舞台・映画フィルム保存室(room14)



16:シラノ・ザ・ミュージカル(play)



月よ
慈悲深い月よ
どうか 姿を隠してくれ。





Staff

 作・作詞・演出=クーン・ヴァン・ダイク/作曲=アト・ヴァン・ダイク
 2000年 (日本) 赤坂ACTホール

出演

市村正親、山本耕史、西田ひかる


 かのエドモン・ロスタンの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』のミュージカル版です。戯曲が発表されたのは19世紀の終わり頃。実際17世紀にいた人物をモデルとしています。ミュージカルに焼き直されたのはわりと最近。1992年にオランダで初演、1993年にブロードウェイでトニー賞を受賞した作品です。

 シラノ(市村)は剣の腕のたつ気の荒い男。鼻が大きいことを気にしていて、それをからかわれると決闘も辞さない。詩人でもある。自分の容貌が美しくないため、従妹のロクサーヌ(西田)に想いを寄せているが、口に出す事はできない。ロクサーヌが恋をしたのは、「ウツクシイが、馬鹿」なクリスチャン(山本)。若く、シラノと同じ小隊に入隊してきたばかり。どうか彼を守ってほしい、そして彼とのなかを取り持って欲しいとロクサーヌに頼まれたシラノは断る事ができない。クリスチャンもロクサーヌのことを思っていたので彼女の想いをとても嬉しく思うが、彼女が望む願い「どうか、手紙を」に答えるだけの文才がない。・・そこでシラノは、その手紙の代筆をひきうける。


 一幕がシラノが代筆をひきうけ、その状態のままクリスチャン、シラノとも戦地に赴く話。
 二幕は戦地から話がはじまり、絡まった恋の行方と結末まで、という二部構成でした。
 今回ははっきりいって市村さんが見れる♪のが嬉しくて行ったのですが、役柄的に、二幕中盤の山本くんの演技が素敵でした〜。これは一重に役柄のもつものも大きいと思うのですが・・。「彼女が好きだ、でも彼女にかく手紙の才能がない、代わりにシラノが書いてくれる、嬉しい♪」だけで終わる馬鹿なのかと思ってました。(原作読もうね)違うんですね〜。クリスチャンの自覚と、哀しみへの「変化」がすごーくよく雰囲気で伝わってきます。一幕頭のあたりでほんとに「見た目は良いけど馬鹿。」と小隊長にいわれちゃう幼い感じが出ていたのと対比できて、とても良かった。
 一幕終わりのときは、「クリスティーヌ(オペラ座の怪人)も馬鹿だけど、ロクサーヌのほうが馬鹿じゃないか?」「うんうん!」という感じだったのですが(そしてラウルよりクリスチャンが馬鹿だと思ってた)そういう意味で、キャラクターの成長のあるお話なので面白かったです。(ちょっと道徳的な成長過ぎる気もするけど〜)
 そう、シラノ!シラノが馬鹿で可哀想なんですよね、最終的には。馬鹿馬鹿。身につまされます。明らかになったときに哀れのみを誘う、後ろめたい行動はやめよう。しかし代筆してみとめられてみたいという精神は多少なりともわかるので恐ろしいのでありました。でもしません。身につまされたからね。


 この日は、タダで連れて行ってもらった舞台だったのですが(しかもS席)楽日、最終公演、という贅沢でありました。最後の挨拶、がとても長くて丁寧でした。
 一番最後。シラノ=市村さんが、その特徴たる「鼻」をぽん、ととって、客席にひょい、となげたのが格好良かったです。




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