『大丈夫か・・?』 |
それは、別の写真集を探していたときのこと。
ある本屋(ビレッジ・バンガード)の映画、の一角に、目当てのもの(『贅沢な骨』の写真集。いまも見つからない。見たい。映画より写真を。)はなく、かわりにみつけてしまったのが、この映画の写真集でした。
題名と原作と出演者に、ひかれてはいたものの。白黒や重たい雰囲気になんとはなしに敬遠していた作品だったのです。写真集の表紙は、ポスターと同じ構図で。
開いた途端、完全に魅了されました。
男が一人線路の上に横たわっている。帽子を顔に伏せてその表情が見えない。
ランダムにめくったページのそれだけで、心臓ひとつき。ぱらぱらめくってその美しさに圧倒されて、その足でヴィデオをレンタルして帰りました。
90分間の映像。美しいだけのつまらないものだったらどうしようー、とかその後に及んでまで心配していたけど。
そこに在ったのは、重たいかみくだけない、暗さではなく、深く深く沈んでいくどこまでも沈んでいく、昏さ、でした。ものすごく魅了されました。
このひとのとる画がすきでしょうがないようです。たとえば、
インバネスを来た男が小雨のなか線路のうえに佇み、ふっと空気を動かすように踵をかえし、真っ暗なトンネルの穴に歩いていく
だとか、
真っ白にひにてらされた誰もいない往来を、喪服の少女がふたり歩いていく
だとか、
ワインになにか薬をいれて、それが毒かそうでないかもわからない、それを彼は飲み干して、「さよなら」なんていう、
そんな、そんな画ばかりなので。
お話は少女の妄想そのものです。
「あのひとは連続殺人犯なの?それとも、違うの?どちらにしても、私はあのひとに深く近づきすぎてしまった−」
という。
妄想の切なさと、少女の切れ味の深さと、浅野氏と、嶋田久作(笑)(←よくわからない存在。多分夢野久作役なのだと思われる、すごいよい存在感。)がすきなひとには心からお勧め。
ただ、論評は賛否まっぷたつなんだよね。