たちも読者
層を意識しているせいなのか、やけに活き活きしているのです。
「女史」「かっこいい生徒会長」「美少女」という黄金率に、
「おっとろしい」「〜だゾ」「タラ〜」等の何がなんでも時代を
感じさせるセリフがちりばめられたこの作品を、
「妖精王」「日出処の天子」等の名作を書いた山岸涼子・・・。
という先入観をおかずにして読んだ時のトリップ感は、どう
言ったらよいのやら。落下する夢を見てハッと目を覚ましたような、
感じでしょうか。
作品中巻末や「ダヴィンチ」誌上でも自らの恐怖体験を披露し、
反核エッセイまんがを書くなどのぶっとんだ行動を見せてくださる
山岸センセイの素質が伺える作品。
先週お伝えした「汐の声」と併せてお読み頂くと、
尚一層味わい深いです。
注:山岸涼子の「りょう」の字は実際は「さんずい」ではなく
「にすい」です。PCの都合上「涼子」と表記させていただきました。