舞台・映画フィルム保存室(room24)



26:落下する夕方(cinema)



     

愛してるわ

すごく 愛してる

監督
 合津直枝 1998年 日本
出演
 原田知世・渡部篤郎・菅野美穂
原作
江國香織



 リカ(原田)と健吾(渡部)はずっと一緒にいた,住んでいた恋人。リカはこれからもずっと一緒にいることを疑っていなかったが、ある日、健吾に「ひとりで、引っ越そうと思う」と、突然告げられる。「好きなひとができたから。」。ひとりには広すぎて、高すぎる部屋にそのまま住もうとするリカのところに、健吾が好きになったはずの華子(菅野)が、ひとりでやってくる。一緒に住もう、と。

 私にとって、完全に原作の存在が先にあった映画でした。映画化される、というときから聞いていて、ずっとみたいなーと思っていて、でもあれを映画化したところで何も変わらないかなあと思ったりもして。新井素子女史の「おしまいの日。」の映画化とともに保留、になっていた作品でした。
 みたいなあ、と思ったのは、多分、原作が好きだから、以上に、原田知世・渡部篤朗が、キャスティングとしてぴったりだ、と思ったからでしょう。それはみたあともかわりません。ただ、もっとえぐく描いてくれてもよかったなあと思っていますが。菅野美穂は、この役のせいなのか、まだ上手じゃなかったころなのか、いまひとつでした。残念。

 ということで、物語世界の視覚化、としては認めまています。が!全然違うお話になっているのであります。私の好きな原作のポイントがはずれていて、華子がもっと普通のひとになっている。可愛いけど。リカがもっと強いひとになっている。リカの「引っ越そうと思うの。」の場面がずれている。ペディキュアのシーンがない。(些細なことだが)。そしてなによりもなによりも、華子の「愛している」は、その相手は、どこへいったんだ〜〜!それが一番大切じゃなかったのか〜〜。

 映画化、は微に入り細に入り、原作を復元するもの、ではない、とわかっているつもりです。が、やわらかく角をとられ、「落下」の付け加えられたそれは、まるで違うお話で、ひどく普通でした。原作のほうが、もっと狂っています。ちゃんと。しかし渡部くんの「情けなさ」はぴったりでしたね。ああもう。夏休みの午後は空気が薄い気がする、ような気分を味わうにはよいかもしれませんが、原作に妙に思い入れのある(私のような)人はやめておいたほうが無難かもしれません。
 あ、でも、場所のずれた、リカの健吾急襲場面の、あとの、しりとりのところだけはすごく好きです。

 この作品はなにがすき、って、タイトルが一番好きなんだよね。しかし。




舞台・映画フィルム保存室入り口へ


図書館入り口へ