舞台・映画フィルム保存室(room26)



28:回路(cinema)




    
『密室ノ作リ方』



監督
 黒沢清 2001年 日本
出演
  加藤晴彦/麻生久美子/小雪



 日常のなかに、とつぜんはいりこみだした異常。つけていないパソコンに映る画面。「幽霊に会いたいですか」というメッセージ。黒いごみ袋をかぶった人間の映像。赤いテープでとめられた扉たち。勝手にプリントアウトされる「密室の作り方」・・。
 大学生の亮介(加藤)、OLのミチ(麻生)は、それぞれ別の場所でその事件に巻き込まれる。「なにものか=幽霊?」に出会った友人たちは、すこしずつ失踪し、消えていく。そのなにものか、に二人は立ち向かおうとするが・・。

 監督の黒沢氏のこともよくしらないまま、「なんか、リング系・・?」と思っていた作品。(CUREのことは知っていたのに。)珍しくCOCCOが主題歌だったり(「羽根」)したので、チェックだけして、渋谷で上映しているなあ、と映画館にいく気はさらさらなかったのですが。

 見終わって「なんだったんだー」とは思ったけれど、それから小雪女史の演技はなんなんだー、と思ったけれど(笑)、嫌いな映画ではないみたいです。

 説明は少なく、理由付けも少なく、その理由も納得させられたとは思えません。見た後の感触はよくないし、可哀想だし、希望もないなあとは思うし、主題歌はあっているかもしれないけどわざとらしい(笑)・・。ただ、ひとが落ちる場面とか、かってについたパソコンの画面の向こうのゆらゆらした影とか、効果音とか。赤いテープではられていくドアとか、最後の飛行機とか。。恐怖に満ちた人々の演技より、そういう「視覚的」なものの印象は悪くないです。とくに最後の最後、のあたりの映像とか、ころころころがっていった先の扉の・・とか、とにかく「切り取った一瞬」の重みがすごくあるなと思いました。

 ただ、私には、「物語」としてみたときの魅力はあまりありません。「密室」と「滅びる人々」の図を、「ネットとhpにはまる人々」として解説しているの感想文をどっかで読んだときはちょっと納得しかけましたが、そういうメッセージ性はうけとらなかったなあ。
 一瞬でてくる武田真治が結構賛否両論で、私は彼がいっていた内容がよくわかんないので「否」側。加藤晴彦の演技は上手じゃないけど、真摯なので、普段は好きじゃないのに、可愛らしくなってきたのでまあよかったです。しかし小雪の演技は私には駄目。あと、加藤晴彦がかってに呼び捨てだす場面とかみてて、恥ずかしくなりました(笑)主要キャラクタへの印象がこんなだから、どうしても「視覚印象」のもたらすものが大きいのかな。

 結論。「よくわかんないけど、部分部分、もしかしたらたまに思い出すかもしれない重みと綺麗さと、ぞっとするところのある映画。」・・私は「映画」というより「写真的」にみてしまったのかもしれません。




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