Disc Review



第3回:Home Girl Journey/矢野顕子(AL,epic sony)

  じっくりとむかいあいたいおんがくって、ひさしぶりかもしれません。

以前にも言いましたが、私に「ロック」を感じさせてくれたのは
忌野清志郎30周年ライブ“respect!"でした。そしてそこでの最たる
「ロック」は矢野顕子の‘海辺のワインディングロード'でした。

上の曲も収録(再録しているようです)されています。彼女の原点と
いえる、ピアノ弾き語りカバーシリーズ最新作。山下達郎・奥田民生・
宮沢和史など、以前から交流あるアーチストに加えて、今回はSMAP
の楽曲もカバーしています。

カバーという表現・・・適切でないかもしれません。他者の作品を使う
ことによって、より「矢野顕子」が浮き立っているのだから。
作曲作詞の作業を取り除いて純粋に声とピアノに表現のテリトリーを
限定する事で、却って彼女の表現力を感じる事が出来ます。
そこから伝わってくる彼女のアイデンティティーは、シンプルなのに
深くて軽やか。人がシンプルにたたずむのって、こんなに素敵
なんでしょうか。

そしてピアノってこんなに良い音のする楽器なんですよ。
でも残念ながら、この音はきっと矢野顕子にしか出せない。ピアノに
話し掛けて、ピアノも答えているような、柔らかく透き通った音は。私
とかでは、スタンウェイ(1千万とかするすげえピアノ)使ったって、
きっと出せやしない。
うらやましくて優しくて、なんだか泣けてきます。

私も皆さんも色々大変でしょうが、とりあえず私は、
これを聴く今日まで生きてて良かった!そして、
早くも棺桶にいれるものが出来てしまった・・・。